平成28年度1級建築士-学科Ⅲ法規

建築士過去問解説

一級建築士学科試験
2023年7月23日(日)

令和05年度試験日まであと 日!

*閲覧にあたって:出題当時の試験の問題を掲載しておりますので、特に法令改正や技術革新などによる設問や解答の不適合がある場合も、閲覧者ご自身でご確認の上でご利用願いします。必ずしも正確性を保証するものではありません。→当サイトの免責事項

〔H28 No.01〕次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

1. レストランの調理室は、「居室」である。
2.地上3階建ての共同住宅における2階の床及びこれを支持するに鉄筋を配置する工事の工程は、「特定工程」である。
3.建築物に設ける消火用の貯水槽は、「建築設備」である。
4.延べ面積2,000m2の警察署は、「特殊建築物」である。

解答 4:

1.法2条4号。居室とは、「居住、執務、作業、集会、娯楽その他これらに類する目的のために継続的に使用する室」と定義され、レストランの調理室は、継続的に作業を行う場として、居室と見なされる。

2.法7条の3第1項1号。「特定工程」とは、「階数が三以上である共同住宅の床及びはりに鉄筋を配置する工事の工程のうち政令で定める工程」をいう。いわゆる中間検査である。建築主は、特定工程に係る工事を終えたときは、建築主事の検査を申請しなければならず、中間検査合格証の交付を受けた後でなければ、当該特定工程後の工程に係る工事を施工してはならない。

3.法2条3号。建築設備とは、「建築物に設ける電気、ガス、給水、排水、換気、暖房、冷房、消火、排煙若しくは汚物処理の設備又は煙突、昇降機若しくは避雷針」と定義されている。

4.特殊建築物とは、防火上、もしくは周囲への公害を配慮して規制を高めた建築物のことで、法第2条1項二号法第27条法別表第1令115条の3令19条1項に指定される。警察署は、規模に関わらず特殊建築物には該当しない

〔H28 No.02〕面積、高さ又は階数に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

1.延べ面積1,000m2の建築物の電気設備室に設置する自家発電設備の設置部分の床面積が20m2の場合、当該部分の床面積については、建築基準法第52条第1項に規定する容積率の算定の基礎となる延べ面積に算入しない。
2.国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物については、その端から水平距離1m以内の部分の水平投影面積は、建築面積に算入しない。
3.前面道路の境界線から後退した建築物の各部分の高さの制限において、当該建築物の後退距離の算定の特例を受ける場合の「軒の高さ」の算定については、前面道路の路面の中心からの高さとする。
4.建築物の屋上部分に昇降機塔及び装飾塔がある場合で、それらの水平投影面積の合計が当該建築物の建築面積の1/8以下のものは、階数に算入しない。

解答 1:令2条1項四号において、容積率の算定の基礎となる延べ面積には、ただし書きの除外規定がある(令2条3項四号)。

3 第1項第四号ただし書の規定は、次の各号に掲げる建築物の部分の区分に応じ、当該敷地内の建築物の各階の床面積の合計(同一敷地内に2以上の建築物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)に当該各号に定める割合を乗じて得た面積を限度として適用するものとする。

一 自動車車庫等部分 5分の1

二 備蓄倉庫部分 50分の1

三 蓄電池設置部分 50分の1

四 自家発電設備設置部分 100分の1

五 貯水槽設置部分 100分の1

六 宅配ボックス設置部分 100分の1

よって、「延べ面積1,000m2の建築物の電気設備室に設置する自家発電設備の設置部分の床面積」は10m2を限度として算入しない。


2.令2条2号。建築面積とは、「建築物(省略)の外壁又はこれに代わる柱の中心線(省略)で囲まれた部分の水平投影面積による。ただし、国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離1m以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない。」

3.軒の高さは、地盤面から建築物の小屋組又はこれに代わる横架材を支持する壁、敷桁又は柱の上端までの高さによる。(令2条1項7号)。ただし、前面道路との関係についての建築物の各部分の高さの制限に係る建築物の後退距離の算定(法56条2項)においては、前面道路の路面の中心からの高さによる(令130条の12)。

4.昇降機塔、装飾塔、物見塔その他これらに類する建築物の屋上部分又は地階の倉庫、機械室その他これらに類する建築物の部分で、水平投影面積の合計がそれぞれ当該建築物の建築面積の8分の1以下のものは、当該建築物の階数に算入しない(令2条1項8号)。

〔H28 No.03〕都市計画区域内における次の行為のうち、建築基準法上、確認済証の交付を受ける必要がないものはどれか。ただし、防火地域、準防火地域又は建築等に関する確認済証の交付を受ける必要がない区域の指定はないものとする。

1.木造、延べ面積500m2、高さ8m、地上2階建ての共同住宅における、屋根の過半の修繕
2.鉄骨造、延べ面積80m2、平家建ての一戸建て住宅における、鉄骨造、床面積12m2、平家建ての附属自動車車庫の増築
3.商業地域内において、鉄筋コンクリート造、延べ面積300m2、地上2階建ての診療所(患者の収容施設があるもの)の、大規模の修繕又は大規模の模様替を伴わない 地域活動支援センターへの用途の変更
4.遊園地に設ける回転運動をする遊戯施設のうち、原動機を使用するメリーゴーラウンドの築造

解答 3:

1.主要構造部である「屋根」の「過半の修繕」は「大規模の修繕」である(法2条14号)。法6条1項1号から3号いずれかに該当する建築物が建築、大規模の修繕若しくは大規模の模様替を行う場合は確認済証の交付が必要とされる。法別表1(2)から「共同住宅」は特殊建築物と判断され、床面積200m2を超えているため、法6条1項1号に該当し、確認済証の交付が必要となる。

