平成30年度1級建築士-学科Ⅰ計画

平成30年度 学科Ⅰ(計画)
全20問掲載

一級建築士学科試験
2023年7月23日(日)

令和05年度試験日まであと 日!

〔H30 No.01〕建築士法に規定されている建築士の職責等に関する記述の A  D に該当する語句の組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。

解答 3:この問題は覚えるしかないですね。

建築士は「建築物の質の向上」に寄与し、「建築士の信用又は品位」を害するような「行為」をしてはならない。また「知識及び技能」の維持向上に努めなければならない。

建築士法2条の2
建築士法第21条の4
建築士法第22条第1項

〔H30 No.02〕日本における伝統的な木造建築物の屋根に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。 

1.組物はますと肘木との組合せをいい、肘木が壁から外に二段に出ている組物は舟肘木と呼ばれている。
2.瓦葺きは、仏教の伝来とともに伝わり、各地で様々な試行が行われ、江戸時代において桟瓦葺きが考案されている。
3.垂木は、一般に、唐様(禅宗様)では放射状に配置され、和様では平行に配置されている。
4.はね木は、の原理を利用して、長く突き出ている軒先を支えるために、軒裏から小屋組内に取り付けられる材をいう。

解答 1:設問文は二手先ふたてさき組物の説明。

舟肘木ふなひじきは船形の肘木で、柱の上に直接のせて軒桁を支える組物。

2.「本瓦葺き」は練った土を野地板の上におき、それを土台として瓦の角度や瓦同士の隙間を調整しながら葺いていく方法であり、平瓦と丸瓦の2種類を用いる。下地に「土」を用いるので重量が大きく、施工手間が大きい。
これを解決するために江戸時代に考案された日本独自の「桟瓦葺き」は野地板の上に設けられた桟木に瓦を引っ掛けて固定する工法で、施工性が高く、また不具合が出た部分も簡単に交換ができる。ただし、本瓦葺きと比べて防火性に劣る。

3.「唐様(禅宗様)」や「大仏様(天竺様)」では隅部分の垂木は、放射状に配置される扇垂木である。
その後の和様では平行垂木が用いられている。

4.「桔木」は、軒先を長く突き出すために軒先内部に配置し、軒先の重量を支える柱のこと。丸桁(がぎょう)の垂直上に天秤のように配置され、軒先内部に伸ばして軒荷重を支える側と、重さを相殺するために反対側の天井裏側にも伸ばしている。

〔H30 No.03〕住宅に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.マルセイユのユニテ・ダビタシオンは、ル・コルビュジエによって設計されたピロティのある高層の集合住宅であり、建築物内には住戸に加えて、店舗、ホテル、屋上庭園等の機能がある。
2.ヴァイセンホーフ・ジードルングは、ミース・ファン・デル・ローエが全体計画を行った実験住宅展で建築された住宅団地であり、「インターナショナル・スタイル」の成立に影響を与えたものである。
3.ムードンの住宅は、ジャン・プルーヴェによって設計されたものであり、アルミニウム等の材料が用いられている。
4.フランクリン街のアパートは、ルイス・サリヴァンによって設計された集合住宅であり、構造を鉄筋コンクリート造とした初期の集合住宅とされている。

解答 4:フランクリン街のアパート(1903年、パリ)は、オーギュスト・ペレー(仏)の設計である。


1.マルセイユの「ユニテ・ダビタシオン(Unité d’Habitation,1952-)」は、ル・コルビュジエによって設計されたピロティのある高層の集合住宅である。建築物内には家族用、単身用の住戸があり、その多くがメゾネット型住戸である。また上記の住戸に加えて、多用途の店舗やホテル、屋上庭園等の機能がある。一階のピロティは建築物全体を持ち上げる印象を持たせ、その太い柱の内部には配管がなされている。<a target=
2.ヴァイセンホーフ・ジードルングは、1927年のドイツ工作連盟主催の住宅展覧会で、シュトゥットガルト郊外ヴァイセンホーフの丘に建設された実験住宅群である。アメリカ建築家ミース・ファン・デル・ローエが全体計画を行い、実験住宅群の設計には17人の建築家が参加するモダニズム建築の実践の場となった。ヴァイセンホーフ・ジードルング
3.「ムードンの工業化住宅(Maisons industrialisées à Meudon)」は、 1950年から1952年にかけてフランスの都市ムードンのはずれの起伏のある変則地形の敷地に建設された、14棟のプレファブ住宅である。組積造基壇部によって傾斜面を修正し、木材とアルミニウム等の金属のパネルで規格化された住宅部品を組み立てる。これにより大量生産が可能で、大規模な住宅供給が実現できると期待される。ムードンの住宅

