二級計画(伝熱・結露)

建築士過去問解説

二級建築士試験分野別まとめ
計画
伝熱・結露

二級建築士学科試験
2022年7月02日(日)

令和05年度試験日まであと 日!

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二級建築士試験の過去問13年分を
分野別にまとめました

(平成20年度から令和02年度まで)

二級建築士
計画
伝熱・結露

〔R01 No.6〕湿り空気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.絶対湿度が同じであれば、空気を加熱しても、露点温度は変化しない。
2.絶対湿度が同じであれば、空気を冷却すると、相対湿度は高くなる。
3.乾球温度が同じであれば、乾球温度と湿球温度との差が小さいほど相対湿度は低くなる。
4.乾球温度が同じであれば、相対湿度が高くなると、絶対湿度も高くなる
5.ある空気を露点温度以下に冷却した後、元の温度に加熱すると、相対湿度は低くなる。

解答 3:乾球温度が同じであれば、乾球温度と湿球温度の差が大きいほど相対湿度は低くなる。
(関連問題:平成27年2級学科1、No.06平成23年2級学科1、No.04平成21年2級学科1、No.03)

〔H27 No.6〕湿り空気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.乾球温度が同じであれば、相対湿度が半分になると、絶対湿度も約半分になる。
2.乾球温度が同じであれば、湿球温度と乾球温度との差が小さいほど相対湿度は高くなる。
3.湿球温度は、乾球温度よりも高くなることはない。
4.絶対湿度が同じであれば、空気を加熱すると、その空気の相対湿度は高くなる。
5.絶対湿度が同じであれば、空気を加熱・冷却しても、その空気の露点温度は変化しない。

解答 4:相対湿度は水蒸気量の割合であり、空気は加熱すると膨張する。なので絶対湿度が同じであるならば、その空気の相対湿度は低くなる。

〔H23 No.4〕室内空気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.絶対湿度が同じであれば、空気を加熱すると、その空気の露点温度は低くなる。
2.絶対湿度が同じであれば、空気を加熱すると、その空気の相対湿度は低くなる。
3.絶対湿度が同じであれば、空気を冷却しても、その空気の水蒸気圧は変化しない。
4.乾球温度が低いほど、飽和水蒸気圧は低い。
5.乾球温度が同じであれば、乾球温度と湿球温度の差が大きいほど相対湿度は低い。

解答 1:露点温度とは、空気中の水蒸気が飽和点に達し、凝結が始まる温度のことをいう。絶対温度が同じであれば、空気を加熱・冷却しても露点温度は変化しない。

 

 

〔H21 No.3〕室内の空気環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.冬期の暖房室の窓際におけるコールドドラフトは、室内空気が窓表面付近で冷やされて、下降することによって生じる。
2.PMV(予測平均温冷感申告)において、その値が0のときには、中立で暑くも寒くもない熱的状態と予測される。
3.空気の絶対湿度に変化がなければ、その空気を冷却すると、露点温度に至るまでは、相対湿度が低くなる。
4.空気の温度が同じであれば、気流が速いほど、また室内の表面温度が低いほど、体感温度は低くなる。
5.空気の乾球温度が同じであれば、乾球温度と湿球温度との差が大きいほうが相対湿度は低くなる。

解答 3:相対湿度とは、ある湿り空気に含まれる水蒸気量(絶対温度)と、その空気の飽和水蒸気量との比で求める。空気温度を低くすると、露点温度に至るまでは飽和水蒸気量が減少する為、絶対湿度が同じ場合においては相対湿度は高くなる。

