平成28年度1級建築士-学科Ⅰ計画

平成28年度 学科Ⅰ-計画
全20問掲載

一級建築士学科試験
2023年7月23日(日)

令和05年度試験日まであと 日!

〔H28 No.01〕技術者倫理等の用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.「アカウンタビリティ」は、一般に、業務や研究活動についての「説明する責任」のことをいう。
2.「談合」は、一定の利益を業界全体にことを目的とするもので、同業種の業者が資本を結合し、共同企業体を設けることも含む。
3.「公益通報」には、通報先や状況によって、「内部通報」、「行政機関への通報」及び「外部通報」の三つの種類がある。
4.「コンプライアンス」は、一般に、「法令遵守」と訳され、法令・条例等の遵守に加えて企業倫理等の遵守も含む。

解答 2:設問は「ジョイントベンチャー」の記述である。「談合」は独占禁止法で禁止されている違法行為で、複数の応札者が入札価格や落札価格をあらかじめ話し合って決める行為のこと。

1.「アカウンタビリティ(Accountability)」とは、説明義務あるいは説明責任とも言い、利害関係者に対し、内容や状況について詳しく説明することを言う。

3.「公益通報」は設問の通り3つのルートが主にとられている。とくに「内部通報」は企業からの解雇等の不利益な取扱いを受けることが予測されるので、通報者を保護する目的として「公益通報者保護法」を定めている。

4.「コンプライアンス」は、「法令順守」と理解される。しかし近年は、企業に対する社会的責任(CSR)の重要性の高まりの中、単に法令だけでなく、社会的規範や企業倫理など、企業が活動していく上で求められるさまざまな「規範」「倫理」を含めた内容となっている。

〔H28 No.02〕建築物の保存、再生、活用等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.東京駅丸の内駅舎(東京都千代田区)は、赤レンガのファサードをもつ駅舎であり、特例容積率適用地区制度を活用して、未利用容積を周辺建築物に売却・移転したうえで、保存・復原したものである。
2.目黒区総合庁舎(東京都目黒区)は、民間企業の本社屋として建築された建築物を、耐震補強、設備改修等を行ったうえで、庁舎として再生・転用したものである。
3.神奈川県立近代美術館鎌倉館(神奈川県鎌倉市)は、竣工時の形状を損なうことなく地震に対する安全性を高めるため、免震レトロフィット工法を採用し、保存・改修したものである。
4.旧門司税関(福岡県北九州市)は、明治・大正時代の歴史的建造物を活かしたである「門司港レトロ事業」の一環として、明治45年に建築された税関庁舎を、港湾緑地の休憩所等として再生・活用したものである。

解答 3:「免震レトロフィット工法」を採用した有名建築物には国立西洋美術館本館などがある。

国立西洋美術館本館

神奈川県立近代美術館鎌倉館は、坂倉準三による設計で、地上2階建の鉄骨造である。日本モダニズムの始まりとも評価される。

神奈川県立近代美術館



1.東京駅丸の内駅舎(東京都千代田区)は、辰野金吾の設計である。戦後、戦災により焼失した部分を、特例容積率適用地区制度を活用して、未利用容積を周辺建築物に売却・移転したうえで事業費を捻出して保存・復原した。

2.千代田生命保険相互会社の本社ビルは村野藤吾による設計で、2002年の改修工事で目黒区総合庁舎に用途変更となった。建物の全面は彫りの深いアルミ鋳物のたて格子で覆われており、その内側には、バルコニーが設けられている。外光は、この縦格子とバルコニーを通してやさしい光に表情を変え、室内に差し込む。

4.門司税関は明治42(1909)年11月5日に長崎税関から独立し、日本で7番目の税関として発足。煉瓦造り瓦葺2階建構造。当時の面影を残し、明治初期の雰囲気を味わえる人気の観光名所になっている。

〔H28 No.03〕歴史的な建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.ハギア・ソフィア大聖堂(トルコ)は、バシリカ形式とドーム集中形式とを融合させた平面をもち、巨大なドーム構造によって内部に広大な空間を作り出したビザンチン様式の建築物である。
2.コルドバの大モスク(スペイン)は、紅白縞文様の2段アーチを伴って林立する柱による内部空間をもち、現在はキリスト教文化とイスラム教文化が混在している建築物である。
3.ピサ大聖堂(イタリア)は、世界最大級の石積ドームをもち、外装はピンクや緑の大理石により幾何学模様で装飾され、クーポラとランターンは初期ルネサンス様式、ファサードはネオ・ゴシック様式の建築物である。
4.ヴォルムス大聖堂(ドイツ)は、東西両端にアプスを対置させた二重内陣と身廊の両側に側廊を設けたバシリカ形式で構成され、東西の内陣と交差部とに六つの塔をもつロマネスク様式の建築物である。

