平成27年度1級建築士-学科Ⅴ施工

建築士過去問解説

一級建築士学科試験
2023年7月23日(日)

令和05年度試験日まであと 日!

〔H27 No.01〕施工計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.契約書の規定に基づく条件変更等により、実施工程表を変更する必要が生じたので、施工の進捗に支障がないよう、当該変更部分の施工と並行して変更された実施工程表の提出を受け承認した。
2.部材、部品等の工場生産に先立ち、工場生産者の作成した製作図、製作要領書、品質管理要領書、製品検査要領書等について、工事施工者からの提出を受け承認した。
3.プレキャストコンクリート部材の運搬・揚重・保管について、搬入される部材を、直接、運搬車より組立て用クレーンで吊上げて組み立て、悪天候により作業ができない場合には荷降しのみとし、現場内に仮置きするという施工計画書の提出を受けた。
4.近隣の安全に対して行う仮設計画に必要な一切の手段については、契約書や設計図書に特別の定めがなかったので、受注者の責任において定めた施工計画書の提出を受けた。

解答 1:工期全体にわたる工事の実施について作成された「実施工程表全体工程表)」は、施工の順序及び工期全体を監視できるものである。この「実施工程表」を変更する必要が生じた場合は、施工に支障がないように、遅滞なく変更し、施工に先立ち、監理者の承認が必要である。(公共建築工事標準仕様書・建築工事監理指針)
(関連問題:令和元年1級学科5、No.01平成24年1級学科5、No.01)

〔H27 No.02〕工事現場の管理等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.高さが5mの鉄筋コンクリート造の建築物の解体作業に当たっては、「コンクリート造の工作物の解体等作業主任者」を選任しなければならない。
2.安全衛生責任者は、統括安全衛生責任者との連絡を行うとともに、統括安全衛生責任者から連絡を受けた事項の関係者への連絡等を行わなければならない。
3.高さが2m以上の作業床の端、開口部等で墜落により労働者に危険を及ぼすのある箇所には、原則として、囲い、手すり、覆い等を設けなければならない。
4.山留め支保工の切ばり及び腹起しの取付けについては、「地山の掘削作業主任者」を選任し、その者に作業の方法を決定させるとともに作業を直接指揮させなければならない。

解答 4:「地山の掘削作業主任者」は、掘削面の高さが2m以上となる地山の掘削作業を行う場合に選任されるもので、技能講習修了者の資格が必要である。設問文の「山留め支保工の切ばり及び腹起しの取付け」において事業者が選任するのは「土止め支保工作業主任者」である。
(関連問題:令和元年1級学科5、No.02平成28年1級学科5、No.02平成27年1級学科5、No.02、平成18年1級)

〔H27 No.03〕工事現場に搬入された建築材料の保管方法に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.車輪付き裸台で運搬された外装に使用するガラスは、室内に保管場所がなかったので、裸台に乗せたまま、屋外に、防水シートを掛け雨露等がかからないように養生をして保管した。
2.外装に使用するALC薄形パネルは、台木を用いて1.0mの高さに積み重ねて、屋外に、防水シートを掛け雨露等がかからないように養生をして保管した。
3.負の摩擦力対応杭(SL杭)を、屋外に長期間保管するに当たり、杭表面に特殊アスファルトが塗布されているので、搬入時の荷姿のまま存置した。
4.アスファルト防水に使用する砂付ストレッチルーフィングは、屋内の乾燥した場所に、ラップ部分を上に向けて積みとし、2段に重ねないように保管した。