〔R02 No.6〕図に示す湿り空気線図中のA点の湿り空気(乾球温度20℃、相対湿度30%)及びB点の湿り空気(乾球温度30℃、相対湿度60%)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1. A点の温度を乾球温度30℃まで加熱すると、相対湿度は約17%まで低下する。
2. B点の空気が15℃の壁面に触れると、壁の表面に結露が発生する。
3. A点の空気に含まれる水蒸気量は、B点の空気に含まれる水蒸気量の約50%である。
4. A点の空気をB点の空気と同様な状態にするには、加熱と同時に乾燥空気1kg当たり約12gの加湿が必要となる。
5. A点の空気とB点の空気とを同じ量だけ混合すると、「乾球温度約25℃、相対湿度約50%」の空気となる。

解答 3:A点の相対湿度は30%、絶対湿度は4.3g/kg(DA)で、B点の相対湿度は60%、絶対湿度は16g/kg(DA)である。「空気に含まれる水蒸気量」は、絶対湿度なので、A点の空気に含まれる水蒸気量は、B点の空気に含まれる水蒸気量の約27%である。

〔H29 No.6〕図に示す湿り空気線図中のA点の湿り空気(乾球温度12℃、相対温度60%)及びB点の湿り空気(乾球温度22℃、相対湿度60%)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.A点の空気を22℃まで加熱すると、相対湿度は約32%まで低下する。
2.A点の空気中に洗濯物を干すよりも、B点の空気中に干すほうが、早く乾燥する。
3.表面温度が10℃の窓面に、A点の空気が触れても窓表面で結露しないが、B点の空気が触れると窓表面で結露する。
4.A点の空気に含まれる水蒸気量は、同じ量のB点の空気に含まれる水蒸気量とほぼ等しい。
5.A点の空気とB点の空気を同じ量ずつ混合すると、混合した空気の相対湿度は約63%となる。

解答 4:水蒸気量は、絶対質量を示す。よって空気線図から絶対湿度を読むとA点が約5g/kg(DA)で、B点が約10g/kg(DA)なので、A点よりもB点の水蒸気量の方が多い。

 

 

〔H25 No.8〕図に示す湿り空気線図中のA点(乾球温度15℃、相対湿度40%)の状態にある湿り空気及びB点(乾球温度25℃、相対湿度70%)の状態にある湿り空気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.B点の空気を、乾球温度14℃まで冷却した後、乾球温度22℃まで加熱すると、相対湿度は約60%になる。
2.A点の空気に含まれる水蒸気量は、同じ量の「乾球温度20℃、湿球温度15℃」の空気に含まれる水蒸気量より少ない。
3.B点の空気を、A点の空気の状態にするには、冷却と同時に乾燥空気1kg当たり約10gの減湿が必要である。
4.B点の空気が表面温度16℃の窓ガラスに触れると、窓ガラスの表面で結露する。
5.A点の空気とB点の空気とを同じ量だけ混合すると、「乾球温度20℃、相対湿度55%」の空気となる。

解答 5:A点とB点の空気の絶対湿度を空気線図から読み取ると、A点は4.3 g/kg(DA)、B点は14.0 g/kg(DA)である。この平均は9.2 g/kg(DA)となる。
乾球温度を空気線図から読み取ると、A点は15℃、B点は25℃である。この平均は20℃となる。
この1つの条件で空気線図を読むとその相対湿度の値は、約63%である。

〔H22 No.3〕図-1に示す各空間A、B、Cにおける空気について、図-2の湿り空気線図から求められるそれぞれの空間の絶対湿度a、b、cの大小関係として、正しいものは、次のうちどれか。

1.a>b>c
2.a>c>b
3.b>a>c
4.b>c>a
5.c>b>a

解答 4:それぞれA,B,Cの乾球温度と相対湿度の空気の条件を空気線図に落とし込むと、それぞれの絶対湿度は、
A:約3.5g/kg(DA)
B:約8.0g/kg(DA)
C:約6.0g/kg(DA)
よって、b > c > a となる。