〔H30 No.04〕日本におけるスポーツ施設の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.屋外の野球場は、一般に、太陽光線の直射の影響を最小限とするため、本塁から投手板を経て二塁に向かう線を、東北東の方位に計画することが望ましい。
2.屋外のサッカー競技場は、一般に、冬期の風向きによる競技への影響を最小限とするため、競技のフィールドの長軸を、東西の方向に計画することが望ましい。
3.陸上競技場の観客席の勾配は、サイトライン(可視線)に配慮しつつ、観客が「競技者との一体感」や「競技の臨場感」を得られるように計画することが望ましい。
4.屋内の競技施設(アリーナ)は、施設の規模、想定される競技や大会のレベル等に応じて、自然採光・自然通風に配慮しつつ、空調設備・照明設備を設けることが望ましい。

解答 2:競技に支障がないよう、競技者の目に高度の低い太陽光(東西方向)が入らないように、長軸線を南北方向にとることが望ましい。
1.公認野球規則による。1920年に「南」と記載されたが、1956年からは「東北東」を推奨するようになった。
3.「サイトライン」とは、劇場等の客席・観覧席の人が、前列の人の頭または肩を越して視焦点を見ることのできる視野の限界線のことで、前後の客席・観覧席の位置・高低差を十分に考慮して計画する。観客席の勾配は大きければ大きいほど一体感・臨場感が生まれるが、サイトラインを確保するためには勾配を最大で34度とする。2019年の新国立競技場の観客席は、1層目が20度、2層目が29度、3層目が34度の勾配が付けられたすり鉢状の3層構造になっており、3段階の勾配があることで、どの席に座ったとしても、フィールドが近く感じられる工夫が施されている。


4.屋内の競技施設の計画では、開催され競技種目によって自然採光・自然通風の方式をとるか、空調設備・照明設備を利用するか選択できるように計画する。

〔H30 No.05〕事務所ビルにおけるコアの型とその一般的な特徴について、次の組合せのうち、最も不適当なものはどれか。なお、コアの型に示す図は平面略図であり、 コア はコアを示す。

解答 3:片コアは構造上の偏心が大きいことから高層建築物での採用は望ましくなく、比較的小規模な低・中層建築物で採用されることが多い。
1.センターコアは面積効率がよく、レンタブル比も大きくできる。2方向避難の計画は難しくなるが、耐震計画としては最も理想的である。
2.フロア貸し切りの場合には2方向避難の計画がしやすい。ただ、フロアを分ける場合はコア間に廊下を設ける必要があるため、レンタブル比が小さくなる。
4.コアと収益部分が分離されるため、収益部分が整形になり、自由な執務空間計画が可能となる。比較的小規模な低・中層建築物で採用される。

〔H30 No.06〕公共施設における床の材料又は仕上げに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.床の滑りの指標のうち、JISにおける高分子系張り床材試験方法に定める滑り性試験により測定される滑り抵抗係数(C.S.R)は、ほこりや水等の介在物によって変化する。
2.階段の計画に当たり、階段の滑りには踏面だけでなく段鼻の滑りも大きく影響することから、滑りにくい段鼻材を採用することが望ましい。
3.床材は、同一の床において滑り抵抗係数を変化させると高齢者のの防止が期待できることから、滑り抵抗係数に大きな差がある材料を複合使用することが望ましい。
4.建築物の出入口に設ける視覚障害者誘導用ブロック等は、金属製のものを使用する場合、雨滴によりスリップしやすいため、ノンスリップの加工があるものを採用する等の配慮をすることが望ましい。

解答 3:同一の床で滑りにくさを変えると、つまずきやすくなり、危険性が増す。そのため複数の床材を使用する場合、滑り抵抗係数は同一にするようにする。
1.滑り抵抗係数(CSR:Coefficient of Slip Resistance)とは「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」に基づくバリアフリー設計のガイドライン「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準」の改訂に伴って、床の滑りの評価指標とされた。履物の有無や種類、ほこりや、水分の付着の有無により滑りやすさは大きく異なるので、材料・仕上げの C.S.R 値等を確認するときは、床の使用時に想定される条件を考慮し、試験時の滑り片、試験片の表面状態を確認する。履物を履いて動作する床、路面はC.S.R=0.4以上、素足で動作し大量の水や石鹸水などがかかる床はC.S.R・B=0.7以上とする。
2.階段の段鼻には転倒の防止するため滑りにくい材料を使用する。


