一級構造(鉄骨構造)

建築士過去問解説

一級建築士試験分野別まとめ
構造
鉄骨構造

一級建築士学科試験
2023年7月23日(日)

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一級建築士試験13年分
分野別まとめ

(平成20年度から令和02年度まで)

一級建築士
構造
鉄骨構造

〔R02 No.29〕鋼材等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.シャルピー衝撃試験の吸収エネルギーの大きい鋼材を使用することは、溶接部の脆弱破壊を防ぐために有利である。
2.建築構造用圧延鋼材SN490Bの引張強さの下限値は、490N/mm2である。
3.アルミニウム合金の線膨張係数は、炭素鋼の約1/2倍である。
4.ステンレス鋼は、炭素鋼に比べて、耐食性、耐火性に優れている。

解答 3:アルミニウム合金の線膨張係数は、炭素鋼の線膨張係数の約2倍であり、アルニウム部材の取り付けに当たっては十分な逃げしろが必要である。
(関連問題:平成29年1級学科4、No.29平成22年1級学科4、No.29)

〔R01 No.29〕鋼材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.建築構造用圧延鋼材(SN材)は、板厚が40mmを超えても、40mm以下の材と同じ基準強度が保証されている。
2.建築構造用圧延鋼材(SN材)C種は、B種の規定に加えて板厚方向の絞り値の下限が定められており、溶接加工時を含め板厚方向に大きな引張力が作用する角形鋼管柱の通しダイアフラム等に用いられている。
3.板厚が一定以上の建築構造用冷間ロール成形角形鋼管BCR295については、降伏比の上限値が定められている。
4.建築構造用ステンレス鋼材SUS304Aは、降伏点が明確ではないので、0.1%オフセット耐力をもとに基準強度が定められている。

解答 1:構造用鋼材は、板厚によってその許容応力度が変わってくる。
構造用鋼材の許容応力度は、以下のように定められる(建築基準法施行令第90条)。このFの値は40mmを基準として板厚によって定められている。圧縮により伸ばす鋼材は、その厚みが薄いほど組織が緻密になり、降伏点が上昇する。
(関連問題:平成22年1級学科4、No.29、平成14年1級、平成09年1級)

〔H30 No.29〕鋼材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.鋼材は、一般に、炭素含有量が多くなるほど、破断に至るまでの伸びが小さくなる。
2.建築構造用低降伏点鋼材LY225は、一般構造用圧延鋼材SS400 に比べて降伏点が低く、延性が高いことから、履歴型制振ダンパーの材料に用いられている。
3.降伏点350 N/mm2、引張強さ490N/mm2である鋼材の降伏比は、1.4である。
4.建築構造用圧延鋼材SN490B(板厚12mm以上)は、「降伏点又は耐力」の上限値及び下限値が規定されている。

解答 3:「降伏比」は、降伏した後の破断に至るまでの余裕を示す。この降伏比の小さい鋼材を用いた鉄骨部材は、塑性変形能力が大きく、粘り強い。
降伏比は、以下の式で求めることができる。

降伏比 = 降伏点 / 引張強さ


設問から、

降伏比 = 350 / 490 = 0.71


となるので、設問3の「1.4」は誤りである。

 

 

〔H29 No.29〕金属材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.板厚40mm以下の建築構造用圧延鋼材SN400Bにおいて、基準強度F及び短期許容引張応力度は、235N/mm2である。
2.熱間圧延鋼材の強度は、圧延方向に比べて、板厚方向のほうが小さい傾向がある。
3.シャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが小さい鋼材を使用することは、溶接部の脆性的破壊の防止に有効である。
4.アルミニウムの線膨張係数は、鉄の約2倍である。

解答 3:「シャルピー衝撃試験」とは、種々の形状の切り欠きを持つ試験片を振子型ハンマーの衝撃力で破断し、吸収エネルギーの大きさで、材料のじん性を判定するもの。シャルピー衝撃値が小さくなると、脆弱破壊を起こしやすくなる。
(関連問題:平成26年1級学科4、No.29平成20年1級学科3、No.25)

〔H28 No.29〕鋼材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.建築構造用TMCP鋼は、化学成分の調整と水冷型熱加工制御法により製造され、板厚が40mmを超え100mm以下の材であっても、40mm以下の材と同じ基準強度が保証されている。
2.SN材C種は、B種の規定に加えて板厚方向の絞り値の下限が規定されており、溶接加工時を含め板厚方向に大きな引張応力が発生する角形鋼管柱の通しダイアフラム等に用いられている。
3.SN490B材は、SS400材に比べて、降伏点、引張強さ、ヤング係数のいずれも大きい。
4.ステンレス鋼は、約11%以上のクロムを含む合金鋼であり、炭素鋼に比べて、耐食性、耐火性等に優れている。

解答 3:鋼材のヤング係数は、引っ張り強さに関係なく、205,000 N/mm2で一定である。

〔H27 No.29〕鋼材及び高力ボルトに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.建築構造用圧延鋼材SN490Bの引張強さの下限値は、490N/mm2である。
2.鉄筋コンクリート用棒鋼SD345の降伏点又は耐力の下限値は、345N/mm2である。
3.降伏点240N/mm2、引張強さ400N/mm2である鋼材の降伏比は、0.6である。
4.高力ボルトF10Tのせん断強さの下限値は、1,000N/mm2である。

解答 4:高力ボルトには引張り強さの下限値と上限値が定められているが、せん断強さの既定値はない。また高力ボルトF10Tの引張り強さの下限値は1,000N/mm2で、上限値は1,200N/mm2である。(JIS B 1186 表2)

 

 

〔H26 No.29〕鋼材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.降伏比の小さい鋼材を用いた鉄骨部材は、一般に、塑性変形能力が小さい。
2.シャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが大きい鋼材を使用することは、溶接部のぜい性的破壊を防ぐために有利である。
3.鋼材は、一般に、炭素含有量が多くなるほど、破断に至るまでの伸びが小さくなる。
4.焼入れされた鋼材は、一般に、強度・硬度は増大するが、じんせいは低下する。

解答 1:「降伏比」は、降伏した後の破断に至るまでの余裕を示す。この降伏比の小さい鋼材を用いた鉄骨部材は、塑性変形能力が大きく、粘り強い。
(関連問題:平成27年1級学科4、No.17平成21年1級学科4、No.16平成20年1級学科3、No.17)

〔H25 No.29〕建築構造用鋼材に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.熱間圧延鋼材の強度は、圧延方向 (L方向)や圧延方向に直角な方向 (C方向)に比べ、板厚方向(Z方向)は小さい傾向がある。
2.建築構造用圧延鋼材(SN材)には、A、B、Cの三つの鋼種があるが、いずれもシャルピー吸収エネルギーの規定値がある。
3.(一社)日本鉄鋼連盟製品規定「建築構造用冷間ロール成形角形鋼管」に適合するBCR295材の降伏点又は耐力の下限値は、295N/mm2である。
4.建築構造用ステンレス鋼材SUS304Aは、降伏点が明確ではないので、0.1%オフセット耐力を基に基準強度を定めている。

解答 2:「シャルピー衝撃試験」とは、種々の形状の切り欠きを持つ試験片を振子型ハンマーの衝撃力で破断し、吸収エネルギーの大きさで、材料のじん性を判定するもの。シャルピー衝撃値が小さくなると、脆弱破壊を起こしやすくなる。建築構造用圧延鋼材(SN材)において、A種にはシャルピー吸収エネルギーの規定値はない
(関連問題:平成26年1級学科4、No.29平成20年1級学科3、No.25)

〔H24 No.29〕建築構造用の金属材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.炭素鋼、ステンレス鋼(SUS304材)、アルミニウム合金の線膨張係数の大小関係は、炭素鋼>ステンレス鋼>アルミニウム合金である。
2.調質鋼は、製造工程において焼入れ焼戻しの熱処理を行った鋼材である。
3.鋼材を板厚の3倍程度の曲げ半径で、冷間曲げ加工を行うと、強度が上昇し、変形性能が素材と比較し低下する。
4.炭素鋼は、硫黄の含有量が少ないほど、シャルピー吸収エネルギー及び板厚方向の絞り値は大きくなる。

解答 1:線膨張係数とは、「温度上昇によって物体の長さや体積が膨張する割合を温度あたりで示したもの」である。
  炭素鋼は、     1.00×10-5(1/℃)
  鉄筋は、                  1.00×10-5(1/℃)
  コンクリートは、      1.00×10-5(1/℃)
  ステンレス鋼は、  1.73×10-5(1/℃)
  アルミニウム合金は、2.35×10-5(1/℃)
よって線膨張係数の大小関係は、「炭素鋼<ステンレス鋼<アルミニウム合金」となる。
(関連問題:平成29年1級学科4、No.29平成25年1級学科4、No.28平成22年1級学科4、No.28、平成17年1級学科3、平成14年1級学科3、平成11年1級学科3、平成09年1級学科3、平成29年2級学科3、No.22平成23年2級学科3、No.21平成21年2級学科3、No.23)

