一級構造(その他の構造)

一級建築士試験分野別まとめ
構造
その他の構造

一級建築士学科試験
2023年7月23日(日)

令和05年度試験日まであと 日!

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一級建築士試験13年分
分野別まとめ

(平成20年度から令和02年度まで)

一級建築士
構造
その他の構造

〔R02 No.22〕「壁式鉄筋コンクリート造」及び「壁式ラーメン鉄筋コンクリート造」の建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.壁式鉄筋コンクリート造の建築物では、壁梁の幅を、壁梁に接している耐力壁の厚さと同じにすることができる。
2.壁式鉄筋コンクリート造の建築物では、直交壁の取り付いた耐力壁の曲げ剛性を評価する場合、直交壁の効果を考慮することができる。
3.壁式鉄筋コンクリート構造は、一般に、壁式ラーメン鉄筋コンクリート構造に比べて、軒の高さの高い建築物に適用することができる。
4.壁式ラーメン鉄筋コンクリート造の建築物では、張り間方向の外壁となる構面には最下階から最上階まで連続する連層耐力壁を設置する必要がある。

解答 3:壁式鉄筋コンクリート構造は、地上階数5階以下、軒の高さ16m以下、階高は3m以下までとする。これは靭性に乏しく、変形能力が小さいため、主として強度に頼る構造であるため規模も小さい。対して壁式ラーメン鉄筋コンクリート構造は、地上階数15階以下、軒の高さ45m以下と規模も大きい。
(関連問題:平成29年1級学科4、No.22平成25年1級学科4、No.20平成22年1級学科4、No.20、平成19年1級学科3、平成17年1級学科3、平成14年1級学科3)

〔R02 No.23〕各種建築構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.プレストレストコンクリート構造におけるポストテンション方式は、PC鋼材の周りに直接コンクリートを打設し、コンクリートが所定の強度に達した後にPC鋼材の緊張を行って、PC鋼材とコンクリートとの付着力により、コンクリートにプレストレスを導入するものである。
2.プレキャストプレストレストコンクリート造の床版では、周囲の梁との接合部を、長期及び短期に長じる応力を相互に伝達できるように計算する。
3.鉄骨鉄筋コンクリート構造の架構応力の計算では、鋼材の影響が小さい場合には、全断面についてコンクリートのヤング係数を用いて部材剛性を評価することができる。
4.コンクリート充填鋼管(CFT)造の柱では、梁から伝達されるせん断力の一部を充填コンクリートに負担させる場合、鋼管と充填コンクリートとの間で応力伝達ができるように設計する。

解答 1:「ポストテンション方式」は、コンクリート硬化後にPC鋼材を引張り、コンクリートの支圧によってプレストレス力を導入する。引張力に対してコンクリートが影響しないようにPC鋼材はシース管の中に入れ、その後シース内にグラウト材を充填してPC鋼材の腐食を防止する。これより、記述にある「PC鋼材とコンクリートとの付着力」によってプレストレス力を与えるものではない。

〔R01 No.22〕プレストレストコンクリート構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.プレキャスト部材を継ぎ合わせて、プレストレスにより圧着接合する場合、圧着部の継目に生じるせん断力は、摩擦抵抗機構のみで伝達するように設計する。
2.ポストテンション材の緊張材定着部では、コンクリートの支圧破壊を避けるために、耐圧板とコンクリート端面との接触面積が広くなるように設計する。
3.ポストテンション方式によるプレストレストコンクリート構造の床版において、防錆材により被覆された緊張材を使用する場合、緊張材が配置されたシース内にグラウト材を注入しなくてもよい。
4.プレストレストコンクリート部材に導入されたプレストレス力は、緊張材のリラクセーション等により、時間の経過とともに増大する。

解答 4:プレストレス導入以後、コンクリートは乾燥収縮と同時に「クリープ」を起こし、時間の経過とともに曲げ変形及び軸方向縮みが増大する。また許容引張応力度以下の引張応力が常時作用して「ラクセーション」を起こす。これらの原因によって導入プレストレスは時間の経過とともに減少する。(プレストレストコンクリート設計施工規準)
(関連問題:平成21年1級学科4、No.20)

 

 

