石綿
「石綿(「いしわた」もしくは「せきめん」)」とは、天然に産する繊維状の結晶鉱物6種類の総称で、「アスベスト」とも呼ばれる。
石綿は安価で、安定性や加工性、親和性などの材料特性にも優れており、「魔法の鉱物」・「奇跡の鉱物」として重宝され、戦前から船の機関室などで使用されていた。
戦後、各種建材用を中心に様々な用途で使用量が急増し、1970~80年代にかけて使用のピークを迎えたが、以降は減少に転じ、現在は原則使用が禁じられている。
解体工事にかかる法規制
石綿は長く建材等に使用されてきたため、老朽化した建築物を解体した際、周辺住民が悪影響を与えるおそれがある。そのため、
・届け出は2種類、
「特定粉じん排出等作業実施届出書」ー開始の日の14日前までに労働基準監督署長あてに提出
「吹付けアスベストの建設工事届出書」ー開始の日の14日前までに都道府県知事あてに提出
・既存建築物の解体工事において、石綿を重量で0.1%を超えて含有する建材を除去するに当たっては、「石綿作業主任者」を選任する。
・石綿建材除去事業に伴って生じた飛散するおそれのある石綿は、特別管理産業廃棄物に該当する。また隔離養生に用いたシート等も「廃石綿等」に定義され、「特別管理産業廃棄物」に該当する。
・除去作業は、薬液等により十分に湿潤化し、その後に除去する。
・アスベスト含有建材の除去工事においては、除去したアスベスト含有吹付け材等の飛散防止のため、除去作業場所にて、厚さ0.15mm以上のプラスチック製の袋の中に入れ、袋の中の空気を十分に抜く際に、この材等が湿潤化もしくは固形化していることを確認する。
出題例(建築士1級法規)
石綿が添加された建築材料が使用されていることにより 建築基準法第3条第2項の規定の適用を受けている倉庫について、基準時における延べ面積が1,000m2のものを増築して延べ面積1,400m2とする場合、増築に係る部分以外の部分においては、当該添加された建築材料を被覆する等の措置を要しない。
→誤り
建築基準法第28条の2において、建築物には石綿を使用してはならないとしている。しかし、建築基準法第86条の7第1項において、所定の範囲内であれば増築等が可能であると、石綿を添加した建築物に対する制限を緩和している。
では、所定の範囲内とは?
→建築基準法施行令第137条の4の3に指定されている。
増築又は改築に係る部分の床面積の合計が基準時における延べ面積の2分の1を超えないこと。
これより、設問文「基準時における延べ面積が1,000m2」であるので、1,500m2まで増築可能となる。
よって、「増築して延べ面積1,400m2とする」ことは適合している。
しかし、同項三号に「増築又は改築に係る部分以外の部分が、建築材料から石綿を飛散させるおそれがないものとして石綿が添加された建築材料を被覆し又は添加された石綿を建築材料に固着する措置について国土交通大臣が定める基準に適合すること」とあり、
・増築部分に、石綿を使用しない
・増築部分以外に、石綿飛散防止の被膜
の条件があるため、設問文「添加された建築材料を被覆する等の措置を要しない」は誤った記述である。
その他の出題(1級法規)
令和元年1級学科3、No.05
平成24年1級学科3、No.05
平成23年1級学科3、No.28
平成20年1級学科3、No.04
その他の出題(1級施工)
令和元年1級学科5、No.02
平成30年1級学科5、No.23
平成28年1級学科5、No.02
平成27年1級学科5、No.04
平成26年1級学科5、No.23
平成23年1級学科5、No.04
平成20年1級学科5、No.05
平成20年1級学科5、No.23
平成19年1級学科4
平成12年1級学科4