一級建築士試験分野別まとめ
構造
耐震設計・免震・制震構造
2023年7月23日(日)
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分野別まとめ
(平成20年度から令和02年度まで)
一級建築士
構造
耐震設計・免震・制震構造
〔R02 No.24〕建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.鉄筋コンクリート造建築物の設計用一次固有周期Tを、略算法でなく固有値解析等の精算によって求める場合には、建築物の振動特性はコンクリートにひび割れのない初期剛性を用い、かつ、基礎や基礎杭の変形はないものと仮定する。
2.構造特性係数DSは、一般に、架構の減衰が小さいほど小さくすることができる。
3.各階の保有水平耐力計算において、剛性率が0.6を下回る場合、又は、偏心率が0.15を上回る場合には、必要保有水平耐力の値を割増しする。
4.限界耐力計算において、塑性化の程度が大きいほど、一般に、安全限界時の各部材の減衰特性を表す係数を大きくすることができる。
解答 2:構造特性係数は、建築物の振動に関する減衰性および各階の靭性に応じて建築物に求められる必要保有水平耐力を低減する係数である。そのため構造特性係数DSは、一般に、架構が靱性に富むほど、また減衰が大きいほど、小さくすることができる。
(関連問題:令和元年1級学科4、No.26、平成24年1級学科4、No.26、平成16年1級学科3)
〔R02 No.25〕免震構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.免震構造において、上部構造の地震時応答せん断力を小さくするには、一般に、ダンパーの減衰量をできるだけ大きくすることが有効である。
2.免震構造において、上部構造の層せん断力係数は、一般に、Ai分布と異なる分布となる。
3.免震構造に用いられるオイルダンパーは、免震層平面の外周部に設置すると、免震層のねじれ変形を抑制する効果がある。
4.免震構造に用いられるすべり支承には、減衰機能はあるが、復元機能はない。
解答 4:すべり支承は、低摩擦材のすべりを利用したアイソレータである。建物を支える柱の直下にすべり材を設置し、更にその下にすべり材が滑りやすくなるよう表面処理を施した、ステンレスなどの鋼板を敷く。
これにより地震時にはすべり材が揺れを受け、鋼板の上をゆっくりと滑ることで、地震の揺れを直接建物に伝えないようにする仕組みである。そのうちの一つ「剛すべり支承」は復元機能がないのでダンパーと併用される。ただし、もう一つの「剛すべり支承」は積層ゴムを合わせたもので、復元機能も持つ。
〔R02 No.26〕建築物の構造設計及び耐震補強に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.プレストレストコンクリート構造において、クリープ等によるプレストレスの減少率は、一般に、プレテンション方式に比べて、ポストテンション方式の方が小さい。
2.コンクリート充填鋼管(CFT)造の柱は、コンクリートが充填されていない同じ断面の中空鋼管の柱に比べて、剛性は高いが水平力に対する塑性変形性能は低い。
3.鉄骨構造において、露出柱脚の最大せん断耐力は、「摩擦により抵抗するせん断耐力」と「アンカーボルトのせん断耐力」のいずれか大きいほうとする。
4.鉄筋コンクリート造の既存建築物の耐震改修において、柱の炭素繊維巻き付け補強は、柱の曲げ耐力を大きくする効果は期待できない。
解答 2:コンクリート充填鋼管(CFT)造の部材は、コンクリートが充填されていない同じ断面の中空鋼管の柱に比べて、剛性や水平力に対する塑性変形性能も高い。また局部座屈が生じにくく、座屈後の耐力低下も少ない。
〔R01 No.24〕免震構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.免震構造は、一般に、上部構造の水平剛性が大きくなると、上部構造の床応答加速度も大きくなる。
2.免震構造は、一般に、上部構造の質量及び剛性の偏在等によるねじれ 変形が抑制される。
3.免震構造に用いられる粘性ダンパーは、速度に応じた減衰力を発揮し、免震層の過大な変形を抑制する働きがある。
4.免震構造に用いられる積層ゴムアイソレーターの水平剛性は、面圧(支持軸力を積層ゴムの水平断面積で除した値)の大きさによって変化する。
解答 1:[初出題] 免震構造において、上部構造の水平剛性が大きくなると、免震層に変形をより集中させることができる。それにより、免震効果は大きくなり、上部構造の固有周期を長くすることができる。固有周期が長くなると上部構造の床応答加速度は小さくなる。(免震構造設計指針)
〔R01 No.25〕制振構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.制振構造に設置するダンパーは、建築物全体の耐力分布や振動性状を踏まえて、適切に配置する。
2.制振構造に用いられるオイルダンパーは、建築物の動きが比較的小さな段階から制振効果を発揮する。
3.制振構造に用いられる履歴型ダンパーの耐力は、地震後の建築物の残留変形を抑制するために、柱と梁からなる主架構の耐力よりも大きくする。
4.鋼材や鉛等の金属製の履歴型ダンパーは、金属が塑性化する際のエネルギー吸収能力を利用するものであり、安定した復元力特性と十分な疲労強度が必要である。
解答 3:ダンパー(減衰機構)は、履歴形、流体形、粘弾性形に分類され、制振鋼構造に用いる履歴形ダンパーは、柱・梁で構成される主架構の耐力よりも小さくする。(免震・制振構造の設計)
