
一級建築士学科試験
2027年7月25日(日)
令和09年度試験日まであと 日!
〔H24 No.01〕建築士の行う設計業務等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.一級建築士、二級建築士及び木造建築士は、国土交通大臣の免許を受け、一定規模以上の建築物の設計、工事監理その他の業務を行う者で、常に品位を保持し、業務を行うに当たっては、公正さ、誠実さが求められる。
2.建築関連5団体によって制定された「地球環境・建築憲章」(2000年)において、「建築はそれ自体完結したものとしてでなく、地域の、さらには地球規模の環境との関係においてとらえられなければなりません。」と示されている。
3.建築設計にかかわる者は、依頼者の要請に応えるとともに、当該建築物の利用者及び社会に対する公益性に配慮して、公正な立場で業務を遂行することが重要である。
4.一級建築士、二級建築士及び木造建築士は、設計及び工事監理に必要な知識及び技能の維持向上に努めなければならない。
解答 1:後半は正しい記述であるが(建築士法第2条の2)、前半は誤り。一級建築士は国土交通大臣の免許を、二級建築士及び木造建築士は都道府県知事の免許を受ける。(建築士法第2条2項~4項)
2.「地球環境・建築憲章」は、その基本目標を実現するための基本的なガイドラインとして (社)日本建築学会、 (社)日本建築士連合会、 (社)日本建築士事務所協会連合会、 (社)日本建築家協会、 (社)建築業協会の5団体が共同で2000年に制定したものである。
いま私たちは、地球環境の保全と人間の健康と安全をはかり、持続可能な社会を実現していくことを緊急の課題と認識しています。建築はそれ自体完結したものとしてでなく、地域の、さらには地球規模の環境との関係においてとらえられなければなりません。私たちは21世紀の目標として、建築に係わる全ての人々とともに、次のような建築の創造に取り組みます。」
3.建築設計にかかわる者は、依頼者の要請に応えるとともに、当該建築物の利用者及び社会に対する公益性に配慮して、公正な立場で業務を遂行することが重要である(設問文ママ)。
4.建築士は、設計及び工事監理に必要な知識及び技能の維持向上に努めなければならない(士法22条1項)。
〔H24 No.02〕日本の集合住宅の歴史に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.同潤会江戸川アパートは、関東大震災後の住宅難に対処するために設立された同潤会による鉄筋コンクリート造の都市型アパートである。
2.日本住宅公団の草加松原団地は、高度成長期に建設された中層集合住宅を中心とする郊外型大規模住宅団地である。
3.日本住宅公団の晴海高層アパートは、2戸×3層の6住戸を1単位とし、3層ごとに共用廊下を設け、そこから上下階の住戸に階段でアクセスするスキップアクセス形式を採用した都市型高層賃貸集合住宅である。
4.広島市の基町団地は、工場跡地の再開発を目的として建設されたテラスハウス型の公営住宅団地である。
解答 4:「基町団地(広島市)」は、広島の戦後スラム街である「原爆スラム」の再開発で建設された3,000戸以上の集合住宅である。設問の「工場跡地の再開発を目的として建設されたテラスハウス型の公営住宅団地」は東京都の「同潤会青山アパート」の記述である。
1.同潤会とは、1923年の関東大震災による住宅難に対処するために設立された公的な住宅供給組織で、鉄筋コンクリート造の都市型アパートなどを10年で140か所を建設した。同潤会江戸川アパート(東京都、1934年)は、社交室、共同浴場、食堂、洗濯場等の付帯施設を有する集合住宅として計画された。現在は老朽化のために建て替え、取り壊されているが、代官山アパート跡地に「代官山アドレス(2000年)」、江戸川アパート跡地に「アトラス江戸川アパートメント(2003年)」、青山アパート跡地に「表参道ヒルズ(2006年)」が建設される。

2.「草加松原団地」は、埼玉県草加市にあった旧・日本住宅公団造成のUR賃貸住宅である。総戸数5,926戸が整備され、郊外型団地としては当時「東洋一」の規模であった。

