湿度は温熱環境4要素のうちのひとつで、温熱感覚を示すほとんどの指標で用いられている。
人は体温が高くなると汗を出して身体を冷やす。だが湿度が高いと発汗が進まずに体は冷却されないため、人は「熱い」と感じる。一般的に快適な湿度は40%〜60%である。
湿度は、絶対湿度と相対湿度で表される。
相対湿度 (%)
相対湿度は、ある空気中に含む事のできる最大(飽和)水蒸気量と、そこに含まれている水蒸気量の割合(%)である。
相対湿度 ( % ) = (水蒸気量 ( kg ) / 飽和水蒸気量 ( kg ) )×100
(出題:平成26年度No.3、平成24年度No.3)
飽和水蒸気量(ある空気が含む事のできる水蒸気量)は温度が高いほど多くなる。なので相対湿度は1日の中で変化し、日中は低くなり、夜間は高くなる。
通常体感湿度は、乾球温度と湿球温度の差で測定する。この差が大きければ、相対湿度は低い。(出題:平成23年度No.4、平成21年度No.3)
絶対湿度 (kg/kg’)
絶対湿度は、1kgの乾いた空気中に含まれている水蒸気の量(重さ:kg)を表す。
絶対湿度( g / m3 ) = 水蒸気量( kg ) / 乾いた空気 ( kg’ )
違いわかりますか? むかし僕はこれを理解するのに苦労しました。僕の好きなのチョコレートで例えると…
チョコレート 1粒 10g として、1 kg’ 入る箱に入れると、0.01 kg / 1 kg’ になります。
10個だと0.10 kg / kg’ になりますね。
これが「絶対湿度」と同等のイメージになります。
ただ単に、箱にチョコレートが何個・何kg入っているか分かります。この時に箱がいくら大きくても、チョコレートの重さは変わりません。
なので、1日の中で絶対湿度はあまり変化しません。
(出題:平成29年度No.10、平成27年度No.10)
また、この箱には最大1kg、つまり100個のチョコレートまで入れる事ができます。
これが「飽和水蒸気量」と同等のイメージです。
1個( 飽和水蒸気量)以上入れると溢れてしまう。このときチョコレートの重さ(飽和水蒸気量)は 1kg で相対湿度は 100% で、もし30個入っているとすると 30% になります。
例えが上手いとは言えませんが(笑)、下にいくつか練習問題を記します。
練習問題
Q1 気温27度の空気(飽和水蒸気量:25.8g)1kgの中に11.7gの水蒸気が含まれている。このときの絶対湿度と相対湿度は?
A1.1 →絶対湿度 = 11.7g
A1.2 →相対湿度 = ( 11.7g / 25.8g )×100 = 45.3%
Q2. 上記1の空気が32度(飽和水蒸気量:33.8g)まで上昇した。この時の絶対湿度と相対湿度は?
A2.1 →絶対湿度 = 11.7g
A2.2 →相対湿度 = ( 11.7g / 33.8g )×100 = 34.6%
Q3.上記1の空気が9度(飽和水蒸気量:8.8g)まで低下した。この時の絶対湿度と相対湿度は?
A3.1 →絶対湿度 = 8.8g
A3.2 →相対湿度 = ( 8.8g / 8.8g )×100 = 100%
※この時絶対湿度が8.8gまで下がったのは、水蒸気が空気の中に含む事ができずに 2.9g は水滴として生じることになる。
Q4.上記3の空気を元の27度(飽和水蒸気量25.8g )に戻すと、絶対湿度と相対湿度は?
A4.1 →絶対湿度 = 8.8g
A4.2 →相対湿度 = (8.8g / 25.8g )×100 = 34.8%
※A1.1の答えと異なりましたね。水滴として凝縮された水蒸気は戻らず、空気中に含まれる水蒸気量は8.8g となる。
出題:平成23年度No.4