解答 3:負の摩擦力対応杭(SL杭)は、杭表面に特殊アスファルト混合物を塗布し、基礎杭表面に対して下向きに作用する抵抗力の低減を目的とする。運搬、取扱い時には、剥がれ、塗装の損傷などが発生しないように注意する。長期間にわたる保管は、外気温の変化などによって塗布剤が流動変化したり。損傷する恐れがあるので、好ましくない。(JASS 4)

https://www.ncic.co.jp/より

〔H27 No.04〕建築工事に関連する届等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.電波法に基づく伝搬障害防止区域内における高さ60mの建築物の新築に先立ち、当該工事の着手前に、「高層建築物等予定工事届」を、労働基準監督署長あてに提出した。
2.特定建築材料(吹付けアスベストアスベストを含有する保温材等)が使用されている建築物の解体工事を施工するに当たり、当該作業の開始の14日前までに、特定粉じん排出等作業実施届出書」を、都道府県知事あてに提出した。
3.建築基準法に基づく中間検査を受ける必要のある建築物について、指定された特定工程に係る工事を終えたので、当該工事を終えた日から4日以内に到達するように「中間検査申請書」を、建築主事あてに提出した。
4.消防本部及び消防署を置く市において、危険物に係る貯蔵所の設置に先立ち、「危険物貯蔵所設置許可申請書」を、当該市長あてに提出した。

解答 1:伝搬障害防止区域内において、高層建築物等(地表から最高部までの高さが31mを超える建築物等)の新築等を行なう場合、建築主は「高層建築物等予定工事届」を工事着手前に総務大臣に届け出なければならない。(電波法)
なお、労働基準監督署長への届出は以下のものがある。
・統括安全衛生管理者専任報告
・安全管理者専任報告
・衛生管理者専任報告
工事計画届(31mを超える建築物・工作物の建築・解体)
工事計画届(10m以上の地山の掘削)
工事計画届(石綿等の除去)
・建設業に付属する寄宿舎設置届
・特定元方事業者の事業開始報告
・型枠支保工設置計画届(支柱の高さ3.5m以上)
・足場の組み立て・解体計画届(10m、60日以上)
・クレーン、デリック、エレベーター、建築用リフトの設置届
・ボイラー設置届
・ゴンドラ設置届
(関連問題:平成23年1級学科5、No.04平成20年1級学科4、No.02、平成17年1級学科4、平成14年1級学科4)

〔H27 No.05〕仮設工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.工事用の資機材を搬出入するために設ける床の仮設用の開口について、構造的な補強方法や工事完了後の復旧方法等を確認するために仮設工事計画書を作成させた。
2.建築物の高さと位置の基準となるベンチマークについては、工事中に移動ののない新設したコンクリート杭及び前面道路の2箇所に設け、相互に確認できる位置にあることを確認した。
3.工事現場の周囲へ高さ3.0mの仮囲いの設置に当たり、現場ゲートや通用口は通行人の交通の妨げにならない位置とし、交通誘導員の配置をさせる等、安全に配慮するよう助言した。
4.遣方の検査において使用する鋼製巻尺については、テープ合わせを省略できるよう、検査用に購入した新品の日本工業規格(JIS)1級のものを使用させた。

解答 4:測量に際して、工事着手前に日本工業規格(JIS)1級の鋼製巻尺を2本用意し、テープ合わせを行い、監理者の承認を受ける。そのうち1本は基準巻尺として保管する。また、遣方の検査は監理者の立会いのもと、その工事現場専用の基準巻尺を使用する。
 (関連問題:平成28年1級学科5、No.05、平成17年1級学科4、平成14年1級学科4、平成24年2級学科4、No.12)

〔H27 No.06〕土工事及び山留め工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.親杭横矢板壁の施工において、矢板を設置し、その裏側に裏込め材を十分に充填した後、親杭と矢板との間にを打ち込んで裏込め材を締め付けて安定を図った。
2.砂質地盤の法付きオープンカット工法において、安全確保のため、地下水位を根切り底面以下に下げるとともに、法面勾配の角度は地盤の内部摩擦角より大きくした。
3.ソイルセメント壁の施工において、掘削対象土がロームであったため、攪拌かくはん不良に注意し、入念に原位置土とセメント系懸濁液との混合攪拌かくはんを行った。
4.ディープウェル工法を採用するに当たり、周辺の井戸枯れや粘性土地盤の圧密沈下等、地下水位の低下に伴う周辺への影響を検討した。

解答 2:砂質地盤における法付きオープンカット工法では、安全確保のため、法面角を内部摩擦角以内とし、地下水位を必ず根切り底面以下に下げる。(建築工事監理指針および山留め設計指針)