 

 

〔H23 No.29〕金属材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.アルミニウム合金材の梁の接合に用いる高力ボルトは、一般に、接触腐食の起こらないように溶融亜鉛めっき高力ボルトを用いる。
2.建築構造用ステンレス鋼材に定めるSUS304Aの基準強度は、板厚が40mm以下のSN400Bと同じである。
3.炭素鋼のシャルピー衝撃試験において、試験温度を低くしていき、ある温度以下になると吸収エネルギーが急激に低下し、ぜい性破壊を起こしやすくなる。
4.リン(P)や硫黄(S)は、鋼材や溶接部のじんせいを改善するために添加される元素であり、多いほうが望ましい。

解答 4:化学成分のリン(P)は溶接性や衝撃特性を著しく阻害し、硫黄(S)は衝撃特性を低下させるため、有害な不純物とされている。このため、これらの不純物は鋼材の靭性に悪影響を与える。(鉄骨工事技術指針・工場製作編)
(関連問題:平成24年1級学科4、No.29平成21年1級学科4、No.29)

〔H22 No.29〕金属材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.アルミニウム合金の線膨張係数は、鋼の線膨張係数の約2倍であり、アルニウム部材の取り付けに当たっては十分な逃げしろが必要である。
2.ステンレス鋼SUS304 は、他のステンレス鋼に比べて、構造骨組とするために不可欠な溶接性に優れている。
3.低降伏点鋼は、添加元素を極力低減した純鉄に近い鋼であり、軟鋼に比べて強度が低く、延性が極めて高いので、履歴型制振ダンパーとして利用されている。
4.同じ鋼塊から圧延された鋼材の降伏点は、一般に、「板厚の薄いもの」より「板厚の厚いもの」のほうが高くなる。

解答 4:構造用鋼材は、板厚によってその許容応力度が変わってくる。
構造用鋼材の許容応力度は、以下のように定められる(建築基準法施行令第90条)。このFの値は40mmを基準として板厚によって定められている。圧縮により伸ばす鋼材は、その厚みが薄いほど組織が緻密になり、降伏点が上昇する。
(関連問題:令和元年1級学科4、No.29、平成14年1級、平成09年1級)

〔H21 No.29〕金属材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.鋼材に含まれる化学成分におけるP(リン)やS(硫黄)は、一般に、鋼材のじんせいに悪影響を与える。
2.建築構造用ステンレス鋼(SUS304)のヤング係数は、アルミニウム合金に比べて小さい。
3.建築構造用耐火鋼(FR鋼)は、高温時の耐火性に優れており、600℃における降伏点が常温規格値の2/3以上あることを保証した鋼材である。
4.SN490B(板厚12mm以上)は、引張強さの下限値が490N/m2であり、「降伏点又は耐力」の上限値及び下限値が定められている。

解答 2:「ヤング係数」とは、材料の固さを表す指標の1つで、ヤング係数が大きければ部材は固く、小さければ部材は柔らかい。SUS304のヤング係数は1.93×105N/mm2で、アルミニウムは0.68×105N/mm2なので、SUS304のヤング係数の方が大きい。

 

 

〔H20 No.25〕金属材料に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.アルミニウム合金のヤング係数は、鋼材の1/3程度である。
2.(社)日本鉄鋼連盟製品規定「建築構造用冷間プレス成形角形鋼管」に適合するBCP235材の降伏点又は耐力の下限値は、235N/m2である。
3.建築構造用TMCP鋼は、同じ降伏点のSN材やSM材に比べて炭素当量が低減されているので、溶接性が向上している。
4.シャルピー衝撃試験の吸収エネルギーが大きい鋼材を使用することは、溶接部のぜい性的破壊を防ぐのに効果がある。
5.ステンレス鋼(SUS304)は、炭素鋼に比べて、耐食性に優れているが、耐低温性、耐火性は劣っている。

解答 5:ステンレス鋼(SUS304)とは、約11%以上のクロムを含む合金鋼のことをいう。炭素鋼に比べて、耐食性、耐低温性、耐火性に優れている。広範な分野に活用され、建築物の構造部材として用いられるのは、USU304、SUS316などがある。(建築物の構造関係技術基準解説書、ステンレス建築構造設計規準)
(関連問題:平成28年1級学科4、No.29、平成12年1級学科3)

〔R02 No.15〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.横移動が拘束されていないラーメン架構において、柱材の座屈長さは、梁の剛性を高めても節点間距離より小さくすることはできない。
2.有効細長比λが小さい筋かい(λ=20程度)は、中程度の筋かい(λ=80程度)に比べて塑性変形能力が低い。
3.柱材を建築構造用圧延鋼材SN400Bから同一断面のSN490Bに変更しても、細長比がSN400Bの限界細長比以上であれば、許容圧縮応力度は変わらない。
4.梁の塑性変形性能は、使用する鋼材の降伏比が小さいほど、向上する。

解答 2:構造特性係数を算出するための筋かいの種別は、BA、BB、BCの3つの種別がある。有効細長比が小さい筋かい(λ=20程度)の場合はBAで最も塑性変形能力が高い。

昭和55年告示第1792号第3第一号表


(関連問題:平成22年1級学科4、No.16)

〔R02 No.16〕鉄筋構造において使用する高力ボルトに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.山形鋼を用いた筋かいを、材軸方向に配置された一列の高力ボルトによりガセットプレートに接合する場合、筋かい材の有効断面積は、一般に、高力ボルトの本数が多くなるほど大きくなる。
2.高力ボルト摩擦接合部において、一般に、すべり耐力以下の繰り返し応力であれば、ボルト張力の低下や摩擦面の状態の変化を考慮する必要はない。
3.高力ボルト摩擦接合は、すべりが生じるまでは、高力ボルトにせん断力は生じない。
4.高力ボルト摩擦接合のすべりに対する許容耐力の算定において、二面摩擦接合のすべり係数は、一面摩擦接合の2倍となる。

解答 4:高力摩擦ボルト接合の高力ボルト1本あたりの長期許容せん断力は以下の式で求められる。

(摩擦面の数×すべり係数×設計ボルト張力)/安全率

このうち、「すべり係数」は定数で、摩擦面の数によらず「0.45」である。(溶融亜鉛めっきの場合は0.40)

 

 

〔R02 No.17〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.引張力を負担する筋かいを保有耐力接合とするためには、筋かい軸部の降伏耐力より、筋かい端部及び接合部の破断耐力を大きくする必要がある。
2.H形鋼等の開断面の梁が曲げを受けたとき、ねじれを伴って圧縮側のフランジが面外に出して座屈する現象を横座屈という。
3.ラーメン架構の柱及び梁に、建築構造用圧延鋼材SN400Bを用いる代わりに同一断面のSN490Bを用いることで、弾性変形を小さくすることができる。
4.H形鋼の梁の設計において、板要素の幅厚比を小さくすると、局部座屈が生じにくくなる。

解答 3:ラーメン構造の弾性変形(たわみ)はヤング係数に反比例するが、SN400材とSN490材のヤング係数は同じである。このため同一断面材を用いるとき、SN400材の代わりにSN490材を用いても、弾性変形を小さくすることはできない。
(関連問題:平成27年1級学科4、No.17平成26年1級学科4、No.30平成20年1級学科3、No.16)

〔R02 No.18〕鉄骨構造の耐震計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.「ルート1-1」で計算する場合であっても、特定天井がある場合は、特定天井に関する技術基準に適合することを確かめる必要がある。
2.「ルート1-2」で、厚さ6mm以上の冷間成形角形鋼管を用いた柱を設計する場合、地震時応力の割増し係数は、建築構造用冷間ロール成形角形鋼管BCRより、建築構造用冷間プレス成形角形鋼管BCPの方が大きい。
3.「ルート2」で計算する場合、地上部分の塔状比が4を超えないことを確かめる必要がある。
4.「ルート3」で、建築構造用冷間プレス成形角形鋼管BCPの柱が局部崩壊メカニズムと判定された場合、柱の耐力を低減して算定した保有水平耐力が、必要保有水平耐力耐力以上であることを確認する必要がある。