〔R01 No.26〕建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.純ラーメン構造の場合、地震時の柱の軸方向力の変動は、一般に、中柱より外柱のほうが大きい。
2.鉄筋コンクリート造の腰壁付き梁の剛性は、腰壁と柱との間に完全スリットを設けた場合であっても、腰壁の影響を考慮する必要がある。
3.構造特性係数DSは、一般に、架構が靱性に富むほど小さくすることができる。
4.連層の耐力壁に接続する梁(境界梁)の曲げ耐力及びせん断耐力を大きくすると、一般に、地震力に対する耐力壁の負担せん断力が小さくなる。
解答 4:「連層耐力壁」は1階から最上階まで連続する耐震壁のことで、境界梁をつなぐことで建築物の浮き上がりを抑える。耐力壁の回転による基礎の浮き上がりを、基礎自重や境界梁などによる曲げ戻しによって抑える。連層耐力壁の境界梁の曲げ耐力およびせん断耐力を大きくするほど、建築物は転倒しにくくなる。その反面、地震力に対する耐力壁の負担せん断力は大きくなる。
(関連問題:平成25年1級学科4、No.26)
〔H30 No.24〕建築物の構造計画及び構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.鉄筋コンクリート造の建築物の腰壁と柱との間に完全スリットを設けることにより、柱の剛性評価において腰壁部分の影響を無視することができる。
2.高強度コンクリートや高強度鉄筋の実用化等により、高さ100mを超える鉄筋コンクリート造の建築物が建設されている。
3.鉄筋コンクリート造の多層多スパンラーメン架構の建築物の1スパンに連層耐力壁を設ける場合、連層耐力壁の浮上りに対する抵抗力を高めるためには、架構内の中央部分に設けるより、最外端部に設けるほうが有効である。
4.片流れ屋根の屋根葺き材の構造設計において、風による吹上げ力は、屋根面の中央に位置する部位より、縁に位置する部位のほうを大きくする。
解答 3:耐震壁の回転による基礎の浮き上がりに対しては、基礎自重や境界梁などによる曲げ戻しによって、抑え効果が期待できる。したがって、多層・多スパンラーメン構造の1スパンに連層耐力壁を設ける場合、転倒に対する抵抗力を高めるためには、架構内の最外縁部に配置するより中央部分に配置する方が有効である。
(関連問題:平成26年1級学科4、No.25、平成25年1級学科4、No.26、平成20年1級学科4、No.22)
〔H30 No.25〕建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.鉄骨造の建築物において、張り間方向を純ラーメン架構、桁行方向をブレース架構とする場合、方向別に異なる耐震計算ルートを採用してもよい。
2.鉄筋コンクリート構造において、部材のせん断耐力を計算する場合のせん断補強筋の材料強度は、JIS規格品の鉄筋であっても、せん断破壊に対する余裕度を確保するために基準強度の割増しはしない。
3.保有水平耐力は、建築物の一部又は全体が地震力の作用によって崩壊形を形成するときの、各階の柱、耐力壁及び筋かいが負担する水平せん断力の和としてもよい。
4.各階の保有水平耐力の計算による安全性の確認において、ある階の偏心率が所定の数値を上回る場合、全ての階について必要保有水平耐力の割増しをしなければならない。
解答 4:各階の保有水平耐力の計算による安全性の確認において、ある階の偏心率が所定の数値(0.15)を上回る場合は、当該階のみ必要保有水平耐力を割増し、その他の階は割り増す必要はない。(昭和55年告示第1792号)
〔H30 No.26〕建築物の構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.制振構造において、ダンパーのエネルギー吸収効率は、一般に、主架構とダンパーとの接合の構造形式を間柱型とするより、ブレース型とするほうがよい。
2.免震構造において、積層ゴムアイソレータの2次形状係数S2(全ゴム層厚に対するゴム直径の比)は、主に座屈荷重や水平剛性に関係する。
3.プレストレストコンクリート造の梁は、一般に、鉄筋コンクリート造の梁に比べて、地震後の残留変形が大きい。
4.コンクリート充填鋼管(CFT)構造の柱は、鉄骨構造の柱に比べて塑性変形能力が優れているため、軸力比制限や鋼管の幅厚比制限を緩和することができる。
解答 3:「残留変形」とは、物体に作用する外力を除外した後に残る変形のこと。プレストレストコンクリート造は、地震力に対する復元性に優れている。したがって、プレストレストコンクリート造の梁は鉄筋コンクリート造の梁に比べて、地震後の残留変形が小さい。(プレストレストコンクリート設計施工規準)
〔H29 No.25〕建築物の構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.鉄骨構造の筋かい付き骨組の保有水平耐力計算において、X形筋かいの耐力は、引張側筋かいの耐力と圧縮側筋かいの座屈後安定耐力とを合算して求めることができる。
2.鉄骨構造の筋かいに山形鋼を用いる場合、小規模な建築物を除き、山形鋼を2本使用し、ガセットプレートの両側に取り付け、偏心を小さくする。
3.鉄骨鉄筋コンクリート構造の柱脚を非埋込形式とする場合、柱脚の曲げ終局強度は、アンカーボルトの曲げ終局強度、ベースプレート直下のコンクリートの曲げ終局強度及びベースプレート周囲の鉄筋コンクリートの曲げ終局強度を累加して求める。
4.鉄骨部材の許容圧縮応力度は、材種及び座屈長さが同じ場合、座屈軸周りの断面二次半径が小さくなるほど大きくなる。
解答 4:圧縮材の座屈軸回りの断面二次半径が小さいほど、細長比は大きくなる。形状が細長い(細長比が大きい)ほど、許容圧縮応力度は小さくなる。鋼構造設計規準