4.視覚障害者誘導用ブロックは樹脂製、金属製、コンクリート製など、様々な製品がある。屋外では耐候性があるものを使用するが、建物入り口に設けるブロックでは意匠性を考慮して金属製を使用する場合がある。この場合ノンスリップ型を採用する。

〔H30 No.07〕建築物等の各部の寸法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.排気量250ccクラスのオートバイの駐車場の計画において、平行駐車の1台当たりの駐車区画の寸法を、幅60cm、長さ230cmとした。
2.庁舎の車椅子使用者用受付カウンターの計画において、天板の高さを床面から70cmとし、下部に車椅子のフットレストが入るスペースを設けた。
3.多人数の成人が利用する男性用便所の計画において、隣り合うストール型小便器の中心間距離を、90cmとした。
4.事務所ビルの計画において、10席程度の会議室の内法寸法を、3.6m × 7.2mとした。

解答 1:比較的小型の50cc~250ccのオートバイの駐車場は、一台当たりの駐車スペースを900mm×2,300mm程度とする。ちなみに自転車の駐輪スペースは、700mm×1,900mm程度とする。
2.受付カウンターは一般用の高さを100~110cmとし、子供や車椅子使用者用は70~80cm程度とする。また、車椅子使用者を考慮してクリアランスを設け、高さ70cm程度、奥行45cm程度とする。


3.小便器を2つ以上並べて設置する場合は、中心間隔で700mm以上離し、隔て板を設けるのが望ましい。
4.会議室の面積は1席あたり2~5m2程度とする。設問の10席程度の場合、10×2~5=20~50m2程度。3.6m × 7.2m=25.92m2なので、OK。

〔H30 No.08〕造形に対する人間の知覚に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.黄金比は、その比率がもつ安定感から造形美を得るために古くから採用され、人体各部の寸法の比率がこれに近似するといわれている。
2.ゲシュタルト心理学の基礎概念においては、形や存在が認められる部分を「地」、その背景となる部分を「図」という。
3.線遠近法がつくりだす立体感の効果を建築物に応用することにより、奥行感を強めたり弱めたりすることができる。
4.建築物の立面が大きなスケールになると、軒線等の水平線がその中央部で垂れたように見えたり、柱等の垂直線が傾いて見えたりする現象が生じる。

解答 2:ゲシュタルト心理学においては、形や存在が認められる部分を「図」、その背景となる部分を「地」という。この「図」と「地」は主観によって逆転する。下の図形は木と動物が交互に見える。
1.黄金比は8頭身の人体比率に近似しており、ル・コルビュジエの「モデュロール」等にも使用されている。


3.線遠近法は、画面に直交すると想定される平行線を一点(消失点)に集束させて描く方法で、イタリア・ルネサンスで開発され、17~18世紀には数学・幾何学の進展とともに単純化・完成される。

4.設問文の通り、建築物のスケールが大きく・長くなると、水平線では垂れて見え、垂直線では傾いて見える。これを補正するため、ギリシャ建築では「エンタシス」、日本でも「胴張り」の手法がとられる。

〔H30 No.09〕宿泊施設における車椅子使用者用客室に関する次の記述のうち、「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(国土交通省)」に照らして、最も不適当なものはどれか。

1.客室の総数を250室と計画したので、車椅子使用者用客室を3室設けた。
2.客室の出入口の前後に、140cm角の水平な床のスペースを設けた。
3.客室内の浴室の出入口の有効幅員を、85cmとした。
4.ベッドの高さはマットレス上面で車椅子の座面と同程度とし、ベッドサイドキャビネットの高さはマットレス上面から10cm程度高くした。

解答 1:客室が50以上の場合は車椅子使用者用客室を1室以上設けなければならない。また客室が200以下の場合は総数に1/50を乗じた数以上とし、200を超える場合は1/100を乗じた数に2を加えた数以上とする。設問では250室なので、250×1/100+2=4.5なので、5室以上の車椅子使用者用客室を設けなければならない。
2.客室の出入口の規定として、①出入口の有効幅員は、80㎝以上とすることが望ましい、②出入口前後に車いす使用者が直進でき、回転できる空間(直径150㎝以上)を設けることが望ましい、としている。
3.客室内の浴室の出入口の有効幅員は、80㎝以上とする。
4.車いす使用者の利用に配慮して、高さはマットレス上面で、車いすの座面の高さ(40~45㎝)程度とすることが望ましい。ベッドサイドキャビネットの高さはマットレス上面から10cm程度高くする(規定条文のまま)。