3.「晴海高層アパート」は、前川圀男による設計で、日本住宅公団が初めて建設した都市型の高層賃貸集合住宅である。3層6住戸を1単位とするメガストラクチャーの架構方式を用い、スキップアクセス形式が採用されている。前川圀男の師であるル・コルビュジェの構想「輝ける都市」の実践的建築である。

〔H24 No.03〕建築物の保存、再生等の事例に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.ヴェローナ(イタリア)のカステルヴェッキオ美術館は、歴史的建造物であった市庁舎を市立美術館へ再生させたものである。
2.ロンドン(イギリス)のテイト・モダンは、第二次世界大戦後の復興時に建設された火力発電所をモダンアートの美術館へ再生させたものである。
3.パリ(フランス)のオルセー美術館は、鉄道の駅舎を印象派の作品を中心とする美術館へ再生させたものである。
4.札幌市のサッポロファクトリーは、ビール工場の煉瓦造の建築群を複合商業施設へ再生させたものである。
解答 1:「カステルヴェッキオ美術館(イタリア)」は14世紀に築城されたゴシック様式の城塞を1926年に市立美術館に再生したものである。さらに1964年にC.スカルパの計画による改修が行われている。

カステルヴェッキオ美術館
2.「テイト・モダン(イギリス)」は火力発電所を2000年に近現代美術館へと改修したものである。発電機のあった巨大なタービン・ホールは、5層吹き抜けの大エントランスホールにしたほか、屋上には採光窓やレストランなどのあるガラス張りのフロアが計画されている。

3.「オルセー美術館(フランス)」は、もともと1900年のパリ万国博覧会開催に合わせて、オルレアン鉄道によって建設されたオルセー駅の鉄道駅舎兼ホテルであった。これを1986年に改装し、19世紀美術専門の美術館としている。

4.「サッポロファクトリー(札幌市)」は、明治初期に建設された工場を商業施設に改修し、中央に設けたガラス屋根のアトリウムを市民に開放することで、公共性の高い空間を実現したものである。

〔H24 No.04〕建築部品とモデュラーコーディネーションに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.一般に、特定の需要や特定のビルディングシステムを対象とした建築部品をクローズド部品といい、不特定多数の建築物を対象とした建築部品をオープン部品という。
2.建築部品等の呼び寸法は、一般に、製作寸法とは異なる。
3.パネル状のものが並んで面をなす構成材群(畳、天井パネル等)は、一般に、シングルグリッドにしたがって配列すると構成材間の互換性が高くなる。
4.日本工業規格(JIS) のモデュラーコーディネーションは、モデュロールの寸法を基本として寸法体系が定められている。
解答 4:モデュロールはル・コルビュジエが考案したモデュールである。日本工業規格(JIS)のモデュラーコーディネーションは「標準数」を基本とした寸法体系である。