(関連問題:平成22年1級学科4、No.15、平成25年2級学科3、No.16、平成21年2級学科3、No.17)
〔H28 No.24〕建築物の耐震計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.耐震計算を行う場合に用いるAiは、多数の地震応答解析結果の蓄積から、それらをまとめたものに基づき定められた、設計用層せん断力を求めるための高さ方向の分布を表す係数である。
2.各階の保有水平耐力計算において、偏心率が所定の数値を上回る場合又は剛性率が所定の数値を下回る場合には、必要保有水平耐力の値を割増しする。
3.鉄筋コンクリート造建築物の設計用一次固有周期Tを、略算法でなく固有値解析等の精算によって求める場合には、建築物の振動特性はコンクリートにひび割れのない初期剛性を用い、基礎や基礎杭の変形はないものと仮定する。
4.鉄筋コンクリート造建築物の必要保有水平耐力の計算において、一般に、柱・梁部材に曲げ破壊が生じる場合は、せん断破壊が生じる場合に比べて、構造特性係数DSを大きくしなければならない。
解答 4:「構造特性係数(Ds値)」は建物の変形性能(靭性;壊れ方の良さ)を示したもの。A、B、C、Dの4ランクで分けられ、Dが最も値が高く、変形性能が悪い。曲げ破壊はA、B、Cで、せん断破壊はDとなるので、せん断破壊を生じる場合の方が変形性能が悪く、構造特性係数(Ds値)は大きくなる。(昭和55年告示第1792号第4)
〔H28 No.26〕建築物の構造計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.アスペクト比(幅に対する高さの比)が大きい塔状の建築物の場合には、大地震時の転倒に対する抵抗力を増やすために、基礎構造を軽量化する。
2.構造形式や構造種別が異なる構造を併用する場合には、それぞれの構造形式や構造種別の特性を踏まえて計画する。
3.エスカレーターは、大地震時において、耐震ブレースのように挙動することによる破損や層間変形による脱落が生じないように計画する。
4.床の鉛直方向の固有振動数が10Hz以下となる場合には、振動に対する居住性の検討を行う。
解答 1:アスペクト比は幅Dに対する高さHの比(H/D)である。アスペクト比が大きくなると細長い建築物となり、4を超える塔状の建築物の場合、大地震時にその柱脚部に大きな転倒モーメントが生じることが想定される。このとき基礎の浮き上がりが生じると、耐力壁の剛性が生じ低下して負担できる地震力が低下するので、基礎構造は軽量化させないようにする。
〔H27 No.24〕建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.地震力を算定する場合に用いる鉄骨構造の建築物の設計用一次固有周期(単位秒)は、建築物の高さ(単位m)に0.03を乗じて算出することができる。
2.建築物の保有水平耐力を算定する場合、炭素鋼の構造用鋼材のうち、日本工業規格(JIS)に定めるものについては、材料強度の基準強度を1.1倍まで割増しすることができる。
3.水平力を受ける鉄筋コンクリート構造の柱は、軸方向圧縮力が大きくなるほど、変形能力が小さくなる。
4.「曲げ降伏型の柱・梁部材」と「せん断破壊型の耐力壁」により構成される鉄筋コンクリート構造の保有水平耐力は、一般に、それぞれの終局強度から求められる水平せん断力の和とすることができる。
解答 4:保有水平耐力は、建築物の一部又は全体が地震力の作用によって崩壊形を形成するときの、各階の柱、耐力壁及び筋かいが負担する水平せん断力の和としてもよい。しかし、靭性部材(曲げ降伏型の柱・梁部材)と脆性部材(せん断破壊型の耐力壁)とが混在して架構される場合、その保有水平耐力は脆性部材が破壊される変形レベルを想定して設計を行う。
(関連問題:平成30年1級学科4、No.25、平成26年1級学科4、No.24)
〔H27 No.25〕建築物の構造計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.平面形状が長方形の鉄骨構造の建築物において、短辺方向を純ラーメン構造、長辺方向をブレース構造とした場合、耐震計算ルートは両方向とも同じルートとする必要がある。
2.大きいスパンの建築物において、柱を鉄筋コンクリート構造、梁を鉄骨構造としてもよいが、異種構造の部材間における応力の伝達を考慮して設計する必要がある。
3.超高層建築物に作用する風圧力に対しては、風向と直交する方向及びねじれ方向の建築物の振動についても考慮する必要がある。
4.高層建築物の耐震設計において、地上階に比べて地下階のほうが平面的に大きな広がりがある場合、一般に、地上1階床面のせん断力の伝達を検討する必要がある。
解答 1:必ずしも同じルートにする必要はない。構造および規模によっては、短辺方向と長辺方向それぞれに別々の耐震計算ルートを用いることが出来る。例えば、「耐震計算ルート1」が適用できる鉄骨造において、短辺方向の純ラーメン構造は「ルート1」を、長辺方向のブレース構造には「ルート3」を用いることが出来る。
(関連問題:平成30年1級学科4、No.25、平成23年1級学科4、No.25)
〔H27 No.26〕建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.地下部分がある建築物の杭の地震時設計用外力の算定において、根入れ効果による水平力の低減を行った。
2.限界耐力計算における表層地盤による地震動の増幅特性は、「稀に発生する地震動」と「極めて稀に発生する地震動」とで異なるものとした。
3.地上5階建ての鉄骨構造の建築物において、保有水平耐力を算定しなかったので、地震力の75%を筋かいが負担している階では、その階の設計用地震力による応力の値を1.5倍して各部材の断面を設計した。