〔H30 No.22〕壁式鉄筋コンクリート造の建築物の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.耐力壁の面外座屈に対する安全性を確保するために、鉛直支点間距離に対する耐力壁の厚さの比の最小値が規定されている。
2.使用するコンクリートの設計基準強度を高くすると、一般に、必要壁量を小さくすることができる。
3.階高が3.5mを超える場合は、保有水平耐力計算によって安全性を確かめる必要がある。
4.耐力壁の長さの算定において、住宅用の換気扇程度の大きさの開口は、補強をしなくても、開口がないものとみなすことができる。

解答 4:住宅用の換気扇程度の大きさの開口は、補強をしたものには開口がないものとみなすことができる

〔H28 No.22〕コンクリート系の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.プレキャスト部材を継ぎ合わせて、PC鋼材の緊張により圧着接合する場合、圧着部の継目に生じるせん断力は、摩擦抵抗機構のみで伝達するように設計する。
2.プレキャストプレストレストコンクリート造の床版と周囲の梁との接合部は、長期及び短期に生じる応力を部材相互に伝達できるように設計する。
3.プレストレストコンクリート造は、引張縁の状態によりⅠ種、Ⅱ種及びⅢ種に分類され、いずれも、常時作用している長期応力に対して、ひび割れの発生を許容し、ひび割れ幅を制御して設計する。
4.単純梁形式のプレストレストコンクリート合成梁は、一般に、引張応力の生じる部分をプレキャストプレストレストコンクリート部材とし、残る圧縮側部分を現場打ち鉄筋コンクリートとして、一体となって挙動するように設計する。

解答 3:プレストレスト鉄筋コンクリート(PRC)造の建築物では、長期設計荷重時に部材に生じる曲げひび割れの幅を制御した設計を行い、引張縁の状態によってⅠ種・Ⅱ種・Ⅲ種に分類している。そのうちのⅠ種とⅡ種は、設問の通り「曲げひび割れの発生を許容しない構造」であり、Ⅲ種は断面引張側に曲げひび割れの発生を許す構造になっている。その代わりに軽度のプレストレスの導入と引張側普通鉄筋によって、厳しいひび割れ幅制限を満足する設計とする。
(関連問題:平成30年1級学科4、No.23平成25年1級学科4、No.20)

〔H28 No.23〕各種建築構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.壁式構造は、地震その他の水平力に対して、耐力壁を主体にした強度抵抗型の構造であり、高い変形性能は期待できない。
2.鉄筋コンクリート構造において、鉄筋のA級継手(母材と同等並みの強度と剛性を有する継手)は、降伏ヒンジが形成される材端域の主筋に使用できるが、じん性が低下することを考慮する必要がある。
3.壁式鉄筋コンクリート構造と壁式プレキャスト鉄筋コンクリート構造は、一つの建築物の同じ階に混用することはできない。
4.ポストテンション方式のプレストレストコンクリート構造において、シース内に充填するグラウトは、PC鋼材の腐食の防止、シースとPC鋼材との付着の確保等を目的とする。

解答 3:壁式鉄筋コンクリート構造と壁式プレキャスト鉄筋コンクリート構造は、一つの建築物の同じ階に混用することができる。(平成13年告示第1026号 壁式鉄筋コンクリート造の建築物又は建築物の構造部分の構造方法に関する安全上必要な技術的基準を定める件)

 

 

〔H27 No.22〕プレストレストコンクリート構造の設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.不静定架構の大梁にプレストレス力を導入する場合、曲げ変形と同時に軸方向変形を考慮した不静定二次応力を計算しなければならない。
2.プレストレストコンクリート構造の種別は、長期設計荷重時に梁断面に生じる引張縁の状態によって、Ⅰ種、Ⅱ種及びⅢ種とされている。
3.プレストレストコンクリート構造は、鉄筋コンクリート構造に比べて長スパンに適しているが、一般に、ひび割れが発生する可能性が高く、耐久性は鉄筋コンクリート構造より劣る。
4.ポストテンション方式によるプレストレストコンクリート構造の床版において、防錆材により被覆された緊張材を使用する場合、緊張材が配置されたシース内にグラウトを注入しなくてもよい。

解答 3:プレストレストコンクリート構造は、プレストレスの導入によって、長期応力のもとで曲げひび割れを発生させず、コンクリートの前面が圧縮にも引張りにも有効に働く。鉄筋コンクリート造に比べて、大スパンの架構に適している。また、ひび割れの発生の可能性が低いことから、鋼材の防食にも優れ、耐久性はRC造よりも優れている。(プレストレストコンクリート設計施工規準)
 (関連問題:平成23年1級学科4、No.20平成20年1級学科4、No.22)