〔H20 No.3〕図に示す空気線図に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.「乾球温度10℃、相対湿度30%」の空気を、「乾球温度25℃、相対湿度60%」の状態にするには、加熱と同時に乾燥空気1kg当たり約10gの加湿が必要である。
2.「乾球温度25℃、相対湿度70%」の空気を、乾球温度10℃まで冷却した後、乾球温度30℃まで加熱すると、相対湿度は約30%になる。
3.「乾球温度15℃、相対湿度40%」の空気を、乾球温度26℃まで加熱すると、相対湿度は約20%になる。
4.「乾球温度20℃、相対湿度40%」の空気が表面温度10℃の窓ガラスに触れると、窓ガラスの表面で結露する。
5.乾球温度が9℃から20℃に上昇すると、空気に含むことができる最大の水蒸気量は約2倍になる。

解答 4:乾球温度20℃、相対湿度40%の空気の飽和温度は約5℃。なので10%の窓ガラスに触れても表面で結露しない。

 

 

〔H28 No.4〕冬期の結露に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.外壁の室内側に生じる表面結露は、防湿層を設けても防ぐことができない。
2.外壁を内断熱とする場合、断熱材を厚くしても内部結露防止には効果がない。
3.保温性の高い建築物にあっても、暖房室と非暖房室がある場合、非暖房室では表面結露が生じやすい。
4.開放型石油ストーブの使用は、表面結露の原因となる場合がある。
5.室内の表面温度を上昇させると、表面結露が生じやすい。

解答 5:「結露」は壁やガラス窓などの温度が、気温よりも低く露点温度を下回る場合に起きる。そのため、壁面付近の温度を上昇させると、表面結露の防止に効果的である。

〔H25 No.5〕冬期の住宅における外気に面した窓ガラスの室内側の表面結露防止対策に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.ガラスを断熱性能の高いものに交換する。
2.窓面のカーテンを閉める。
3.放熱器を窓の下に設置する。
4.換気を行う。
5.雨戸を閉める。

解答 2:ガラス窓にカーテンを吊るすと、室内の高湿空気がカーテンとガラス窓の間に入り込み、かえってガラスの室内側表面に結露が起きやすくなってしまう。

〔H24 No.6〕室内の湿度と結露に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.地下室において、夏期に生じる結露は、換気をすることによって増加する場合がある。
2.外壁の室内側に生じる表面結露は、防湿層を設けても防ぐことができない。
3.保温性の高い建築物であっても、暖房室と非暖房室がある場合、非暖房室では結露が発生しやすい。
4.絶対湿度が同じであれば、空気を冷却しても、その空気の水蒸気圧は変化しない。
5.内断熱の場合、冬期における外壁の内部結露は、断熱材を厚くすることによって軽減できる。

解答 5:内部結露は、壁体内の低温部で結露する現象である。これを防ぐ方法の一つとして防湿層を設けるが、それを冬場の高温多湿側になる断熱材の「室内側」に切れ目なく設ける。断熱材内部でも内部結露が生じてしまうことから、断熱材の厚みは内部結露の防止には関係ない。

 

 

〔H22 No.6〕冬期の結露に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.暖房室において、放熱器を窓下に設置することは、その窓の室内側の表面結露を防止する効果がある。
2.鉄筋コンクリート造の建築物において、外断熱工法は、ヒートブリッジ(熱橋)ができにくく、結露を防止する効果がある。
3.既存の窓に内窓を設置する場合、内窓の気密性を高くすると、既存の窓の室内側の表面結露を防止する効果がある。
4.外壁において、防湿層を断熱層の屋外側に切れ目なく設けることは、内部結露を防止する効果がる。
5.開放型石油ストーブを用いて暖房すると、水蒸気が発生するので、結露が生じやすくなる。

解答 4:内部結露は、壁体内の低温部で結露する現象である。これを防ぐ方法の一つとして防湿層を設けるが、それを冬場の高温多湿側になる断熱材の「室内側」に切れ目なく設ける。