解答 3:設問の記述は「フィレンツェ大聖堂」である。

ピサ大聖堂」はロマネスク建築の代表的建築物。十字形の平面が特徴的。中心にある身廊部は5廊式で、側廊部は3廊式の大規模な聖堂である。十字の交差部には楕円形のドームがかけられている。

1.トルコのイスタンブールに532年建築された。ビザンチン帝国時代の代表的建築物。ペンデンティブドームやフライングバットレスが特徴的で、巨大なドームによって大空間を実現。キリスト教建築物であったが、のちにオスマン帝国時代にはイスラム教へと改宗した。

2.コルドバの大モスクは、スペイン・アンダルシア地方に建築され、一般に「メスキータ」と呼ばれる。850本もの馬蹄形・紅白縞文様の2段のアーチを伴って林立する柱による内部空間が有名である。

4.ヴォルムス大聖堂は、ドイツのラインラント=プファルツ州にある都市ヴォルムス(Worms)にある大聖堂である。4つの円柱塔と2つの大きなドーム部分があり、その端に聖歌隊席のある巨大なバシリカ風の聖堂がある。

〔H28 No.04〕建築物の開口部等に用いるガラスに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.Low-E複層ガラスは、中空層側のガラス面に特殊金属膜をコーティングすることで、中空層における放射伝熱を低減した複層ガラスである。
2.単板の強化ガラスは、同厚のフロート板ガラスと比して6~10倍の強度をもつため、特段の措置を講じることなく、アトリウム等の屋根、スカイライト、トップライト等での使用に適している。
3.合わせガラスは、2枚以上の板ガラスでプラスチックフィルムを挟み加熱圧着したものであり、破損時の飛散防止や開口部の防犯性能の向上等を目的として用いられる。
4.板ガラスの耐風圧性能を考慮した使用可能面積は、設計風圧力、ガラスの厚さ、支持条件等が同一であれば、フロート板ガラスに比べて網入磨き板ガラスのほうが小さい。

解答 2:ガラスを「アトリウム等の屋根、スカイライト、トップライト等」で使用するにあたって、落下防止対策をとる必要がある。強化ガラスは割れた時にガラス全面が粒状になるが、比較的大きな破片にもなる可能性がある。そのため、割れた際に落下防止が期待される「強化合わせガラス」もしくは「飛散防止フィルム」を貼ったガラスを用いることが望ましい。

1.「Low-E複層ガラス」は、低反射率ガラス、高断熱複層ガラスとも呼ばれる。板ガラスの片面に特殊な金属膜「Low-E」を貼り付けたもの。


3.「合わせガラス」は、2枚の板ガラスを透明で強靭な「中間膜」で貼り合わせたもの。破損しても破片の飛散を防ぐことができる安全性の高いガラス。

4.許容風圧力Pの計算において、ガラスの種類によって係数が割り当てられている。係数が大きいほど強度が大きくなり、普通板ガラスが1.0に対し、フロート板ガラス8mmは1.0、磨き板ガラスは0.8、網入り磨き板ガラスは0.8となる。

〔H28 No.05〕建築物とその周辺環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.高層建築物の計画において、地表面付近の風速増加率は、計画地の周囲に建築物がない場合に比べ、周囲に低層建築物群がある場合のほうが大きくなる傾向がある。
2.建築物の周辺の気流は、「建築物の高さ(H)と建築物の間隔(W)の比(H/W)」や「街区面積に対して建築物が占める割合」により大きく影響される。
3.高層建築物の計画において、床面積が大きい低層部を設け、当該低層部の屋根の部に強風を発生させる計画とすると、建築物周辺の歩行者へのビル風の影響が少なくなる。
4.ビル風対策としての植栽計画においては、耐風性の高い樹種を選定するとともに、低木を避け高木を風向きと平行となる向きに並べて配置することが有効である。

解答 4:「風」は地上に何もないときは一定風速で同一方向に吹いていると仮定したとき、そこに高層建築物を建てると、風の流れを阻害することになる。建築物全体で風を受けると、そこに空気の圧力エネルギーがたまり、ビル建物横に速度エネルギー(ビル風)として発散される。
ビル風対策としては、流れてきたエネルギーを分散させるために高木と低木の両方をバランスよく併用し、直角に配置することが有効である。