建築基準法第6条1項
一号 特殊建築物 床面積200m2を超えるもの
二号 木造 ・3階以上
延べ面積500m2を超える
高さ13mを超える
軒の高さ9mを超える
上のいずれかに当てはまるもの
三号 木造以外 ・2階以上
床面積が200m2を超える
上のいずれかに当てはまるもの

2.6条1項4号「都市計画区域、準都市計画区域、景観法、準景観地区内又は都道府県知事が関係市町村の意見を聴いてその区域の全部若しくは一部について指定する区域内における建築物」に該当し、建築はすべて確認済証の交付が必要となる。建築とは、法2条13条において「建築物を新築し、増築し、改築し、又は移転すること」と定義される。「増築」は、建築行為となり、規模・用途にかかわらず確認済証の交付を受ける必要がある。また、法6条2項に防火地域・準防火地域外において10㎡以内の増築・改築・移築は適用しないとあるが、設問で「防火地域、準防火地域又は建築等に関する確認済証の交付を受ける必要がない区域の指定はない」とあるので除外されない。

3.法6条1項一号特殊建築物に用途変更をする場合は、法6条を準用して確認済証の交付を受ける必要がある(法87条)。ただし、類似の用途相互間における用途変更は除くとしており(法87条かっこ書き)、診療所と地域活動支援センターはこれに該当する(令137条の18第三号令115条の3第一号令19条1項)。さらに第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域若しくは田園住居地域内にある場合は類似用途の除外がなされないが、「商業地域内」は該当しない。また、大規模の修繕または大規模の模様替えを行わないので、一号及び三号にも該当しない。よって確認済証の交付を受ける必要はない。

4.令138条2項3号により、メリーゴーラウンドは「昇降機、ウオーターシユート、飛行塔その他これらに類する工作物(昇降機等)」とされ、法88条の工作物への準用がなされ、法6条の確認済証の交付を要する。

〔H28 No.04〕次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

1.木造、延べ面積400m2、地上2階建ての共同住宅を新築する場合においては、当該建築主は、検査済証の交付を受ける前においても、指定確認検査機関が安全上、防火上及び避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたときは、仮に、当該建築物又は建築物の部分を使用し、又は使用させることができる。
2.地上3階建ての百貨店(3階における当該用途に供する部分の床面積の合計が 1,600m2のもの)の大規模の修繕の工事で、避難施設等に関する工事の施工中において建築物を使用する場合においては、当該建築主は、仮使用の認定に加え、あらかじめ、工事の施工中における建築物の安全上、防火上又は避難上の措置に関する計画を作成して特定行政庁に届け出なければならない。
3.延べ面積1,000m2、地上4階建ての事務所の敷地、構造及び昇降機以外の建築設備については、当該所有者(所有者と管理者が異なる場合においては、管理者)は、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は国土交通大臣が定める資格を有する者にその状況を調査又は検査をさせてその結果を特定行政庁に報告する必要はない。
4.建築物の用途の変更についての確認済証の交付を指定確認検査機関から受けた場合においては、当該建築主は、建築物の用途の変更に係る工事が完了したときは、当該指定確認検査機関に届け出なければならない。

解答 4:

1.法7条の6第1項により、法6条1項一号から三号に該当する場合、当該建築物の建築主は、検査済証の交付を受けた後でなければ、原則として、当該建築物を使用し、又は使用させてはならない。「木造、延べ面積400m2、地上2階建ての共同住宅」は法6条1項1号に該当するので、原則として、当該建築物を使用し、又は使用させてはならない。ただし、法7条の6第1項2号において「建築主事又は第七条の二第一項の規定による指定を受けた者が、安全上、防火上及び避難上支障がないものとして国土交通大臣が定める基準に適合していることを認めたとき」には、仮使用することができる。

2.法90条の3に「工事中における安全上の措置等に関する計画の届出」の規定があり、その対象建築物は令147条の2に指定されている。同条2号に「百貨店、マーケットその他の物品販売業を営む店舗又は展示場の用途に供する建築物で3階以上の階又は地階におけるその用途に供する部分の床面積の合計が1,500m2を超えるもの」とあり、設問は地上5階建ての百貨店(3階以上の階における百貨店の用途に供する部分の床面積の合計が1,600m2のもの)なので、計画書の届出が必要である。なお、特殊建築物で200m2以上なので法6条1項1号に該当し、避難施設等に関する工事なので、法7条の6の仮使用の認定も必要となる。

3.法12条1項の定期報告。第6条第1項第1号に掲げる建築物で安全上、防火上又は衛生上特に重要であるものとして政令で定めるもの(令16条1項)及び特定建築物で特定行政庁が指定するものの所有者は、これらの建築物の敷地、構造及び建築設備について、国土交通省令で定めるところにより、定期に、一級建築士若しくは二級建築士又は建築物調査員資格者証の交付を受けている者にその状況の調査をさせて、その結果を特定行政庁に報告しなければならない。延べ面積1,000m2、地上4階建ての事務所は令14条の2に該当しないので、定期報告の必要はない。

4.建築主は、第6条1項の規定による工事を完了したときは、工事を完了した日から4日以内に到達できるように建築主事に検査の申請をしなければならない。法6条1項への用途変更の準用は法87条1項に規定されており、「第7条第1項中「建築主事の検査を申請しなければならない」とあるのは、「建築主事に届け出なければならない」と読み替えるものとする。」とあるので、完了検査は必要なく、工事完了届を建築主事に届け出る。また、この準用規定には法7条の2は規定されていないので、指定確認検査機関ではなく、建築主事に届け出る。

