2級建築士試験

木造軸組設置基準に関する問題解説(1級H23年学科4No.09)

投稿日:2020年3月19日 更新日:




1級建築士試験H23年学科4No.09

設問:図のような木造軸組工法による平家建ての建築物(屋根は日本瓦茸とする。)において、建築基準法における木造建築物の「構造耐力上必要な軸組等」に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、図中の太線は耐力壁を示し、その倍率(壁倍率)は1とする。なお、この建築物の階の床面積に乗ずる数値は15cm/m2である。

1.地震力に対する必要な軸組長さは、9.6mである。
2.Y方向の右側側端部分の壁量充足率は、1を超えている。
3.X方向の壁率比は、1.0である。
4.Y方向の壁率比は、0.4である。

解説

計算手順

木造建築物の軸組の設置の基準(平成12年告示第1352号)に則り、方向別に4分割して壁量充足率を求める。その後に壁率比を求めていく。

・各側端部分の「存在壁量」の計算(令46条4項表1の数値×壁の長さ)
・各側端部分の「必要壁量」の計算(令46条4項表2の数値×該当部分の面積)
・壁量充足率を求める(= 存在壁量/必要壁量)
・壁率比を求める(= 壁量充足率の小さい方/大きい方)

選択肢1

選択肢2,3,4はまとめて計算することができるので、まず選択肢1を見てみる。

「地震力に対する必要な軸組長さ」は、令46条4項表2の数値(題意より15cm/m2)と床面積を乗じて求めることができる。よって、

地震力に対する必要な軸組長さ= 15cm/m× (8m×8m)
= 960cm
= 9.6m(選択肢1は正しい記述)

選択肢2,3,4ーX方向の壁量充足率と壁率比を求める。

Y方向の壁の長さが8mなので、その側端部分は、8m×1/4=2mとなり、X軸方向では下図に赤点線で囲む。

この範囲の中で、X方向の壁量充足率を求める。

まず、存在壁量は令46条4項表1の数値(題意より1)に壁の長さを乗じたもの。必要壁量は令46条4項表2の数値(ここではAとする)に点線部分の面積を乗じて求める。

X = 存在壁量 / 必要壁量

X = 2m×1 / A × (2m×8m) = 1/8A
X = 2m×1 / A × (2m×8m) = 1/8A

次に上で求めた壁量充足率から、壁率比を求める。

壁率比 = 壁量充足率の小さい方/大きい方
= X / X
= 1.0(選択肢3は正しい記述)

Y方向の壁量充足率と壁率比を求める。

X方向と同様に、X方向は壁の長さが8mなので、その側端部分は、8m×1/4=2mとなり、Y軸方向では下図に青点線で囲む。

この範囲の中で、X方向と同様にY方向の壁量充足率を求める。

Y = 2m×1 / A × (2m×8m) = 2/16A
Y = 5m×1 / A × (2m×8m) = 5/16A

題意より、A=15cm/m2 = 0.15m/m2であるから、
Y = 2/16A
= 2/ (16×0.15)
     ≒ 0.83 < 1 (選択肢2は誤った記述)

次に上で求めた壁量充足率から、壁率比を求める。

壁率比 = 壁量充足率の小さい方/大きい方
= Y / Y
= 2/5
= 0.4(選択肢4は正しい記述)

類似問題

平成30年1級学科4、No.10
平成29年1級学科4、No.10
平成27年1級学科4、No.10
平成26年1級学科4、No.09
平成24年1級学科4、No.09
平成23年1級学科4、No.09
平成21年1級学科4、No.10
平成20年1級学科3、No.11

平成30年2級学科3、No.12
平成29年2級学科3、No.11
平成26年2級学科3、No.11
平成24年2級学科3、No.11







-2級建築士試験

執筆者:

関連記事

主要構造部

https://ameblo.jp/より 主要構造部 建築物の構造について、防火上の観点から「耐火建築物」や「準耐火建築物」などに分類できる。 この違いは「主要構造部」を耐火構造とすることによって「耐 …

CASBEEとは?

環境総合性能評価システム(CASBEE)は、建築物の環境性能を評価するためのツール。建築物の環境性能に応じてランク付けする。CASBEE:Comprehensive 総合的なAssessment 評価 …

建築士法21条の3

建築士法 第21条の3 違反行為の指示等の禁止 違反行為の指示等の禁止 第21条の3 建築士は、建築基準法の定める建築物に関する基準に適合しない建築物の建築その他のこの法律若しくは建築物の建築に関する …

no image

法7条の2

建築基準法 第7条の2 (国土交通大臣等の指定を受けた者による完了検査) 第7条の2 第77条の18から第77条の21までの規定の定めるところにより国土交通大臣又は都道府県知事が指定した者が、第6条第 …

耐火建築物

耐火建築物 「耐火建築物」は、次のイとロのどちらも適合するものである。 イ 主要構造部が下の(1)もしくは(2)のいずれかであること  (1)耐火構造  (2)「耐火建築物の主要構造部に関する技術的基 …

このサイトは寄付及び広告益の運営で、無料で閲覧・活用していただけます。より良いサイト構築のためにアドバイスをお願いいたします。

また、運営継続のための寄付をお願いいたします。
ご寄付のお願い