解答 2:「ルート1-1」および「ルート1-2」の計算に加え、厚さ6mm以上の冷間成形角形鋼管の柱を対象とした計算方法が規定されている。以下のように、柱梁接合形式と鋼管の種類により割増係数が定められている。
・内ダイアフラム形式の場合
 +STKR(JIS G 3466一般構造用角形鋼管):1.3
 +STKRを除くロール成形角形鋼管(BCR):1.2
 +STKRを除くプレス成形角形鋼管(BCP):1.1
・内ダイアフラム形式以外の場合
 +STKR(JIS G 3466一般構造用角形鋼管):1.4
 +STKRを除くロール成形角形鋼管(BCR):1.3
 +STKRを除くプレス成形角形鋼管(BCP):1.2
以上に示したように地震時応力の割増し係数は、いずれの形式においても、ロール成形角形鋼管の方が、プレス成形角形鋼管よりも大きい。

〔R01 No.16〕鉄骨構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.柱の許容圧縮応力度の算定に用いる限界細長比は、基準強度F値が大きいほど大きくなる。
2.骨組の塑性変形能力を確保するために定められている柱及び梁の幅厚比の上限値は、基準強度F値が大きいほど小さくなる。
3.骨組の塑性変形能力を確保するために定められているH形鋼(炭素鋼)の梁の幅厚比の上限値は、フランジよりウェブのほうが大きい。
4.大地震時に、筋かい(炭素鋼)に必要な塑性変形能力を発揮させるために、筋かい端部及び接合部の破断耐力は、筋かい軸部の降伏耐力の1.2倍以上とする。

解答 1:「限界細長比」とは、材料が弾性限度内でいられる限界の細長比のことで、次式で表される。

A=√(π2E/0.6F)
E:ヤング係数、F:鋼材の基準強度

これにより、柱の限界細長比は、基準強度Fが大きいほど小さくなる。
(関連問題:平成27年1級学科4、No.16平成24年1級学科4、No.15)

 

 

〔R01 No.15〕鉄骨構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.床面の水平せん断力を伝達するために、小梁と水平ブレースによりトラス構造を形成する場合、小梁は軸方向力も受ける部材として検討する必要がある。
2.角形鋼管を用いて柱を設計する場合、横座屈を生じるがないので、許容曲げ応力度を許容引張応力度と同じ値とすることができる。
3.H形鋼を用いた梁に均等間隔で横補剛材を設置して保有耐力横補剛とする場合において、梁を建築構造用圧延鋼材SN400Bから同一断面の建築構造用圧延鋼材SN490Bに変更することにより、横補剛の数を減らすことができる。
4.圧縮材の中間支点の横補剛材は、許容応力度設計による場合、圧縮材に作用する圧縮力の2%以上の集中力が加わるものとして設計する。

解答 3:「横補剛」は、①全梁において等間隔に設置する、又は②梁の端部に近い部分を主として設置することによって、横座屈を制御する最も効果的な方法である。強度が大きい部材には、より大きな応力が生じるため、より多くの補強が必要となる。このため、SN400B材よりもSN490B材の方が強度が大きいので、設置する横補剛の必要箇所数は多くなる。(建築物の構造関係技術基準解説書)
(関連問題:平成30年1級学科4、No.16平成29年1級学科4、No.15平成28年1級学科4、No.17平成26年1級学科4、No.17平成25年1級学科4、No.19平成24年1級学科4、No.18平成22年1級学科4、No.15)

〔H30 No.16〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.骨組の塑性変形能力を確保するために定められているH形鋼の柱及び梁の幅厚比の上限値は、フランジよりウェブのほうが大きい。
2.柱及び梁に使用する鋼材の幅厚比の上限値は、建築構造用圧延鋼材SN400Bより建築構造用圧延鋼材SN490Bのほうが大きい。
3.梁の横座屈を防止するための横補剛材は、強度だけではなく、十分な剛性を有する必要がある。
4.梁の横座屈を防止するための横補剛には、「梁全長にわたって均等間隔で横補剛する方法」、「主として梁端部に近い部分を横補剛する方法」等がある。

解答 2:骨組の塑性変形能力を確保するために定められている柱及び梁の「幅厚比の上限値」は、材料の基準強度が大きいほど小さくなる。SN400BよりもSN490Bの方が基準強度が大きいので、「幅厚比の上限値」は、SN400BよりSN490Bのほうが小さい。 (鋼構造設計規準)
(関連問題:平成27年1級学科4、No.16平成24年1級学科4、No.15)

〔H29 No.15〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.引張力を負担する筋かいを保有耐力接合とするために、筋かい端部及び接合部の破断耐力より、筋かいの軸部の降伏耐力のほうが大きくなるように設計した。
2.溝形鋼を用いた筋かいの設計において、接合部のボルト本数に応じた突出脚の無効長さを考慮して、部材の断面積を低減した。
3.横移動が拘束された両端ピン接合の柱材において、節点間距離を柱材の座屈長さとした。
4.平面計画上、梁の横座屈を防止するための横補剛を梁の全長にわたって均等間隔に設けることができなかったので、梁の端部に近い部分を主として横補剛する方法を採用した。

解答 1:筋かいにおいて、軸部が引張降伏点に達した後、破断点に到るまでの塑性変形によって地震エネルギーを吸収する必要がある。そのため、端部及び接合部の破断耐力は、軸部の降伏耐力よりも大きく(1.2倍以上)する必要がある。
(関連問題:令和元年1級学科4、No.16平成25年1級学科4、No.19平成21年1級学科4、No.18)

 

 

〔H28 No.17〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.H形鋼を用いた梁に均等間隔で横補剛材を設置して保有耐力横補剛とする場合において、梁をSN400B材から同一断面のSN490B材に変更したので、横補剛の数を減らした。
2.両端がピン接合のH形断面圧縮材の許容応力度を、弱軸回りの断面二次半径を用いて計算した。
3.曲げ剛性に余裕のあるラーメン構造の梁において、梁せいを小さくするために、SN400B材の代わりにSN490B材を用いた。
4.H形断面梁の設計において、フランジの局部座屈を生じにくくするため、フランジの幅厚比を小さくした。

解答 1:「横補剛」は、①全梁において等間隔に設置する、又は②梁の端部に近い部分を主として設置することによって、横座屈を制御する最も効果的な方法である。強度が大きい部材には、より大きな応力が生じるため、より多くの補強が必要となる。このため、SN400B材よりもSN490B材の方が強度が大きいので、設置する横補剛の必要箇所数は多くなる。
(関連問題:令和元年1級学科4、No.15平成30年1級学科4、No.16平成29年1級学科4、No.15平成26年1級学科4、No.17平成25年1級学科4、No.19平成24年1級学科4、No.18平成22年1級学科4、No.15)

〔H27 No.15〕鉄骨構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.柱にH形断面材を用いる場合、強軸方向をラーメン構造、弱軸方向をブレース構造とすることが多い。
2.大梁にH形断面材を用いる場合、梁端部のフランジに水平ハンチを設けることにより、梁端接合部に作用する応力度を減らすことができる。
3.床面の水平せん断力を伝達するために小梁と水平ブレースによりトラス構造を形成する場合、小梁は、軸力を受ける部材として検討する必要がある。
4.ベースプレートの四周にアンカーボルトを用いた露出柱脚とする場合、曲げモーメントは生じないものとし、軸力及びせん断力に対して柱脚を設計する。

解答 4:露出柱脚の回転剛性は、一般に、半剛接として算定する。軸方向力及び曲げモーメントはベースプレートとアンカーボルトを介して基礎に伝達されるように設計し、せん断力はベースプレート下面とモルタルまたはコンクリートとの摩擦力、またはアンカーボルトの抵抗力により伝達されるように設計する。(建築物の構造関係技術基準解説書)

〔H27 No.16〕鉄骨構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.骨組の塑性変形能力を確保するために定められている柱及び梁の幅厚比の上限値は、基準強度が大きいほど大きくなる。
2.骨組の塑性変形能力を確保するために定められているH形鋼(炭素鋼)の梁の幅厚比の上限値は、フランジよりウェブのほうが大きい。
3.柱の限界細長比は、基準強度が大きいほど小さくなる。
4.鋼材の許容圧縮応力度は、材端の支持条件により、異なる値となる。

解答 1:骨組の塑性変形能力を確保するために定められている柱及び梁の「幅厚比の上限値」は、材料の基準強度が大きいほど小さくなる。例えば建築構造用圧延鋼材のSN400BよりもSN490Bの方が基準強度が大きいので、「幅厚比の上限値」は、SN400BよりSN490Bのほうが小さい。 (鋼構造設計規準)
(関連問題:平成30年1級学科4、No.16平成24年1級学科4、No.15)

 

 

〔H27 No.17〕鉄骨構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.トラスの弦材の座屈長さは、精算によらない場合、構面内座屈に対しては節点間距離とし、構面外座屈に対しては横方向に補剛された支点間距離とする。
2.圧縮材の中間支点の横補剛材は、許容応力度設計による場合、圧縮材に作用する圧縮力の2%以上の集中力が加わるものとして設計することができる。
3.ラーメン架構の柱及び梁に、SN400材を用いる代わりに同一断面のSN490材を用いることで、弾性変形を小さくすることができる。
4.ラーメン架構のじんせいを高めるために、降伏比の小さい鋼材を用いることは有効である。

