「風」は温度・湿度・放射とともに建物の計画において重要な要素である。窓や換気口をどこに設けるかで換気や通風に影響を与える。
風は、空気の温度差や気圧で生じ、風速(強さ:m/s)と風向(向き)で表せられる。
一般に、空気は暖かくなると膨張して軽くなり、上昇する。逆に冷たくなると凝縮して重くなり、下降する。温度の高い空気と低い空気を並べて合わせると、冷たい空気が暖かい空気の下に流れ、暖かい空気は冷たい空気の上に流れる。これが風の原理の一つである。
海岸での1日の風向の変化
陸地は温度の変化が大きいので、日中は暖かく、夜間は冷たくなる。一方、海は1日の温度の変化は小さい。
なので日中、陸地側の温度が高いので空気は上昇する。そこに海側の冷たい空気が流れ込む。
逆に夜間は、陸地側の温度が低くなり、空気は下に溜まっていく。この冷たく重い空気が海側に押し上げるように移動していく。
この原理によって、日中は海から陸に風(海風)が吹き、夜間は陸から海に風(陸風)が吹く。
出題:平成25年度No.10、平成26年度No.10、平成30年No.10
山地での1日の風向きの変化
山の斜面は日中温められて空気は上昇するので、風は谷から山頂に向けて吹く(谷風)。逆に夜間は斜面が冷えて空気は下降するので、風は山頂から谷に向けて吹く(山風)。
都市部・地方での風の強さの違い
一般的にビルや木々などが風よけとなり、市街地は郊外の畑より風が弱くなる。また高層ビルなどが多くなるとさらに風は弱まる。
しかしながら高層ビルが密集する地域では、局所的に風力の強い「ビル風」が吹く。建築計画において、このビル風を評価するための指標として「風速増加率」を用いる。
風速増加率 = 建築後の風速 / 建築前の風速
この風速増加率が1であれば、建築後も変化が無いとされる。
出題:平成29年度No10