3.「ビル風の対策」として、高層部よりも大きな面積の低層部を設けると、その低層部の屋根の上部に強風が発生するため、周辺の歩行者への影響が少なくなる。

1.風速増加率は以下の公式で求められる。

風速増加率 = ビル建築後の風速 / ビル建築前の風速

これから分かるように、ビル建築前と後とを比較する。一般に、「地表面付近の風速」は、「周囲に建築物がない場合」に比べ、「周囲に低層建築物群がある場合」のほうが小さい。例えばビル建築後の風速が30m/h、周囲に建築物がない場合の風速が20m/hのとき、風速増加率は1.5倍となる。同じくビル建築後の風速が30m/h、周囲に低層建築物群がある場合の風速が10m/hのとき、風速増加率は2.0倍となる。

2.建築物周辺の気流は、「建築物の高さ(H)と建築物の間隔(W)の比(H/W)」や「街区面積に対する建築面積」などに大きく影響される(設問文ママ)。この「H/W」の値が、「0.5以上」であると、隣棟空間に吹き込む風が「弱く」なる。

※解説を関連づける為に、解説順番を変えています。

〔H28 No.06〕自然エネルギーを利用したパッシブデザインに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.十分な日射が得られる北緯35度の地点において、建築物が受ける日射量は、冬期においては南面が多く、夏期においては水平面・東西面が多いことから、集熱窓を、南面で大きく、東西面で小さくすることが省エネルギー上有効である。
2.パッシブクーリングの原則は、日射熱の侵入を極力排除したうえで通風を図り、自然エネルギーの利用により室内空気を冷やすことである。
3.コンクリート躯体を蓄熱体として利用するためには、「外断熱とすること」、「開口部からの日射を直接コンクリート躯体に当てること」、「コンクリート躯体を直接室内に露出させること」等が有効である。
4.クールチューブは、外気温が低下する夜間に自然通風を図り、居住者に涼感を与えるとともに、室内の蓄熱体の温度を下げ、翌日の室温上昇を抑える方式である。

解答 4:設問は「夜間外気導入方式:ナイトパージ」の説明である。「クールチューブ」は地熱を冷熱源に利用した方式であり、逆に温熱源に利用することを「ヒートチューブ」という。地下5m以下の地中温度は年間を通じてほぼ一定なので、これを利用する省エネルギー方式(アースチューブ)が普及しつつある。

1.北緯35度の日射量は、
冬:南>水平>東西
夏:水平>東西>南>北
年間:夏至水平>冬至南>夏至東西>冬至水平>夏至南

上記より、集熱窓を南面で大きく、東西面で小さくし日射量を調整することで、暖房・冷房エネルギーの削減に期待できる。

2.パッシブクーリングの原則は、①日射熱の侵入を極力排除したうえで通風を図り、②自然エネルギーの利用により室内空気を冷やすことである(設問文ママ)。パッシブとは、「受動的」という意味。機械設備に頼らず、建築的手法・基準による自然エネルギーの活用を指す。パッシブヒーティング、パッシブデザイン、パッシブ換気…etc。

3.外断熱は断熱材を躯体であるコンクリートの外側(屋外側)に施工し、建物全体を断熱材で包み込みコンクリートを蓄熱体として活用する工法のこと。断熱材がコンクリート躯体の外側から覆うため、
①断熱材が連続しない部分(熱橋)が生じにくく、内壁表面の結露が発生しにくくなる。
②コンクリートの蓄熱効果(暖まりにくい、冷めにくい)が利用できるため、室内の温度変化を少なくし、暖房・冷房のエネルギーを抑えることができる。
③日射の熱から躯体を保護し、コンクリート躯体の耐久性が高まる。

〔H28 No.07〕一般公共の用に供する屋内駐車場(自動車の駐車の用に供する部分の面積が1,000m2のもの)の各部の寸法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.車いす使用者用駐車施設について、1台当たりの駐車スペースを、幅3.5m×奥行6.0mとした。
2.小型自動車の車路の梁下の高さを、2.1mとした。
3.一方通行の小型自動車の車路のうち、車路に接して駐車料金の徴収施設が設けられている場所で、歩行者の通行の用に供しない部分の幅員を、2.75mとした。
4.小型自動車の車路の屈曲部の内法半径を、5mとした。

解答 2:自走式の屋内駐車場における梁下の高さは、小型自動車の場合、車路2.3m、駐車スペース2.1m以上とするのが望ましい。

1.車椅子使用者用の駐車スペースは、幅を3.5m(乗降スペース1.4m+車体スペース2.1m)程度とし、長さは6m程度とする。

3.自走式の屋内駐車場において、一方通行の自動車の車路のうち、車路に接して駐車料金の徴収施設が設けられている場所で、歩行者の通行の用に供しない部分の幅員は、2.75m以上とする。(駐車場法施行令第8条第2号イ)