解答 3:ラーメン構造の弾性変形(たわみ)はヤング係数に反比例するが、SN400材とSN490材のヤング係数は同じである。このため同一断面材を用いるとき、SN400材の代わりにSN490材を用いても、弾性変形を小さくすることはできない。
(関連問題:平成26年1級学科4、No.30平成20年1級学科3、No.16)

〔H26 No.17〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.梁に使用する材料をSN400BからSN490Bに変更したので、幅厚比の制限値を大きくした。
2.H形鋼の梁の横座屈を抑制するため、圧縮側のフランジの横変位を拘束できるように横補剛材を取り付けた。
3.角形鋼管を用いて柱を設計する場合、横座屈を生じるがないので、許容曲げ応力度を許容引張応力度と同じ値とした。
4.横移動が拘束されているラーメン架構において、柱材の座屈長さを節点間距離と等しくした。

解答 1:柱・梁の「幅厚比の制限」は、断面形状に関わらず、「材料の基準強度(F)」に反比例する。この時、下の表から、SN400とSN490では、SN490の方が基準強度が大きくなるので、幅厚比の制限値は小さくなる。(関連問題:平成21年1級学科4、No.16)

〔H25 No.16〕鉄骨構造の接合部に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.F10Tの高力ボルト摩擦接合において、2面摩擦接合2本締めの許容せん断耐力を、同一径の1面摩擦接合4本締めの場合と同じ値とした。
2.柱梁接合部のH形断面梁端部フランジの溶接接合において、変形性能の向上を期待して、梁のウェブにスカラップを設けないノンスカラップ工法を用いた。
3.箱形断面の柱にH形鋼の梁を剛接合するために、梁のフランジは突合せ溶接とし、ウェブは隅肉溶接とした。
4.隅肉溶接継目の断面に対する短期許容応力度は、接合される鋼材の溶接部の基準強度Fに等しい値とした。

解答 4:隅肉溶接継目の断面に対する短期許容応力度は、溶接部の基準強度をFとすると次の通りである。
短期許容応力度 = 長期許容応力度 × 1.5
                      = F/(1.5√3) × 1.5
                      = F/√3
したがって隅肉溶接継目の断面に対する短期許容応力度は、溶接部の基準強度Fの1/√3 倍である。(建築基準法施行令第92条表)
(関連問題:平成20年1級学科3、No.18)

 

 

〔H25 No.19〕鉄骨構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.梁の弱軸まわりの細長比が200で、梁の全長にわたって均等間隔で横補剛を設ける場合、梁の鋼種がSN400BよりSN490Bのほうが横補剛の必要箇所は少なくなる。
2.引張力を負担する筋かいを保有耐力接合とするためには、筋かいの軸部の降伏耐力より、筋かい端部及び接合部の破断耐力を大きくする必要がある。
3.隅肉溶接部の有効面積は、「溶接の有効長さ」×「有効のど厚」により求める。
4.圧縮力と曲げモーメントを同時に受ける柱の断面は、「平均圧縮応力度σcを許容圧縮応力度fcで除した値」と「圧縮側曲げ応力度cσbを許容曲げ応力度fbで除した値」との和が1以下であることを確かめる必要がある。

解答 1:「横補剛」は、①全梁において等間隔に設置する、又は②梁の端部に近い部分を主として設置することによって、横座屈を制御する最も効果的な方法である。強度が大きい部材には、より大きな応力が生じるため、より多くの補強が必要となる。このため、SN400B材よりもSN490B材の方が強度が大きいので、設置する横補剛の必要箇所数は多くなる。
(関連問題:令和元年1級学科4、No.15平成30年1級学科4、No.16平成29年1級学科4、No.15平成28年1級学科4、No.17平成26年1級学科4、No.17平成24年1級学科4、No.18平成22年1級学科4、No.15)

〔H24 No.15〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.柱及び梁の種別をFAとするための幅厚比の上限値は、基準強度Fが大きいほど小さくなる。
2.柱の限界細長比は、基準強度Fが大きいほど小さくなる。
3.組立圧縮材の充腹でない軸(強軸)についての座屈耐力は、全断面が一体になって働くので、単一圧縮材と同じである。
4.H形断面の梁に設ける横補剛材は、強度だけでなく十分な剛性を有している必要がある。

解答 3:組立圧縮材の充腹でない軸についての座屈荷重は、組立圧縮材としてのせん断変形の影響で、両弦材が一体になって働く場合より小さくなる。(鋼構造設計規準)

〔H24 No.16〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.多数回の繰返し応力を受ける梁フランジ継手の基準疲労強さは、高力ボルト摩擦接合部より完全溶込み(突合せ)溶接継手のほうが大きいので、梁フランジの継手を完全溶込み溶接とした。
2.柱の継手部分において、断面内に引張応力が生じていなかったので、柱の端面を削り仕上げとし、密着する構造として、その部分の圧縮力及び曲げモーメントの1/4を接触面から伝えるものとした。
3.露出形式柱脚において、許容応力度計算を行わなかったので、アンカーボルト孔の径を、アンカーボルトの径に5mmを加えた大きさとした。
4.一つの継手に高力ボルト摩擦接合と溶接接合とを併用する場合、高力ボルトの締め付けを溶接に先立って行うことにより、両方の許容耐力を加算した。

解答 1:「繰返し応力を受ける継手」における基準疲労強さは、
高力ボルト摩擦接合部が、140 N/mm2
完全溶込み溶接(平行方向)が、125 N/mm2
完全溶込み溶接(垂直方向)が、100 N/mm2
となるので、高力ボルト摩擦接合部の方が大きい。(鋼構造設計規準)

 

 

〔H23 No.15〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.H形鋼の柱において、フランジの局部座屈を防ぐため、フランジ厚を薄くし、フランジ幅を広げた。
2.H形断面の梁の許容曲げ応力度を、鋼材の基準強度、断面寸法、曲げモーメントの分布及び圧縮フランジの支点間距離を用いて計算した。
3.圧縮力を負担する構造耐力上主要な柱の有効細長比を、200以下とした。
4.H形鋼の梁の横座屈を抑制するため、梁の弱軸まわりの細長比を小さくした。

解答 1:じん性を高めるためには、「幅厚比(幅/厚さ)」の小さな部材を用いる。幅厚比の規定は「局部座屈」を防止するために設けられたものであり、この幅厚比が大きいと圧縮応力を受ける部分に局部座屈が生じ、部材断面の耐力が低下して必要な塑性変形能力が得られなくなる。フランジの局部座屈を防ぐためには、フランジ厚を大きく、フランジ幅を小さくする。(建築物の構造関係技術基準解説書)
(関連問題:平成28年1級学科4、No.17平成25年1級学科4、No.16令和元年2級学科3、No.16平成27年2級学科3、No.16平成26年2級学科3、No.16平成25年2級学科3、No.18平成24年2級学科3、No.16平成23年2級学科3、No.17平成22年2級学科3、No.17平成21年2級学科3、No.17平成20年2級学科3、No.16)

〔H22 No.15〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.箱形断面柱の許容曲げ応力度は、鋼材の許容引張応力度と同じである。
2.圧縮材の許容圧縮応力度は、鋼材及び部材の座屈長さが同じ場合、座屈軸回りの断面二次半径が小さいほど大きくなる。
3.SN490材において、C種は、B種に比べて板厚方向に作用する引張力に対する性能が高められているので、角形鋼管柱の通しダイアフラム等のような板厚方向に大きな引張力を受ける部位への使用が有効である。
4.H形断面梁の変形能力の確保において、梁の長さ、断面の形状・寸法が同じであれば、等間隔に設置する横補剛の必要箇所数は、梁材が「SN490材の場合」より「SS400材の場合」のほうが少ない。

解答 2:圧縮材の座屈軸回りの断面二次半径が小さいほど、細長比は大きくなる。形状が細長い(細長比が大きい)ほど、許容圧縮応力度は小さくなる。(鋼構造設計規準)
(関連問題:平成29年1級学科4、No.25平成25年2級学科3、No.16平成21年2級学科3、No.17)

〔H21 No.16〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.柱・梁に使用する材料をSN400BからSN490Bに変更したので、幅厚比の制限値を大きくした。
2.軸方向力と曲げモーメントが作用する露出型柱脚の設計においてベースプレートの大きさを断面寸法とする鉄筋コンクリート柱と仮定して、引張側アンカーボルトを鉄筋とみなして許容応力度設計を行った。
3.H型断面の梁において、横座を屈生じないようにするために、この梁に直交する小梁の本数を増やした。
4.骨組のじんせいを高めるため、塑性化が予想される部位に降伏比の小さい材料を使用した。