4.鉄筋コンクリート部材の変形能力を大きくするために、コンクリート強度及びせん断補強筋量を変えることなく主筋量を増やした。
解答 4:鉄筋コンクリート造の柱において、せん断補強筋量が規定値を満足している場合、主筋が多く配置されている程、曲げ抵抗力が大きくなり、粘りのある「曲げ破壊」をする前に、脆い「せん断破壊」を起こす恐れが生じる。したがって、一般に、主筋量が多く入っているほど、変形能力が小さくなる。
(関連問題:平成23年1級学科4、No.26)
〔H26 No.24〕建築物における各階の必要保有水平耐力Qun及び各階の保有水平耐力Quに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.Qunは、各階の変形能力を大きくし、建築物の一次固有周期を長くすると大きくなる。
2.Quは、建築物の一部又は全体が地震力の作用によって崩壊機構を形成する場合の各階の柱、耐力壁及び筋かいが負担する水平せん断力の和である。
3.Quの算出において、鉄筋コンクリート構造のスラブ付きの梁については、スラブの鉄筋による効果を考慮して、終局曲げモーメントを計算する。
4.Quの算出において、鉄筋コンクリート構造の梁の曲げ強度を算定する場合、主筋にJIS規格品のSD345を用いれば、材料強度を基準強度の1.1倍とすることができる。
解答 1:「必要保有水平耐力Qun」は、大地震時に対して安全を確保するために必要とされる各階の最小限の水平方向の耐力のこと。塑性変形能力を大きくすると、Qunは小さくなり、また一次固有周期の長短ではQunの長短は計れない。
(関連問題:平成21年1級学科4、No.24)
〔H26 No.25〕建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.鉄筋コンクリート造の建築物において、柱及び梁と同一構面内に腰壁やそで壁がある場合、耐力は大きいが、脆性的な破壊を生じやすい。
2.純ラーメン構造の中高層建築物において、地震時の柱の軸方向力の変動は、一般に、外柱より内柱のほうが大きい。
3.鉄筋コンクリート造の低層建築物において、最上階から基礎まで連続していない壁であっても、力の流れを考慮した設計によって、その壁を耐力壁とみなすことができる。
4.多層多スパンラーメン架構の1スパンに連層耐力壁を設ける場合、基礎の浮き上がりに対する抵抗性を高めるためには、架構内の最も外側に配置するより中央部分に配置するほうが有効である。
解答 2:純ラーメン構造の場合、地震時の内柱の軸方向力は、左右の梁に生じるせん断力の差になるので、外柱(隅柱)の方が軸方向力の変動は大きい。
(関連問題:令和元年1級学科4、No.26、平成11年1級学科3、平成10年1級学科3)
〔H25 No.21〕建築構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.耐震構造の建築物は、極めて稀に発生する地震に対して、倒壊・崩壊しないことが求められている。
2.建築物の内部にダンパーを組み込んだ制振構造は、多くの鉄骨造の高層建築物に採用されており、地震や風による振動の制御に効果を発揮する。
3.積層ゴム支承を用いた免震構造は、建築物の高さが低く、短周期で揺れる建築物に適しているので、高さ60mを超えるような超高層建築物には用いることはできない。
4.鉄筋コンクリート造の建築物において、高強度コンクリートや高強度鉄筋の実用化により、高さ100mを超える建築物が数多く建設されている。
解答 3:免震構造は、規模や用途にかかわらず、戸建て住宅や超高層建築物等、幅広く適用することが可能である。高さ60mを超える建築物であっても、耐久性等関係規定に適合し、かつ、国土交通大臣の認定を受けた構造方法であれば、免震構造にすることができる。 平成12年告示第2009年第二号、建築基準法施行令第81条1項
(関連問題:平成29年1級学科4、No.22)
〔H25 No.25〕建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.鉄骨造の建築物の必要保有水平耐力の検討に当たって、ある階の保有水平耐力に占める筋かい部分の水平耐力の割合が50%となる場合は、筋かいのない純ラーメンの場合に比べて、構造特性係数Dsを小さくすることができる。
2.各階の保有水平耐力の計算による安全確認において、一般に、偏心率が所定の数値を上回る場合や、剛性率が所定の数値を下回る場合には、必要保有水平耐力を大きくする。
3.耐力壁や筋かいを耐震要素として有効に働かせるためには、床に十分な面内剛性と耐力を確保する必要がある。
4.鉄骨造の建築物の限界耐力計算において、塑性化の程度が大きいほど、一般に、安全限界時の各部材の減衰特性を表す数値を大きくすることができる。
解答 1: 「構造特性係数」は、建築物の振動減衰性及び各階の靭性に応じて必要保有水平耐力を低減する係数であり、計算を行う階の架構の形式及び架構の性状によってその数値が規定されている。架構が靭性に富むほど、また減衰が大きくなるほど小さく出来る。ある階の保有水平耐力に占める筋かい部分の水平耐力の割合が50%となる場合は、筋かいのない純ラーメンの場合に比べて、構造特性係数Dsが大きくなる。(昭和55年告示第1792号第三、建築物の構造関係技術基準解説書)
〔H25 No.26〕建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.細長い連層耐力壁に接続する梁(境界梁)は、耐力壁の回転による基礎の浮き上がりを抑える効果がある。
2.平面的に構造種別が異なる建築物は、一般に、構造種別ごとにエキスパンションジョイントにより分離して個々に設計するほうがよい。
