参考資料集

木造軸組設置基準に関する問題解説(R03年学科4No.09)

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1級建築士試験R03年学科4No.09

〔R03 No.09〕図のような平面の木造軸組工法による平家建ての建築物において、建築基準法における「木造建築物の軸組の設置の基準」(いわゆる四分割法)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、図中の太線は耐力壁を示し、その軸組の倍率(壁倍率)は全て1とする。なお、この建築物の単位床面積当たりに必要な壁量は15cm/m2とする。

1.「X方向の北側の側端部分」及び「Y方向の東側の側端部分」の必要壁量は、いずれも2.4mである。
2.「X方向の南側の側端部分」及び「Y方向の西側の側端部分」の必要壁量は、いずれも1.2mである。
3.X方向の壁率比は、0.5である。
4.Y方向の壁率比は、0.5である。

解説

計算手順

木造建築物の軸組の設置の基準(平成12年告示第1352号)に則り、方向別に4分割して壁量充足率を求める。その後に壁率比を求めていく。

・各側端部分の「存在壁量」の計算(令46条4項表1の数値×壁の長さ)
・各側端部分の「必要壁量」の計算(令46条4項表2の数値×点線部分の面積)
・壁量充足率を求める(= 存在壁量/必要壁量)
・壁率比を求める(= 壁量充足率の小さい方/大きい方)

まずX方向の壁量充足率と壁率比を求める。

Y方向の壁の長さが8mなので、その側端部分は、8m×1/4=2mとなり、X軸方向では下図に赤点線で囲む。

この範囲の中で、X方向の壁量充足率を求める。

まず、存在壁量は令46条4項表1の数値(題意より1)に壁の長さを乗じたもの。必要壁量は令46条4項表2の数値(ここではAとする)に点線部分の面積を乗じて求める。

X = 存在壁量 / 必要壁量

X = 2m×2 / A × (2m×8m) = 1/4A = 0.25/A
X = 4m×2 / A × (2m×4m) = A

A=0.15なので、上記のうち必要壁量は、
X上(壁量) =A × (2m×8m) =2.4m(選択肢1)
X下(壁量) =A × (2m×4m) =1.2m(選択肢2)

次に上で求めた壁量充足率から、壁率比を求める。

壁率比 = 壁量充足率の小さい方/大きい方
= X / X
= 0.25 / 1
= 0.25(選択肢3)

Y方向の壁量充足率と壁率比を求める。

X方向と同様に、Y方向は壁の長さが8mなので、その側端部分は、8m×1/4=2mとなり、Y軸方向では下図に青点線で囲む。

この範囲の中で、X方向と同様にY方向の壁量充足率を求める。

Y = 2m×2 / A × (2m×8m) = 1/4A = 0.25/A
Y = 2m×2 / A × (2m×4m) = 1/2A = 0.5/A

A=0.15なので、上の式のうち必要壁量は、
Y右(壁量) =A × (2m×8m) =2.4m(選択肢1)
Y左(壁量) =A × (2m×4m) =1.2m(選択肢2)

次に上で求めた壁量充足率から、壁率比を求める。

壁率比 = 壁量充足率の小さい方/大きい方
= Y / Y
= 0.25 / 0.5
= 0.5(選択肢4)

よって、壁率比はX方向は0.25、Y方向は0.5である。

類似問題

平成30年1級学科4、No.10
平成29年1級学科4、No.10
平成27年1級学科4、No.10
平成26年1級学科4、No.09
平成24年1級学科4、No.09
平成23年1級学科4、No.09
平成21年1級学科4、No.10
平成20年1級学科3、No.11

平成30年2級学科3、No.12
平成29年2級学科3、No.11
平成26年2級学科3、No.11
平成24年2級学科3、No.11







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