ル・コルビジェのモデュロール
1.「オープン部材」とは、住宅を構成するアルミサッシやシステムキッチン、バスユニットなど様々な部品の中で、一般に流通しており、不特定多数の住宅建設に用いることのできるもの。対して「クローズド部材」とは、特定メーカーの住宅にしか用いられていない部品や、特定の構法による住宅にしか適用できない部品のこと。
2.「製作寸法」とは「仕上がり寸法finished dimension」「実寸」ともいい、加工を終わった状態の対象物がもつべき寸法である。「呼び寸法nominal size」とは、部品の実寸を近似した寸法のことで、機能を代表する寸法である。例えばボルトの直径が製作寸法24.3mmの場合、近似して24mmと表記・呼称する。
3.「グリッドシステム」とは、モデュールの基準寸法による格子パターンに従って、平面的・立体的に構成する計画方法である。例えば、柱または壁の中心線で表す意匠平面図はシングルグリッドであり、床面積は実際の内法面積より大きくなる。施工図においては柱・壁の内法寸法を必要とするので、シングルグリッドを用いながら、ダブルグリッドを多用する。設問文のように「パネル状のものが並んで面をなす構成群」は例えば、タイル割、畳割、などがあり、積算においてはシングルグリッドが有効である。ダブルグリッドはコンクリート量や土量などの積算での活用が有効である。
〔H24 No.05〕都市空間についての著書に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.ケヴィン・リンチは、著書「都市のイメージ(The Image of the City)」(1960年)において、都市空間から抽出されるイメージを構成する要素として、移動路(path)、境界(edge)、地区(district)、結節点(node)、目印 (landmark)の五つを提示した。
2.ゴードン・カレンは、著書「都市の景観(The Concise Townscape)」(1971年)において、都市の景観の価値を、歩行者によって体験されるシークエンスの中に見いだそうとした。
3.ロバート・ヴェンチューリは、著書「ラスベガス (Learning from Las Vegas)」(1972年)において、ラスベガスの都市景観の多様な空間要素を記号論的な視点から分析した。
4.クリストファー・アレグザンダーは、著書「パタン・ランゲージ (A Pattern Language)」(1977年)において、都市空間における人々の行動がツリー構造で説明できることを示した。
〔H24 No.06〕建築物の各部の寸法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.幼稚園において、園児用洗面台の洗面器の高さを、床面から65cmとした。
2.住宅において、ドアノブの高さを、床面から90cmとした。
3.事務所ビルにおいて、階段に設ける手摺の高さを、段の先端から85cmとした。
4.住宅において、台所の調理台の高さを、床面から85cmとした。
解答 1:一般成人が使用する洗面台の洗面器の高さは約75cmで、年齢の低い4歳児の平均身長が約100cm程度の幼稚園児が使用する洗面器の高さは床面から40~50cm程度が望ましい。
2.ドアノブの高さは、直立したときの身長から考えて最も使いやすい位置であり、子供や車椅子使用者も手の届くように考慮し、90-100cm程度とする。
3.手すりは「昇降補助」と「転落防止」の2種類ある。階段の「昇降補助」は段の先端から85cm程度とし、バルコニーなどの転落防止は足がかりから110cm以上とする。
4.台所の調理台、流し台の高さは、JISA0017では身長により80cm、85cm、90cm、95cmの4種類と定めている。
〔H24 No.07〕建築物の各部の寸法等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.6人制バレーボールの公式試合を行うコートを2面配置するために、体育館の床面の内法寸法を 24m×24mとした。
2.商業施設において、高さ4mの直階段に沿って設けるエスカレーターの最大勾配を30度とした。
3.乗用エレベーター(定員24人)のかごの内法寸法を、間口2,150mm×奥行1,600mmとした。
4.プロセニアム形式の劇場において、舞台の床面から、プロセニアムの開口の高さを8mとし、フライタワー内のすのこの高さを22mとした。
解答 1:バレーボールコートは一面あたり9m×18mであるから、コート2面分の面積は18m×18mである。しかし余幅を持たせることが必要になるので、38m×34m以上で計画する。
2.エスカレーターの勾配は、原則として、30度以下とする。令129条の12
3.JIS規格において、24人乗りエレベーターのかごの内法寸法は2000×1750もしくは2150×1600としている。
4.「プロセニアム」とは舞台と客席の間に設けられる開口部のことである。観客から見えないプロセニアム裏側部分には照明などの舞台演出装置等が集約されるため、プロセニアム裏側の高さ(側舞台空間の高さ)はプロセニアム高×2.5程度必要であり、フライタワー内のすのこの高さを22mとするのは適当である。