〔H27 No.07〕地業工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.セメントミルク工法による既製コンクリート杭工事において、アースオーガーの支持地盤への到達については、アースオーガーの駆動用電動機の電流値の変化及びオーガーの先端に付着した排出土と土質標本との照合により確認した。
2.平板載荷試験において、試験地盤面については、直径30cmの円形の載荷板の中心から1.0m以上の範囲が水平に整地されていることを確認した。
3.既製コンクリート杭の打込みにおいて、一群の杭の打込みは群の外側から中心へ向かって打ち進められていることを確認した。
4.オールケーシング工法による場所打ちコンクリート杭工事において、トレミー管及びケーシングチューブの先端は、コンクリート中に2m以上入っていることを確認した。

解答 3:既製コンクリート杭の打込みにおいて、一群の杭の打込みを群の外側から中心へ向かって打ち進めると、地盤が締め固まってしまうために中心部分での打ち込みが困難になる。そのため、打ち込みは中心から外側に向かって打ち込みを進める。(建築工事監理指針)
(関連問題:平成13年1級学科4)

〔H27 No.08〕鉄筋工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.鉄筋の重ね継手において、鉄筋径が異なる異形鉄筋の継手の長さは、細いほうの鉄筋の径を基準とした。
2.ガス圧接継手において、SD345のD22とD29との圧接は、自動ガス圧接とした。
3.粗骨材の最大寸法が20mmのコンクリートを用いる柱において、主筋がD25の鉄筋相互のは、40mmとした。
4.柱におけるコンクリートのかぶり厚さは、せん断補強筋の表面からこれを覆うコンクリート表面までの最短距離とした。

解答 2:ガス圧接継手は、原則として、その径または呼び名の差が7mm以下でなくてはならない。設問の「D22」と「D29」の差は7mmではあるので手動でのガス圧接は可能である。ただし、自動ガス圧接は径の異なる鉄筋では行ってはならない。(鉄筋継手工事標準仕様書)
(関連問題:平成28年1級学科5、No.08平成23年1級学科5、No.08、平成18年1級学科4)

〔H27 No.09〕型枠工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.支持梁が鉄骨造である床型枠用鋼製デッキプレート(フラットデッキ)のエンドクローズ部分については、支持梁への掛り代を50mm以上とし、オフセット寸法を40mm以下とした。
2.型枠支保工の構造計算において、固定荷重として、鉄筋を含んだ普通コンクリートの荷重(24kN/m3×部材厚さ(m))に在来工法の型枠の重量0.4kN/m2を加えた値を用いた。
3.計画供用期間の級が「標準」の建築物において、普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートの湿潤養生を透水性の小さいせき板による被覆で行う計画としたので、コンクリート部分の厚さが20cmの壁のせき板については、5日間存置した。
4.柱及び壁のせき板の存置期間をコンクリートの材齢で決定する施工計画において、平均気温が10°C 以上15°C 未満と予想されたので、普通ポルトランドセメントを使用したコンクリートについては、せき板の存置期間を3日とした。

解答 4:基礎・梁側・柱・壁のせき板の存置期間を定めるためのコンクリートの材齢は、以下の表の通りになる。(JASS 5)(関連問題:平成25年1級学科5、No.09平成23年1級学科5、No.09平成22年1級学科5、No.09、平成19年1級学科4、平成17年1級学科4、平成16年1級学科4)

〔H27 No.10〕コンクリート工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.単位水量が180kg/m3と指定されたコンクリートにおいて、受入れ時に、運搬車ごとにレディーミクストコンクリート工場の製造管理記録により単位水量が180kg/m3であることを確認したので、合格とした。
2.調合管理強度を24N/mm2スランプを18cmと指定されたコンクリートにおいて、受入れ時のスランプが21cmであったので、合格とした。
3.調合管理強度を27N/mm2、空気量を4.5%と指定されたコンクリートにおいて、受入れ時の空気量が3.0%であったので、合格とした。
4.構造体コンクリート強度の検査において、標準養生による3個の供試体の材齢28日における圧縮強度の平均値がコンクリートの調合管理強度以上であったので、合格とした。