解答 1:柱・梁の「幅厚比の制限」は、断面形状に関わらず、「材料の基準強度(F)」に反比例する。この時、下の表から、SN400とSN490では、SN490の方が基準強度が大きくなるので、幅厚比の制限値は小さくなる。(関連問題:平成26年1級学科4、No.17)

 

 

〔H21 No.17〕図は鋼板の突合せ溶接(完全溶込み溶接)を模式的に表したものである。次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

l.図の溶接金属は、溶接材料から溶接部に移行した溶着金属と溶接部の中で母材が溶融した部分からなる。
2.図の(a)の部分は、熱影響部といい、溶接などの熱で組織、きん的性質、機械的性質などが変化を生じた、溶融していない母材の部分である。
3.図に示した方法の溶接部の許容引張応力度は、鋼種に応じた溶接材料を用いた場合、母材の許容引張応力度と同じとすることができる。
4.図の溶接方法のJISにおける記号表示は、のように表される。

解答 4:溶接記号表示は、矢印・基線・尾の三線からなり、開先形状は基線に記入する。U字突合せ溶接は以下の通り。設問は隅肉溶接の溶接記号である。

U字突合せ溶接

〔H29 No.16〕鉄骨構造の柱脚の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.露出形式柱脚に使用する「伸び能力のあるアンカーボルト」には、「建築構造用転造ねじアンカーボルト」等があり、軸部の全断面が十分に塑性変形するまでねじ部が破断しない性能がある。
2.一般的な根巻形式柱脚における鉄骨柱の曲げモーメントは、根巻鉄筋コンクリート頂部で最大となり、ベースプレートに向かって小さくなるので、根巻鉄筋コンクリートより上部の鉄骨柱に作用するせん断力よりも、根巻鉄筋コンクリート部に作用するせん断力のほうが大きくなる。
3.根巻形式柱脚において、柱脚の応力を基礎に伝達するための剛性と耐力を確保するために、根巻鉄筋コンクリートの高さが鉄骨柱せいの2.5倍以上となるように設計する。
4.埋込形式柱脚において、鉄骨柱の剛性は、一般に、基礎コンクリート上端の位置で固定されたものとして算定する。

解答 4:埋込み式柱脚の鉄骨柱の剛性は、一般に、基礎コンクリート上端から柱の断面せいの1.5倍下がった位置を固定として算定する。

〔H28 No.16〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.高力ボルト接合となる梁の継手部分に、F10Tの代わりにF14T級の超高力ボルト(遅れ破壊の主原因となる水素に対する抵抗力を高めた高力ボルト)を用いることで、ボルト本数を減らし、スプライスプレートを小さくした。
2.高力ボルト摩擦接合の二面せん断の短期許容せん断応力度を、高力ボルトの基準張力T0(単位N/mm2)とした。
3.露出形式柱脚において、ベースプレートの変形を抑えるために、ベースプレートの厚さをアンカーボルトの径の1.3倍とした。
4.埋込形式柱脚において、鉄骨柱の応力は、コンクリートに埋め込まれた部分の上部と下部の支圧により、基礎に伝達する設計とした。

解答 2:高力ボルト摩擦接合部の高力ボルトの軸断面に対する許容せん断応力度は、下の表の数値による。
よって二面せん断の短期許容せん断力は、

0.6T0 × 1.5 = 0.9T0

となる。(建築基準法施行令92条の2)
 (関連問題:平成30年1級学科4、No.17平成25年1級学科4、No.17)

 

 

〔H26 No.15〕鉄骨構造の筋かいに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.引張力を負担する筋かいにおいて、接合部の破断強度は、軸部の降伏強度に比べて十分に大きくなるように設計する。
2.山形鋼を用いた引張力を負担する筋かいの接合部に高力ボルトを使用する場合、山形鋼の全断面を有効として設計する。
3.圧縮力を負担する筋かいの耐力は、座屈耐力を考慮して設計する。
4.筋かいが柱に偏心して取り付く場合、偏心によって生じる応力の影響を考慮して柱を設計する。

解答 2:山形鋼や溝形鋼を用いた引張力を負担する筋交い(引張筋かい)の設計において、接合部に高力ボルトを使用する場合は、高力ボルト孔の欠損断面積や、突出脚の無効断面積を差し引いた有効断面積で設計する。このため、全断面を有効として設計することはできない。建築物の構造関係技術規準解説書
(関連問題:平成22年1級学科4、No.16平成21年1級学科4、No.18、平成16年1級学科3、平成14年1級学科3、平成12年1級学科3、平成10年1級学科3)

〔H25 No.18〕通しダイアフラム形式の角形鋼管柱とH形鋼梁の柱梁仕口部に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.突合せ継手において、梁フランジは、一般に、通しダイアフラムを構成する鋼板の厚みの内部で溶接しなければならない。
2.梁の最大耐力は、梁のフランジ、ウェブとも完全溶込み溶接とした場合においても、鋼管フランジの面外変形の影響やスカラップによる断面欠損等を考慮して算定する。
3.梁ウェブに設けるスカラップの底には、地震時にが集中しやすいので、ス力ラップを設けないか、ひずみを緩和するスカラップの形状とする必要がある。
4.柱梁接合部における鋼製エンドタブの組立溶接は、直接母材に行うことが望ましい。

解答 4:柱梁接合部にエンドタブを取り付ける際、直接母材に組み立て溶接をすることを避け、裏当て金に取り付ける。(JASS 6)
(関連問題:平成20年1級学科3、No.18、平成11年1級学科3、平成26年1級学科5、No.13、平成18年1級学科5)

〔H23 No.16〕図のような鉄骨構造の柱脚の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、許容応力度計算は行わないものとする。

1.露出形式柱脚において、所定の構造計算を行わなかったので、アンカーボルトの基礎に対する定着長さをアンカーボルトの径の10倍を確保した。
2.露出形式柱脚において、柱の最下端の断面積に対するアンカーボルトの全断面積の割合を20%以上とした。
3.根巻き形式柱脚において、根巻き部分の高さを柱幅(柱の見付け幅のうち大きいほう)の2.5倍とし、根巻き項部のせん断補強筋を密に配置した。
4.埋込み形式柱脚において、鉄骨柱のコンクリートヘの埋込み部分の深さを、柱幅(柱の見付け幅のうち大きいほう)の2倍以上とした。

解答 1:所定の計算を行わない場合、露出形式柱脚のアンカーボルトの基礎に対する定着長さは、アンカーボルトの径の20倍以上であり、かつその先端をかぎ状に折り曲げるか、または定着金物を設けたものとする。ただし、アンカーボルトの付着力を考慮して、アンカーボルトの抜け出し及びコンクリートの破壊が生じないことが確かめられた場合においては、この構造規定に従う必要がない。(平成12年告示第1456号一号)

 

 

〔H22 No.16〕鉄骨構造の筋かいに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.有効細長比λが小さい筋かい(λ=20程度)は、有効細長比λが中程度の筋かい(λ=80程度)に比べて変形性能が高い。
2.偏心K形筋かい付き骨組は、適切に設計することにより、剛節骨組と類似のエネルギー吸収能力の高い骨組とすることができる。
3.山形鋼を用いた引張力を負担する筋かいの接合部に高カボルトを使用する場合、全断面有効として設計することができる。
4.引張力を負担する筋かいの設計において、筋かいが塑性変形することにより地震のエネルギーを吸収できるように、接合部の破断強度は、軸部の降伏強度に比べて十分に大きくする。

解答 3:山形鋼や溝形鋼を用いた引張力を負担する筋交い(引張筋かい)の設計において、接合部に高力ボルトを使用する場合は、高力ボルト孔の欠損断面積や、突出脚の無効断面積を差し引いた有効断面積で設計する。このため、全断面を有効として設計することはできない。建築物の構造関係技術規準解説書
(関連問題:平成26年1級学科4、No.15平成21年1級学科4、No.18、平成16年1級学科3、平成14年1級学科3、平成12年1級学科3、平成10年1級学科3)

〔H30 No.15〕鉄骨構造の溶接接合に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.溶接金属の機械的性質は溶接施工条件の影響を受けることから、溶接に当たっては、溶接部の強度を低下させないために、パス間温度が規定値より小さくなるように管理する。
2.溶接継目の断面に対する長期許容せん断応力度は、溶接継目の形式が「完全溶込み溶接の場合」と「隅肉溶接の場合」とで同じである。
3.柱梁接合部の梁端部フランジの溶接接合においては、梁ウェブにスカラップを設けないノンスカラップ工法を用いることにより、塑性変形能力の向上が期待できる。
4.組立溶接において、ショートビード(ビードの長さが短い溶接)は、冷却時間が短いことから、塑性変形能力が低下する危険性や低温割れが生じる危険性が小さくなる。