〔H24 No.08〕高齢者及び障がい者の利用に配慮した建築物の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.博物館における階段において、両側に手摺を設けるに当たり、手摺の端部については、水平に延長したうえで服の袖が引っ掛からないように壁側に曲げた。
2.車いす使用者が利用する宿泊施設の客室内において、家具の周辺や水まわり等については、車いすの回転を考慮して、直径110cmのスペースを確保した。
3.公共施設の出入口において、視覚障がい者の利用を考慮して、音声誘導装置を自動ドア(引戸)の直上に設置した。
4.住宅の台所において、車いす使用者の利用を考慮して、調理台、流し台、レンジ及び冷蔵庫をL字型に配置した。
解答 2:車椅子の回転には、直径150cm×150cm以上のスペースが必要である。
1.階段の起点・終点の手摺の端部については、壁側あるいは下側に曲げ、端部であることが識別できるようにするとともに、衣服等の袖口が引っ掛からないようにするのが望ましい。
3.公共施設の出入口においては、視覚障害者の利用を考慮して、音声誘導装置を扉の直上に設置することが望ましい。
4.車いす使用者にとっては、回転や前後方向の移動に比べ横方向への移動が困難であるため、L字型のキッチンセットの方がI字型より使いやすい。
〔H24 No.09〕まちづくりに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.近隣住区は、一般に、小学校が一校成立する程度の人口を単位としたものである。
2.ラドバーン方式は、住宅地計画における人と車を分離する設計手法である。
3.クルドサックは、車の折り返し場所を終端部にもつ袋小路である。
4.ブキャナンレポートは、日本をはじめとする諸外国にも取り入れられた住宅供給政策に関する報告書である。
解答 4:「ブキャナンレポート」は、1963年にイギリス政府が2年間にわたる調査結果として発表したもので、正式名称は「都市の自動車交通(TRAFFIC IN TOWNS)」。都市部における居住住宅と交通の関係を論じたものである。
1.「近隣住区」は近隣分区を数区合わせ、小学校1学区の集団単位。約2,000戸から約2,500戸程度で構成される規模で、他の近隣住区とは幹線道路で分けられる。
2&3.「ラドバーンシステム」とは、住宅地において人と車を平面的に分離する方式(歩車分離)である。自動車は街区を囲む幹線道路から「クルドサック」によってアクセスし、通過交通を防ぐ。
〔H24 No.10〕まちづくりに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.都心地区の商業活動を活性化させることを目的とした歩行者モールは、人と車の交通形態により「オープンモール」、「セミクローズドモール」、「クローズドモール」に分類される。
2.タウンモビリティシステムは、中心市街地をバリアフリー化して車いすや電動スクーター等を貸し出し、歩行困難者の外出機会の拡大だけでなく、市街地の活性化を促す仕組みの一つである。
3.LRT(Light Rail Transit) は、都市内の交通渋滞の緩和や環境問題の解消を図るうえで有効な公共交通機関として、欧米を中心に導入されている新しいタイプの路面電車システムである。
4.パークアンドライドシステムは、一般に、郊外の鉄道駅等に設置された駐車場を利用し、都心部まで公共交通機関を利用することによって、中心市街地へ流入する車の交通量を抑制する仕組みである。
解答 1:設問の「オープンモール・セミクローズドモール・クローズドモール」の分類は屋根を主眼に置いた歩行者モールの分類である。「都心地区の商業活動を活性化させることを目的とした歩行者モール」における分類は「フルモール・セミモール・トランジットモール」などがある。
2.「タウンモビリティシステム」は、中心市街地をバリアフリー化して車いすや電動スクーター等を貸し出し、歩行困難者の外出機会の拡大だけでなく、市街地の活性化を促す仕組みの一つである(設問文ママ)。
3.LRTは、低床式車両の活用や軌道等の改良による乗降の容易性、定時性、速達性、快適性等の面で、優れた特徴を有する軌道系交通システムである。
4.「パークアンドライドシステム」は、交通渋滞の緩和を主な目的とし、郊外の鉄道駅等に設置された駐車場を利用し、都心部まで公共交通機関を利用することによって、中心市街地へ流入する車の交通量を抑制する仕組みである。
〔H24 No.11〕集合住宅に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.ネクサスワールド香椎(福岡市)は、国内外の6名の建築家がそれぞれの住棟を競作した集合住宅団地である。
2.幕張ベイタウン(千葉市)は、壁面線の位置・高さ、壁面率、三層構成(基壇部、中間部、項部)等についての「都市デザインガイドライン」に沿って設計された集合住宅団地であり、街区型の形式に特徴がある。
3.東雲キャナルコート(東京都江東区)は、防災を目的とした再開発計画によって建設された低・中層集合住宅団地である。
4.ひばりが丘団地(東京都東久留米市)は、解体せずに再生・活用する技術的手法を検証するため、解体予定の住棟を用いてストック再生実証試験が行われた団地である。
解答 3:東雲キャナルコートは、6街区に分割された敷地に、それぞれ別の建築士事務所が設計を行った高層・板層の集合住宅団地である。中廊下型で、通風・採光の為の大きなテラスが特徴的。