解答 2:スランプの許容差は、指定したスランプの値が8以上18以下が「±2.5」となっており、その他は「±1.5」である。ただし、調合管理強度が27N/mm2以上でスランプが21cmの高性能AE減水剤を使用したJIS規格品のコンクリートについては、スランプの許容差が±2.0cmとすることができる。(JASS 5)
(関連問題:令和元年1級学科5、No.11平成30年1級学科5、No.10平成29年1級学科5、No.02平成25年1級学科5、No.10平成23年1級学科5、No.10平成21年1級学科5、No.10)

〔H27 No.11〕コンクリートの一般的な性質に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.コンクリートの水和熱は、単位セメント量が少なくなるほど、小さくなる。
2.コンクリートのヤング係数は、コンクリートの圧縮強度が高くなるほど、大きくなる。
3.コンクリートの乾燥収縮のひずみ度は、部材の体積表面積比(体積/表面積)が大きくなるほど、小さくなる。
4.コンクリートの中性化速度係数は、コンクリートの圧縮強度が高くなるほど、大きくなる。

解答 4:一般に、コンクリートの圧縮強度が高くなるほど、中性化速度は小さくなる。(構造体コンクリートの品質に関する研究の動向と問題点)
(関連問題:平成10年1級学科4、平成23年1級学科4、No.28)

〔H27 No.12〕壁式プレキャスト鉄筋コンクリート工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.プレキャスト部材の組立精度の検査は、特記がなかったので、柱・壁の垂直部材と梁・床の水平部材とも、それぞれ±8mmを判定基準として行った。
2.外部に面する部分に、幅0.10mm以下の貫通しているひび割れがあるプレキャスト部材については、外壁性能上支障がないと判断し、初期補修用プレミックスポリマーセメントペーストによる補修を行ったうえで使用した。
3.プレキャスト部材の非耐力壁の対角線長差の許容差は、特記がなかったので、5mmとして製品の寸法精度の管理を行った。
4.プレキャスト部材間の目地のシーリングについては、特記がなかったので、シーリング材の充填深さを15mmとした。

解答 1:プレキャスト部材の組み立て精度の検査は、仮固定完了後、次の部材の組み立て前に全数に対して行い、その判定基準は「±5mm以下」とする。(JASS 10)
(関連問題:令和元年1級学科5、No.12平成30年1級学科5、No.12平成22年1級学科5、No.12)

〔H27 No.13〕鉄骨工事における製品製作に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.鉄骨の高力ボルト用孔の孔あけ加工において、板厚が12mmであったので、せん断孔あけとし、切断面のバリを除去するためにグラインダーを使用した。
2.コンクリート充填鋼管(CFT)造において、鋼管最上部のトッププレートのコンクリート打設孔は、充填に支障のない範囲に直径150mmのものを設けた。
3.鉄骨の摩擦面に赤錆が発生する前に建方を行う必要があったので、ショットブラストにより処理を行い、表面の粗さを50μmRZとした。
4.ブレース端のハンチ等の塑性変形能力が要求される部位において、特記がなかったので、常温曲げ加工による内側曲げ半径を、材料の板厚の8倍とした。

解答 1:高力ボルト用孔の孔あけ加工は、鉄骨製作工場で行い、ドリルあけとし、せん断孔あけをしてはいけない。また、ボルト孔・アンカーボルト孔・鉄筋貫通孔もドリルあけを原則とするが、板厚が13mm以下のときは、せん断孔あけとすることができる。また、上記4つの孔あきを、特記がある場合もしくは監理者の承認を受けた場合は、レーザ孔あけとすることができる。その場合、溶接部を含む孔径の精度は、±0.5mm以下とする。(JASS 6)
(関連問題:令和元年1級学科5、No.14平成22年1級学科5、No.13、平成17年1級学科4、平成13年1級学科4)