解答 4:組立溶接における溶接箇所では急冷硬化してひび割れが生じやすくなる。そのため、ショートビードの場合は所定の強度を確保することが出来なくなるので、最小の溶接長さを40mm(板厚6mm超)もしくは30mm(板厚6mm以下)とし、かつ十分な脚長を持つビードを適切な間隔で配置する。(鉄骨工事技術指針・工場製作編、溶接施工設計施工ガイドブック)

〔H30 No.17〕鉄骨構造において使用する高力ボルトに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.高力ボルト摩擦接合は、接合される部材間の摩擦力で応力を伝達する機構であり、部材とボルト軸部との間の支圧による応力の伝達を期待するものではない。
2.せん断力と引張力とを同時に受ける高力ボルトの許容せん断応力度は、引張応力度の大きさに応じて低減する。
3.高力ボルト摩擦接合と溶接接合とを併用する接合部においては、溶接を行った後に高力ボルトを締め付けた場合、両接合の許容力を加算することができる。
4.F10Tの高力ボルト摩擦接合において、2面摩擦の許容せん断応力度は、1面摩擦の場合の2倍である。

解答 3:「高力ボルト摩擦接合」と「溶接接合」とを併用する接合部においては、高力ボルトを締め付けた後に、溶接を行った場合、両接合の許容力を加算することができる。先に溶接を行うと溶接熱によって板が曲がり、高力ボルトを締め付けても接合面が密着しないことがあるため、両方の耐力を加算することはできない。

 

 

〔H28 No.15〕鋼材の溶接に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.通しダイアフラムに溶接する梁フランジのエンドタブとして鋼製タブを使用した場合は、終局状態において塑性ヒンジを形成しない部位であれば、エンドタブを切断しなくてもよい。
2.通しダイアフラムと梁フランジの突合せ溶接部において、許容値を超える食い違いや仕口部のが生じた場合は、適切な補強を行えばよい。
3.パス間温度が規定値以下となるように管理すれば、溶接施工時の低温割れを防止することができる。
4.突合せ溶接部において、母材の種類に応じた適切な溶接材料を用いる場合、溶接部の許容応力度は母材と同じ値を採用することができる。

解答 3:「パス間温度」とは複数のパスでの溶接において、次のパスを行う時の、前のパスでできたビードの温度のことである。パス間温度が高過ぎると接合部の強度や変形能力が低下することがあるので、溶接作業中に入熱量とパス間温度の管理を行う。ただし、冷却過程においてパス間温度が低すぎる場合には低温割れを生じやすいので、余熱等によって管理しなければならない。(JIS Z 3312 鉄骨工事技術指針・工場製作編)
(関連問題:平成30年1級学科4、No.15平成23年1級学科4、No.17平成20年1級学科4、No.18平成25年1級学科5、No.14)

〔H27 No.18〕鉄骨構造の高力ボルト接合に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.高力ボルト摩擦接合は、部材間の摩擦力で応力を伝達する機構であり、ボルト軸部と部材との間の支圧による応力の伝達を期待するものではない。
2.高力ボルト摩擦接合部においては、一般に、すべり耐力以下の繰返し応力であれば、ボルト張力の低下や摩擦面の状態の変化を考慮する必要はない。
3.高力ボルト摩擦接合部にせん断力と引張力が同時に作用する場合、作用する応力の方向が異なるため、高力ボルト摩擦接合部の許容せん断耐力を低減する必要はない。
4.一つの継手の中に高力ボルト摩擦接合と溶接接合とを併用する場合、先に溶接を行うと溶接熱によって板が曲がり、高力ボルトを締め付けても接合面が密着しないことがあるため、両方の耐力を加算することはできない。

解答 3:選択肢3は、選択肢2と関連している。すべり耐力以下の繰り返し応力(選択肢2)の場合、許容せん断応力度を低減する必要はない。せん断力と引張力を同時に受ける(選択肢3)場合は、高力ボルトで締め付けられている接合部が引っ張られると、接合部の圧縮力が減少し、すべり耐力も減少するので、許容せん断応力度を低減する必要がある。
(関連問題:平成30年1級学科4、No.17、平成17年1級学科3、平成12年1級学科3)

〔H26 No.16〕鉄骨構造の接合部に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.F10Tの高力ボルト摩擦接合において、2面摩擦接合2本締めの許容せん断耐力を、同一径の1面摩擦接合4本締めの場合と同じ値とした。
2.柱梁接合部のH形断面梁端部フランジの溶接接合において、変形性能の向上を期待して、梁のウェブにスカラップを設けないノンスカラップ工法を用いた。
3.箱形断面の柱にH形鋼の梁を剛接合するために、梁のフランジは突合せ溶接とし、ウェブは隅肉溶接とした。
4.隅肉溶接継目の断面に対する短期許容応力度は、接合される鋼材の溶接部の基準強度Fに等しい値とした。

解答 4:隅肉溶接継目の断面に対する短期許容応力度は、溶接部の基準強度をFとすると次の通りである。
短期許容応力度 = 長期許容応力度 × 1.5
                      = F/(1.5√3) × 1.5
                      = F/√3
したがって隅肉溶接継目の断面に対する短期許容応力度は、溶接部の基準強度Fの1/√3 倍である。(建築基準法施行令第92条表)
(関連問題:平成20年1級学科3、No.18)

 

 

〔H25 No.17〕鉄骨構造の接合部に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.クレーン走行桁など振動・衝撃又は繰返し応力を受ける部材の接合部には、高力ボルト以外のボルトを使用してはならない。
2.高力ボルトの最小縁端距離は、所定の構造計算を行わない場合、手動ガス切断縁の場合より自動ガス切断縁の場合のほうが小さい値である。
3.高力ボルト摩擦接合の一面せん断の長期許容せん断応力度は、高力ボルトの基準張力T0(単位 N/mm2)の0.3倍である。
4.山形鋼を用いた筋かい材を材軸方向に配置された一列の高力ボルトによりガセットプレートに接合する場合、筋かい材の有効断面積は、高力ボルトの本数が多いほど小さくなる。

解答 4:山形鋼や溝形鋼を筋かい材として用いた場合、筋交い材の高力ボルトの本数が多いほど、突出脚の無効長さが小さくなるので筋かい材の有効断面積は大きくなる。(建築物の構造関係技術基準解説書)
(関連問題:平成29年1級学科4、No.15、平成18年1級学科3、平成15年1級学科3)

〔H24 No.17〕鉄骨構造の溶接に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.被覆アーク溶接によるレ形又はK形開先の部分溶込み溶接の場合、有効のど厚は、開先の深さ全部とすることはできない。
2.隅肉溶接の有効長さは、まわし溶接を含めた溶接の全長から、隅肉のサイズの2倍を減じたものとすることができる。
3.ビードの長さが短い溶接においては、溶接入熱が小さく冷却速度が速いため、じんせいの劣化や低温割れを生じる危険性が小さくなるので、組立溶接はショートビードとするほうがよい。
4.許容値を超える仕口部のや突合せ継手部のくい違いが生じた場合には、適切な補強を行えばよい。

解答 3:組立溶接における溶接箇所では急冷硬化してひび割れが生じやすくなる。そのため、ショートビードの場合は所定の強度を確保することが出来なくなるので、最小の溶接長さを40mm(板厚6mm超)もしくは30mm(板厚6mm以下)とし、かつ十分な脚長を持つビードを適切な間隔で配置する。(鉄骨工事技術指針・工場製作編、溶接施工設計施工ガイドブック)

〔H23 No.17〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.高力ボルトM22を使用する場合、ボルトの相互間の中心距離を55mm以上とし、孔径は24mm以下とした。
2.高力ボルト摩擦接合において、肌すきが2mmとなったので、母材や添え板と同様の表面処理を施したフィラーを挿人した。
3.箱形断面の柱にH形鋼の梁を剛接合するために、梁のフランジは突合せ溶接とし、ウェブは隅肉溶接とした。
4.溶接金属の機械的性質は、溶接条件の影響を受けるので、溶接部の強度を低下させないために、パス間温度が規定値より高くなるように管理した。

解答 4:「パス間温度」とは複数のパスでの溶接において、次のパスを行う時の、前のパスでできたビードの温度のことである。パス間温度が高過ぎると接合部の強度や変形能力が低下することがあるので、溶接作業中に入熱量とパス間温度の管理を行う。
(関連問題:平成30年1級学科4、No.15平成28年1級学科4、No.15平成20年1級学科4、No.18平成25年1級学科5、No.14)

 

 