〔H30 No.10〕都市再生の事例に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.小布施町(長野県)においては、明治時代に建築された黒漆喰仕上げの建築物を保存・改装し、この建築物を核とした街並み「黒壁スクエア」を中心にして観光振興によるまちづくりを行っている。
2.富山市(富山県)においては、持続可能なコンパクトシティの実現を目指し、LRT(Light Rail Transit)を導入することで、公共交通の活性化、公共交通沿線地区への居住促進、中心市街地の活性化等を図っている。
3.横浜市(神奈川県)においては、「クリエイティブシティ・ヨコハマ」の実現を目指し、歴史的建造物や鉄道高架下等を活用した文化芸術活動を支援するための拠点づくりを行っている。
4.環状第二号線新橋・虎ノ門地区(東京都)においては、道路の上空及び路面下において建築物等の整備を一体的に行うことができる「立体道路制度」を活用し、この地域における居住機能や文化・交流機能の導入、業務機能の質の高度化等を図っている。

解答 1:設問の「黒壁スクエア」は、滋賀県長浜市の旧市街が該当する。小布施町は「修景事業」に積極的に取り組み、住民参加のまちづくりガイドラインの「住まいづくりマニュアル」を作成している。

小布施町の「住まいづくりマニュアル」


2.「ニューアーバニズム」はアメリカで発達した都市設計であり、イギリスでは「アバンビレッジ」、ヨーロッパ・日本では「コンパクトシティ」などが同様の概念を持っている。市街地の無秩序な拡大を抑制しながら、都市地域の環境整備に重点を置き、環境的・経済的持続性を高める都市モデルである。富山市、熊本市、柏市などが先駆けて取り組んでいる。

3.「創造都市(クリエイティブ・シティ)」は横浜市(神奈川県)が目指す都市再生計画である。文化芸術の創造性を活かし、「文化芸術振興」や「経済振興」といったソフト施策と、「まちづくり」などのハード施策を一体的に取り組み、市民にとって誇れるまち、国内外から「選ばれる都市」として持続的に発展していくことを目指している。

4.参考ページ→道路内の建築物(立体道路制度)

〔H30 No.11〕都市計画に関連する用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.CBD(Central Business District)は、一般に、人口密度が4,000人/km2以上の国勢調査基本単位区等が互いに隣接し、それらの隣接した地域の人口が5,000人以上となる地域である。
2.TOD(Transit Oriented Development)は、公共交通機関の利用を前提として、過度に自動車へ依存しない持続可能な都市を実現する方法の一つである。
3.GIS(Geographic Information System)は、位置に関する情報をもつデータ(空間データ)を総合的に管理・加工したうえで、視覚的に表示し、分析や判断を可能にする技術である。
4.BID(Business Improvement District)は、一般に、地区内の不動産所有者や事業者等から徴収される負担金により、その地区のオープンスペース等の維持管理、治安の改善、マーケティング等を行うものである。

解答 1:設問はDID(人口集中地区:Densely Inhabited District)の説明。CBD(中心業務地区)は、市街地の中で、官庁・企業・商業施設などが集中する地区。インフラ整備が他の地域よりも高く、地下街が発達し利便性が高いが、地価が高く、夜間人口に比して、昼間人口がとくに多くなる傾向にある。
2.TOD(Transit Oriented Development)は「公共交通優先(指向)型都市開発」と邦訳する。LRT(路面電車)やバスなどの公共交通機関の利用を前提として、過度に自動車へ依存しない持続可能な都市を実現する方法の一つである。
3.GIS(Geographic Information System;地理情報システム)とは、地球上の地物や事象などの地理情報をコンピューターの地図上に可視化し、総合的に管理・加工したうえで、視覚的に表示し、分析や判断を可能にする技術である。GIS
4.「BID(Business Improvement District)」とは、まちづくりや地域活性化の制度のひとつで、1960年代にイギリスで始まり1980年代にアメリカに広まった。BIDの特徴は、BIDとして指定された区域内の受益者(事業主または土地や不動産所有者)全員にその活動資金を支払う「義務」が基本としてあるということ、そしてBID設立のために投票を行って多数決で決める。BIDの例:ニューヨークタイムズスクエア