〔H28 No.05〕次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

1.床が地盤面下にあり天井の高さが3mである階で、地盤面から天井までの高さが2m以下のものは、地階である。
2.高等学校における生徒用の階段で、避難階以外の階から避難階又は地上に通ずる屋外の直通階段の幅は、140cm以上としないことができる。
3.病院における病室の窓その他の開口部で採光に有効な部分の面積は、用途地域に関係なく算定することができる。
4.集会場の用途に供する床面積300m2の居室に、換気に有効な部分の面積が15m2の窓を設けた場合においても、所定の技術的基準に従って、換気設備を設けなければならない。

解答 3:

1.地階とは「床が地盤面下にある階で、床面から地盤面までの高さがその階の天井の高さの3分の1以上のものをいう。」令1条2号

2.高等学校における生徒用の階段の幅は140cmとしなければならない(令23条1項表(2))。ただし、屋外の直通階段は90cm以上とする(1項但し書き)。

3.居室における採光に有効な部分の面積は、開口部ごとの面積に、それぞれ採光補正係数を乗じた面積を合計して算定する(令20条1項)。この「採光補正係数」は、用途地域の区分に応じて算定する採光関係比率から求める

一号:第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域又は田園住居地域
二号:準工業地域、工業地域又は工業専用地域
三号:近隣商業地域、商業地域又は用途地域の指定のない区域



4.劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場の居室には、政令で定める技術的基準に従って、換気設備を設けなければならない(法28条3項、法別表1)。その「政令で定める技術的基準」とは令20条の2に示されており、機械換気設備(ロ)、中央管理方式の空気調和設備(ハ)、国土交通大臣認定(二)のいずれかにしなければならならず、自然換気(イ)は認められない。

〔H28 No.06〕防火区画等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、「避難上の安全の検証」は行われていないものとする。

1.準防火地域内においては、地上15階建ての事務所の12階部分で、当該階の床面積の合計が500m2のものは、原則として、床面積の合計100m2以内ごとに防火区画しなければならない。
2.1階を自動車車庫(当該用途に供する部分の床面積の合計が200m2)とし、2階以上の部分を事務所とする地上5階建ての建築物においては、当該自動車車庫部分と事務所部分とを防火区画しなければならない。
3.防火区画に接する外壁については、外壁面から50cm以上突出した準耐火構造のひさし、床、袖壁等で防火上有効に遮られている場合においては、当該外壁の所定の部分を準耐火構造とする要件が緩和される。
4.準防火地域内においては、延べ面積1,000m2、地上3階建ての共同住宅の各戸の界壁は、耐火構造とし、小屋裏又は天井裏に達せしめなければならない。

解答 4:

1.

2.

3.

4.長屋または共同住宅の各戸の界壁は、原則として、「準耐火構造」とし、天井を強化天井とした場合を除き、小屋裏または天井裏に達せしめなければならない(令114条1項)。なお、3階建て共同住宅は、所定の要件を満たせば「1時間準耐火基準の準耐火建築物」とすることができる(法27条1項平成27年告示第255号第1第1項二号)。また、準防火地域内の3階建てで、1,500m以下の建築物は、主要構造部が準耐火建築物(令107条の2)の基準に適合した「準耐火建築物」とすることができる(令136条の2第二号イ)。以上の規定より、主要構造部である界壁を「耐火構造」とする必要はない。

〔H28 No.07〕耐火建築物等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

1.防火地域内において、地下1階、地上2階建ての事務所を新築する場合は、耐火建築物としなければならない。
2.準防火地域内において、延べ面積1,000m2、地上3階建ての自動車車庫(各階を当該用途に供するもの)を新築する場合は、耐火建築物としなければならない。
3.準防火地域内において、延べ面積1,000m2、平家建ての倉庫を新築する場合は、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。
4.防火地域及び準防火地域以外の区域内において、延べ面積2,500m2、地上3階建ての学校を新築する場合は、耐火建築物としなければならない。

解答 4:「防火地域及び準防火地域以外の区域内」なので、法27条を確認する。法27条1項各号に該当する建築物においては、①大臣が定めた構造方法(令110条令110条の3)か、②大臣の認定(平成27年告示255号)を受けたもののいずれかにしなければならない。当建築物はいずれも該当するので、耐火建築物にする必要はない。

〔H28 No.08〕防火・避難に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

1.主要構造部準耐火構造としたバルコニーのない建築物で、当該建築物が全館避難安全性能を有するものであることについて全館避難安全検証法により確かめられたものにあっては、特別避難階段の階段室には、その付室に面する部分以外に屋内に面して開口部を設けることができる。
2.不燃材料として、建築物の外部の仕上げに用いる建築材料が適合すべき不燃性能に関する技術的基準は、建築材料に、通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後20分間、燃焼しないものであること」及び「防火上有害な変形、溶融、亀裂その他の損傷を生じないものであること」である。
3.防火構造として、建築物の軒裏の構造が適合すべき防火性能に関する技術的基準は、軒裏に建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後30分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)の温度が可燃物燃焼温度以上に上昇しないものであることである。
4.準耐火建築物は、耐火建築物以外の建築物で、「主要構造部準耐火構造としたもの」又は「主要構造部準耐火構造としたものと同等の準耐火性能を有するものとして所定の技術的基準に適合するもの」に該当し、外壁の開口部で延焼ののある部分に耐火建築物に求められるものと同じ防火設備を有する建築物をいう。

解答 1:「全館避難安全検証法」により、適用除外となる規定のなかに、設問の特別避難階段の階段室の開口部(令123条3項七号)は該当しない。よって特別避難階段の階段室には、バルコニー及び付室に面する部分以外に屋内に面して開口部を設けることはできない(令129条の2第1項)。

〔H28 No.09〕防火・避難に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、避難階は地上1階とし、屋上広場はないものとする。また、「避難上の安全の検証」及び「防火区画検証法」は行われていないものとし、国土交通大臣の認定は考慮しないものとする。