〔H25 No.20〕コンクリート系の構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.壁式鉄筋コンクリート造の建築物は、一般に、耐震強度は大きいが、優れたじんせいは期待できない。
2.壁式鉄筋コンクリート造の建築物において、層間変形角の確認及び保有水平耐力計算により安全性が確かめられた場合、階高は規定値を超えて計画することができる。
3.鉄筋コンクリート構造の架構の一部に、プレストレストコンクリート架構を併用することはできない。
4.プレストレスト鉄筋コンクリート(PRC)造の建築物では、長期設計荷重時に部材に生じる曲げひび割れの幅を制御した設計を行う。

解答 3:プレストレストコンクリート部材は、その力学的性質から大スパンの梁に適用され、その他の部分は通常の鉄筋コンクリートを用いるのが普通である。そのため、鉄筋コンクリート構造の架構の一部にプレストレストコンクリート架構を併用することができる。(プレストレストコンクリート設計施工規準)
(関連問題:平成21年1級学科4、No.20)

〔H21 No.20〕建築構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.プレストレストコンクリート部材に導入されたプレストレス力は、コンクリートのクリープやPC鋼材のリラクセーション等により、時間の経過とともに減少する。
2.同一架構において、プレストレストコンクリート部材と鉄筋コンクリート部材とを併用することができる。
3.地上4階建ての壁式鉄筋コンクリート構造において、許容応力度計算による検討を行う場合、4階の耐力壁のせん断補強筋比は、0.1%とすることができる。
4.壁式鉄筋コンクリート構造において、耐力壁に使用するコンクリートの設計基準強度を 18N/mm2から24N/mm2に変更すると、必要となる壁量を減じることができる。

解答 3:地上4階建ての壁式鉄筋コンクリート構造なので、下の表から0.20%となる。

 

 

〔H30 No.23〕建築構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.プレストレスト鉄筋コンクリート構造は、PC鋼材によってコンクリートにプレストレスを導入することにより、曲げひび割れの発生を許容しない構造である。
2.制振構造に用いられる制振部材のうち、鋼材ダンパーは、金属素材の塑性変形能力を利用したものである。
3.免震建築物の性能は、一般に、アイソレータとダンパーとの組合せによって決定され、ダンパーのエネルギー吸収量が少ないと免震層の応答変位が過大となることがある。
4.鉄筋コンクリート造の柱及び梁の主筋の継手に機械式継手を用いる場合、鉄筋径より継手部の外径のほうが大きくなるため、継手部に配置するせん断補強筋の外面から必要かぶり厚さを確保しなければならない。

解答 1:プレストレスト鉄筋コンクリート(PRC)造の建築物では、長期設計荷重時に部材に生じる曲げひび割れの幅を制御した設計を行い、引張縁の状態によってⅠ種・Ⅱ種・Ⅲ種に分類している。そのうちのⅠ種とⅡ種は、設問の通り「曲げひび割れの発生を許容しない構造」であり、Ⅲ種は断面引張側に曲げひび割れの発生を許す構造になっている。その代わりに軽度のプレストレスの導入と引張側普通鉄筋によって、厳しいひび割れ幅制限を満足する設計とする。
(関連問題:平成25年1級学科4、No.20平成22年1級学科4、No.22)

〔H29 No.22〕建築構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.プレストレストコンクリート構造におけるプレテンション方式は、PC鋼材を緊張した状態でその周りに直接コンクリートを打設し、コンクリートが所定の強度に達した後に緊張端の張力を解放して、PC鋼材とコンクリートとの付着によりプレストレスを導入するものである。
2.制振構造には、特定の層を柔らかく設計して、その層にダンパーを設置し、建築物に入力された地震エネルギーを効果的に吸収させる方法もある。
3.免震構造は、規模や用途にかかわらず、戸建て住宅や超高層建築物等、幅広く適用することが可能である。
4.壁式鉄筋コンクリート構造は、一般に、軒高が20mの地上6階建ての建築物においても採用することができる。

解答 4:壁式鉄筋コンクリート構造は、一般に、耐震強度(保有水平耐力)は大きいが、優れたじんせいは期待できない。 そのため高層の建築物には適さず、階数5以下、および軒高20m以下の建築物に採用することができる。(平成13年告示第1026号第一)
(関連問題:平成22年1級学科4、No.20)