3.鉄筋コンクリート造の建築物の柱の剛性評価において、腰壁と柱とが接する部分に完全スリットを設ける場合は、腰壁部分の影響を無視してもよい。
4.積層ゴム支承を用いた基礎免震構造は、地震時において建築物に作用する水平力を小さくすることができるので、地盤と建築物との相対変位も小さくなる。
解答 4:「アイソレータ」は、建物重量を支持しつつ大きな水平力に追随でき、適度な弾性復元力を持つ免震構造の一つであり、積層ゴム支承、すべり支承、転がり支承に3分類される。このうち「積層ゴム支承」はゴムと鋼板を相互に積層させたもので、鉛直方向に高い高圧力を持つ。地震時において建築物に作用する水平力を小さくすることができるが、地盤と建築物との相対変位は大きくなる。
(関連問題:平成28年1級学科4、No.25、平成21年1級学科4、No.25、平成19年1級学科3、平成12年1級学科3)
〔H25 No.30〕次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.床の鉛直方向の弾性たわみを小さくすることは、一般に、床振動による障害を抑制する効果がある。
2.一般的な鉄筋コンクリート造の事務所建築物の場合、地震力計算用の地上部分の固定荷重と積載荷重の和は、床面積1m2当たり10〜15kN程度である。
3.鉄筋コンクリート造の床スラブに生じる長期たわみを小さくするには、一般に、スラブを厚くするよりコンクリートの強度を大きくするほうが効果がある。
4.鉄筋コンクリート造の建築物において、保有水平耐力を大きくするために耐力壁を多く配置すると、必要保有水平耐力も大きくなる場合がある。
解答 3:確かにコンクリート強度を大きくすると、僅かではあるがコンクリートのたわみは小さくなる。しかし、たわみはスラブ厚さの3乗に反比例するので、スラブを厚くする方が、たわみを小さくする効果がある。
〔H24 No.26〕構造計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.超高層建築物は、長周期成分が卓越する地震動に対して、低層建築物よりも影響を受けやすい。
2.構造特性係数DSは、架構が靱性に富むほど大きくなる。
3.鉄筋コンクリート構造の床スラブは、地震時に生じる面内せん断力に対する耐力や剛性についても考慮が必要である。
4.鉄筋コンクリート造の建築物で壁の多いものは、水平剛性及び水平耐力を大きくすることができるが、脆性的な壁のせん断破壊を生じやすい。
解答 2:「構造特性係数(DS値)」は、建築物の塑性変形能力により、必要な最大水平抵抗力(必要保有水平耐力)を低減させる要素である。構造特性係数は、
・架構が靭性に富むほど、また減衰が大きいほど、小さくできる。
・耐力壁・筋かいの割合が大きくなると、大きくなる。
・必要とされるDS値よりも、大きな値とすることができる。
(昭和55年告示第1792号第一)
(関連問題:令和元年1級学科4、No.26、平成26年1級学科4、No.26、平成23年1級学科4、No.24、平成20年1級学科3、No.21、平成19年1級、平成18年1級、平成16年1級)
〔H23 No.24〕建築物の構造計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.鉄筋コンクリート造の建築物における垂れ壁や腰壁の付いた柱は、垂れ壁や腰壁の付かない同一構面内の柱と比べて、靱性が高いと判断した。
2.圧密沈下が生じる可能性のある地盤において、不同沈下による障害を抑制するために、独立フーチング基礎の基礎梁を剛強にした。
3.高層建築物について、長周期地震動への対応としてダンパーを導入し、制振構造の建築物とした。
4.鉄骨造の純ラーメン構造の建築物の耐震設計において、必要とされる構造特性係数DSは0.25であったが、0.3として保有水平耐力の検討を行った。
解答 1:鉄筋コンクリート造の建築物における垂れ壁や腰壁の付いた柱は、それらの付かない同一構面内の柱と比べて、短柱となり、剛性が大きく、せん断破壊が生じやすくなる。このため、靭性が低くなると判断する。
(関連問題:平成26年1級学科4、No.25、平成17年1級学科3、平成12年1級学科3、平成11年1級学科3)
〔H23 No.25〕耐震計画上の基本的な事項に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.建築物の耐震性は、強度と靱性によって評価され、靱性が低い場合には、強度を十分に大きくする必要がある。
2.構造体の強度・靱性が同じ場合、一般に、建築物の全体の軽量化は、耐震性を向上させる。
3.各階で重心と剛心が一致しているが、剛性率が0.6未満の階があると、地震時にねじれ振動を起こし損傷を受けやすい。
4.鉄骨造の建築物の計画において、梁間方向を純ラーメン構造、桁行方向をブレース構造とする場合、方向別に耐震計算ルートを採用してもよい。
解答 3:各階で重心と剛心が一致している場合、地震時にねじれ振動を起こしにくくなる。設問文では「剛性率」を出しているが、剛性率は建築物の高さ方向における各階の剛性のバランスの指標であり、ねじれ振動とは直接的な関係はない。(建築基準法施行令第82条の6第二号)
(関連問題:平成29年1級学科3、No.11、平成26年1級学科3、No.12、平成22年1級学科3、No.13、平成20年1級学科2、No.09)
〔H23 No.26〕建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.鉄骨造の建築物の限界耐力計算において、塑性化の程度が大きいほど、安全限界時の各部材の減衰特性を大きく評価することができる。