〔H27 No.14〕鉄骨工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.組立溶接に使用する溶接ロボットのオペレーターは、JIS Z 3841の基本となる級(下向溶接)の技術検定試験に合格した有資格者とした。
2.溶融亜鉛めっきを施す部材において、閉鎖形断面の角形鋼管を使用したので、部材の両端に亜鉛及び空気の流出入用の開口を設けた。
3.トルシア形高力ボルトの締付け検査において、ナット面から突き出たねじ山がなかったが、ピンテールが破断し、共回りがないことが確認されたので合格とした。
4.スパン数の多い建築物は、柱梁接合部の溶接収縮により水平方向に柱の倒れ変形が生じるため、建築物の中央部等に調整スパンを設け、溶接完了後に調整スパンの梁を高力ボルトで取り付けた。

解答 3:トルシア形高力ボルトの締付け後の目視検査においては、以下の項目を目視によって検査する。
・ピンテールの破断ー所定の軸力の確認及び本締めが完了しているか
・1次締め後につけたマークのずれー共回り・軸回りしていないか
・ナットの回転量(平均回転角度が±30度の範囲内か)
突き出したボルトの余長(ねじ山が1~6山の範囲内か)
(関連問題:平成29年1級学科5、No.13平成28年1級学科5、No.15平成27年1級学科5、No.14平成25年1級学科5、No.13平成21年1級学科5、No.13、平成17年1級、平成15年1級、平成11年1級)

〔H27 No.15〕木造軸組工法による木工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.構造用合板による大壁造の耐力壁において、土台と柱とを山形プレートで接合する箇所については、構造用合板を切り欠き、近傍に釘を増し打ちした。
2.2階床ばりの継手を追掛け大栓継ぎとするので、その継手については、上木先端部が柱心より150mm内外となるように下木を持ち出した。
3.1階床組みを束立て床とするので、木材の床束の束石からの移動や浮き上がりを防止するため、床束に根がらみを添え付けて釘打ちした。
4.構造用合板等の面材を併用しない耐力壁において、壁倍率2.0に適合させるために、30mm×90mm(柱三割)の木材を片筋かいとし、その端部を筋かいプレートBP-2で柱と土台に緊結した。

解答 4:耐力壁の壁倍率を1.5倍に適合させるためには、厚さ30mm以上×幅90mm以上とし、壁倍率を2.0倍に適合させるためには、厚さ45mm以上×幅90mm以上の木材を片筋かいとする。よって設問の「30 mm×90 mm」では不適合である。(木造住宅工事仕様書)
(関連問題:令和元年1級学科5、No.15)

〔H27 No.16〕防水工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.アスファルト防水工事において、防水下地の入隅及び出隅については、通りよく45度の面取りとした。
2.アスファルト防水工事において、平場部の防水層の保護コンクリートに設ける伸縮目地の割付けについては、パラペット等の立上り部の仕上り面から600mm程度とし、中間部は縦横の間隔を3,000mm程度とした。
3.塗膜防水工事において、防水材塗継ぎの重ね幅を50mmとし、補強布の重ね幅を100mmとした。
4.シーリング工事において、2成分形シーリング材は、1組の作業班が1日に行った施工箇所を1ロットとして、ロットごとに別に作成したサンプルにより、定期的に練混ぜ後の硬化状態を確認した。

解答 3:塗膜防水工事における補強布(幅100mm程度)は、下地によくなじませ、耳打ち・シワなどが生じないように防水材で張り付ける。このとき塗継ぎ重ね幅は100mm以上、補強布の重ね幅は50mm以上とする。(公共建築工事標準仕様書)
 (関連問題:平成23年1級学科5、No.16、平成18年1級学科4、平成14年1級学科4、平成11年1級学科4)