〔H29 No.23〕合成構造及び混合構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.鉄骨梁と鉄筋コンクリートスラブとを頭付きスタッドを介して緊結した合成梁の曲げ剛性の算定に用いる床スラブの有効幅は、鉄筋コンクリート梁の曲げ剛性の算定に用いる床スラブの有効幅と同じとしてもよい。
2.デッキ合成スラブは、鋼製デッキプレートとその上に打設されるコンクリートとが一体となる構造で、面内せん断力の伝達も期待することができる。
3.コンクリート充填鋼管(CFT)構造の柱は、同一断面で同一板厚の鋼管構造の柱に比べて、水平力に対する塑性変形性能は高いが耐火性能は同等である。
4.鉄筋コンクリート構造のコア壁を耐震要素とし、外周部を鉄骨構造の骨組とした架構形式は、大スパン化による空間の有効利用に適している。

解答 3:「コンクリート充填鋼管(CFT)構造」は、円形もしくは角形鋼管にコンクリートを充填した柱・梁である。鋼管の塑性変型性能と、コンクリートの耐火性能・座屈抑制効果・座屈後の耐力低下の抑制などの特性が組み合わされ(コンファインド効果:相乗効果)、高い性能を発揮する。(コンクリート充填鋼管(CFT)造技術指針・解説)

各構造のイメージ(鹿島建設HPより)

(関連問題:平成30年1級学科4、No.26平成27年1級学科4、No.23平成26年1級学科4、No.20平成24年1級学科4、No.20)

 

 

〔H27 No.23〕各種建築構造等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.鉄骨鉄筋コンクリート構造の柱の短期荷重時のせん断力に対する検討に当たっては、鉄骨部分の許容せん断耐力と鉄筋コンクリート部分の許容せん断耐力との和が、設計用せん断力を下回らないものとする。
2.コンクリート充填鋼管(CFT)柱は、同じ径・同じ厚さの中空鋼管柱よりも局部座屈が生じにくく、座屈後の耐力低下も少ない。
3.壁式鉄筋コンクリート構造の耐力壁の小開口の隅角部において、開口縁の縦筋及び横筋に所定の鉄筋量を割り増して配筋することにより、ひび割れの拡大防止に有効な斜め筋を配筋しないことができる。
4.アンカーボルトは、引張力に対する支持抵抗力の違いにより、支圧抵抗型と付着抵抗型に分類される。

解答 1:設問の「鉄骨部分と鉄筋コンクリート部分の許容せん断耐力の和」は、累加強度式といい、せん断力に対する算定では用いない。鉄骨部分とRC部分の設計せん断力を別々で算定し、それぞれの短期許容せん断力以下であることを検討する。
(関連問題:平成28年1級学科4、No.14平成24年1級学科4、No.19平成23年1級学科4、No.19平成21年1級学科4、No.19)

〔H26 No.20〕建築構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.制振構造は、制振ダンパー等を用いて地震のエネルギーを吸収させるので、大地震時の建築物の変形を小さく抑えることができる。
2.第三種地盤において免震構造の構造設計を行う場合、建築物の高さにかかわらず、時刻歴応答解析により設計する必要がある。
3.壁式ラーメン鉄筋コンクリート造は、張り間方向を連層耐力壁による壁式構造とし、けた行方向を偏平な断面形状の壁柱と梁からなるラーメン構造とする構造である。
4.コンクリート充填鋼管(CFT)柱は、コンクリートが充填されていない同じ断面の中空鋼管の柱に比べて、剛性は高いが水平力に対する塑性変形能力が低い。

解答 4:「コンクリート充填鋼管(CFT)構造」は、円形もしくは角形鋼管にコンクリートを充填した柱・梁である。鋼管の塑性変型性能と、コンクリートの耐火性能・座屈抑制効果・座屈後の耐力低下の抑制などの特性が組み合わされ(コンファインド効果:相乗効果)、高い性能を発揮する。(コンクリート充填鋼管(CFT)造技術指針・解説)

各構造のイメージ(鹿島建設HPより)

(関連問題:平成30年1級学科4、No.26平成29年1級学科4、No.23平成27年1級学科4、No.23平成24年1級学科4、No.20)