〔H22 No.17〕鉄骨構造の溶接に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.溶接部の非破壊試験において、放射線透過試験、超音波探傷試験、磁粉探傷試験、浸透探傷試験のうち、内部欠陥の検出には、磁粉探傷試験が適している。
2.片面溶接による部分溶込み溶接は、継目ルート部に曲げ又は荷重の偏心によって生じる付加曲げによる引張応力が作用する箇所には使用してはならない。
3.予熱は、溶接による割れの防止をH的として、板厚が厚い場合や気温が低い場合に行われる。
4.隅肉溶接部の有効面積は、「溶接の有効長さ」×「有効のど厚」により求める。

解答 1:溶接部の非破壊試験において、「内部欠陥の検出」には、放射線透過試験、超音波探傷試験が適している。また「外観・表面欠陥の検出」には磁粉探傷試験、浸透探傷試験が適している。
(関連問題:平成30年1級学科5、No.14平成24年1級学科5、No.14平成21年1級学科5、No.14)

〔H21 No.15〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.弱軸まわりに曲げを受けるH形鋼の許容曲げ応力度は、幅厚比の制限に従う場合、許容引張応力度と同じ値とすることができる。
2.SN490材の許容引張応力度は、板厚による影響を受けないので、板厚25mmと50mmとでは同じ値である。
3.F10Tの高力ボルト摩擦接合において、使用する高力ボルトが同一径の場合、1面摩擦接合4本締めの許容せん断耐力は、2面摩擦接合2本締めの場合と同じ値である。
4.高力ボルト摩擦接合部(浮きさびを除去した赤さび面)の1面せん断の短期許容せん断応力度は、高力ボルトの基準張力の0.45倍である。

解答 2:構造用鋼材は、板厚によってその許容応力度が変わってくる。
構造用鋼材の許容応力度は、以下のように定められる(建築基準法施行令第90条)。このFの値は40mmを基準として板厚によって定められている。(関連問題:令和元年1級学科4、No.29平成29年1級学科4、No.29)

〔H21 No.18〕鉄骨構造の筋かいに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.山形鋼を用いた筋かいの有効断面積の計算においては、筋かいの断面積からファスナー孔による欠損部分及び突出脚の無効部分の断面積を差し引いて求める。
2.座屈拘束ブレースは、軸力材(芯材)の外側を座屈拘束材で囲むことにより軸カ材の座屈による強度低下が防止されており、塑性変形能力に優れた筋かいである。
3.引張力を負担する筋かいの設計において、筋かいのじんせいを確保するため、その降伏耐力は、接合部の破断耐力に比べて大きくする必要がある。
4.細長比の大きい部材を筋かいに用いる場合、筋かいは引張力に対してのみ有効な引張筋かいとして設計する。

解答 3:筋かいにおいて、軸部が引張降伏点に達した後、破断点に到るまでの塑性変形によって地震エネルギーを吸収する必要がある。そのため、端部及び接合部の破断耐力は、軸部の降伏耐力よりも大きく(1.2倍以上)する必要がある。
(関連問題:令和元年1級学科4、No.16平成29年1級学科4、No.15平成25年1級学科4、No.19)

 

 

〔H20 No.17〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.高さ方向に連続する筋かいを有する剛節架構において、基礎の浮き上がりを考慮して保有水平耐力を算定した。
2.箱形断面の柱にH形鋼の梁を剛接合するために、梁のフランジはすみ肉溶接とし、ウェブは突合せ溶接とした。
3.根巻型柱脚において、根巻きの上端部に大きな力が集中して作用するので、この部分の帯筋の数を増やした。
4.柱の継手部を許容応力度設計する場合、継手部に作用する存在応力を十分に伝えられるものとし、部材の許容耐力の50%を超える耐力を確保した。
5.剛節架構のじんせいを高めるため、塑性化が想定される部位に降伏比の小さい材料を採用した。

解答 2:箱形断面の柱にH形鋼の梁を剛接合する場合、「曲げモーメント」は梁フランジから柱へ伝達するので、梁フランジは突合せ溶接(完全溶込み溶接)とする。また「せん断力」は梁ウェブから柱に伝達するので、すみ肉溶接とするのが一般的である。(建築物の構造関係技術基準解説書、鋼構造接合部設計指針1.4.6)
(関連問題:平成26年1級学科4、No.16平成23年1級学科4、No.17)

〔H20 No.18〕鉄骨構造の溶接に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.溶接ひずみ及び残留応力が小さくなるように設計した。
2.すみ肉溶接の有効長さは、まわし溶接を含めた溶接の全長から、すみ肉のサイズの2倍を減じたものとした。
3.すみ肉溶接継目の断面に対する短期許容応力度は、接合される鋼材の溶接部の基準強度に等しい値とした。
4.溶接金属の機械的性質は、溶接条件の影響を受けるので、溶接部の強度を低下させないために、パス間温度が規定値より高くならないように管理した。
5.開先のある溶接部の両端においては、健全な溶接の全断面が確保できるようにエンドタブを用いた。

解答 3:隅肉溶接継目の断面に対する短期許容応力度は、溶接部の基準強度をFとすると次の通りである。
短期許容応力度 = 長期許容応力度 × 1.5
                      = F/(1.5√3) × 1.5
                      = F/√3
したがって隅肉溶接継目の断面に対する短期許容応力度は、溶接部の基準強度Fの1/√3 倍である。(建築基準法施行令第92条表)
(関連問題:平成26年1級学科4、No.16)

〔R01 No.18〕柱材に板厚6mm以上の建築構造用冷間ロール成形角形鋼管(BCR)を用い、通しダイアフラム形式とした建築物の耐震計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.「ルート1- 1」において、標準せん断力係数Coを0.2として地震力の算定を行った。
2.「ルート1 – 2」において、標準せん断力係数Coを0.3として地震力の算定を行い、柱に生じる力を割増したので、層間変形角及び剛性率の検討を省略した。
3.「ルート2」において、最上階の柱頭部及び1階の柱脚部を除く全ての接合部については、柱の曲げ耐力の和が、柱に取り付く梁の曲げ耐力の和の1.5倍以上となるように設計した。
4.「ルート3」において、局部崩壊メカニズムとなったので、柱の耐力を低減して算定した保有水平耐力が、必要保有水平耐力以上であることを確認した。

解答 1:鉄骨構造の建築物で、地上階数が3以下、高さ13m以下、軒の高さ9m以下、延べ面積500m2以下で、所定の条件に適合するものは、「ルート1-1」を適用できる。このとき①地震力の算定における標準せん断力係数C0は0.3以上として構造計算し、②水平力を負担する筋かいの端部及び接合部を保有耐力接合し、③冷間成形角形鋼管(板厚6mm以上)を用いる場合は地震応力を割り増す。(告示(平19)第593号第一号イ)
(関連問題:平成30年1級学科4、No.18平成28年1級学科4、No.18平成26年1級学科4、No.18平成22年1級学科4、No.26)

 

 

〔H30 No.18〕鉄骨構造の耐震計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.「ルート1-1」で計算する場合、標準せん断力係数C0を0.3以上として許容応力度計算をすることから、水平力を負担する筋かいの端部及び接合部を保有耐力接合とする必要はない。
2.「ルート2」で計算する場合、水平力を負担する筋かいの水平力分担率に応じて、地震時の応力を割り増して許容応力度計算をする必要がある。
3.「ルート3」で計算する場合、筋かいの有効細長比や柱及び梁の幅厚比等を考慮して構造特性係数DSを算出する。
4.冷間成形角形鋼管柱に筋かいを取り付ける場合、鋼管に局部的な変形が生じないように補強を行う必要がある。

解答 1:鉄骨構造の建築物で、地上階数が3以下、高さ13m以下、軒の高さ9m以下、延べ面積500m2以下で、所定の条件に適合するものは「ルート1-1」を適用できる。このとき①地震力の算定における標準せん断力係数C0は0.3以上として構造計算し、②水平力を負担する筋かいの端部及び接合部を保有耐力接合し、③冷間成形角形鋼管(板厚6mm以上)を用いる場合は地震応力を割り増す。告示(平19)第593号第一号イ。
(関連問題:令和元年1級学科4、No.18平成28年1級学科4、No.18平成26年1級学科4、No.18平成22年1級学科4、No.26)

〔H29 No.18〕冷間成形角形鋼管柱を用いた鉄骨造の建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.プレス成形角形鋼管の角部は、成形前の素材と比べて、強度及び変形性能が高くなる。
2.柱と梁との仕口部の接合形式には、一般に、通しダイアフラム形式、内ダイアフラム形式及び外ダイアフラム形式がある。
3.柱の継手は、一般に、現場溶接となり、継手位置は曲げ応力が小さくなる位置とすることが望ましい。
4.「耐震計算ルート1-1」の場合は、標準せん断力係数C0を0.3以上とするとともに、柱の設計用応力を割増して、許容応力度を検討しなければならない。