〔H30 No.12〕車椅子使用者に配慮した集合住宅の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.駐車場からエントランスホールにアプローチする傾斜路の計画に当たり、車椅子使用者が自力で登ることができるように、勾配を1/16とした。
2.居間と寝室の計画に当たり、コンセントの中心高さを床面から20cmとした。
3.台所の計画に当たり、流し台・調理台の奥行きを60cmとし、作業効率に配慮してL字型に配置した。
4.浴室の計画に当たり、浴槽の深さを50cm、エプロンの高さを40cmとした。

解答 2:高齢者や車椅子使用者の便を考慮して、コンセントの中心高さは床面から約40cm程度とする。
1.建築基準法上のスロープ勾配の基準は1/8以下である。ただし、建築物移動等円滑化基準では1/12以下、建築物移動等円滑化誘導基準は1/12以下、屋外は1/15以下としている。ちなみに、車路のスロープ勾配は1/12以下。
3.流し台・調理台の奥行きは60cm程度で十分だが、流し台の奥にスペースが欲しい場合は70~100cm程度で計画する。作業効率が最もいいのはL型であり、シンク、コンロ、冷蔵庫の3点間距離の合計を3.6〜6.6mにおさめるのが理想的
4.車椅子使用者がエプロンに移乗することを考慮して、その高さは40~45cmとする。また浴槽は深すぎず、肩まで浸かれる50~55cm程度の深さが望ましい。

〔H30 No.13〕集合住宅に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.熊本県営りゅうじゃびら団地(熊本市)は、中庭や共用部に面して住戸ごとの土間やテラス等を設け、居住者同士が互いの生活を感じながら居住することができるように計画されている。
2.真野ふれあい住宅(神戸市)は、阪神・淡路大震災の被災者を対象に建築されたコレクティブハウジングであり、共同の食堂、台所等を設けて、居住者が生活の一部を共同で行うことが可能となっている。
3.世田谷区深沢環境共生住宅(世田谷区)は、木造平家建ての住宅団地の建替え事業により建築された公営の住宅であり、高齢者在宅サービスセンターを併設した、シルバーハウジング・プロジェクトを含むものである。
4.茨城県営六番池アパート(水戸市)は、三つの住棟、集会室及び中央広場で構成され、中央広場については、住戸又は集会室を介してアクセスする居住者専用のものである。

解答 4:設問は「熊本県営保田窪第一団地」の説明。

茨城県営六番池アパート」は、「タウンハウス」形式のモデル作品であり、3階建ての壁式鉄筋コンクリート造が並ぶ低層集合住宅である。2つのコモンスペース(中庭)と傾斜した屋根が特徴的。

茨城県営六番池アパート

(関連問題:平成28年1級学科1、No.13)
1.大小二つの三角形が組合わさった不整形な敷地を生かし、有効に利用するため2種類の住棟タイプで構成されている。平面的にも雁行し、広いテラスを積み重ねた段状タイプと、前面道路と団地内を視覚的に連続させ、周辺との一体化を図るため1階を全てピロティにしたタイプである。この2つの住棟タイプによって中庭がつくられている。全ての住戸には、この中庭を介してアプローチする。階段-廊下からテラス-土間-LDKに至るまで開かれた形で連続している。お互いの生活を感じ合う中から集まって住む意識を育むことを期待したものである。


2.真野ふれあい住宅は、1995年に発生した阪神淡路大震災後の、応急仮設住宅に入居をしていた高齢者が退居した後の住居としてを中心に入居しているコレクティブハウスである。
真野ふれあい住宅

http://sakuhin.info/japan/manohureai_house/より


3.世田谷区深沢環境共生住宅は、東京都から区へ移管を受けた住宅の建替えを契機に、福祉施設と併設を図る等、公有地を有効活用すると共に、国や都の事業を活用した環境共生住宅のモデル住宅として整備し、民間住宅等への啓発や普及を促進することが目的として設置された。

〔H30 No.14〕建築物に設けるサインの計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.サインの種別には、場所の名称を示す「位置サイン」、特定の場所への方角を矢印表示等で示す「誘導サイン」、利用者が行動を選択するために必要な情報を提供する「案内サイン」等がある。
2.サインの色彩は、高齢者、弱視者、色覚障がい者等に配慮して、「黄と白」、「赤と緑」等の色の組合せを用いないことが望ましい。
3.視距離1mから視認するサインの計画において、一般に、立位の利用者と車椅子を使用する利用者の双方に配慮して、床面からサイン表示面の中心までの高さを150cmとすることが望ましい。
4.視距離10mから視認するサインの計画において、サインの設置位置は仰角(水平からの見上げ角度)が10度を超えないようにすることが望ましい。