1.主要構造部耐火構造とした地上3階建ての共同住宅において、各階に住戸(1住戸の居室の床面積の合計が50m2)が5戸ある場合には、避難階以外の階から避難階又は地上に通ずる2以上の直通階段を設けなければならない。
2.建築基準法第22条第1項の市街地の区域内にある木造、延べ面積200m2、地上2階建ての共同住宅は、その外壁及び軒裏で延焼ののある部分を防火構造としなければならない。
3.各階を物品販売業を営む店舗の用途に供する地上4階建ての建築物(各階の床面積が400m2)においては、原則として、各階における避難階段の幅の合計を2.4m以上としなければならない。
4.換気設備の風道が準耐火構造の防火区画を貫通する場合において、当該風道に設置すべき特定防火設備については、原則として、火災により煙が発生した場合又は火災により温度が急激に上昇した場合に自動的に閉鎖するものとしなければならない。

解答 2:法22条区域内にある木造建築物等は、その外壁で延焼おそれのある部分を準防火性能に係る所定の技術的基準に適合する土塗壁その他の構造としなければならない。したがって、防火構造としなくてもよい(法23条)。

〔H28 No.10〕建築設備に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

1.管の外径が所定の数値以上である給水管、配電管その他の管が、準耐火構造の防火区画を貫通する場合においては、原則として、これらの管の当該貫通する部分及び貫通する部分からそれぞれ両側に1m以内の距離にある部分を不燃材料で造らなければならない。
2.各構えの床面積の合計が1,000m2の地下街における排煙設備の制御及び作動状態の監視は、中央管理室において行うことができるものとしなければならない。
3.高さ20mを超える建築物には、周囲の状況によって安全上支障がない場合を除き、有効に避雷設備を設けなければならない。
4.高さ31mを超える建築物において、高さ31mを超える部分を全て建築設備の機械室とする場合は、非常用の昇降機を設けなくてもよい。

解答 2:各構えの床面積の合計が1,000m2を超える地下街における排煙設備の制御及び作動状態の監視は、中央管理室において行うことができるものとする(令126条の3第1項十一号)。設問の地下街は、1,000m2を超えていないので、中央管理室において行わなくてもよい。

〔H28 No.11〕建築基準法第20条の規定が適用される新築の建築物に関する次の記述のうち、「確認申請書に添える構造詳細図又は使用構造材料一覧表に明示すべき事項」として、建築基準法施行規則上、誤っているものはどれか。ただし、確認申請書に添える他の図書には明示されていないものとする。また、国土交通大臣の認定は受けていないものとする。

1.鉄骨造の建築物における「使用構造材料一覧表」に明示すべき事項には、「構造耐力上主要な部分に用いる材料の種別」が含まれる。
2.鉄筋コンクリート造の建築物における「構造詳細図」に明示すべき事項には、「コンクリートの材料の種別及びコンクリートの骨材の種別」が含まれる。
3.鉄骨造の建築物における「構造詳細図」に明示すべき事項には、「構造耐力上主要な部分である接合部並びに継手及び仕口の構造方法」が含まれる。
4.鉄筋コンクリート造の建築物における「構造詳細図」に明示すべき事項には、「鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さ」が含まれる。

解答 2:建築基準法施行規則1条の3表2において、鉄筋コンクリート造は令3章第6節であり、「構造詳細図」に明示すべき事項には、「鉄筋の配置、径、継手及び定着の方法」及び「鉄筋に対するコンクリートのかぶり厚さ」を明示する。「コンクリートの材料の種別及びコンクリートの骨材の種別」は含まない。

〔H28 No.12〕構造強度に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

1.限界耐力計算を行う場合、構造耐力上主要な部分の断面に生ずる長期(常時及び積雪時)及び短期(積雪時及び暴風時)の各応力度が、それぞれ長期に生ずる力又は短期に生ずる力に対する各許容応力度を超えないことを確かめなければならない。
2.津波による災害の発生ののある区域においては、津波による外力に対して安全であることを確かめなければならない。
3.鉄骨造の建築物において、構造耐力上主要な部分である柱の脚部は、滑節構造である場合を除き、原則として、国土交通大臣が定める基準に従ったアンカーボルトによる緊結その他の構造方法により基礎に緊結しなければならない。
4.鉄骨造の建築物において、限界耐力計算によって安全性が確かめられた場合、構造耐力上主要な部分である鋼材の圧縮材の有効細長比は、柱にあっては200以下としないことができる。

解答 2:建築基準法39条において、「地方公共団体は、条例で、津波、高潮、出水等による危険の著しい区域を災害危険区域として指定することができる」と規定しているが、設問文「津波による外力」に関する安全確認の義務は規定していない。

〔H28 No.13〕構造強度に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

1.炭素鋼の構造用鋼材における、短期に生ずる力に対する引張りの許容応力度は、長期に生ずる力に対する引張りの許容応力度の数値の1.5倍の数値としなければならない。
2.径25mmの異形鉄筋における、短期に生ずる力に対する圧縮の許容応力度は、鋼材等の種類及び品質に応じて国土交通大臣が定める基準強度の数値を1.5で除して得た数値としなければならない。
3.木材の繊維方向における、短期(積雪時を除く。)に生ずる力に対する圧縮の許容応力度は、原則として、木材の種類及び品質に応じて国土交通大臣が定める圧縮に対する基準強度の数値に2/3を乗じて得た数値としなければならない。
4.ステンレス鋼の構造用鋼材における、長期に生ずる力に対する引張りの許容応力度は、鋼材等の種類及び品質に応じて国土交通大臣が定める基準強度の数値を1.5で除して得た数値としなければならない。

解答 2:径の大きさにかかわらず、異形鉄筋の短期に生ずる力に対する圧縮の許容応力度は、基準強度(F)である。(建築基準法施行令90条表二)