東雲キャナルコート(写真は東京建物株式会社より)
1.「ネクサスワールド香椎」は、国内外の6名の建築家がそれぞれの住棟を競作した集合住宅団地である。このうちレム棟・コールハース棟は住戸がメゾネットとトリプレットとなっており、それぞれ専用の吹き抜けとライトコートを持ち、そこから通風や採光を確保している。

2.幕張ベイタウンは街区計画に沿って、それぞれ1番街、2番街、・・・と番号で振り分けられており、現在約20棟のパティオスが完成している。

4.「ひばりが丘団地(東京都)」は日本住宅公団の造成した2714戸と大規模の公団住宅である。現在は2020年を目処に団地再生事業が行われ、12階ほどの中層マンション「ひばりが丘パークヒルズ」と、戸建て住宅、公共施設が複合した住宅地区へと建て替えられている。
〔H24 No.12〕建築家の自邸に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.土浦亀城邸(1935年)は、「白い箱」型の外観をもち、内部は居間の吹抜けを中心とし複数の床レベルによって構成されたモダニズムの木造住宅である。
2.増沢洵邸(1952年)は、戦後の極限的小住宅の先駆けとなった事例であり、1階の鉄筋コンクリート造のコアの上の木造部分に、最小限必要な要素を収めた住宅である。
3.菊竹清訓邸のスカイハウス(1958年)は、4枚の壁柱によって正方形の主室を空中に持ち上げ、HPシェルの屋根を設けた構成で、住宅生産の工業化の利点を生かし、設備等の更新を可能とする「ムーブネット」を取り付けた住宅である。
4.原広司邸(1974年)は、玄関からバルコニーまで降りてゆく中央の吹抜けの両側に居室を配置し、トップライトから自然光を取り入れ、住居の中に「都市を埋蔵する」構成を意図した住宅といわれている。
解答 2:「増沢洵邸」は、木造2階建てで、3間×3間、吹き抜けを擁している。9坪の土地に建つ増沢洵邸は玄関がなく、全面開口とした吹き抜けによりその狭さを感じさせない建築物である。
池辺陽の「立体最小限住宅」と同時期に設計され、両者は戦後の「極限的小住宅」と呼ばれる。

増沢洵邸
1.「土浦亀城邸」は、1935年に建てられた木造乾式構法によるモダニズムの住宅である。白い箱型の外観、居間を中心とした機能的な平面構成、吹き抜けとスキップフロアによる空間の連続性、天井パネルヒーティング、システムキッチンなど、現在につながる都市住宅の特徴を備えている。

3.「菊竹清訓邸」は、スカイハウスとも称され、住宅の「伸び上がり」による利便性とデザイン性の限界に挑んだ作品。4枚の壁が柱の役割を果たし、10m×10mのワンルームである。そのため移動・取替可能な「ムーブネット」と呼ばれる設備ユニットを設ける。

4.「原広司邸」は、緑豊かな斜面の敷地に計画された木造2階建て。敷地の斜面にあわせて玄関からバルコニーまで降りていくような建物中央部の吹抜けのある空間、トップライトから光が降り注ぐような空間で構成される。