〔H24 No.20〕建築構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.鉄筋コンクリート構造の梁において、圧縮側の鉄筋量を増やしてもクリープによるを小さくする効果はない。
2.直接基礎は、地震時の上部構造からの水平力に対し、液状化などの地盤破壊がなく、かつ、偏土圧等の水平力が作用していなければ、基礎底面と地盤との摩擦により抵抗できると考えられる。
3.鉄筋コンクリート造の建築物において、他の層と比べて剛性が低い層は、大地震時に大きな変形が集中するがあるので、当該層の柱には十分な強度やじんせいを確保する必要がある。
4.コンクリート充填鋼管(CFT)構造の柱においては、外周の鋼材によるコンファインド効果により、一定の要件を満足すれば、充填コンクリートの圧縮強度を、通常の鉄筋コンクリート造の場合よりも高く評価することができる。

解答 1:「圧縮鉄筋」は長期荷重によるたわみの防止、短期荷重に対するじん性の確保を役割とする。そのため、圧縮鉄筋の鉄筋量を増やすことは梁部材のクリープによるたわみの防止になる。(鉄筋コンクリート構造設計規準)
(関連問題:令和元年1級学科4、No.12平成28年1級学科4、No.11令和元年2級学科3、No.15平成30年2級学科3、No.14平成28年2級学科3、No.15平成21年2級学科3、No.16)

 

 

〔H23 No.20〕建築構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.積層ゴムアイソレータを用いた免震構造は、地震時において、建築物の固有周期を短くすることにより、建築物に作用する地震力(応答加速度)を小さくすることができる。
2.壁式鉄筋コンクリート造の建築物において、耐力壁の壁量が規定値に満たない場合、「層間変形角が制限値以内であること」及び「保有水平耐力が必要保有水平耐力以上であること」を確認する必要がある。
3.軒の高さ11m、補強コンクリートブロック造、地上3階建ての建築物において、耐力壁には、B種又はC種ブロックを用いる。
4.プレストレストコンクリート造は、一般に、鉄筋コンクリート造に比べて、ひび割れ発生の可能性が低い。

解答 1:「アイソレータ」は、建物重量を支持しつつ大きな水平力に追随でき、適度な弾性復元力を持つ免震構造の一つであり、積層ゴム支承、すべり支承、転がり支承に3分類される。このうち「積層ゴム支承」はゴムと鋼板を相互に積層させたもので、鉛直方向に高い高圧力を持つ。地震時において、固有周期を長くすることにより、建築物に作用する地震力を小さくすることができる。

〔H22 No.20〕建築構造に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.壁式鉄筋コンクリート構造は、一般に、鉄筋コンクリートラーメン構造に比べて、保有水平耐力が大きく、優れたじんせいも期待できる。
2.壁式ラーメン鉄筋コンクリート造は、張り間方向を連層耐力壁による壁式構造とし、けた行方向を偏平な断面形状の壁柱と梁からなるラーメン構造とする構造である。
3.コンクリート充てん鋼管(CFT) 柱は、コンクリートが充てんされていない同じ断面の中空鋼管の柱に比べて、水平力に対する塑性変形能力が高い。
4.プレストレストコンクリート構造におけるポストテンション方式は、コンクリートの硬化後、PC鋼材に引張力を導入することにより、コンクリートにプレストレスを与える方式である。

解答 1:壁式鉄筋コンクリート構造は、一般に、耐震強度(保有水平耐力)は大きいが、優れたじんせいは期待できない。 そのため高層の建築物には適さず、階数5以下、および軒高20m以下の建築物に採用することができる。(平成13年告示第1026号第一)
(関連問題:平成29年1級学科4、No.22)

〔H21 No.26〕建築物の構造計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.長い杭により支持される建築物の計画において、地下室を設けることは、一般に、杭の鉛直支持力に対する安全性を低下させるので好ましくない。
2.鉄骨造の多層骨組の建築物において、床を鉄筋コンクリートスラブとした場合には、一般に、各骨組に水平力を伝達するために、床スラブとこれを支持する鉄骨梁をシアコネクター等で緊結する必要がある。
3.梁が鉄骨造で柱が鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物を計画する場合は、一般に、柱鉄骨の曲げ終局強度が、梁鉄骨の曲げ終局強度に比べて著しく小さくならないように計画し、柱梁接合部における円滑な力の伝達を図る必要がある。
4.コンクリート充てん鋼管(CFT)構造の柱においては、外周の鋼材による拘束(コンファインド)効果により、一定の要件を満足すれば、充てんコンクリートの圧縮強度を、通常の鉄筋コンクリート造の場合よりも高く評価することができる。

