2級建築士試験

2級建築士H29年度構造No.05を解説

投稿日:2019年10月31日 更新日:

 




2級建築士ー平成29年度構造No.05

2級建築士の力学の問題を解いてみました。できるだけ丁寧に解説するので、参考にしてください。 

 

〔No.5〕図のような外力を受ける静定トラスにおいて、部材A、B、Cに生じる軸方向力の組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。ただし、軸方向力は、引張力を「+」、圧縮力を「-」とする。

解説

今回の問題は「静定トラス」に関する問題です。 まず、下図のように全ての仮定の力(反力)を書く。

 

釣り合い式で反力を求める

上で書いた図をもとに、力の釣り合い式3式を用いて反力H1、V1、V2を求める。

ΣH = 0 (水平方向の釣り合い式)より、
1kN + 2kN + H1 = 0
これより、H= -3kN(左向き)・・・①

ΣV = 0 (鉛直方向の釣り合い式)より、
V+ V= 0・・・②

ΣM1 = 0 (モーメントの釣り合い式)より、
2kN×2m + 1kN×4m – V2×2m = 0
V2 = 8/2 = 4kN(上向き)・・・③

③を②に代入すると、
V1 + 4kN = 0
V1 = -4kN(下向き)・・・④

これで、部材全体に働く全ての力が分かりました。

ゼロメンバーを特定

さて、静定トラスに関する問題なので、「ゼロメンバー」を探します。この過程は問題によっては最初にやってものいいですね。

ゼロメンバーとは、圧縮・引張り力が生じていない部材のこと。 外力も反力も全部含めて「T字」になっている部材の「I」の部分がゼロメンバーとなる。 この問題においては、以下の場所がゼロメンバーとなる。

 

仮想切断を行う

静定トラスの問題では仮想切断a、b…を行い、各接点において釣り合い条件から軸方向力を求める。

C部材の軸方向力を求める

C部材を求めるためには、仮想切断c、d、eの順番で求めていく。

参考(読み飛ばし可能) :4問ほど同様の問題を解くと、どこを切断すると効率的かなど解く順番がわかってくる。参考までに、今回C部材を求めるためになぜ仮想切断c、d、eを選んだのか、考え方を簡単に記す。

1.C部材の軸方向力を求めるためには仮想切断eもしくはfなのは予測できる。しかし仮想切断fだと部材Aの軸方向力がわかっていないと求めることができない。なので、仮想切断eで考える。
2.仮想切断eより、赤線はゼロメンバーなので、釣り合う反対の部材、部材deを求める。
3.部材deを求めるためには、仮想切断dより、部材dbもしくは部材cdが求まればいい。
4.部材cdは仮想切断cの釣り合いから求められる。
5.以上を逆に計算していくと、部材Cの軸方向力が求められる。

 

仮想切断cにおいて、水平方向の釣り合い式より、
Ncd = 1kN (圧縮)

次に仮想切断dにおいて、1:1:√2の三角比から、
Ncd=1kNより、
Nde=1kN(圧縮)
Nbd=√2kN(引張)

そして仮想切断eにおいて、
Nc = Nde なので、
Nde = 1kN(圧縮)より、
Nc = 1kN(圧縮)
     = -1kN

A部材・B部材の軸方向力を求める

仮想切断bから部材Aと部材Bの軸方向力(Na、Nb)を求める。

それぞれ釣り合い式から、

ΣX=0 (水平方向)より、
2kN + Nb/√2 + Nbd/√2 = 0
Nbd = √2kN(圧縮) なので、
Nb = -3√2 kN(圧縮)

ΣY = 0(鉛直方向)より、
Na + Nbd/√2 – Nb/√2 = 0
Nbd = √2kN(圧縮) 、Nb = -3√2kN(圧縮)なので、
Na = 4kN(引張)

よって回答は、
Na=+4kN、Nb=-3√2kN、Nc=−1kNとなる。

関連・類似問題

2級建築士試験平成21年学科2、No.06
2級建築士試験平成22年学科2、No.05
2級建築士試験平成23年学科2、No.06
2級建築士試験平成24年学科2、No.06
2級建築士試験平成25年学科2、No.04
2級建築士試験平成26年学科2、No.05
2級建築士試験平成27年学科2、No.05
2級建築士試験平成28年学科2、No.05
2級建築士試験平成29年学科2、No.05
2級建築士試験平成30年学科2、No.05







-2級建築士試験

執筆者:

関連記事

前川國男(まえかわ・くにお)

前川國男はル・コルビジェに師事し、日本に近代建築をもたらした。丹下健三に多大な影響を与える。代表作品は東京文化会館、東京海上日動ビル本館、国際文化会館。建築士試験に出題される15人のうちの1人。 出題 …

コンクリート充填鋼管(CFT)構造

鋼管コンクリート構造 鋼管コンクリート構造は、柱・梁、または筋交い材の鉄骨部分に鋼管を用いる構造で、部材の断面形状により、 被覆形・充填形・充填被覆形 の3形式がある。 覆形鋼管コンクリートの場合、帯 …

建築基準法施行令108条の2

建築基準法施行令 第108条の2 不燃性能及びその技術的基準 不燃性能及びその技術的基準 第108条の2 法第2条第九号の政令で定める性能及びその技術的基準は、建築材料に、通常の火災による火熱が加えら …

no image

バリューエンジニアリング?ー建築士試験対策

VE(バリューエンジニアリング) 「VE(バリューエンジニアリング)」は、生産性・経済性を検討する具体的な手法として行われるもの。 工事費の低減提案や施工技術の研究を行う導入提案(VE提案)等であるが …

no image

令137条の4の3

建築基準法施行令 第137条の4の3 第137条の4の3 法第3条第2項の規定により法第28条の2(前条に規定する基準に係る部分に限る。第137条の12第3項において同じ。)の規定の適用を受けない建築 …

このサイトは寄付及び広告益の運営で、無料で閲覧・活用していただけます。より良いサイト構築のためにアドバイスをお願いいたします。

また、運営継続のための寄付をお願いいたします。
ご寄付のお願い