〔H28 No.14〕都市計画区域及び準都市計画区域内の道路等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

1.道路の上空に設ける病院の渡り廊下で、患者の通行の危険を防止するために必要であり、特定行政庁が安全上、防火上及び衛生上他の建築物の利便を妨げ、その他周囲の環境を害するがないと認め、あらかじめ建築審査会の同意を得て許可したものは、道路内に建築することができる。
2.土地区画整理法による新設の事業計画のある幅員6mの道路で、3年後にその事業が執行される予定のものは、建築基準法上の道路ではない。
3.土地を建築物の敷地として利用するため築造する延長が35mを超える袋路状の道について、特定行政庁からその位置の指定を受ける場合には、その幅員を6m以上とし、かつ、終端に自動車の転回広場を設けなければならない。
4.災害があった場合に建築する官公署の用途に供する応急仮設建築物の敷地は、建築基準法上の道路に接しなくてもよい。

解答 3:袋路状道路を築造する場合、令144条の4第1項一号から五号の基準に適合する必要がある。ただし一号についてはイ~ホのいずれかに該当すればよい。つまり、設問の「幅員を6m以上(ニ)」と「終端に自動車の転回広場(ハ)」は同時に適合しなくても許可を受けることができる。

https://hikari-k.info/より

〔H28 No.15〕図のような敷地において、建築基準法上、新築することができる建築物の容積率(同法第52条に規定する容積率)の最高限度は、次のうちどれか。ただし、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁の指定、許可等は考慮しないものとする。

1.42/10
2.48/10
3.50/10
4.55/10

解答 2:①容積率の限度は、法52条1項による都市計画で定められた容積率の限度と、2項による前面道路の幅員が12m未満の場合による用途地域別の容積率の限度を比較し、厳しい数値を用いる。
②敷地が特定道路から70m以内にあり、特定道路に接続する前面道路が6m以上12m未満の場合、前面道路に割増しをする。
Wa=(12-8.5)(70-20)/70=2.5m
よって前面道路幅員は8.5m+2.5m=11m
③敷地が容積率制限を受ける地域の2以上にわたる場合の延べ面積は、それぞれの地域ごとに算定したものの合計以下ととしなければならない(法52条7項)。
④商業地域:
 (ⅰ)敷地面積:40m×25m=1,000m2
 (ⅱ)指定容積率による限度:70/10
 (ⅲ)前面道路幅員による限度:11m×6/10(非住居系)=66/10
(ⅱ)よりも(ⅲ)の方が厳しいので、66/10を用いる。
よって、建築物の延べ面積の限度は、1,000m2×66/10=6,600m2
⑤第一種住居地域:
 (ⅰ)敷地面積:40m×25m=1,000m2
 (ⅱ)指定容積率による限度:30/10
 (ⅲ)前面道路幅員による限度:11m×4/10(住居系)=44/10
(ⅲ)よりも(ⅱ)の方が厳しいので、30/10を用いる。
よって、建築物の延べ面積の限度は、1,000m2×30/10=3,000m2

したがって、延べ面積の最高限度は、6,600m2+3,000m2=9,600m2
9,600m2/(40m×50m)=48/10

〔H28 No.16〕図のように、敷地に建築物を新築する場合、建築基準法上、A点における地盤面からの建築物の高さの最高限度は、次のうちどれか。ただし、敷地は平坦で、敷地、隣地及び道路の相互間に高低差はなく、門、塀等はないものとする。また、図に記載されているものを除き、地域、地区等及び特定行政庁による指定、許可等並びに日影による中高層の建築物の高さの制限及び天空率に関する規定は考慮しないものとする。なお、建築物は、全ての部分において、高さの最高限度まで建築されるものとする。

1. 31.5 m
2. 36.0 m
3. 43.5 m
4. 51.0 m

解答 2:
[道路斜線制限]
①2以上の前面道路の規定により、A点は南側道路幅員の2倍以下かつ35m以内にあるので、A点に対する東側道路の反対側の境界線までは、15mとみなされる(法56条6項令132条1項)。なお商業地域なので、法56条3項、4項の道路幅員による緩和は適用されない。
②A点は明らかに南側道路より、東側道路による斜線制限の方が厳しくなる。その後退距離は2mなので、道路の反対側の境界線までの水平距離は、5m+2m+15m+2m=24となる。(法56条2項)
③「適用距離」は、法56条1項一号法別表第3(は)により、前面道路の幅員が12m以上なので、法52条2項は適用されず、基準容積率の70/10となり、適用距離は30mとなる。②で水平距離が24mなので、適用範囲内にあり、道路斜線距離の適用を受けると判断する。
④商業系地域の斜線勾配は、1.5なので、道路斜線制限による最高限度は、
24m×1.5=36mとなる。

[隣地斜線制限]
①商業系地域の隣地斜線は、以下の式(法56条1項二号)、
隣地境界線までの水平距離+31mを超える部分の後退距離×2.5+31m
から求め、北側<西側道路なので、
(2m+3m+3m)×2.5+31m=51m
となる。

以上より、地盤面からのA点における建築物の高さの最高限度は、36mとなる。

〔H28 No.17〕建築物の用途の制限に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、用途地域以外の地域、地区等及び特定行政庁の許可等は考慮しないものとする。

1.第一種低層住居専用地域内において、「延べ面積150m2、地上2階建ての食堂兼用住宅(居住の用途に供する部分の床面積が100m2)」は、新築することができる。
2.第二種中高層住居専用地域内において、「延べ面積2,000m2、地上2階建ての事務所」は、新築することができる。
3.近隣商業地域内において、「客席の部分の床面積の合計が600m2、地上3階建ての映画館」は、新築することができる。
4.準工業地域内において、「肥料の製造工場」は、新築することができない。