解答 1:「建築構造用冷間プレス成形角形鋼管」は、JIS G 3136 に規定される建築構造用圧延鋼材に、上限規定を付加した規格を満足する鋼帯又は鋼板を角形断面又は一対の溝形断面に成形し、溶接継目部を半自動若しくは自動アーク溶接して製造される直及びテーパー形の角形鋼管である。
塑性加工を行うため、塑性変形能力が低下し、耐震設計上の制約がある。

〔H28 No.18〕鉄骨構造における建築物の耐震計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.「ルート1-1」の計算において、標準せん断力係数C0を0.3として地震力の算定を行ったので、水平力を負担する筋かいの端部及び接合部については、保有耐力接合としなかった。
2.「ルート1-2」の計算において、標準せん断力係数C0を0.3として地震力の算定 を行ったので、層間変形角及び剛性率の確認を行わなかった。
3.「ルート1-2」の計算において、冷間成形角形鋼管を柱に用いたので、柱梁接合形式及び鋼管の種類に応じ、応力を割増して柱の設計を行った。
4.「ルート2」の計算において、冷間成形角形鋼管を柱に用いたので、建築物の最上階の柱頭部及び1階の柱脚部を除く全ての接合部について、柱の曲げ耐力の和を梁の曲げ耐力の和の1.5倍以上となるように設計を行った。

解答 1:鉄骨構造の建築物で、地上階数が3以下、高さ13m以下、軒の高さ9m以下、延べ面積500m2以下で、所定の条件に適合するものは、「ルート1-1」を適用できる。このとき①地震力の算定における標準せん断力係数C0は0.3以上として構造計算し、②水平力を負担する筋かいの端部及び接合部を保有耐力接合し、③冷間成形角形鋼管(板厚6mm以上)を用いる場合は地震応力を割り増す。告示(平19)第593号第一号イ。
(関連問題:令和元年1級学科4、No.18平成30年1級学科4、No.18平成26年1級学科4、No.18平成22年1級学科4、No.26)

 

 

〔H26 No.18〕鉄骨構造の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.「耐震計算ルート1-1及び1-2」では、標準せん断力係数C0を0.2として地震力の算定を行う。
2.「耐震計算ルート1-2」では、偏心率が0.15以下であることを確認する。
3.「耐震計算ルート2」では、筋かいの水平力分担率の値に応じて、地震時応力を割り増す。
4.「耐震計算ルート3」では、筋かいの有効細長比や柱及び梁の幅厚比等を考慮して構造特性係数DSを算出する。

解答 1:鉄骨構造の建築物で、地上階数が3以下、高さ13m以下、軒の高さ9m以下、延べ面積500m2以下で、所定の条件に適合するものは、「ルート1-1」を適用できる。このとき①地震力の算定における標準せん断力係数C0は0.3以上として構造計算し、②水平力を負担する筋かいの端部及び接合部を保有耐力接合し、③冷間成形角形鋼管(板厚6mm以上)を用いる場合は地震応力を割り増す。(告示(平19)第593号第一号イ)
(関連問題:令和元年1級学科4、No.18平成30年1級学科4、No.18平成28年1級学科4、No.18平成22年1級学科4、No.26)

〔H26 No.26〕鉄骨造の建築物の構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.柱の継手に作用する応力をできるだけ小さくするために、柱の継手位置を階高の中央付近になるようにした。
2.純ラーメン構造の耐震設計において、ある階の必要とされる構造特性係数DSは0.25であったが、他の階で構造特性係数DSが0.3となる階があったので、全体の構造特性係数DSを0.3として保有水平耐力の検討を行った。
3.梁及びスラブの各部の応力度を検討することにより、構造部材のや振動による使用上の支障が起こらないことを確認した。
4.屋根ふき材において、一つの屋根構面内の中央に位置する部位より縁に位置する部位のほうが、風による吹き上げ力が大きいものとして設計を行った。

解答 3:「振動による使用上の支障がないこと」を確認するためには、たわみの最大値に変形増大係数を乗じ、さらに有効長さで除して得た値が250分の1以下であることを確認する。このため、梁及び床スラブの断面の各部の応力では求めることはできない。建築基準法施行令第82条四号、平成12年告示第1459号第1・2
(関連問題:平成29年1級学科4、No.24)

〔H24 No.18〕耐震計算ルート2により構造計算を行う鉄骨造の建築物の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、柱脚は露出形式柱脚、桁行方向は梁をピン接合としたブレース構造、張り間方向は純ラーメン構造とし、桁行方向におけるブレースの水平力分担率を100%とする。

1.桁行方向の梁については、崩壊メカニズム時に弾性状態に留まることを確かめたので、部材種別FBの梁を採用した。
2.桁行方向については、地震時応力を1.2倍に割増して許容応力度計算を行った。
3.張り間方向の梁は、横座屈を抑制するために、全長にわたって均等間隔で横補剛を行った。
4.柱脚の設計において、伸び能力のあるアンカーボルトを使用したので、保有耐力接合の条件を満足させた。

解答 2:耐震計算ルート2で設計する場合、水平力を負担する筋交いを設けた階(地階を除く)を含む建築物では、当該階の構造耐力上主要な部分に生じる地震力による応力の値に、応力の割増を行う。
    ・水平力分担率 ≦ 5/7 の場合、1 + 水平力分担率×0.7
    ・水平力分担率 ≦ 5/7 の場合、1.5
設問より、水平力分担率が100%(7/7)なので、水平力を1.5倍として設計する。(昭和55年告示第1791号)

 

 

〔H23 No.18〕板厚6mm以上の一般構造用角形鋼管(STKR材)及びプレス成形角形鋼管(BCP材)の通しダイアフラム形式の柱材を用いた建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、特別な調査・研究によらないものとする。

1.「耐震計算ルート1」において、BCP柱材に対し、地震力による柱応力の割増しを行い、許容応力度計算を行った。
2.「耐震計算ルート2」において、最上階の柱頭部及び1階の柱脚部を除くすベての接合部については、BCP柱材に対し、梁曲げ耐力の和が柱曲げ耐力の和の1.5倍以上となるように設計した。
3.「耐震計算ルート2」において、1階の柱脚部については、STKR柱材に対し、地震時応力を割増して、許容応力度計算を行った。
4.「耐震計算ルート3」において、BCP柱材に対し、局部崩壊メカニズムとなったので、柱の耐力を低減して算定した保有水平耐力についても必要保有水平耐力以上であることを確認した。

解答 2:「耐震計算ルート2」において、特別な調査・研究によらない場合、最上階の柱頭部及び1階の柱脚部を除く全ての接合部については、BCP柱材に対し、「柱曲げ耐力の和」が「梁曲げ耐力の和」の1.5倍以上となるように設計しなければならない。これは、梁の崩壊メカニズムが確実に形成されることを考慮して規定されたものである。(昭和55年告示第1791号二号三号、建築物の構造関係技術規準解説書)

〔H20 No.16〕鉄骨構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.剛節架構において、SN400材を用いる代わりに同一断面のSN490材を用いても、弾性変形を小さくする効果はない。
2.横移動が拘束されていない剛節架構において、柱材の座屈長さは、梁の剛性を高めても節点間距離より小さくすることはできない。
3.圧縮材の中間支点の横補剛材は、圧縮材に作用する圧縮力の2%以上の集中横力が加わるものとして設計することができる。
4.耐震計算ルート1により設計した剛節架構の柱材に、厚さ6mm以上の一般構造用角形鋼管(STKR材)を用いた場合、柱の設計において地震時応力を割り増す必要がある。
5.構造特性係数DSを算出するための部材種別がFA材であるH形鋼(炭素鋼)の梁について、幅厚比の規定値は、フランジよりウェブのほうが小さい。

解答 5:フランジの方が幅厚比制限は厳しい、つまり、幅厚比の規定値は小さい。鋼材の規格表から、フランジの厚さがウェブの厚さよりも大きくなっている。
そもそも幅厚比は、材の薄っぺらさを示す指標であり、
幅厚比が大きい=薄っぺら=局部座屈が起こりやすい
幅厚比が小さい=分厚い=局部座屈が起こりにくい
となる。
H鋼を圧縮材として使うのは、柱に使用する場合が多く、柱には圧縮力などの軸力の他に曲げモーメントも作用する。H鋼などでは、フランジが曲げモーメントに抵抗し、ウェブはせん断力に抵抗する。
曲げモーメントは、引張力と圧縮力の偶力なので、圧縮側フランジは、より大きな圧縮力を負担する。
H鋼では、軸力の他に曲げによる大きな圧縮力をフランジが受け持つので、ウェブよりもフランジの方を、局部座屈に対してより強くしなければならない。
このためウェブよりフランジの方の幅厚比制限が厳しく(小さく)なっている。
(関連問題:令和元年1級学科4、No.16平成30年1級学科4、No.16平成27年1級学科4、No.16)

 

 

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投稿日:2020年4月20日 更新日:

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