解答 3:床面からサイン表示面の中心までの高さを135cm程度が望ましい。これは目線が成人の場合155cm程度で、車椅子使用者は115cm程度なので、中間値の135cm程度となる。
1.サインには大きく分けて5つの種類に分けられる。
・案内サイン:大きな施設などの内部の位置関係を示す(多くは現在位置を表示)。
・誘導サイン:屋外に設置し、施設や店舗などの場所を示す(看板など)。
・記名サイン:施設名やピクトグラムなどを表示する(トイレ、非常口など)。
・説明サイン:施設に関して名称だけでなくある程度詳しい説明を記す(有料駐車場の料金案内など)。
・規制サインは、禁止事項や進入不可能であることを示す(禁煙、立ち入り禁止など)。
2.目のレンズにあたる水晶体は老化に加え、外界の誘発因子(紫外線)により次第に濁り始め、透明から黄色に、さらに褐色へと「白内障」が進行し、物がかすんで見えはじめ明るさが落ちてくる上に、景色が黄ばんだように見えてくる。例えば、白地に黄色で描かれた表示は見えにくく、青や緑は黒に近い色に見えてくる。 
4.遠くから視認できるサインは、視認位置から仰角10度より下の範囲内でできるだけ高い位置に掲出することが望まれる。

〔H30 No.15〕小学校を指定避難所として使用する場合の対応の方法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.避難した人が利用するマンホールトイレは、居住エリアから離れた人目に付きにくい場所に設置できるように計画することが望ましい。
2.屋外プールの水は、可搬式のポンプを用いて、トイレの洗浄水等に利用することができるように計画することが望ましい。
3.小学校の教育活動を早期に再開するために、避難所機能と教育機能の区画や動線が分けられるように計画することが望ましい。
4.備蓄倉庫は、行政の防災担当部局等と協議して、想定される災害に対して安全な場所に計画することが望ましい。

解答 1:マンホールトイレは災害時や屋外催物等に設置され、マンホールの上に便座と囲いを設ける簡易トイレである。利便性を考慮し、居住エリア近くとし、防犯性を考慮して人目のつきやすい場所に設置する。(関連問題:令和02年1級学科1、No.06)
2.プール水は非常時には消防用の水源として、また生活用水として使用することができる。このため、使用する時期以外でも水を貯めておく場合が多い。トイレなどの洗浄水として使用する場合であれば簡易的なポンプを用いて圧送するが、飲料水として利用する場合は特別なろ過機などの設置が必要となる。
3.災害発生後に学校施設を避難所として利用する場合、避難所運営と教育活動とがそれぞれ独立して行うことが必要となる。このため、教育活動を早期に再開するために,避難所機能と教育機能の区画や動線が分けられるよう計画することが重要である。なお,避難所となる場合の施設利用計画の策定に当たっては,冷暖房設備の整備された室などを,高齢者,障害者,妊産婦等の要配慮者の専用スペースとして計画することが重要である。(文部科学省、小学校施設整備指針H26.07)
4.備蓄倉庫の基準は各自治体で異なってくるので、防災担当部局等と協議して設置する。例えば、神奈川県伊勢原市立伊勢原小学校では避難者用と児童用でそれぞれ分けて設置している。静岡県藤枝市立藤枝小学校では市の防災備蓄倉庫を校庭まとめて設置している。三重県四日市市立橋北小学校は大津波を想定して、避難待機場所の屋上に近い校舎3階に備蓄倉庫を設けている。

〔H30 No.16〕幼保連携型認定こども園の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.園舎は、地上2階建てとし、園庭は園舎と同一の敷地内に設けた。
2.園児のための諸室として、ほふく室、保育室、遊戯室及び便所を設け、ほふく室と遊戯室を兼用する計画とした。
3.飲料水用設備を、手洗い用設備や足洗い用設備とは別に設けた。
4.食事の提供をすべき園児数を25人とする計画であったので、独立した調理室を設けた。