4.小型自動車の車路の屈曲部の内法半径は、5m以上とし、6-8m以上が望ましい。

〔H28 No.08〕建築物の各部の寸法等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.中規模事務所ビルの計画において、基準階の共用部の主要な廊下の幅員を、2.0mとした。
2.公共体育館の計画において、成人用バスケットボールコートを二面配置するために、床面の内法寸法を、30m×35mとした。
3.バスターミナルの誘導車路の屈曲部の計画において、全長12m程度の大型バスの最小回転半径を、12mとした。
4.大規模量販店の計画において、売場の客用通路の幅員は、主要な避難通路を3.0mとし、それ以外の通路を1.8mとした。

解答 2:成人用バスケットコートは一面あたり15m×28mであるから、コート2面分の面積は30m×28mである。しかし余幅を持たせることが必要になるので、41m×34m以上で計画する。

1.事務所ビルの計画において基準階の主要な廊下幅の有効幅員は1.6m以上とし、円滑化誘導基準においては1.8m以上とする。

3.車路の屈曲部の最小回転半径は、車体寸法や車軸距離などによって決まり、全長12m程度の大型バスの場合、12m程度とする。

4.大規模量販店における売場の客用通路の幅員は、主要な避難通路を3.0m以上とし、それ以外の通路を1.8mとする。

〔H28 No.09〕劇場、競技場等の客席・観覧席の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.車いす使用者用客席・観覧席の数(可動席スペースを含む。)は、施設内容や規模に応じ、客席・観覧席総数の0.5~1%以上とする。
2.車いす使用者用客席・観覧席は、少なくとも同時に2以上の車いす使用者が利用できる専用スペースとして、固定位置に確保する。
3.サイトライン(可視線)は、客席・観覧席の各々の人が、前列の人の頭又は肩を越して視焦点(舞台や競技場)を見ることができる視野の限界線のことである。
4.客席・観覧席の出入口から車いす使用者用客席・観覧席へ至る客席・観覧席内の路は、有効幅員を120cm以上とするとともに、区間100m以内ごとに車いすが転回することができる140cm角以上のスペースを設ける。

解答 4:出入口から車いす観覧席への通路の有効幅員は120cm以上とし、区間50m以内ごとに車いすが転回することができる140cm角以上のスペースを設ける。

1.車椅子使用者用の観覧席は、客席・観覧席総数の0.5~1.0%以上とし、利用者が選択できるように複数用意できることが望ましい。

2.車いす使用者用客席・観覧席は少なくとも同時に2以上の使用者が利用できる専用スペースとして固定位置に確保する。また可動席スペースも設けることが望ましい。

3.「サイトライン」とは、劇場等の客席・観覧席の人が、前列の人の頭または肩を越して視焦点を見ることのできる視野の限界線のことで、前後の客席・観覧席の位置・高低差を十分に考慮して計画する。観客席の勾配は大きければ大きいほど一体感・臨場感が生まれるが、サイトラインを確保するためには勾配を最大で34度とする。2019年の新国立競技場の観客席は、1層目が20度、2層目が29度、3層目が34度の勾配が付けられたすり鉢状の3層構造になっており、3段階の勾配があることで、どの席に座ったとしても、フィールドが近く感じられる工夫が施されている。

〔H28 No.10〕都市計画・都市デザインに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.高蔵寺ニュータウン(愛知県)は、高度経済成長期に名古屋圏に流入し、増加した人口の受け皿として、「近隣住区」等の都市計画理論に基づき開発された我が国で最初のニュータウンである。
2.筑波研究学園都市(茨城県)は、東京への一極集中を緩和するために、職住一体の「田園都市」として構想されたものである。
3.川越一番街(埼玉県)では、「パタン・ランゲージ」に範をとった町づくり規範により、歴史的町並みの景観の保全が実践されている。
4.くまもとアートポリス(熊本県)は、環境デザインに対する関心を高め、都市環境・建築文化等の向上を図るために、「コミッショナー」が設計者を推薦する手法が採用された事業である。

解答 1:設問の「我が国で最初のニュータウン」は、「千里ニュータウン」が該当する。高蔵寺ニュータウン(名古屋)」は1960年代に建設された大規模なニュータウンであり、わが国で2番目に古い。


2.「筑波研究学園都市」は、東京等の国の試験研究機関等を計画的に移転することにより東京の過密緩和を図るとともに、高水準の研究と教育を行うための拠点を形成することを目的に国家プロジェクトとして建設されたもの。

