参考資料集

沖縄の建築を楽しむー散策の視点

投稿日:2020年10月15日 更新日:

はいさい、沖縄出身の建築家、松川です。

沖縄も涼しくなってきました、皆さんはいかがお過ごしでしょうか?




沖縄の建築を楽しむー散策の視点

友人や知り合った方々から「沖縄は何度か行ったことある」と言われるのは何度もあり、とても嬉しく、ありがたい。

ただ、友人らの「沖縄」とは、私の生まれ育った沖縄ではなく、観光地としての沖縄である(出身ではないのだから、当然だ)。地元の人間が感じている沖縄の魅力を伝えるためには、生まれ育った「視点」、つまり「当たり前の日常生活で、ふと目に入ってくる景色」を伝えることが一番であると思っている。

この記事では、「沖縄の建築を楽しむー散策の視点」と題して、日常の暮らしに必ず視界の中に入ってくる沖縄の「建築物」を紹介していく。シリーズで紹介していくので、気になる記事だけ読んでもらっても構わない。1記事読むだけで、十分に沖縄旅行が楽しくなるだろうと確信している。

シリーズ1. 「屋根」
シリーズ2. 「建築材料」
シリーズ3. 「アメリカ」
シリーズ4. 「風と雨」
シリーズ5. 「墓」
シリーズ6. 「シンボル」

※現在執筆中です。変更する場合があります。

シリーズ1.「屋根」

私の沖縄のイメージ

沖縄のイメージといえば、何を思い浮かべるだろうか。「青い空、青い海」は冒頭によく出てくるフレーズであるが、私個人でいえば、

アメリカ、基地、平屋、天ぷら、沖縄そば、エイサー、首里城、サトウキビの収穫…

思い出していくとキリがないが、冒頭に「アメリカ、基地」が入ってくる理由は、反戦・反基地派というわけではなく、私の暮らしの風景のに必ずあるものが、米軍基地のフェンスだったからである。

というのも、小学校からの帰り道に米軍基地があり、放課後に家に帰るかたわら、必ず見ていた風景だから強く印象に残っている(余談ではあるが、基地だと思っていたのは米国総領事館であったと、高校生の時に気づいた)。

あ、本題の「屋根」に入らなきゃ。

さて、次に「平屋」と出たのは、大学で上京した際、あまりに三角屋根の住宅が多く、衝撃を受けた記憶があるからだ。正確には、「陸屋根」のことを指している。

沖縄といえば「赤瓦」と想像する方も多いと思う。ただ私は「平屋」の屋上に登って鬼ごっこやボール遊びなどをして、親や祖父に叱られた記憶が強くあるため、屋根といえば平たい陸屋根を想像する。

別シリーズで紹介するが、戦後から現在に至るまで「鉄筋コンクリート造」の家が大半の住宅を占めている。そのため、屋根は洗濯物を干したり、将来の増改築を見越しての陸屋根が多い。戦後の簡易住宅として、設計図がいらず、手作りの家も多いことも一因である。

外人住宅の屋根

https://riricoi.style/gaijinjuutaku02/より

外人住宅の屋根を見ると、陸屋根が多い。これも風景としては面白い。住宅にはブランコや、BBQセットが置いてあったり、フェンス越しにアメリカの生活を見ている気分で、ワクワクする。

ただ、外人住宅の解体工事を任されたことがあるが、あまりの脆さに、

「よくこんな構造で保ってられたな」

という感想が大きかった。多くが法律などを無視して作ったものなので考えられないくらい脆弱だった。確かに現在も利用されている外人住宅のほとんどは劣化が激しい。

赤瓦屋根

沖縄といえばこの屋根のイメージが強い。景観の中に赤瓦があるとほっこりする。沖縄県では赤瓦屋根を使用することを推奨しており、補助金もある程度はでる。

ただ、やっぱり高価なもの。

王朝時代は赤瓦の使用は士族の中でも上級者しか使用を認められていなかった。王令によって庶民は使用することは明確に禁じられている。

庶民も使用を認められるようになったのは明治以降である。庶民と言っても村の権力者しか使用できなかったようである。昭和に入ってから一般家庭にも用いられるようにはなったが、爆発的に広まったのは戦後である。

戦前の糸満。糸満は貿易、商業、夜の街として賑わっていた。

セメント瓦の屋根

戦後の沖縄において早急な課題は「食料と住宅」であった。

住宅不足の問題は全国的にあったが、地上戦が行われた沖縄では特に深刻であった。廃材をコンクリートの材料として用いたり、ツーバイフォーの工法を輸入してせっせと建てていく。高射砲の薬莢を壁の材料としている住宅もある。

さて、屋根。台風の多い沖縄では木造の建築物は「屋根の重さ」が重要である。アメリカは沖縄に駐留している中で大きな台風を何度も経験し、その度に対策を迫られる。

台風グロリアの影響。民政府本館

そこで赤瓦屋根を採用するが、一般住宅の屋根まで供給が間に合わない。そのために開発されたのがセメント瓦である。当時は何十社も生産工場があったが、現在は1社のみとなっている。

https://www.dee-okinawa.com/より

セメント瓦には製造した工場それぞれの模様が入っている。どんな模様が入っているのか見てみるのも楽しい。

角出し屋根

平屋や低層の建物によく見かける、屋根にある出っ張り。

実はこれ、今は意味のないものである。

「角出し屋根」と言われるもので、将来の増築のために鉄筋を保護するためのもの。増築するときに周りにあるコンクリートを除き、鉄筋を露出させて上階の柱に繋ぐのである。

ただし建築基準法の改正で、角出し屋根による増築は認められなくなってしまった。残念です。

2010年に施工した実例を載せているブログがあったので、とてもわかりやすく、参考になります。(https://zouchiku.ti-da.net/e2712991.html

最後に…。

いかがでしたか?沖縄の散歩は屋根を見るだけでも飽きずに楽しめます。週末に適当に車を降りて、知らない土地を歩くのも、おすすめです。

次回の記事もお楽しみ♪







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