解答 2:乳児と幼児では活動能力が異なるため、幼児のためのほふく室と幼児用の保育室・遊戯室は明確に分離する。
1. 幼稚園の園舎は2階建以下が原則で、保育所や認定こども園には階数指定はない。ただし、乳児室、ほふく室、保育室、遊戯室、便所については、1階に設置することを原則とし、園舎が耐火建築物で保育所で求められている待避設備等(階段、待避上有効なバルコニー、転落防止設備等) を備える場合は、2階に設置することができる。園庭は原則設けるものとし、園舎と同一敷地、隣接させる。耐火建築物であることや防災に留意していること等の要件を満たしている場合は屋上利用も可能である。
3.飲料水設備、手洗用設備、足洗用設備はそれぞれ別で設置する必要がある。
4.調理室は20人以上で独立した調理室を必ず設置する。ただし外部搬入の場合は実態を踏まえて判断する。

〔H30 No.17〕次の建築物に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.東京国際展示場(通称:東京ビッグサイト)は、4本の巨大な柱によるスーパーストラクチャーによって支えられた「コングレスタワー」と呼ばれる会議棟が施設のシンボルとなっている。
2.福島県産業交流館(通称:ビッグパレットふくしま)は、楕円に近い形状をもつ「マザールーフ」と呼ばれる大屋根に特徴があり、「ビッグパレット」の由来となっている。
3.横浜国際平和会議場(通称:パシフィコ横浜)は、パーゴラのある中央広場を囲むように、劇場棟、展示棟及び会議棟が配置されており、屋根の形状については大空に羽ばたく鳳(おおとり)がイメージされている。
4.千葉県日本コンベンションセンター国際展示場(通称:幕張メッセ)は、シルエットが山並みをイメージさせる第Ⅰ期計画の建築物と、屋根形状が凹面から凸面に波のように変化する第Ⅱ期計画の建築物があり、これらがつくりだすスカイラインに特徴がある。

解答 3:設問は沖縄コンベンションセンターの説明である。

沖縄コンベンションセンター

横浜国際平和会議場」は横浜みなとみらい地区にある国際会議場・展示ホール・ホテルが併設された世界最大級の複合MICU施設である。貝・波・光・帆のイメージでそれぞれの建物を計画している。

パシフィコ横浜


1.「東京国際展示場(Tokyo International Exhibition Center)」は、株式会社東京ビッグサイトが運営するコンベンション・センターである。1989年に指名プロポーザル方式で設計が決められ、当初は100mを超える天空都市を構想していたが、現在の58mにまで抑えられている。東京ビックサイト
2.「福島県産業交流館(通称:ビッグパレットふくしま)」は、福島県郡山市にある多目的展示場と国際会議場からなる複合コンベンション施設である。郡山盆地に浮かぶ「一粒の水滴」が原イメージとなってデザインコンセプトが構築される。ビッグパレットふくしま
4.「千葉県日本コンベンションセンター(幕張メッセ)」は、千葉県千葉市美浜区にある日本最大級のコンベンション施設である。「国際展示場」「国際会議場」「幕張イベントホール」の3施設で構成され、様々なジャンルのイベントが開催されている。幕張メッセ

〔H30 No.18〕著作権に関する次の記述のうち、四会連合協定「建築設計・監理等業務委託契約約款」に照らして、最も不適当なものはどれか。なお、「成果物」は建築設計業務委託契約において受託者が委託者に提出した設計図書等の設計成果物とし、「本件建築物」は当該成果物を利用して完成した建築物とする。

1.本件建築物が著作物に該当する場合、当該著作権は受託者に帰属する。
2.委託者は、本件建築物が著作物に該当する場合であっても、当該本件建築物を写真、模型、絵画その他の媒体により表現し、利用することができる。
3.受託者は、成果物が著作物に該当する場合であっても、受託者の権利により、委託者の承諾を得ることなく、当該著作権を第三者に譲渡することができる。
4.受託者は、成果物によって第三者の著作権を侵害した場合、原則として、第三者に対して損害の賠償を行わなければならない。

解答 3:
建築設計では、着手から完成図面の仕上がりまで長期にわたる作業プロセスが必要で、これを通して制作される大量の文書・図面には、大きな知的財産の価値がある。これらの知的財産権の所在は度々紛争につながることがあるから、業務委託を行う場合はそれぞれのプロセスにおいて「契約書」に明記が必要となってくる。
ポイントは、
・業務の「委託者」と「受託者」の2者が権利関係を持つ。
例えば、基本設計段階の図面などは、委託者は施主Aで、受託者は設計者B。このため、この図面は設計者が権利を持つ。
この基本設計図書を基に実施設計の図書を「意匠設計図」「構造設計図」「設備設計図」の作成を別の専門の設計会社に委託した場合は、委託者は設計者Bで、受託者はそれぞれ意匠設計者C、構造設計者D、設備設計者Eとなる。
・施工段階において施工会社Fが自社にて施工図を作成した場合は、著作権は施工会社Fに帰属する。