2.耐震計算において、高さ10m、鉄筋コンクリート造、地上3階建ての建築物の場合、鉄筋コンクリート造の柱・耐力壁の水平断面積が所定の値を満足していれば、保有水平耐力の算出は行わなくてもよい。
3.層間変形角の確認において、構造耐力上主要な部分の変形によって建築物の部分に著しい損傷が生じるおそれのない場合には、層間変形角の制限値を1/120 まで緩和できる。
4.鉄筋コンクリート造の柱は、せん断補強筋量が規定値を満足する場合、主筋が多く入っているほど変形能力が大きい。
解答 4:鉄筋コンクリート造の柱において、せん断補強筋量が規定値を満足している場合、主筋が多く配置されている程、曲げ抵抗力が大きくなり、粘りのある曲げ破壊をする前に、脆いせん断破壊を起こす恐れが生じる。したがって、一般に、主筋量が多く入っているほど、変形能力が小さくなる。
(関連問題:平成27年1級学科4、No.26)
〔H22 No.25〕建築物の耐震・耐風計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.建築物の高さ方向の剛性や耐力の分布がやむを得ず不連続となる場合には、安易に耐力を割り増すのではなく、地震時の振動性状や崩壊過程を考慮して計画を進める。
2.耐震要素の平面的な配置は、バランスよく偏心が少なくなるように配慮するが、鉄筋コンクリート壁の防水性や遮音性も重要なので、偏心を少なくするために安易に壁を取り払うことは建築性能上好ましくない。
3.建築物の屋根周辺部や庇においては、局部風圧が小さいので、二次部材や仕上げ材の耐風に関する検討を無視することができる。
4.大地震・台風時の層間変形については、仕上げ材の変形性能が十分であることを確認し、階段・エスカレーターが筋かいのように働き、建築物の挙動に大きな影響を及ぼすことがないように配慮する。
解答 3:屋根や庇の局部風圧は、屋根面に生じる風圧力に加えて、突出部分の裏面からの吹き上げによる力が働き、大きな風圧力を生じることになる。そのため、二次部材や仕上げ材の耐風に関する検討を無視することはできない。(建築基準法施行令第87条、平成12年告示第1454号、建築物の構造関係技術規準解説書)
〔H22 No.26〕建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.高さが60mを超える建築物の構造方法は、荷重及び外力によって各部分に連続的に生じる力及び変形を把握し、安全性を確認したので、耐久性等関係規定への適合性の確認を省略した。
2.高さ31mの鉄筋コンクリート造の建築物において、偏心率が規定値を超えたので、保有水平耐力の確認を行った。
3.高さ13mかつ軒の高さ9mの2階建て、延べ面積500m2の鉄骨造の建築物において、偏心率が0.18となったが、梁スパン長さが6m以下であったので、標準せん断力係数C0を0.3として許容応力度計算を行った。
4.一次設計用地震力によって生じる各階の層間変形角が1/180なったので、 別途に、帳壁、内外装材、設備等に著しい損傷の生じるおそれがないことを確認した。
解答 1:高さが60mを超える建築物の構造方法は、
・時刻歴応答解析の実施、力及び変形が各部分の耐力及び変形の限度を超えないことを確かめる。
・国土交通大臣の認定を受ける。
・仕様規定は、耐久性関係規定のみ適合させる。
よって、「耐久性等関係規定への適合性の確認」を省略することはできない。(建築基準法施行令第81条第1項、同法施行令第36条第1項、建築物の構造関係技術規準解説書)
〔H21 No.24〕建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.地上6階建ての建築物(1階が鉄骨鉄筋コンクリート造、2階以上が鉄骨造)の構造計算において、2階以上の部分の必要保有水平耐力を、鉄骨造の構造特性係数DSを用いて計算した。
2.高さ25mの鉄骨鉄筋コンクリート造、地上6階建ての建築物の構造計算において、塔状比が4.9であり、剛性率及び偏心率の規定値を満足していたので、許容応力度等計算により安全性の確認を行った。
3.高さ30m、鉄骨鉄筋コンクリート造、地上7階建ての建築物において、外壁から突出する部分の長さ2.5mの鉄筋コンクリート造の片持ち階段について、その部分の鉛直震度を1.0Z(地震地域係数)として、本体への接続部も含めて安全性の検証を行った。
4.高さ30m、鉄骨鉄筋コンクリート造、地上7階建ての建築物において、3階の耐力壁の量が4階に比べて少ない計画とする必要があったので、3階の耐力壁の取り付かない単独柱については、曲げ降伏先行となるようにせん断耐力を高めた。
解答 2:設問文「高さ25m、鉄骨鉄筋コンクリート造、地上6階建ての建築物」の場合、許容応力度等計算(ルート2)とすることができる。しかし、設問文「塔状比が4.9」以下である場合、許容応力度等計算(ルート2)ではなく、保有水平耐力計算(ルート3)とする。告示(昭和55)第1791号
(関連問題:平成20年1級学科3、No.13)
〔H21 No.25〕建築物の耐震設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.上下層で連続する耐力壁の全高さと幅の比(全高さ/幅)が大きい場合、耐力壁の項部を剛性の高い梁で外周の柱とつなぐことによって、一般に、地震時にその耐力壁が負担する地震力の割合を高める効果がある。
2.積層ゴムアイソレータを用いた基礎免震構造は、地震時において建築物に作用する水平力を小さくすることはできるが、地盤と建築物の間の相対変位は大きくなる。
3.地震時に建築物に生じるねじれを抑制するためには、重心と剛心の位置が変わらない限り、耐力壁等の耐震要素を建築物の外周部に分散して配置するより、同量の耐震要素を平面の中心部に集中して配置したほうが有効である。