解答 2:第二種中高層住居専用地域内に、(は)項の用途以外で3階以上の建築物や延べ面積1,500m2を超える建築物は、原則として、新築できない。(法別表第2(に)項七号、八号)

〔H28 No.18〕防火地域及び準防火地域内の建築物の新築に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

1.防火地域内においては、附属自動車車庫として使用する延べ面積60m2、平家建ての建築物は、耐火建築物又は準耐火建築物としなければならない。
2.準防火地域内においては、延べ面積1, 200m2、地上2階建ての機械製作工場で主要構造部不燃材料で造られたものは、耐火建築物及び準耐火建築物以外の建築物とすることができる。
3.準防火地域内においては、木造建築物等に附属する高さ2mを超える門については、当該門が建築物の1階であるとした場合に延焼ののある部分に該当する部分を不燃材料で造り、又は覆わなければならない。
4.防火地域においては、建築物の外壁の開口部で延焼ののある部分に設ける防火戸は、建築物の周囲において発生する通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後30分間当該加熱面以外の面(屋内に面するものに限る。)に火炎を出さないものとしなければならない。

解答 4:準防火地域内で、2階建て以下で500m2以下の建築物における「外壁開口部設備」の基準は、周囲において発生する通常の火災による火熱が与えられた場合、加熱開始後「20分間」屋内に火炎を出さないことである。(法61条令136条の2)

〔H28 No.19〕地区計画等に関する次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。

1.地区計画等の区域内において、建築物の敷地内に予定道路が指定された場合においては、当該予定道路の地盤面下に設ける建築物は、特定行政庁の許可を受けることなく新築することができる。
2.地区整備計画等が定められている地区計画等の区域内において、建築物の敷地、構造、建築設備又は用途に関する事項で当該地区計画等の内容として定められたものが、市町村の条例で、これらに関する制限として定められた場合には、当該条例の規定は、建築基準関係規定に該当する。
3.地区計画の区域のうち再開発等促進区内において、当該地区計画において定められた土地利用に関する基本方針に適合した建築物については、用途地域内の建築物の制限に適合しない場合であっても、特定行政庁の許可を受けることなく新築することができる。
4.地区整備計画等が定められている地区計画等の区域内において、建築物に附属する高さ2m以内の門又は塀の位置については、市町村の条例による壁面の位置の制限としては定めることができない。

解答 3:

2.「建築基準関係規定」とは、法第6条第1項および令9条で規定されており、①建築基準法、②その命令、③条例の規定、④「その他建築物の敷地、構造又は建築設備に関する法律並びにこれに基づく政令、省令、告示及び条例の規定で政令で定めるもの」の4つをまとめて言う。

3.「再開発等促進区」を定める地区計画は、工事跡地など大規模な未利用地の土地利用転換を図り、商業施設を誘導する場合などに定められる。「土地利用の転換」は、法68条の3第6項を読み替え、「土地利用に関する基本方針」に基づく法48条ただし書の特定行政庁の許可を行う必要がある。

〔H28 No.20〕次の記述のうち、建築基準法上、誤っているものはどれか。ただし、特定行政庁の許可は考慮しないものとする。

1.敷地が、第一種中高層住居専用地域内に350m2、第二種低層住居専用地域内に650m2、と二つの用途地域にわたる場合、当該敷地には、高等専門学校を新築することができる。
2.都市計画区域内においては、ごみ焼却場は、都市計画においてその敷地の位置が決定していない場合であっても、特定行政庁が都市計画審議会の議を経てその敷地の位置が都市計画上支障がないと認めて許可した場合においては、新築することができる。
3.文化財保護法の規定によって重要文化財として指定された建築物であったものの原形を再現する建築物で、特定行政庁建築審査会の同意を得てその原形の再現がやむを得ないと認めたものについては、建築基準法並びにこれに基づく命令及び条例の規定は、適用されない。
4.特殊建築物については、その用途により、地方公共団体の条例で、建築物の敷地、構造又は建築設備に関して防火上の制限が附加されることがある。

解答 1:敷地が2つの用途地域にわたる場合は、敷地の過半が属する用途地域の規定が適用される(法91条)。これより設問の敷地は「第二種低層住居地域」の規定が適用される(法48条2項)。よって法別表2(ろ)一号及び(い)項四号により、「高等専門学校」は新築することができない。

〔H28 No.21〕次の記述のうち、建築士法上、誤っているものはどれか。

1.一級建築士は、設計、工事監理、建築工事の指導監督等の委託者から請求があったときは、一級建築士免許証又は一級建築士免許証明書を提示しなければならない。
2.設計受託契約又は工事監理受託契約を締結しようとするときは、委託者及び受託者は、国土交通大臣が定める報酬の基準に準拠した委託代金で当該契約を締結するよう努めなければならない。
3.延べ面積200m2の建築物の新築に係る設計受託契約の当事者は、契約の締結に際して、作成する設計図書の種類、設計に従事することとなる建築士の氏名及びその者の一級建築士、二級建築士又は木造建築士の別、報酬の額及び支払いの時期、契約の解除に関する事項、その他所定の事項について書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
4.建築士法の規定に違反して一級建築士の免許を取り消され、その取消しの日から起算して5年を経過しない者は、一級建築士の免許のみならず、二級建築士又は木造建築士の免許も受けることができない。

解答 3:延べ面積300m2を超える建築物の設計・工事監理受託契約の当事者は、契約の締結に際して、契約の内容・履行等に関する事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。(建築士法22条の3の3第1項)