〔H21 No.5〕木造住宅における冬期の結露に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.室内の表面温度を上昇させると、室内の表面結露が生じやすい。
2.外気に面した窓にカーテンをるすと、ガラスの室内側表面に結露が発生しやすくなる。
3.二重窓における外側窓のガラスの室内側表面の結露を防止するためには、「外側サッシの気密性を高くする」より「内側サッシの気密性を高くする」ほうが効果的である。
4.断熱性を高めた住宅であっても、暖房室と非暖房室とがある場合、非暖房室では結露が発生しやすい。
5.断熱材を充てんした外壁においては、内部結露の防止のために、断熱層の室内側に防湿層を設けると共に、室内の空気が壁体内に入らないように気密性を高める。

解答 1:室内の温度を上昇させると、飽和水蒸気量が増加するので、室内の表面結露が生じにくくなる。

〔H30 No.5〕図に示す外壁におけるア~オの対策について、冬期の室内側表面結露を防止するうえで有効なもみの組合せは、次のうちどれか。

ア 密閉空気層の厚さを、10mmから20mmにする。
イ 断熱材を、熱伝導率の小さいものに変更する。
ウ 密閉空気層の位置を、断熱材とコンクリートの間に変更する。
エ 室内側の壁付近に、気流を妨げる物を置かないようにする。
オ 断熱材の室内側に、防湿フィルムを設置する。

1.ア、イ、ウ
2.ア、イ、エ
3.ア、イ、オ
4.イ、エ、オ
5.ウ、エ、オ

解答 2:表面結露防止には、①密閉中空層(厚さ30mmまで)を設ける、②熱伝導率の小さい断熱材にする、③気流を妨げるものは窓付近から撤去する、④室側内の窓付近の空気温度を上げるなどが効果的である。防湿フィルムや材質の位置は内部結露には効果的。

 

 

〔H26 No.6〕 図は、木造建築物の外壁の断面を示したものである。冬期における外壁の内部結露防止上、最も望ましいものは、次のうちどれか。

解答 4:内部結露は、室内の高温多湿の空気が壁内に侵入し、それが冷やされて水滴になる。なので内部結露防止上、室内側の空気が壁内に入らないように考えれば良い。なので①室内側の壁は気密性を大きくし、②次に防湿層を切れ目なく設ける。また壁内に侵入した湿り空気を逃がすため、③室外側の外壁は気密性を小さくし、④断熱材との間に空気層を入れる。

〔H23 No.7〕木造住宅の断熱性・気密性に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.冬期において、繊維系の断熱材を用いた外壁の断熱層内に通気が生じると、外壁の断熱性が低下するがある。
2.気密性を高めるほうが、計画換気を行いやすい。
3.外皮(外壁や窓等)の断熱性能に関する指標である外皮平均熱貫流率には、換気による熱損失も含まれる。
4.外壁の断熱性を高めると、窓からの日射の影響による室温の上昇は大きくなる。
5.二重窓における外側窓のガラスの室内側表面の結露を防止するためには、「外側サッシの気密性を高くする」より「内側サッシの気密性を高くする」ほうが効果的である。

解答 3:「外皮平均熱貫流率」は、内外の温度差1℃(単位温度差)当たりの総熱損失量を外皮総面積で除した値であり、外皮の断熱性を評価する指標である。この時の「外皮」とは、外気等に接する天井、壁、床、開口部等をいう。また「総熱損失量」には、換気および漏気によって失われる熱量は含まない

〔H20 No.6〕木造住宅の断熱性・気密性に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.冬期において、繊維系の断熱材を用いた外壁の断熱層内に通気が生じると、外壁の断熱性が低下するがある。
2.二重窓の内側サッシの気密性を高めることは、外側窓における室内側の表面の結露を防止するのに効果がある。
3.計画換気を行うためには、住宅の気密性を高めることが必要である。
4.外壁内の断熱材を厚くすることによって、外壁の内部結露を防止することができる。
5.一般に、外壁の断熱性を高めると、暖房負荷・冷房負荷ともに減少する。

