建築基準法施行令
第108条の3
(耐火建築物の主要構造部に関する技術的基準)
第108条の3 法第2条第九号の2イ(2)の政令で定める技術的基準は、主要構造部が、次の各号のいずれかに該当することとする。
一 主要構造部が、次のイ及びロ(外壁以外の主要構造部にあっては、イ)に掲げる基準に適合するものであることについて耐火性能検証法により確かめられたものであること。
イ 主要構造部ごとに当該建築物の屋内において発生が予測される火災による火熱が加えられた場合に、当該主要構造部が次に掲げる要件を満たしていること。
(1)耐力壁である壁、柱、床、はり、屋根及び階段にあっては、当該建築物の自重及び積載荷重(第86条第2項ただし書の規定によって特定行政庁が指定する多雪区域における建築物の主要構造部にあっては、自重、積載荷重及び積雪荷重。以下この条において同じ。)により、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
(2)壁及び床にあっては、当該壁及び床の加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度(当該面が面する室において、国土交通大臣が定める基準に従い、内装の仕上げを不燃材料ですることその他これに準ずる措置が講じられている場合にあっては、国土交通大臣が別に定める温度)以上に上昇しないものであること。
(3)外壁及び屋根にあつては、屋外に火炎を出す原因となる亀裂その他の損傷を生じないものであること。
ロ 外壁が、当該建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が1時間(延焼のおそれのある部分以外の部分にあっては、30分間)加えられた場合に、次に掲げる要件を満たしていること。
(1)耐力壁である外壁にあつては、当該外壁に当該建築物の自重及び積載荷重により、構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないものであること。
(2)外壁の当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度(当該面が面する室において、国土交通大臣が定める基準に従い、内装の仕上げを不燃材料ですることその他これに準ずる措置が講じられている場合にあっては、国土交通大臣が別に定める温度)以上に上昇しないものであること。
二 前号イ及びロ(外壁以外の主要構造部にあっては、同号イ)に掲げる基準に適合するものとして国土交通大臣の認定を受けたものであること。
2 前項の「耐火性能検証法」とは、次に定めるところにより、当該建築物の主要構造部の耐火に関する性能を検証する方法をいう。
一 当該建築物の屋内において発生が予測される火災の継続時間を当該建築物の室ごとに次の式により計算すること。
tf=Qr/60qb
(この式において、tf、Qr及びqbは、それぞれ次の数値を表すものとする。
tf:当該室における火災の継続時間(単位 分)
Qr:当該室の用途及び床面積並びに当該室の壁、床及び天井(天井のない場合においては、屋根)の室内に面する部分の表面積及び当該部分に使用する建築材料の種類に応じて国土交通大臣が定める方法により算出した当該室内の可燃物の発熱量(単位 メガジュール)
qb:当該室の用途及び床面積の合計並びに当該室の開口部の面積及び高さに応じて国土交通大臣が定める方法により算出した当該室内の可燃物の1秒間当たりの発熱量(単位 メガワット))
二 主要構造部ごとに、当該主要構造部が、当該建築物の屋内において発生が予測される火災による火熱が加えられた場合に、前項第一号イに掲げる要件に該当して耐えることができる加熱時間(以下この項において「屋内火災保有耐火時間」という。)を、当該主要構造部の構造方法、当該建築物の自重及び積載荷重並びに当該火熱による主要構造部の表面の温度の推移に応じて国土交通大臣が定める方法により求めること。
三 当該外壁が、当該建築物の周囲において発生する通常の火災時の火熱が加えられた場合に、前項第一号ロに掲げる要件に該当して耐えることができる加熱時間(以下この項において「屋外火災保有耐火時間」という。)を、当該外壁の構造方法並びに当該建築物の自重及び積載荷重に応じて国土交通大臣が定める方法により求めること。
四 主要構造部ごとに、次のイ及びロ(外壁以外の主要構造部にあっては、イ)に該当するものであることを確かめること。
イ 各主要構造部の屋内火災保有耐火時間が、当該主要構造部が面する室について第一号に掲げる式によって計算した火災の継続時間以上であること。
ロ 各外壁の屋外火災保有耐火時間が、1時間(延焼のおそれのある部分以外の部分にあっては、30分間)以上であること。
3 主要構造部が第1項第一号又は第二号に該当する建築物(次項に規定する建築物を除く。)に対する第112条第1項、第6項から第10項まで及び第15項から第20項まで、第114条第1項及び第2項、第117条第2項、第120条第1項、第2項及び第4項、第121条第2項、第122条第1項、第123条第1項及び第3項、第123条の2、第126条の2、第128条の4第1項及び第4項、第128条の5第1項及び第4項、第129条第1項、第129条の2第1項、第129条の2の4第1項、第129条の13の2、第129条の13の3第3項及び第4項、第137条の14並びに第145条第1項第一号及び第2項の規定(次項において「耐火性能関係規定」という。)の適用については、当該建築物の部分で主要構造部であるものの構造は、耐火構造とみなす。
4 主要構造部が第1項第一号に該当する建築物 (当該建築物の主要構造部である床又は壁(外壁を除く。)の開口部に設けられた防火設備が、当該防火設備に当該建築物の屋内において発生が予測される火災による火熱が加えられた場合に、当該加熱面以外の面に火炎を出さないものであることについて防火区画検証法により確かめられたものであるものに限る。)及び主要構造部が同項第二号に該当する建築物(当該建築物の主要構造部である床又は壁(外壁を除く。)の開口部に設けられた防火設備が、当該防火設備に当該建築物の屋内において発生が予測される火災による火熱が加えられた場合に、当該加熱面以外の面に火炎を出さないものとして国土交通大臣の認定を受けたものであるものに限る。)に対する第112条第1項、第6項から第10項まで、第15項、第17項、第18項及び第20項、第122条第1項、第123条第1項及び第3項、第126条の2、第128条の5第1項及び第4項、第129条の2の4第1項、第129条の13の2、第129条の13の3第3項並びに第137条の14の規定(以下この項において「防火区画等関係規定」という。)の適用については、これらの建築物の部分で主要構造部であるものの構造は耐火構造と、これらの防火設備の構造は特定防火設備とみなし、これらの建築物に対する防火区画等関係規定以外の耐火性能関係規定の適用については、これらの建築物の部分で主要構造部であるものの構造は耐火構造とみなす。
5 前項の「防火区画検証法」とは、次に定めるところにより、開口部に設けられる防火設備(以下この項において「開口部設備」という。)の火災時における遮炎に関する性能を検証する方法をいう。
一 開口部設備が設けられる開口部が面する室において発生が予測される火災の継続時間を第2項第一号に掲げる式により計算すること。
二 開口部設備ごとに、当該開口部設備が、当該建築物の屋内において発生が予測される火災による火熱が加えられた場合に、当該加熱面以外の面に火炎を出すことなく耐えることができる加熱時間(以下この項において「保有遮炎時間」という。)を、当該開口部設備の構造方法及び当該火熱による開口部設備の表面の温度の推移に応じて国土交通大臣が定める方法により求めること。
三 開口部設備ごとに、保有遮炎時間が第一号の規定によって計算した火災の継続時間以上であることを確かめること。