解答 1:地下室を設けることで、支持杭の長さは短くなる。杭の長さが短ければ杭の建て入れ精度が高まり、また鉛直支持力に対する安全性についても影響は小さい。また、設問文に「長い杭」と記述されているので、地下に対しての影響はないと考える。

 

 

〔R02 No.30〕特定天井に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.高さが6mを超え、水平投影面積が200m2を超え、かつ単位面積質量が2kg/m2を超える天井は、天井の支持方式にかかわらず、特定天井に該当する。
2.天井脱落対策に係る技術基準では、稀に生じる地震動(中地震時)において天井が損傷しないことを検証することとしている。
3.既存建築物においては、落下防止措置としてネットやワイヤーにより一時的に天井の脱落を防ぐ方法も許容される。
4.免震建築物においても、特定天井については、天井脱落対策に係る技術基準が定められている。

解答 1:「特定天井」は、脱落によつて重大な危害を生ずるおそれがあるものとして国土交通大臣が定める天井をいう(建築基準法施行令39条)。国土交通省告示には「特定天井は、吊り天井であって、次の各号のいずれにも該当するものとする(平成25年告示771号)」とあり、吊り天井に限定しているため、文中「天井の支持方式にかかわらず」という記述が誤り。

〔R01 No.30〕建築物の構造計画及び構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.建築物の機能性、安全性、耐久性等の設計グレードを高く設定して、高品質を求めるのは必ずしもよい設計とはいえない。
2.建築物に作用する荷重及び外力には性質が異なるいろいろな種類があり、取扱いが難しいので、法規及び基規準は、荷重及び外力の数値を扱いやすいように便宜的に提示している。
3.建築物の高さ方向の剛性や耐力の分布が不連続になる場合には、剛性率に基づき安易に保有水平耐力を割り増すのではなく、地震時の振動性状や崩壊過程を十分に考慮して計画を進める必要がある。
4.構造物のモデル化において、実構造物により近い複雑な解析モデルを採用することは、計算精度が向上するので、解析結果の検証を省略できるという利点がある。

解答 4:「構造物のモデル化」は、構造解析時に用いられ、解析結果の検証においては、計画の精密さが求められる。このため、解析結果の検証を省略することはできない。(免震構造設計指針)

〔H30 No.30〕建築物の構造計画及び構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.建築物の耐震性を向上させる手段として、構造体の強度を大きくする方法、構造体の塑性変形能力を高める方法、建築物の上部構造を軽量化する方法等がある。
2.特定天井のうち、天井と周囲の壁等との間に隙間を設けない構造方法では、天井と壁等とが一体となって動くので、地震時における天井材の脱落に対する安全性の検討を省略することができる。
3.せん鉄の製造時に副生する高炉スラグを利用した高炉セメントを構造体コンクリートに用いることは、環境に配慮した建築物を実現することにつながる。
4.鉄筋コンクリート造の建築物の耐久性を向上させる手段として、コンクリートの設計基準強度を高く設定する方法、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さを大きく設定する方法等がある。

解答 2:「特定天井」の構造は「計算ルート」と「仕様ルート」がある。設問の「天井と周囲の壁等との間に隙間を設けない構造方法」は「仕様ルート」であり、天井の地震力を周囲の壁等で負担することにより損傷や脱落を防止する。天井面構成部材は、構造耐力上支障のある変形及び損傷が生じないことを確認する必要がある。(平成28年告示第791号、建築物の構造関係技術基準解説書)

 

 

〔H29 No.30〕建築物の構造設計に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.耐震性能の要求レベルを高くするために、建築主と協議のうえ、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「日本住宅性能表示基準」に規定される「耐震等級」を、等級3から等級1に変更した。
2.角形鋼管柱の許容曲げ応力度を、許容引張応力度と同じ値とした。
3.柱及び梁は、国土交通大臣が定めた構造方法によるプレキャスト鉄筋コンクリート造とし、直接土に接しない部分の鉄筋に対する最小かぶり厚さを2cmとした。
4.杭を鋼管杭とするに当たり、地盤が強い酸性ではなかったので、その鋼管の腐食代として厚さ1mmを見込んだ。