3.埼玉県の「川越一番街」は、「パタン・ランゲージ」に範をとった町づくり規範により、歴史的町並みの景観の保全が実践されている。

現在の蔵造りの多くは、川越大火後に建てられたもので、今も30数棟が残る。大正12年、関東大震災やその後の戦災によって東京の蔵造りが姿を消したこともあり、江戸の景観を受け継ぐ重要な歴史的遺産として、「時の鐘」をはじめとするこの一番街周辺は、平成11年12月1日に伝統的建造物群保存地区に選定された。また埼玉りそな銀行の古い洋館は大正7年に建築されたもの。(写真右下)近年では新しい建築物も、景観を壊さないように工夫され、新しいものと古いものとが調和した街づくりが行われている。当時のたばこ問屋を整備した「蔵造り資料館」では、蔵造りの構造をはじめ、敷地内の各蔵の配置なども見る事が出来る。(小江戸川越観光協会HPより抜粋)

4.くまもとアートポリス(Kumamoto Artpolis,略称:KAP)は、建築や都市計画を通して文化の向上を図ろうというコンセプトで実施されている熊本県の事業である。アートポリスコミッショナーを指名し、アートポリスの企画・広報、プロジェクトに係る設計者の推薦及び設計者選定方法の提案、設計者及び事業主に対する指導・助言等を行う。なお、現在のコミッショナーは伊東豊雄である。

〔H28 No.11〕まちづくりに関する用語とその説明として、最も不適当なものは、次のうちどれか。

1.レジリエンスは、一般に、自然災害等により、社会基盤やそれが支える社会及び経済が一時的に大きなダメージを受けても、速やかに復活できること等を意味する。
2.ダウンゾーニングは、都市計画で定められた容積率の引下げや建築することができる用途を住宅等に限定する等、規制を現行に比べて厳しいものに変更することである。
3.トランジットモールは、歩行者用の空間であるモールの形態の一つであり、一般自動車の進入を排除して、路面電車やバス等の公共交通機関に限って走行を認めたものである。
4.エリアマネジメントは、行政主導により地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための取組みのことである。

解答 4:「エリアマネジメント」は地域における良好な環境や地域の価値を維持・向上させるための、住民・事業主・地権者等が一体的に行う主体的な取組みのことである。従来の開発のように、行政主導ではない。

1.「レジリエンス」は、一般に、自然災害等により、社会基盤やそれが支える社会及び経済が一時的に大きなダメージを受けても、速やかに復活できる取組指針である。

2.「タウンゾーニング」とは、一定地域を対象に建築物の指定容積率を引き下げ、無秩序な開発の規制を図る制度である。アメリカでは1980年代以来、大都市で行われており、日本も1992年に誘導容積制度を導入した。

3.「トランジットモール」は、ショッピングモールの形態の一つ。自家用車の乗り入れを少なくし、商業地を形成することを目指すため、一般車両の乗り入れを禁止した歩行者用街路で、バスや路面電車などの公共交通は走行させる方式である。

〔H28 No.12〕住宅の作品名(設計者)とその計画上の特徴に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.イームズ自邸(チャールズ&レイ・イームズ)は、再組立が可能という理念のもと、形鋼やスチールサッシ等の工業製品を用いて建築された住宅である。

2.ゲーリー自邸(フランク・O・ゲーリー)は、既存の木造住宅に、安価な材料である金網やトタン板、ベニヤ板の断片等を組み合わせて増改築を行った、ポストモダンを代表する住宅の一つである。

3.ヒラルディ邸(ルイス・バラガン)は、不整形敷地に建つ地上4階建ての医院併用住宅であり、台形の平面をもつ医院と矩形の平面をもつ住居は、中庭のスロープよってつながれている。

4.フィッシャー邸(ルイス・カーン)は、二つの矩形のボリュームが45度の角度をもって接合され、一方には2層の個室群が配置され、もう一方には2層分の高さの居間をもつ、幾何学的な構成の住宅である。

解答 3:「ヒラルディ邸(メキシコシティ)」は、1978年ルイス・バラガンによる設計。10m×35mという間口が狭く、細長い敷地に建てられた3階建住宅。設問はル・コルビジェによる「クルチェット邸(Curutchet House)」の説明である。

クルチェット邸(外観)


クルチェット邸(内観)

1.「イームズ自邸」は、チャールズ&レイ・イームズの設計による実験住宅である。アメリカ、ロサンゼルスに建てられ、「再組立」が可能という理念のもと、形鋼やスチールサッシ等の工業製品を用いて建築された。中庭を「繋ぎ」として箱型の自宅とスタジオを両端に計画している。