解答 4:外壁内の断熱材を厚くすることは表面結露には効果がある。しかしながら内部結露には効果は少ない。それよりも室内からの湿った空気が外壁内に入らないように防湿シートなどを施す方が効果的である。

 

 

〔R02 No.5〕伝熱に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1. 熱伝導は、物質内部に温度差がある場合、湿度が高いほうから低いほうへ熱エネルギーが移動する現象をいう。
2. 熱放射は、ある物体から他の物体へ直接伝達される熱の移動現象であり、真空中においても生じる。
3. 壁面と壁面に接する流体との間で熱が移動する現象は、対流熱伝達である。
4. ちゅう密な個体や静止している流体の中では、熱伝達、熱対流、熱放射のうち、熱伝導のみが生じる。
5. 物質の熱容量が小さくなると、熱の吸収による温度上昇と放出による温度降下とが遅くなり、蓄熱という現象が生じる。

解答 5:「蓄熱」は物質の熱容量が大きいと生じる現象である。コンクリート躯体のパッシブデザインにおける蓄熱を利用した手法では、「外断熱とすること」、「開口部からの日射を直接コンクリート躯体に当てること」、「コンクリート躯体を直接室内に露出させること」等が有効である。

〔R01 No.5〕伝熱に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.木材の熱伝導率は、一般に、グラスウールの3〜4倍程度である。
2.中空層において、内部が真空であっても、放射によって熱移動が生じる。
3.窓付近に生じるコールドドラフトは、室内空気が窓のガラス面で冷やされることによって重くなり、床面に向けて降下する現象である。
4.白色ペイント塗りの壁においては、短波長放射である可視光線の反射率は低く、長波長放射である赤外線の反射率は高い。
5.壁体の屋外側表面の熱伝達抵抗は、一般に、室内側表面の熱伝達抵抗に比べて小さい。

解答 4:「白色ペイント」は、可視光線などの短波長放射の反射率は高いが、赤外線などの長波長放射の反射率は低い。
(関連問題:平成26年2級学科1、No.05)

〔H28 No.5〕伝熱に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.壁表面の熱伝達率は、壁面に当たる風速が大きいほど小さくなる。
2.伝熱現象には、伝導、対流及び放射の三つがある。
3.物体から出る放射の強さは、周囲の物質には関係なく、その物体の温度と表面の状態によって決まる。
4.木材の熱伝導率は、普通コンクリートの熱伝導率より小さい。
5.単一の材料からなる壁を伝わる熱量は、壁の両面の温度の差、時間及び伝熱面積に比例し、伝わる壁の厚さに反比例する。

解答 1:壁表面の熱伝達率は、壁面に当たる風速が大きいほど大きくなる

 

 

〔H26 No.5〕伝熱に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.鉄筋コンクリート造建築物において、暖房により室温を一定に保っていた場合、暖房停止後の室温の低下は、外壁の構成材料とその厚みが同じであれば、一般に、内断熱工法とした場合より外断熱工法とした場合のほうが小さい。
2.グラスウール熱伝導率は、繊維の太さが同じであれば、かさ比重が16kg/m3のものより32kg/m3のもののほうが小さい。
3.白色ペイント塗りの壁の場合、可視光線などの短波長放射の反射率は高いが、赤外線などの長波長放射の反射率は低い。
4.建築材料の熱伝導率の大小関係は、一般に、木材>普通コンクリート>金属である。
5.グラスウールを充填した木造建築物の外壁における「平均熱貫流率」は、木部のヒートブリッジ(熱橋)の影響により、「グラスウールを充填した部分の熱貫流率」に比べて大きい。