解答 1:「住宅の品質確保の促進等に関する法律」において、耐震等級(損傷等級・倒壊防止共通)は等級1から等級3まで区分されている。
等級1:極めて稀に発生する地震力に対して
等級2:極めて稀に発生する地震力の1.25倍に対して
等級3:極めて稀に発生する地震力の1.50倍に対して
つまり、等級数が大きくなるにつれ、より大きな地震力に対して耐力が大きい。
(関連問題:平成26年1級学科4、No.30平成21年1級学科4、No.30)

〔H28 No.30〕建築物の総合的な構造計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.建築物の耐火設計については、火災終了まで、建築物を崩壊・倒壊させないことを目標とする。
2.床の積載荷重や部材断面設計において、適度に余裕をもたせて設計することは、イニシャルコスト増となるが、一般に、建築物の寿命を延ばし、ライフサイクルコストの節減に結びつく。
3.平面が不整形な建築物をエキスパンションジョイントを用いて整形な建築物に分割すると、一般に、構造体の地震時の挙動が明確になるが、温度応力やコンクリートの乾燥収縮に対しては、不利になる。
4.中間階免震構造を採用し、免震層を居室として使用する場合、火災時を考慮して、免震支承に耐火被覆を施す。

解答 3:不整形な建築物は、地震力が作用したとき、各部の振動性の違いによって一体として作用しないとき、その接合部に応力が集中して被害を受けやすくなる。これを避けるため、エキスパンションジョイントを設けて整形な建築物に分割し、それぞれで設計を行う。また、このとき鋼材の温度応力やコンクリートの乾燥収縮に対しても考慮し、伸縮変動に対応させることができる。
(関連問題:平成28年1級学科4、No.30平成25年1級学科4、No.26平成24年1級学科4、No.30、平成19年1級学科3、平成18年1級学科3、平成12年1級学科3、平成10年1級学科3)

〔H26 No.30〕次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「日本住宅性能表示基準」に規定される「耐震等級」には等級1、等級2、等級3があるが、その数値が大きいほどより大きな地震力に対して、所要の耐震性能を有していることを示している。
2.鋼管杭については、腐食に対する措置として、腐食代を厚さ1mm程度見込む場合が多い。
3.鉄筋コンクリート構造の柱の帯筋は、せん断補強のほかに、帯筋で囲んだコンクリートの拘束や主筋の座屈防止に有効である。
4.鉄骨造の建築物において、大スパンの梁部材に降伏点の高い鋼材を用いることは、鉛直荷重による梁の弾性たわみを小さくする効果がある。

解答 4:ラーメン構造の弾性変形(たわみ)はヤング係数に反比例するが、鋼材のヤング係数は同じである。このため、例えば同一断面材を用いるとき、SN400材の代わりにSN490材を用いても、弾性変形を小さくすることはできない。
(関連問題:平成27年1級学科4、No.17平成20年1級学科3、No.16)

 

 

〔H24 No.30〕次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.幹線道路沿道の建築物であったので、災害時の交通に支障をきたすことがないように、自主的に耐震診断を行った。
2.構造設計に当たって、建築基準法を遵守して構造計算を行ったので、建築主の要求把握や目標とする性能の設定は省略した。
3.全長が長い開放型の鉄骨架構であったので、温度変化による伸縮を検討し、架構の中間にエキスパンションジョイントを設けた。
4.液状化の検討において、比較的新しい埋め立て地盤だけでなく、時間の経過した砂質地盤の湖沼埋め立て地についても検討を行った。

解答 2:構造計算にあっては、構造設計者は建築主の要求を十分に把握し、目標とする性能を建築主と設定する。その上で構造設計者は最もふさわしい構造種別、構造形式や使用材料など勘定して目標とする性能の骨組を設計し、設問の「建築主の要求把握や目標とする性能の設定」を省略することはできない。

〔No.30〕次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.建築物の基礎、主要構造部等に使用する木材、鋼材、コンクリートその他の建築材料として国土交通大臣が定めるものは、「国土交通大臣が指定する日本工業規格又は日本農林規格に適合するもの」又は「国土交通大臣の認定を受けたもの」でなければならない。
2.ボルト孔の径は、ボルトの径より2mmを超えて大きくしてはならないが、ボルトの径が20mm以上であり、かつ、構造耐力上支障がない場合においては、ボルトの径より3mmまで大きくすることができる。
3.鋼材の長期許容せん断応力度は、長期許容引張応力度の1/√3である。
4.プレキャストコンクリート柱・梁部材は、国土交通大臣が定めた構造方法による場合、鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さを3cm未満とすることができる。