〔H24 No.13〕商業建築の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.大規模なシティホテルの計画において、客室用のエレベーターの台数を120室に1台とした。
2.延べ面積50,000mm2の百貨店の計画において、売場面積(売場内の通路を含む。)を延べ面積の55%とした。
3.物品販売店舗の計画において、陳列棚の棚板の高さを、商品の取りやすさを考慮して、床面から70〜140cmとした。
4.20階建ての事務所ビルにおけるコンベンショナルゾーニング方式を採用した乗用エレベーターの計画において、1階を出発階とし、2階から10階行きと、11階から20階行きの二つにゾーニングした。
解答 4:エレベーターの計画は、ある程度高層になってくるとゾーニング(グループ分け)を行う。コンベンショナルゾーニング方式を採用した常用エレベーターにおいては、各ゾーンのサービスフロアの階数が10階前後になるようにし、乗り継ぎ階を設ける。設問では2階から10階までとしているので、例えば10階にいる利用者が12階に行きたい場合、一旦出発階である1階に降りなければならなくなる。例えば、1階を出発階として、2階から11階行きと、11階から20階行きの2つに分け、11階を乗り継ぎ階とするとスムーズな利用が可能になる。
1.事務所ビルの計画における乗用エレベーターの設置台数は、般に、ピーク時の値として出勤時の交通量をもとにシミュレーションを行い、5分間集中率を貸ビルでは在籍人数の10〜15%、自社ビルでは20〜25%として交通計算を行い、平均運転間隔を40秒以下とするのが望ましいとされている。ただし、交通計算を行わない場合(概算で)、200〜300人に1台とされる。
2.大・中規模の商業施設における売場面積比については、業態ごとの経験則からの目安を基準とする。一般的に、百貨店などでは延べ面積の50〜60%程度を売場面積(売場内通路含む)として計画する。
3.店舗において、商品の陳列棚の高さについては、成人にとって商品の「見やすさ」と「手に取りやすさ」を考慮して、床面から700~1,400mmとなるように計画する。
〔H24 No.14〕地域図書館(蔵書冊数約15万冊)の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.資料検索のための利用者開放端末(OPAC)については、来館者の利便性を考慮して、分散させずに館内の入口付近に集中配置した。
2.開架閲覧室の入口については、ブックディテクションシステム(BDS)を採用し、利用者が私物を自由に館内に持ち込むことができるようにした。
3.レファレンスカウンターについては、貸出・返却カウンターとは別に、開架書架群の近くに設けた。
4.開架閲覧室については、見通しをよくするためにワンルームとし、家具等を用いて利用対象者別やテーマ別に分節した。
解答 1:利用者開放端末(OPAC)は来館者が利用しやすいように分散設置し、それぞれの分野において資料検索がしやすいようにする。
2.BDS(ブックディテクションシステム)とは、貸出処理を行っていない資料を電波で感知し、持ち出しを防止するシステムのこと。通常、入り口付近で、カウンターから見える位置に設置する。このシステムの採用で、利用者は私物を自由に館内に持ち込むことができる。
3.レファレンスカウンター(ルーム)は、図書館において来館者の相談や、調査を受け、本や資料等を探す手伝いをする場所である。一般的に貸出・返却カウンターとは業務を分け、開架書架群の近くに設ける。
4.開架閲覧室(貸出室)における中央部には見通しを考慮し、家具や低書架を配置し、その周辺(壁際など)に高書架を配置することで利用対象者別やテーマ別に分節する計画が多い。
〔H24 No.15〕高齢者の居住・福祉に関する施設とその説明との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。

解答 2:選択肢2の説明は「介護療養型医療施設」の記述である。「シルバーハウジング」は「高齢者世話付き住宅」とも呼ばれ、高齢者世帯向けにバリアフリー化された公営の賃貸住宅である。ライフサポートアドバイザーが常駐し、居住者の日常生活の支援を行う。これにより高齢者が安全に快適に、また自立した生活を送ることを目的としている。この事業計画をシルバーハウジング・プロジェクトと呼び「深沢環境共生住宅(東京都)」は団地内に高齢者住宅サービスセンターなどを設置している。