解答 4:熱伝導率は、材料の比重が大きいものほど大きい。材料の大小関係について、金属>コンクリート>木材となる。

〔H24 No.5〕伝熱に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.低放射ガラスを用いた複層ガラス熱貫流率は、普通ガラスを用いた複層ガラスに比べて小さい。
2.グラスウール熱伝導率は、繊維の太さが同じであれば、かさ比重が16kg/m3のものより、32kg/m3のもののほうが小さい。
3.中空層において、内部が真空であっても、放射によって熱移動が生じる。
4.壁体の外気側表面の熱伝達抵抗の値は、一般に、室内側の熱伝達抵抗の値に比べて大きい。
5.白色ペイント塗の壁の場合、日射等など短波長放射の反射率は高いが、遠赤外線などの長波長放射の反射率は低い。

解答 4:熱伝達の大きさの指標は1つある。伝わりやすさを表す「熱伝達率」、伝わりにくさを表す「熱伝達抵抗」である。一般に屋外側は風速が大きいため、室内側よりも熱は伝わりやすい。なので屋外側は「熱伝達抵抗」は小さく、「熱伝達率」は大きくなる。


〔H22 No.5〕伝熱に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.アルミは、放射率が小さいので、壁の表面に張ることにより放射による伝熱量を少なくすることができる。
2.一般的な透明板ガラスの分光透過率は、「可視光線などの短波長域」より「赤外線などの長波長域」のほうが小さい。
3.断熱材の熱伝導率は、一般に、水分を含むと大きくなる。
4.白色ペイント塗の壁の場合、日射エネルギーの吸収率は、「可視光線などの短波長域」より「赤外線などの長波長域」のほうが小さい。
5.熱放射は、真空中においても、ある物体から他の物体へ直接伝達される熱移動現象である。

解答 4:白ペイントは、赤外線などの長波長域の熱線の吸収率が高いので、熱の低減としては効果的。その場合、熱線が直接当たる外壁の屋外側に塗るのが有効。

 

 

〔H25 No.6〕イ~ホの条件に示す室の熱損失係数の値として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、床面の熱損失は無視できるものとする。

1.1.0 W/(m2・K) 
2.1.5 W/(m2・K)    
3.2.0 W/(m2・K)             
4.2.5 W/(m2・K)         
5.3.0 W/(m2・K)    

解答 3:外皮平均熱貫流率は、単位温度差あたりの総熱損失量を外皮総面積で除したもの。
それぞれの熱損失量は以下のとおり、
床の熱損失量=0.5×20=10.0 W/K
外壁の熱損失量=0.5×56=28.0 W/K
屋根の熱損失量=0.2×20=4.0 W/K
窓の熱損失量=4.0×4=16.0 W/K
よって総熱損失量=10.0+28.0+4.0+16.0=58.0 W/K
総外皮面積は、20+56+20+4=100m2なので、
外皮平均熱貫流率=58.0/100=0.58 W/(m2・K)

〔H23 No.5〕イ~チに条件により計算した外壁、窓及び天井の熱損失の合計値として、正しいものは次のうちどれか。ただし、定常状態とする。

条件

イ.外壁(窓を除く)の面積 : 180 m2
ロ.窓の面積        : 15 m2
ハ.天井の面積       : 70 m2
ニ.外気温         : 0℃
ホ.室温          : 20℃
ヘ.外壁の熱貫流率     : 0.3W/( m2・K)
ト.窓の熱貫流率      : 2.0W/( m2・K)
チ.天井の熱貫流率     : 0.2W/( m2・K)

1.1,840W
2.1,880W
3.1,920W
4.1,960W
5.2,000W

解答 4:熱損失とは、熱貫流による失われる熱量である。各部ごと次式にて計算して求め、その総量を合計する。

熱貫流量Q=各部の熱貫流率×内外温度差×各部の面積

内外温度差=20℃-0℃=20℃
外壁の熱貫流量=0.3×20×180=1,080(W)
窓の熱貫流量=2.0×20×15=600(W)
天井の熱貫流量=0.2×20×70=280(W)
熱貫流量の総量=1,080+600+280=1,960(W)

〔H20 No.5〕イ~への条件により計算した窓のある外壁の熱損失の値として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、定常状態とする。