4.制振構造に用いられる鋼材や鉛などの履歴減衰型の制振部材は、履歴エネルギー吸収能力を利用するものであり、大地震時に小さな層間変形から当該部分を塑性化させることが有効である。
解答 3:地震時に建築物のねじれへの耐性を「ねじり剛性」という。ねじり剛性が大きいほど、ねじれに対する抵抗能力が大きく、ねじれに対して強い建築物といえる。このねじり剛性を大きくするには、耐震要素を外周部に分散し、バランスよく偏心が少なくなるように配慮する。
(関連問題:平成22年1級学科4、No.25)
〔H20 No.21〕建築物の耐震計算に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.剛節架構と耐力壁を併用した鉄筋コンクリート造の場合、柱及び梁並びに耐力壁の部材群としての種別が同じであれば、耐力壁の水平耐力の和の保有水平耐力に対する比βuについては、0.2である場合より0.7である場合のほうが、構造特性係数DSを小さくすることができる。
2.高さ60mを超える建築物について時刻歴応答解析により安全性の確認を行う場合、地震地域係数Zが同じ建設地であっても、一般に、表層地盤の増幅特性が異なれば、検討用地震波は異なる。
3.鉄筋コンクリート造の既存建築物の耐震改修工事において、柱の変形能力の向上を図る補強工法の一つに、炭素繊維巻き付け補強がある。
4.鉄筋コンクリート造の腰壁と柱の間に完全スリットを設けた場合であっても、梁剛性の算定に当たっては、腰壁部分が梁剛性に与える影響を考慮する。
5.地震時においては、応答加速度が上層ほど大きくなることを考慮して、一般に、地震層せん断力係数Ciを上層ほど大きくする。
解答 1:保有水平耐力計算において、剛節架構と耐力壁を併用した鉄筋コンクリート造の構造特性係数の算定は、①「柱及び梁」の部材群としての種別、②「耐力壁」の部材群としての種別、③耐力壁の水平耐力の和の保有水平耐力に対する比(β)から求められる。βが大きいことは、保有水平耐力の中に占める耐力壁の水平耐力が大きく、架構の変形能力が小さいことを表している。したがって、「耐力壁」及び「柱及び梁」の部材群としての種別が同じであれば、βについては0.2である場合よりも、0.7である場合の方が耐力壁量が増加するため、構造特性係数の数値は大きくなる。
(関連問題:平成30年1級学科4、No.14、平成23年1級学科3、No.14)
〔H20 No.22〕建築物の構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.鉄筋コンクリート造ラーメン構造の大梁の断面算定に当たっては、一般に、地震荷重時の応力として柱面位置での曲げモーメントを、断面検討に用いることができる。
2.プレストレストコンクリート造は、鉄筋コンクリート造に比べて長スパンに適しているが、一般に、ひび割れ発生の可能性が高く、耐久性は鉄筋コンクリート造より劣る。
3.屋根ふき材の設計に当たっては、一つの屋根平面内の中央に位置する部位より縁に位置する部位のほうが、風による大きな吹上げ力を用いる。
4.同一の建築物の基礎において、杭長に著しい差がある場合には、不同沈下による影響を検討する。
5.多スパンラーメン架構の1スパンに連層耐力壁を設ける場合、転倒に対する抵抗性を高めるためには、架構内の最外縁部に配置するより中央部分に配置するほうが有効である。
解答 2:プレストレストコンクリート造(PC造)は、鉄筋コンクリート造に比べて長スパンに適しており、ひび割れの可能性も低く、鋼材の防食性能に優れているので、耐久性も優れている。(プレストレストコンクリート設計施工規準)
〔H29 No.17〕鋼材ダンパーを用いた制振構造を採用した鉄骨造の建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.地震時に主架構を無損傷とする目的で、柱梁部材には建築構造用圧延鋼材SN490に比べて、基準強度が大きい建築構造用高性能鋼材SA440を用いた。
2.地震エネルギーを効率的に吸収させるために、鋼材ダンパーには建築構造用圧延鋼材SN400と比べて、伸び能力の優れた建築構造用低降伏点鋼材LY225を用いた。
3.制振効果を高めるために、鋼材ダンパーの主架構への取付け部の剛性を小さくした。
4.せん断パネルタイプの鋼材ダンパーについて、地震等による繰返し変形下の疲労に対して累積損傷度による検討を行った。
解答 3:「ダンパー」は地震入力エネルギーを吸収する免震構造であり、履歴型、流体型、粘弾性型がある。
鋼材や鉛等の金属製の履歴型ダンパーは、金属が塑性化する際のエネルギー吸収能力を利用するものであり、安定した復元力特性と十分な疲労強度が必要である。この性能を発揮するためには主架構への取付部の剛性を大きくする必要がある。(鋼構造制振設計指針)
〔H29 No.26〕免震構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.積層ゴムアイソレータを用いた免震構造は、一般に、水平地震動に対する免震効果はあるが、上下地震動に対する免震効果は期待できない。
2.長期荷重を受ける積層ゴムアイソレータの設計に用いる面圧は、支持軸力を積層ゴムの断面積で除した値とする。
3.転倒モーメントによりアイソレータに大きな引張軸力が生じる場合は、天然ゴム系の積層ゴムアイソレータを採用する。
4.天然ゴム系の積層ゴムアイソレータを用いた免震構造においては、アイソレータのみでは減衰能力が不足するので、オイルダンパーや鋼材ダンパー等を組み込む必要がある。