〔H28 No.22〕次の記述のうち、建築士法上、誤っているものはどれか。

1.建築士事務所の開設者と管理建築士とが異なる場合においては、その開設者は、管理建築士から建築士事務所の業務に係る所定の技術的事項に関し、必要な意見が述べられた場合には、その意見を尊重しなければならない。
2.建築士事務所に属する者で建築士でないものが、その属する建築士事務所の業務として、建築士でなければできない建築物の設計又は工事監理をしたときは、都道府県知事は、当該建築士事務所の登録を取り消すことができる。
3.建築士は、延べ面積が2,000m2を超える建築物の建築設備に係る設計又は工事監理を行う場合においては、設備設計一級建築士の意見を聴かなければならない。
4.建築士事務所の開設者は、設計等の業務に関し生じた損害を賠償するために必要な金額を担保するための保険契約の締結その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

解答 3:延べ面積が2,000m2を超える建築物の建築設備に係る設計・工事監理を行う場合においては、「建築設備士」の意見を聴かなければならない。(建築士法18条4項)

〔H28 No.23〕次の記述のうち、建築士法上、誤っているものはどれか。

1.都道府県知事により指定事務所登録機関が指定された場合、建築士事務所の登録を受けようとする者は、一級建築士事務所の場合においても、原則として、登録申請書を当該指定事務所登録機関に提出しなければならない。
2.建築士事務所の開設者である一級建築士が、当該建築士事務所の登録期間が満了したにもかかわらず、更新の登録を受けずに他人の求めに応じ報酬を得て工事監理業務を業として行った場合には、当該建築士は、業務停止等の懲戒処分の対象となる。
3.建築士事務所に属する一級建築士は、直近の一級建築士定期講習を受けた日の属する年度の翌年度の開始の日から起算して3年以内に、一級建築士定期講習を受けなければならない。
4.都道府県知事の登録を受けている建築士事務所に属する建築士は、当該登録を受けた都道府県以外の区域においては、業として他人の求めに応じ報酬を得て、設計等を行うことはできない。

解答 4:他人の求めに応じて報酬を得て、設計等を業として行おうとするときは、建築士事務所について「所在地を管轄する都道府県知事」に登録を申請し、登録を受けるが、業務を行う範囲(区域)に係る規定は定められていない。したがって、登録を受けた都道府県以外の区域においても設計等を行うことができる。(建築士法23条同法23条の2)

〔H28 No.24〕次の記述のうち、建築士法上、誤っているものはどれか。

1.国土交通大臣が建築士の業務の適正な実施を確保するため、一級建築士に対し業務に関する報告を求めた場合に、当該建築士がその報告をせず、又は虚偽の報告をしたときは、当該建築士は、30万円以下の罰金刑の適用の対象となる。
2.国土交通大臣が建築士の業務の適正な実施を確保するため、国土交通省の職員に開設者が法人である建築士事務所に立ち入り当該建築士事務所に属する者に質問させた際に、その者がその質問に対して答弁せず、又は虚偽の答弁をしたときは、その者のほか、その者が所属する法人も、30万円以下の罰金刑の適用の対象となる。
3.建築士事務所に属する建築士の氏名及びその者の一級建築士、二級建築士又は木造建築士の別に変更があった場合に、3月以内に、その旨を都道府県知事に届け出ないときは、当該建築士事務所の開設者及び管理建築士は、30万円以下の罰金刑の適用の対象となる。
4.管理建築士等が、建築主に対して設計受託契約又は工事監理受託契約の内容及びその履行に関する重要事項について説明する際に、建築士免許証又は建築士免許証明書を提示しなかったときは、当該建築士は、10万円以下の過料の適用の対象となる。

解答 3:建築士事務所の開設者は、その所属建築士に変更があったときは、3月以内に、都道府県知事に届けなければならない。この規定による変更の届出をせず、又は虚偽の届出をした者は、罰則の対象となるが、その対象は、届出の義務がある建築士事務所の開設者であり、「管理建築士」は対象とならない。(建築士法41条九号同法23条の5第2項)

〔H28 No.25〕次の記述のうち、都市計画法上、誤っているものはどれか。

1.都市計画区域内において、コンクリートプラントの改築の用に供する目的で行う開発行為については、都道府県知事の許可を受ける必要はない。
2.市街化区域内において、専修学校の建築の用に供する目的で行う開発行為で、その規模が1,500m2のものについては、原則として、都道府県知事の許可を受けなければならない。
3.市街化調整区域内における地区整備計画が定められた地区計画の区域内において、当該地区計画に定められた内容に適合する病院の建築の用に供する目的で行う開発行為は、所定の要件に該当すれば、都道府県知事の許可を受けることができる。
4.都市計画施設として定められた公園の区域内において、公園施設の建築物を建築しようとする者が市町村の場合、当該建築物の建築が当該公園に関する都市計画に適合するものであっても、都道府県知事等の建築の許可を受けなければならない。

解答 4:都市計画施設の区域又は市街地開発事業の施工区域内での建築物の建築については、原則として、都道府県知事の許可が必要であるが、都市計画法53条1項各号に掲げる行為については除かれている。設問の市町村による都市計画に適合した建築行為は同条1項三号に該当する。(都市計画法53条1項三号都市計画法施行令37条の2)

〔H28 No.26〕次の記述のうち、消防法上、誤っているものはどれか。ただし、建築物は、いずれも無窓階を有しないものとし、指定可燃物の貯蔵及び取扱いは行わないものとする。

1.準耐火建築物で、かつ、壁及び天井の室内に面する部分の仕上げを難燃材料でした延べ面積1,500m2、地上2階建ての旅館については、原則として、屋内消火栓設備を設置しなければならない。
2.同一敷地内にあり一の建築物とみなされる複数の準耐火建築物床面積の合計が6,000m2、平屋建ての美術館で、所定のスプリンクラー設備を設置したものについては、当該設備の有効範囲内の部分について屋外消火栓設備を設置しないことができる。
3.延べ面積10,000m2のテレビスタジオ内にある床面積500m2の通信機器室で、所定のハロゲン化物消火設備を設置したものについては、自動火災報知設備を設置しないことができる。
4.地上3階建ての特別支援学校(避難階は地上1階)で、各階の収容人員が20人以上のものについては、原則として、2階以上の階に避難器具を設置しなければならない。