世田谷区営深沢環境共生住宅(市浦ハウジングHPより)
1.「小規模多機能型居宅介護施設」は中重度の要介護者となっても、在宅での生活が継続できるように支援する、小規模な居住系サービスの施設。デイサービスを中心に訪問介護やショートステイを組み合わせ、在宅での生活の支援や、機能訓練を一つの事業者によって行う。利用人数は29人以下と小規模で、個室はその床面積を1室当たり7.43m2以上との規定がある。
3.「特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)」は、常時介護を必要とし、自宅では介護を受けることのできない高齢者を入所させる施設である。その居室の床面積は、入居者一人当たり、10.65m2以上とする。
4.「認知症高齢者グループホーム」は、介護を必要とする認知症の高齢者が、入浴や食事等の介護を受けながら共同生活を行う施設であり、「認知症対応型共同生活介護」ともよばれる。「ユニット」とは、複数の居室(個室)と居間、食堂、台所などで構成される生活空間のことで、1ユニットの人数は5人から9人程度が望ましいとされる。
〔H24 No.16〕子どもに関わる施設の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.小学校の体育館の計画において、災害時の避難所として利用できるように耐震性を十分に確保し、備蓄倉庫を隣接して設置した。
2.総合病院における小児病棟の計画において、入院する子どもたちの教育や学習の場として、院内学級のための教室を設置した。
3.保育所の計画において、定員15名の1歳児のほふく室の有効面積を30m2とした。
4.幼稚園の計画において、年少児用便所のブースの間仕切りの高さを、園児の安全の確認と指導のために1.2mとした。
解答 3:保育所のほふく室は、幼児一人当たり3.3m2の有効面積を確保する。そのため15名であれば49.5m2以上の有効面積が必要となる。また、保育室や遊戯室は幼児一人当たり1.98m2となるので、29.7m2以上が必要(30m2でよい)。
1.備蓄倉庫の基準は各自治体で異なってくるので、防災担当部局等と協議して設置する。例えば、神奈川県伊勢原市立伊勢原小学校では避難者用と児童用でそれぞれ分けて設置している。静岡県藤枝市立藤枝小学校では市の防災備蓄倉庫を校庭まとめて設置している。
2.院内学級とは、ケガや病気のため長期に入院しなければならない児童・生徒のために、病院内に設置された病弱・身体虚弱特別支援学級をいう。総合病院における小児病棟の計画において、入院する子どもたちの教育や学習の場として院内学級のための教室を設置することは望ましい。
4.保育所や幼稚園などにおける幼児用の便所のブースの仕切りや扉は、保育者が上から内部をのぞける高さとするため、100〜120cm程度とする。
〔H24 No.17〕建築計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.LDR病室の計画において、出産時に使用する無影灯について、使用しないときには天井に格納できるようにし、室内の仕上げや家具に木を使用することによって、暖かい家庭的な雰囲気とした。
2.事務所ビルの計画において、外壁面を緑化するため、植物の生育のための支持材や十分な土壌基盤を確保する工夫をした。
3.社員寮として使われていた建築物を、入居者同士が生活の独立性を保ちながら水まわりやリビングルームを共有するシェアハウスに改修した。
4.美術館の計画において、収蔵品に付着した害虫等による被害を最小限に抑えるため、燻蒸室を収蔵庫からできるだけ離れた位置に配置した。
解答 4:資料館や博物館の荷解室及び収蔵庫は、燻蒸室と隣接して配置する。導線が荷解→燻蒸→収蔵となるためである。

吹田市立図書館の燻蒸室(吹田市立図書館HPより)
1.「LDR(Labor Delivery Recovery)方式」は陣痛・分娩・回復を一室で行う方式である。出産時に使用する無影灯については、使用しないときには天井に格納できるようにし、室内の仕上げや家具に木を使用することによって、暖かい家庭的な雰囲気とする。