四会連合協定「建築設計業務委託契約約款」


第4条〔権利・義務の譲渡等の禁止〕(設問3)
委託者及び受託者は、この契約により生じる権利又は義務を第三者に譲渡し、又は承継させてはならない。 ただし、あらかじめ相手方の書面による承諾を得た場合は、この限りでない。

第6条〔著作権の帰属〕 (設問1)
成果物又は成果物を利用して完成した建築物(以下「本件建築物」という。)が著作物(著作権法第2条第1号)に該当する場合(以下著作物に該当する成果物を「著作成果物」、著作物に該当する本件建築物を「本件著作建築物」という。)、その著作権(著作者人格権を含む。以下「著作権」という。)は、受託者に帰属する。

第7条〔著作物の利用〕(設問2)
(省略)2.委託者は、本件著作建築物を次の各号に掲げるとおり利用し、又は取り壊すことができる。
1.写真、模型、絵画その他の媒体により表現すること。
2.増築し、改築し、修繕し、又は模様替えすること。

第10条〔著作権等の保証〕(設問4)
乙は、設計業務の遂行方法及び成果物につき、著作権、特許権、実用新案権、意匠権、商標権その他日本国の法令に基づき保護される第三者の権利(以下本条において「著作権等」という。)を侵害した場合、その第三者に対して損害の賠償を行わなければならない。この場合において、委託者の指示につき委託者に過失あるときは、委託者は、その過失の割合に応じた負担をしなければならない。

〔H30 No.19〕各種マネジメント等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.不動産分野におけるデュー・デリジェンスは、不動産を取得する場合に、適正な価値やリスクを評価するために行う建築物の物理的状況調査、法的調査、経済的調査等の多角的な調査のことである。
2.建築物の企画段階におけるブリーフィングは、一般に、発注者及び関係者の要求、目的、制約条件を明らかにし、分析するプロセスであり、その成果物はブリーフと呼ばれている。
3.建築物の企画段階におけるフィージビリティ・スタディは、企画内容が事業経営上の観点で実行可能かどうかを確かめる検討作業である。
4.建築工事におけるファシリティ・マネジメントは、基本性能の維持を前提とした工事費低減の提案、工事施工者独自の施工技術の導入の提案等である。

解答 4:FM(ファシリティ・マネジメント)はアメリカで発案された経営手法のことで、「企業・団体等が組織活動のために、施設とその環境を総合的に企画、管理、活用する経営活動」という。設問4は「バリュー・エンジニアリング(VE)」に関する記述。
1.「デュー・デリジェンス」とは、企業の経営状況や財務状況などを調査すること。「Due(当然の、正当な)」「Diligence(精励、努力)」という意味で、不動産を取得する場合に、適正な価値やリスクを評価するために行う物理的状況調査、法的調査、経済的調査等の多角的な調査のことである。不動産・建築・ビジネス用語で使用される。
2.「ブリーフィング」とは、建築物の初期の企画段階において、一般に、発注者及び関係者の要求の内容、事業目的、制約条件などを明らかにし、分析するプロセスである。その成果物としての概要書を「ブリーフ」と呼ぶ。(日本・イギリスでは「ブリーフィング」、アメリカでは「プログラミング」と呼ぶ。)
3.「フィージビリティ・スタディ」とは、実現可能性調査と和訳され、計画されている内容が実現可能か、実施することに意義や妥当性があるかを多角的に、また事業経営の面からも調査・検討する作業である。計画前の予備調査、または都市計画などの上位計画との整合性、技術的課題、採算性などが調査対象となる。

〔H30 No.20〕図のような鉄筋コンクリート構造の柱において、建築工事建築数量積算研究会「建築数量積算基準」に照らして、積算上の1本の帯筋の長さとして、正しいものは、次のうちどれか。なお、帯筋はスパイラルフープではないものとする。

1.2,000 mm
2.2,120 mm
3.2,200 mm
4.2,400 mm

解答 4:コンクリート断面の周長が「積算上の1本の帯筋の長さ」となるので、600mm×4辺=2,400mmとなる。

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投稿日:2019年7月30日 更新日:

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