解答 2:設問は「高力ボルト」の孔径における規定。「ボルト孔の径」は、ボルトの径より1mmを超えて大きくしてはならないが、ボルトの径が20mm以上であり、かつ、構造耐力上支障がない場合においては、ボルトの径より1.5mmまで大きくすることができる。(建築基準法施行令第68条4項)

〔H22 No.30〕建築物の構造設計において、構造設計者に期待される役割に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.構造設計者は、建築主の要求を十分に把握し、目標とする性能を建築主の合意を得て設定し、その上で最も相応しい構造種別、構造形式や使用材料等を勘案して設計する。
2.構造設計者は、具体的な骨組の断面と各部詳細を、施工性や経済性も十分に考慮して設計図書にまとめ、施工者へ設計意図を正しく伝達する。
3.構造設計者は、施工の段階においても設計意図が実現されていることを確認する必要があるが、供用期間中の維持管理の方法については、建築主の責任のため、建築主に任せるべきである。
4.構造設計者は、法の精神を遵守することはもちろん、時代の技術の研さんに努め、さらにそれらを発展させて設計に反映させ、建築物の質の向上に努める。

解答 3:構造設計者は、施工の段階においても設計意図が実現されていることを確認する必要がある。また供用期間中の維持管理の方法については建築主及び構造設計者双方の責任でもあり、建築主に任せるべきではない。

 

 

〔H21 No.26〕建築物の構造計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.長い杭により支持される建築物の計画において、地下室を設けることは、一般に、杭の鉛直支持力に対する安全性を低下させるので好ましくない。
2.鉄骨造の多層骨組の建築物において、床を鉄筋コンクリートスラブとした場合には、一般に、各骨組に水平力を伝達するために、床スラブとこれを支持する鉄骨梁をシアコネクター等で緊結する必要がある。
3.梁が鉄骨造で柱が鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物を計画する場合は、一般に、柱鉄骨の曲げ終局強度が、梁鉄骨の曲げ終局強度に比べて著しく小さくならないように計画し、柱梁接合部における円滑な力の伝達を図る必要がある。
4.コンクリート充てん鋼管(CFT)構造の柱においては、外周の鋼材による拘束(コンファインド)効果により、一定の要件を満足すれば、充てんコンクリートの圧縮強度を、通常の鉄筋コンクリート造の場合よりも高く評価することができる。

解答 1:地下室を設けることで、支持杭の長さは短くなる。杭の長さが短ければ杭の建て入れ精度が高まり、また鉛直支持力に対する安全性についても影響は小さい。また、設問文に「長い杭」と記述されているので、地下に対しての影響はないと考える。

〔H21 No.30〕次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.「限界耐力計算」においては、積雪、暴風及び地震のすべてに対して、極めて稀に発生する荷重・外力について建築物が倒壊・崩壊しないことをそれぞれ検証することが求められている。
2.「住宅の品質確保の促進等に関する法律」に基づく「日本住宅性能表示基準」に規定される「耐震等級」において、等級1は、等級2に比べて、より大きな地震力に対して所定の性能を有していることを表示するものである。
3.高炉スラグを利用した高炉セメントを構造体コンクリートに用いることは、再生品の利用によって環境に配慮した建築物を実現することにつながる。
4.免震建築物が所期の性能を発揮する上で、免震層が正常に機能するように維持管理することは重要であるので、設計者は建築物の管理者に対して、このことを認識するように説明を行う必要がある。

解答 2:「住宅の品質確保の促進等に関する法律」において、耐震等級(損傷等級・倒壊防止共通)は等級1から等級3まで区分されている。
等級1:極めて稀に発生する地震力に対して
等級2:極めて稀に発生する地震力の1.25倍に対して
等級3:極めて稀に発生する地震力の1.50倍に対して
つまり、等級数が大きくなるにつれ、より大きな地震力に対して耐力が大きい。
(関連問題:平成29年1級学科4、No.30平成26年1級学科4、No.30)

 

 

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投稿日:2020年4月20日 更新日:

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