2.外壁面を緑化する方法には、下方から植物を登攀させて緑化する「登はん型の壁面緑化」、植物を垂れ下がらせて緑化する「下垂型の壁面緑化」、壁面に緑化用のコンテナや緑化パネルを取付ける「植栽基盤造成型の壁面緑化」などがあり、それらの支持材や十分な土壌基盤を確保する工夫する必要がある。
3.シェアハウス(シェアードハウス)とは、複数の居住者用の「個室」と、リビング・キッチン・シャーワールーム・トイレなどの「共有空間」とで構成される賃貸の集合住宅をいう。社員寮として使われていた建築物を、シェアハウスに改修する事例が近年増えている。
〔H24 No.18〕「建築士法第25条の規定に基づき、建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準」において、工事監理に関する標準業務として示されていないものは、次のうちどれか。
1.工事監理の着手に先立って、工事監理体制その他工事監理方針について建築主に説明する業務
2.工事と設計図書との照合及び確認を全て終えた後、工事監理報告書等を建築主に提出する業務
3.工事施工段階において、設計意図を正確に伝えるための質疑応答、説明等を建築主を通じて工事施工者に対して行う業務
4.設計図書の定めにより、工事施工者が作成し、提出する施工図(躯体図、工作図、製作図等)、製作見本、見本施工等が設計図書の内容に適合しているかについて検討し、建築主に報告する業務
〔H24 No.19〕鉄骨工事における建築積算に関する次の記述のうち、建築工事建築数量積算研究会「建築数量積算基準」に照らして、最も不適当なものはどれか。
1.鉄骨の所要数量を算出する場合、原則として、1か所当たり0.1m2以下のダクト孔等による鋼材の欠除については、ないものとみなす。
2.鉄骨の溶接の数量を算出する場合、原則として、溶接の種類に区分し、溶接断面形状ごとに長さを求め、すみ肉溶接脚長6mmに換算した延べ長さとする。
3.鉄骨部材の錆止め塗装の数量を算出する場合、原則として、鉄骨部材表面の面積とし、ボルト類、部材の切断小口及び部材の重なる部分の塗装の欠除については、鉄骨部材表面の面積の3%を減じて計算する。
4.ブレースの計測・計算は設計寸法によるが、支点間にわたるブレースの主材は、原則として、ターンバックル等による部材の欠除は計測の対象としない。
解答 3:鉄骨部材の錆止め塗装の数量を算出する場合は鉄骨部材表面の面積とし、「ボルト類、部材の切断小口及び部材の重なる部分の塗装の欠除」については、計測の対象としない。
1.コンクリート、型枠、鉄筋、鉄骨、間仕切下地、主仕上、石材等の数量の算出において、開口部、ダクト孔、配管等がある場合で、その開口部等は小さい場合、欠如はないものとする。
・一般:0.5m2以下
・鉄骨と石材:0.1m2以下
2.解説は設問まま。建築数量積算基準ページ20
4.解説は設問まま。建築数量積算基準ページ21
〔H24 No.20〕プロジェクトマネジメントに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.工事発注における施工分離発注方式は、一般に、建築工事と各種設備工事に分ける等、工事請負契約を工事種別ごとに行う方式である。
2.建築プロジェクトにおけるSPC(特定事業目的会社)は、複数の建設業者が特定のプロジェクトのために組織する共同企業体である。
3.工事発注におけるコストオン方式は、一般に、建築主が専門工事業者を選定し、工事費を決定したうえで、その工事費に元請の管理経費を加えて建築の元請会社に工事発注する方式である。
4.CM(Construction Management)方式は、一般に、技術的な中立を保ちつつ発注者の側に立つコンストラクションマネージャーが、設計・発注・施工の各段階において、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、コスト管理等の各種のマネジメント業務の全部又は一部を行うものである。
解答 2:「SPC(特定事業目的会社)」は、資金調達や利益配分のために設立される会社であり、不動産を証券化し、投資家から資金を調達する。設問の「複数の建設業者が特定のプロジェクトのために組織する共同企業体」は「JV(共同企業体)」に関する記述。
1.施工分離発注方式とは、建築工事と各種設備工事に分ける等、工事請負契約を工事種別ごとに行う方式である(設問文ママ)。例えば、施主の紹介で、型枠は〇〇組、コンリート打設は〇〇組、塗装は〇〇組とそれぞれに契約を結んで、監理は設計事務所に依頼するなど。コストを下げることができるが、スケジュール調整や監理の手間などが難しい。
3.「コストオン方式」は、一般に、建築主が専門工事業者を選定して工事費を決定したうえで、その工事費に元請の管理経費を加えて(上乗せ;コストオン)、建築の元請会社に工事を発注する方式である。「コスト+フィー方式(Cost plus fee)」とも言われる。
4.「CM(コンストラクション・マネジメント)」は、一般に、技術的な中立を保ちつつ発注者の側に立つコンストラクションマネージャーが、設計・発注・施工の各段階において、設計の検討や工事発注方式の検討、工程管理、品質管理、コスト管理等の各種のマネジメント業務の全部又は一部を行うもの。(設問文ママ)
1級建築士の学科対策
・イラストでわかる一級建築士用語集
・1級建築士 学科試験 要点チェック