解答 3:「アイソレータ」は、建物重量を支持しつつ大きな水平力に追随でき、適度な弾性復元力を持つ免震構造の一つであり、積層ゴム支承、すべり支承、転がり支承に3分類される。このうち「積層ゴム支承」はゴムと鋼板を相互に積層させたもので、鉛直方向に高い高圧力を持つ。ただし、原則として引張力を生じさせず、水平方向に対しては大きな変形能力を持つ。転倒モーメントにより引張軸力が生じる場合は、引張力を負担できる免震装置と併用する。
(関連問題:平成24年1級学科4、No.24、平成16年1級学科3、平成12年1級学科3)
〔H28 No.25〕建築物の免震構造・制振構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.免震構造用の積層ゴムにおいて、積層ゴムを構成するゴム1層の厚みを大きくすることは、一般に、鉛直支持能力を向上させるのに有効である。
2.基礎免震構造は、大地震での上部構造に作用する水平力を小さくすることはできるが、免震層には大きな変形が生じる。
3.鋼材や鉛等の履歴減衰型ダンパーは、塑性化する際のエネルギー吸収能力を利用するものであり、安定した復元力特性と十分な疲労強度が必要である。
4.免震構造用のオイルダンパーや履歴減衰型ダンパーは、地震時に対する設計だけではなく、暴風時に対する設計も行う必要がある。
解答 1:「アイソレータ」は、建物重量を支持しつつ大きな水平力に追随でき、適度な弾性復元力を持つ免震構造の一つであり、積層ゴム支承、すべり支承、転がり支承に3分類される。このうち「積層ゴム支承」はゴムと鋼板を相互に積層させたもので、鉛直方向に高い高圧力を持つ。構成するゴム1層の厚みを大きくすると、圧縮時にゴム層が大きく沈んで横方向にはみ出し、鉛直支持能力が低下する。(免震構造設計指針)
〔H27 No.30〕免震構造及び制振構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.高さ60mを超える建築物であっても、耐久性等関係規定に適合し、かつ、国土交通大臣の認定を受けた構造方法であれば、免震構造にすることができる。
2.免震構造による耐震改修は、免震装置を既存建築物に設置し、建築物の固有周期を長くすることにより、建築物に作用する地震力を低減し、耐震性の向上を図るものである。
3.制振構造においては、履歴型ダンパーやオイルダンパー等の制振機構を設置することで、地震の入力エネルギーを制振機構に吸収させ、主架構の水平変形を抑制することができる。
4.せん断パネルを鋼材ダンパーとして架構に設置する制振構造は、原則として、せん断パネルは降伏しないように設計しなければならない。
解答 4:せん断パネル(粘弾性パネル)はせん断抵抗によって外部エネルギーを吸収し、骨組みの損傷を最小限に抑える。せん断パネルを鋼材ダンパーとして架構に設置する制振構造は、原則として、せん断パネルは降伏させるように設計しなければならない。
〔H24 No.24〕免震構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.中間層免震構造を採用したので、火災時を考慮して、免震装置に耐火被覆を施した。
2.超高層免震建築物の設計において、転倒モーメントにより柱に大きな引張軸力が生じるため、天然ゴム系のアイソレータを採用した。
3.基礎免震構造を採用したので、地震時における下部構造と上部構造との相対変位に対するクリアランスの確保に注意した。
4.天然ゴム系のアイソレータを用いた免震構造において、アイソレータだけでは減衰能力が不足するので、ダンパーを組み込んだ。
解答 2:「アイソレータ」は、建物重量を支持しつつ大きな水平力に追随でき、適度な弾性復元力を持つ免震構造の一つであり、積層ゴム支承、すべり支承、転がり支承に3分類される。このうち「積層ゴム支承」はゴムと鋼板を相互に積層させたもので、鉛直方向に高い高圧力を持つ。ただし、原則として引張力を生じさせず、水平方向に対しては大きな変形能力を持つ。転倒モーメントにより引張軸力が生じる場合は、引張力を負担できる免震装置と併用する。
(関連問題:平成29年1級学科4、No.26、平成16年1級学科3、平成12年1級学科3)
〔H21 No.30〕次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。
1.「限界耐力計算」においては、積雪、暴風及び地震のすべてに対して、極めて稀に発生する荷重・外力について建築物が倒壊・崩壊しないことをそれぞれ検証することが求められている。
2.「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「日本住宅性能表示基準」に規定される「耐震等級」において、等級1は、等級2に比べて、より大きな地震力に対して所定の性能を有していることを表示するものである。
3.高炉スラグを利用した高炉セメントを構造体コンクリートに用いることは、再生品の利用によって環境に配慮した建築物を実現することにつながる。
4.免震建築物が所期の性能を発揮する上で、免震層が正常に機能するように維持管理することは重要であるので、設計者は建築物の管理者に対して、このことを認識するように説明を行う必要がある。
解答 2:「住宅の品質確保の促進等に関する法律」において、耐震等級(損傷等級・倒壊防止共通)は等級1から等級3まで区分されている。
等級1:極めて稀に発生する地震力に対して
等級2:極めて稀に発生する地震力の1.25倍に対して
等級3:極めて稀に発生する地震力の1.50倍に対して
つまり、等級数が大きくなるにつれ、より大きな地震力に対して耐力が大きい。
(関連問題:平成29年1級学科4、No.30、平成26年1級学科4、No.30)
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