条件:
イ.外壁(窓を含む)の面積   :25m2
ロ.窓の面積          : 5m2
ハ.居室の温度         :25℃
ニ.外気の温度         : 5℃
ホ.外壁(窓を除く)の熱貫流率 :0.5W/(m2•K)
へ.窓の熱貫流率        :2.0W/(m2•K)

1.400W
2.450W
3.500W
4.600W
5.750W

解答 1:壁体の熱損失Qは、
Q=熱貫流率・壁体面積・(室内温度-外気温度)
で求められる。なので、
Q(全体)=Q(外壁)+Q(窓)
    ={0.5×(25-5)×(25-5)}-{2.0×5×(25-5)}
    =200+200=400(W)

 

 

〔H30 No.6〕熱貫流率が1.0 W/(m2・K)の壁体について、熱伝導率 0.03 W/(m・K)の断熱材を用いて熱貫流率を0.4W(/m2・K)とするために、必要となる断熱材の厚さは、次のうちどれか。

1.30 mm
2.35 mm
3.40 mm
4.45 mm
5.50 mm

解答 4:「熱貫流率」を求める場合、①それぞれの熱貫流率を求め、②熱貫流抵抗を求め、③熱伝導抵抗の値を合計し、④その逆数が熱貫流率である。断熱材の厚さをXとすると、

①熱貫流率は、壁体が1.0 W/(m2・K)、断熱材が0.03/X W/(m2・K)
②熱貫流抵抗は、壁体が1/1(m2・K)/W、断熱材がX/0.03(m2・K)/W
③熱伝導抵抗の合計は、1/1+X/0.03
④熱貫流率は、1/0.4なので、1/0.4=1/1+X/0.03
これを解くと、X=0.045m=45mm

〔H27 No.5〕熱貫流率が 1.0W/(m2・K)の壁体に、熱伝導率が 0.04W/(m・K)の断熱材を 40mmの厚さで設けたときの壁体の熱貫流率の値として、正しいものは、次のうちどれか。

1.0 . 5 W / ( m2・ K )
2.0 . 6 W / ( m2・ K )
3.0 . 7 W / ( m2・ K )
4.0 . 8 W / ( m2・ K )
5.0 . 9 W / ( m2・ K )

解答 1:「熱貫流率」を求める場合、①それぞれの熱貫流率を求め、②熱貫流抵抗を求め、③熱伝導抵抗の値を合計し、④その逆数が熱貫流率である。

①熱貫流率は、壁体が1.0 W/(m2・K)、断熱材が0.04/0.04=1.0 W/(m2・K)
②熱貫流抵抗は、壁体が1/1(m2・K)/W、断熱材が1/1(m2・K)/W
③熱伝導抵抗の合計は、1+1=2(m2・K)/W
④熱貫流率は、1/2=0.50 W/(m2・K)

〔H29 No.5〕図に示す内断熱を施したコンクリート造の壁体の内部温度分布として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、外気温は0℃、室温は25℃で、定常状態とする。

解答 1:温度分布の線の傾きが大きいほど、その両面の温度差が大きく、熱伝導抵抗が大きいことを示す。断熱材は最も傾きが大きいので、枝1と枝2が正答候補である。また厚さ20mmの密閉中空層の熱抵抗は、断熱材のそれと近くなる。以上より、枝1が正答である。

〔H21 No.6〕図のような日射のあたる壁面から屋内へ侵入する熱を低減する方法として、最も不適当なものは、次のうちどれか。

1.外壁材の中空層側に白ペイントを塗る。
2.断熱層の中空層側にアルミはくを張る。
3.断熱層の厚さを増す。
4.断熱層を、熱伝導比抵抗の大きな材料に替える。
5.外壁材の屋外側を緑化する。

解答 1:白ペイントは、赤外線などの長波長域の熱線の吸収率が高いので、熱の低減としては効果的。その場合、熱線が直接当たる外壁の屋外側に塗るのが有効。

 

 

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投稿日:2020年4月20日 更新日:

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