2.「ゲーリー自邸」は建築家フランク・ゲーリーの自邸作品である。築60年の既存の木造住宅に、安価な材料である金網やトタン板、ベニヤ板の断片等を組み合わせて増改築を行った建築作品である。

4.「フィッシャー邸」はアメリカ、ペンシルベニア州に建てられたフィッシャー邸はルイス・カーンの設計。リビングキューブとスリーピングキューブの1つの直方体が45度に配置されているため、自室と共用室に入る自然の風景が異なって楽しめる。

〔H28 No.13〕住宅団地及び集合住宅の計画上の特徴に関する次の記述のうち、最も不適なものはどれか。

1.茨城県営松代アパート(茨城県つくば市)は、七つの住棟により囲まれた二つの中庭をもち、屋根葺材には地元で焼かれた瓦を使用する等、周辺との融和に配慮された地上3階建ての低層集合住宅である。
2.コモンシティ星田A2(大阪府かた市)は、敷地内の緩斜面を活かした緑道の配置や、塀・門を極力設けない外構計画等により、連続した開放的な外部空間を創り出した戸建ての住宅団地である。
3.NEXT21(大阪府大阪市)は、二段階供給方式(スケルトン・インフィル分離方式)と環境共生をテーマにし、住戸の外壁等の規格化・部品化による可変性の確保や屋上植栽等が試みられた集合住宅である。
4.幕張ベイタウンパティオス4番街(千葉県千葉市)は、壁面線の位置・高さ、壁面率等についての「都市デザインガイドライン」に沿って設計された集合住宅であり、街区型の形式に特徴がある。

解答 1:「茨城県営松代アパート」は、6階建て121戸の集合住宅。4棟が囲むように中央に中庭があり、4棟を最上階の空中歩廊でつないでいる。

茨城県営松代アパート

設問は「茨城県営六番池アパート」の説明である。

茨城県営六番池アパート

2.コモンシティ星田A2は、坂本一成による計画で、高台の北側斜面に112戸の分譲住宅が細かく群をなしながら散在する。以下のブログが参考になります。『建築と日常』編集者日記

3.「二段階供給(スケルトン・インフィル)方式」は、耐久性を考慮する部分(構造躯体部分)と共用部分を一段階(スケルトン)とし、各室の内装や設備を第二段階(インフィル)に分ける。この方式により、入居者に応じて容易に改修・更新する可変性を持たせることができる。日本では大規模集合住宅で大阪ガス実験集合住宅「NEXT21(大阪)」が有名。

NEXT21(大阪)

4.幕張ベイタウンパティオス4番街(千葉県千葉市、1995年)は、壁面線の位置・高さ、壁面率等についての「都市デザインガイドライン」に沿って設計された集合住宅であり、街区型の形式に特徴がある。

〔H28 No.14〕事務所ビルの計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.事務室内のヘビーデューティーゾーン(重荷重ゾーン)の床の積載荷重を、2,300N/m2とした。
2.事務室内のフリーアクセスフロアの高さを、100mmとした。
3.事務室内の照明計画において、アンビエント照明の照度を、500lxとした。
4.基準階の事務室の床面積を1,000m2とする貸事務所ビルの計画において、男子小便器3個、男子大便器3個、女子便器4個とした。

解答 1:原則、積載荷重の計算は実況において求めるが、設問文のように実況によらない場合、事務所の床の積載荷重は2,900N/m2とする。(建築基準法施行令第85条1項)

2.フリーアクセスフロアの高さは一般に100~150mm程度が採用される。ただし、床吹出し空調を利用する場合は200~300mm程度が必要となるため、採用設備と調整する。

3.事務室の机上面照度は300~750lxを標準とする。また細かい視作業を伴う場合は500~1000lx程度とする。

4.事業所に設ける便器の数は労働安全衛生規則628条によって規定されている。
・男性用と女性用に区別する
・男性用大便器:60人に1個以上
・男性用小便器:30人に1個以上
・女性用大便器:20人に1個以上

〔H28 No.15〕博物館・劇場の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.博物館の保存、修復のための調査・研究部門は、研究対象である収蔵品の移動を最小限に留めるために、調査・研究部門と収蔵部門とを隣接して設ける計画とした。
2.博物館の収蔵部門は、収蔵庫内の保存環境を一定に保つため、前室を設ける計画とした。
3.劇場の搬出入のためのサービスヤードにおいて、ウィング式(荷台の側面と屋根面を一体として上方に開くことができるもの)の大型トラックが停車するスペースの、床から天井までの高さを4mとした。
4.劇場において、定員600人の固定式の客席部分の面積(通路を含む。)を、400m2とした。