解答 3:「テレビスタジオ」は、同令別表第一(十二)項ロに該当し、延べ面積500m2以上のものに、また、通信機器室で床面積500m2以上のものには、原則として、自動火災報知設備を設置しなければならない(消防法令21条1項四号・十五号)。なお、自動火災報知設備を設置しないことができる場合は、同令21条3項により、同条1項各号の防火対象物又はその部分に所定の「スプリンクラー設備、水噴霧消火設備又は泡消火設備」のいずれかを設置したときである。

〔H28 No.27〕次の記述のうち、「建築物の耐震改修の促進に関する法律」上、誤っているものはどれか。

1.都道府県耐震改修促進計画に記載された建築物集合地域通過道路等に敷地が接する通行障害既存耐震不適格建築物の所有者は、所定の期限までに耐震改修を行わなければならない。
2.床面積の合計が3,000m2、地上3階建ての賃貸住宅(共同住宅に限る。)で既存耐震不適格建築物(要安全確認計画記載建築物でないもの)の所有者は、当該建築物について耐震診断を行い、その結果、地震に対する安全性の向上を図る必要があると認められるときは、耐震改修を行うよう努めなければならない。
3.要安全確認計画記載建築物の所有者は、当該建築物について耐震診断の結果、地震に対する安全性の向上を図る必要があると認められるときは、耐震改修を行うよう努めなければならない。
4.床面積の合計が800m2、地上2階建ての病院で既存耐震不適格建築物(要安全確認計画記載建築物でないもの)の所有者は、当該建築物について耐震診断を行い、必要に応じ、耐震改修を行うよう努めなければならない。

解答 1:「要安全確認計画記載建築物」の所有者は、耐震診断を行い、その結果を、建築物の区分に応じ、所定の期限までに所管行政庁に報告しなければならない(耐震改修促進法7条二号)。したがって、耐震診断の義務はあるが、耐震改修は義務付けられていない。

〔H28 No.28〕次の法律とその法律又は政令で用いられている用語との組合せのうち、誤っているものはどれか。

解答 1:「急傾斜地崩壊危機区域」は急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律3条1項に規定される。宅地造成等規制法には用いられていない。
なお、「特例容積率適用地区」は、都市計画法8条1項二号の三に、「特定用途誘導地区」は、都市再生特別措置法109条1項に規定されている。
※「特定避難時間倒壊等防止建築物」は建築基準法に規定されていたが、平成30年改正によって「耐火構造建築物」とともに削除されている。

〔H28 No.29〕契約に関する次の記述のうち、関係法令上、誤っているものはどれか。

1.「建築士法」に基づき、建築士事務所の開設者は、他の建築士事務所の開設者から設計及び工事監理以外の業務を受託する場合においては、契約締結後、遅滞なく、所定の事項を記載した書面を交付しなければならない。
2.「建築士法」に基づき、建築士事務所の開設者は、設計受託契約又は工事監理受託契約を建築主と締結しようとする場合においては、あらかじめ、当該建築主に対し、管理建築士等をして、所定の事項を記載した書面を交付して説明をさせなければならない。
3.「宅地建物取引業法」に基づき、宅地建物取引業者は、建築工事の完了前に新築住宅を販売する際には、その広告、契約及び媒介については、建築確認等所定の処分があった後でなければしてはならない。
4.「建設業法」に基づき、建設工事の請負契約の当事者は、契約の締結に際して、原則として、工事内容、請負代金の額、工事着手の時期及び工事完成の時期、請負代金の支払いの時期及び方法、契約に関する紛争の解決方法、その他所定の事項について書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

解答 1:建築士事務所の開設者は、「設計又は工事監理」の受託契約を委託者と締結したときは、締結をした後に遅滞なく、所定の事項を記載した書面の交付を行わなければならない(建築士法24条の8第1項)。「設計又は工事監理以外」の業務については、これらの義務は規定されていない。
なお同法22条の3の3により、契約の「締結に際して」行う、契約書面の相互交付の義務においても300m2を超える建築物の「設計又は工事監理」の受託契約が対象となっている。

〔H28 No.30〕次の記述のうち、関係法令上、誤っているものはどれか。

1.「宅地建物取引業法」に基づき、宅地建物取引業者は、建物の売買の相手方等に対して、その契約が成立するまでの間に、宅地建物取引士をして、所定の事項を記載した書面等を交付して説明をさせなければならない。
2.「駐車場法」に基づき、商業地域内において、延べ面積が2,000m2以上の建築物を新築しようとする場合は、同法による条例により、その建築物又はその建築物の敷地内に駐車施設を設けなければならないことがある。
3.「都市計画法」に基づき、まちづくりの推進を図る活動を行うことを目的とする特定非営利活動法人は、所定の土地の区域について、都道府県に対し、都市計画区域の整備、開発及び保全の方針の変更を提案することができる。
4.「浄化槽法」に基づき、浄化槽管理者等は、浄化槽の保守点検又は浄化槽の清掃について、都道府県知事から、必要な助言、指導又は勧告を受けることがある。

解答 3:まちづくりの推進を図る活動を行うことを目的とする特定非営利活動法人等は、所定の土地の区域について、都道府県又は市町村に対し、「都市計画の決定又は変更」をすることを提案することができる(都市計画法21条の2第2項)。ただし、同条1項かっこ書により、「都市計画区域の整備、開発及び保全の方針」は除外されている。

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投稿日:2019年7月30日 更新日:

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