解答 3:ウィング式の大型トラックは、開放時に全高が5mとなるので、天井高4mでは低い。

1.博物館などでは互いに関連の深い「調査・研究部門」と「収蔵・保管部門」とは隣接して設ける計画が一般的である。

2.収蔵部門に「前室」を設けることで、部門内に湿気や外気が入ることを最小限とすることができる。

4.劇場の固定式の客席部分の床面積は、1席当たり0.5〜0.7m2程度を目安に設計する。
よって、600人x0.5〜0.7m2=300〜420m2

〔H28 No.16〕病院の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.手術部の計画に当たり、他部門との速やかな連携や機材等の搬出入に配慮し、他部門間の通過動線を手術部内に設ける計画とした。
2.外来診療部の計画に当たり、患者の出入りの多い内科は外来入口の近くに配置し、小児科は可能な限り他科と分離して計画した。
3.LDR室の計画に当たり、家具や空間の仕上げに木材を使用する等、暖かい家庭的な雰囲気となるように配慮した。
4.看護拠点の計画に当たり、看護動線の短縮及び病室内の患者の観察の容易さを確保するため、ナースステーションの他にナースコーナーを設け、看護の作業領域を分散した。

解答 1:手術部では無菌環境が望ましく、他の区画と明確に分離する必要がある。設問のように「他部門との速やかな連携や機材等の搬出入に配慮」するために、同一平面での外科系区画と検査区画との動線を重視するが、通過交通は避ける。

2.外来診察部の計画にあたって、患者数の出入りが多い外科・内科は出入口の近くに配置するのが一般的である。小児科にかかる患者は多感な時期でもあり、また器材や什器などが特殊であるため、可能な限り他科と分離する。

3.「LDR(Labor Delivery Recovery)方式」は陣痛・分娩・回復を一室で行う方式である。

4.病棟計画に当たり、看護導線の短縮と、病室への観察の用意さを考慮しなければならない。中央のナースステーションとともに、看護作業の拠点としてナースコーナーを分散配置する。

〔H28 No.17〕建築物の外装の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.エアフローウィンドウは、一般に、二重のガラス間にブラインド等の遮光装置を設置し、空調空気を通すことで、ペリメーターゾーンの熱負荷を軽減するシステムである。
2.SSG構法は、ガラスを室内側に設置したフレーム(バック・マリオン)に構造シーラントを用いて接着することで、室外側にほとんどサッシが見えないフラットなガラス面を構成できるものである。
3.カーテンウォール工事におけるフィルドジョイント構法は、外装材の接合部分の水密性能を確保するため、内外の空気圧を等圧にすることにより、雨水を重力で排水するものである。
4.メタルカーテンウォールにおけるマリオン方式(方立方式)は、マリオンが日射等の熱により膨張・収縮することから、変形に対する追従機構が必要である。

解答 3:設問は「オープンジョイント構法」の記述である。「カーテンウォール工事におけるフィルドジョイント構法」は、両側の開口にシーリングを充填し、内側にガスケットを設け、内部に空気を密閉する。ダブルシーリング構法ともいう。

1.エアフローウィンドウシステムは、ブラインドを内蔵した二重のガラス間に室内空気を通して熱負荷を低減する方式である。一般に、夏期における室内温熱環境の改善に有効で、冬期におけるコールドドラフトの防止にも効果が期待される。

2.SSG(ストラクチュア・シーラント・グレイジング)構造とは、ガラスの止め付け構法の一つで、サッシ等を用いず、構造シーラントを用いてシールの接着力のみで支持部材に接着固定する方法。

4.「メタルカーテンウォール」とは、金属フレームとパネルでつくられたカーテンウォールのこと。設置方法にパネルタイプとマリオンタイプの2種類があり、パネルタイプはフレームにパネルが結合されてある状態ではめ込む方法で、マリオンタイプはたて枠を先に骨組みに取り付けてからパネルやガラスをはめ込む方法。どちらもファスナーを用いて躯体上下(もしくは左右)にパネルを固定する。層間変位に追従できるように四方を固定しない。

〔H28 No.18〕建築士法第25条の規定に基づく「建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準(平成21年国土交通省告示第15号)」に照らし、「工事監理に関する標準業務」の業務内容として、最も不適当なものは、次のうちどれか。

1.設計図書の内容を把握し、設計図書に明らかな、矛盾、びゅう、脱漏、不適切な納まり等を発見した場合には、設計者に報告し、必要に応じて工事施工者に確認する。
2.設計図書の定めにより、工事施工者が作成し、提出する施工図(躯体図、工作図、製作図等をいう。)、製作見本、見本施工等が設計図書の内容に適合しているかについて検討し、建築主に報告する。
3.工事施工者の行う工事が設計図書の内容に適合しているかについて、設計図書に定めのある方法による確認のほか、目視による確認、抽出による確認、工事施工者から提出される品質管理記録の確認等、確認対象工事に応じた合理的方法により確認を行う。
4.工事と設計図書との照合及び確認の結果、工事が設計図書のとおりに実施されていないと認めるときは、直ちに、工事施工者に対して、その旨を指摘し、当該工事を設計図書のとおりに実施するよう求め、工事施工者がこれに従わないときは、その旨を建築主に報告する。

解答 1:設計図書の内容を把握し、設計図書に明らかな、矛盾、びゅう、脱漏、不適切な納まり等を発見した場合には、建築主に報告し、必要に応じて建築主を通して設計者に確認する。 
工事監理に関する標準業務
(1)工事監理方針の(建築主への)説明等
(2)設計図書の内容の把握等:設問1
(3)設計図書に照らした施工図等の検討および(建築主への)報告:設問2
(4)工事と設計図書との照合及び確認:設問3
(5)工事と設計図書との照合及び確認の(建築主への)結果報告等:設問4
(6)工事監理報告書等の(建築主への)提出

〔H28 No.19〕図のような鉄筋コンクリート構造の梁において、スタラップの割付本数が設計図書に記載されていない場合、建築工事建築数量積算研究会「建築数量積算基準」に照らして、スタラップの割付本数の値として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、図に記載されていない鉄筋は適切に配筋されているものとする。

1. 37本
2. 38本
3. 39本
4. 40本

解答 3:割り付け本数は、
「(求める部分の長さ÷鉄筋の間隔)+1」
で求められる。なので今回の問題では、
(5,600mm÷150mm)+1=38.3
よって39本となる。

〔H28 No.20〕プロジェクトマネジメントに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.賃貸住宅におけるサブリース事業は、賃貸管理事業者が建物所有者等から建築物を転貸目的として賃借し、自らが転貸人となって入居者に転貸するシステムによって行う賃貸管理事業である。
2.BCPは、企業が災害や事故で被害を受けても、重要な業務が中断しないこと、中断しても可能な限り短い期間で再開すること等、事業の継続を追求する計画である。
3.CSRは、企業が所有する不動産について、経営戦略的な視点に立って見直しを行い、不動産投資の効率性を最大限向上させるという考え方である。
4.PFI事業におけるSPCは、ある特定の事業を実施することを目的として設立される会社で、PFI事業以外の投資は行わず、PFIの契約期間が終了すれば解散するものである。

解答 3:設問の記述は「CRE(企業不動産)戦略:Corporate Real Estate」である。「CSR(企業の社会的責任):Corporate Social Responsibility」は、企業が利益を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任をもち、自主的に社会に貢献する責任のことである。

1.民間賃貸住宅の8割以上が個人経営であるが、「サブリース事業」は、賃貸管理事業者が建物所有者等から建築物を転貸目的として賃借し、自らが転貸人となって入居者に転貸するシステムによって行う賃貸管理事業のこと(設問文ママ)。ただし、家賃保証を巡るトラブルが発生しているので、契約時に十分な説明が必要となる。ちなみに賃貸管理事業者の代表的な業者に、大東建託グループ、積水ハウスグループ、レオパレス21などがある。

2.事業継続計画(BCP)は、企業が災害や事故で被害を受けても、重要な業務を優先的になるべく中断させず、中断しても可能な限り短い期間で復旧し再開すること等、事業の継続を追求するための事前計画である。具体的な内容は以下のとおり。
①優先して継続・復旧すべき中核事業を特定する
②緊急時における中核事業の目標復旧時間を定めておく
③緊急時に提供できるサービスのレベルについて顧客と予め協議しておく
④事業拠点や生産設備、仕入品調達等の代替策を用意しておく
⑤全ての従業員と事業継続についてコニュニケーションを図る。

4.一般の会社が「会社法」に基づいて設立されるのに対して、「SPC(Special Purpose Company:特定事業目的会社)」は、「SPC法(資産の流動化に関する法律)」に基づき設立される。資金調達や利益配分などの特別な目的のために設立される会社であり、不動産を証券化し、投資家から資金を調達、収益配分する。PFI事業においてSPCを設立する場合、PFI事業以外への投資は行わず、PFIの契約期間が終了すれば自動的に解散する。六本木ヒルズの建設やホテルオークラの建替え、また歌舞伎座の建替えなどが有名。

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投稿日:2019年7月30日 更新日:

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