〔H27 No.17〕左官工事及びタイル張り工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.セメントモルタルによる磁器質タイル張りにおいて、コンクリート下地へ行う超高圧水洗浄法については、コンクリートの表面の清掃、目荒し等を確実に行うため吐出圧を150~200N/mmとした。
2.コンクリート外壁へのモルタル塗りの下塗りとして、ポリマーセメントを調合したモルタルを塗り付ける際の1回の塗り厚は、10~15mmとなるようにした。
3.コンクリート下地へのモルタル塗りにおいて、モルタルの1回の練混ぜ量については、品質を確保するために、60分以内に使い切れる量とした。
4.縦壁ロッキング構法によるALCパネルへの磁器質タイル張りにおいて、ALCパネルの目違い精度については6mm以内とし、ALCパネルの伸縮目地とタイル面の伸縮調整目地を一致させた。

解答 2:モルタル塗りの際、天井・庇の1回の塗り厚は、4.5mm(上限6mm)、合計塗り厚は12mm以下とし、その他の部分の1回の塗り厚は、6mm(上限9mm)、合計塗り厚は25mm以下とする。(JASS 15)
(関連問題:平成11年1級学科4)

〔H27 No.18〕ガラス工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.サッシ枠が地震による面内変形を受けた場合にガラスが割れないようにするため、サッシ枠のはめ込み溝底とガラスエッジとの間に設けるエッジクリアランスの寸法を確認した。
2.矩形でない形状の複層ガラスについては、2枚のガラスの複層加工を行った後、ガラスの切欠き加工及び小口処理を行う手順を、ガラス工事施工計画書にて確認した。
3.外部に面する網入り板ガラスの小口部分に、ガラス用防錆塗料又は防錆テープを用いて防錆処置を施し、発錆による割れを防止した。
4.ガラスの熱割れ防止対策の検討のため、建築物の立地、開口部の方位、ガラスの光特性・熱特性等により熱応力を算出し、ガラスエッジの許容応力と比較した。

解答 2:複層ガラスの周辺は、スペーサーと封着材によって2枚のガラスが接着されているので、複層加工後の切断、小口処理、穴あけ、切欠きなどの加工は行わない。(JASS 17)

〔H27 No.19〕天井の耐震改修工事等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.既存建築物の特定天井に該当する既存の天井を耐震化する必要があったが、天井下地の補強が困難であったため、既存の天井が破損しても落下しないようにネット張りにてその対策を行った。
2.宴会場に新設する天井について、床からの高さが10mでその天井水平投影面積が600m2であったが、天井(天井面構成部材等)を単位面積質量が1.5kg/m2の膜天井とし、特定天井としなかった。
3.仕様ルートの適用による検証を行った特定天井においては、天井面構成部材と壁及び柱との隙間を6cm以上とした。
4.音楽堂のホワイエに新設する天井について、床からの高さが8mでその水平投影面積が400m2、天井(天井面構成部材等)の単位面積質量が10kg/m2であったが、ホワイエが避難階にあり非常口が隣接するための緩和措置を適用し、特定天井としなかった。

解答 4:特定天井となる条件は、以下の3条件を満たすものである。
①日常人が立ち入る場所である。
②高さが6mを超える天井の部分で、かつ面積が200m2を超える。
③天井材の単位面積当たり重量が2kg/m2を超える。
よって、選択肢4は、特定天井に該当する。また、設問文の「緩和措置」等は定められていない。

〔H27 No.20〕設備工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.管径が28mmの合成樹脂製可とう電線管(PF管)を配管するに当たり、管の内側曲げ半径を管内径の6倍とし、曲げ角度を90度とした。
2.蒸気給気管を配管するに当たり、先下り配管の勾配は1/250とし、先上り配管の勾配は1/80とした。
3.ケーブルラックの支持金物の取付けに当たり、あらかじめ取付用インサートを設置できなかったので、安全性を十分に検討したうえで、必要な強度を有する「あと施工アンカー」を用いた。
4.寒冷地における給水管の地中埋設の深さは、硬質塩化ビニルを内外面に被覆した鋼管を使用したので、凍結深度よりも浅い位置とした。

解答 4:管の埋設地中深さは、車両道路では、管の上端より600mm以上、それ以外では300mm以上とする。ただし、寒冷地では、凍結深度以上とする。(公共建築工事標準仕様書 機械設備工事編)

〔H27 No.21〕次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.タイル先付けプレキャストコンクリート工法における引張接着強度検査については、引張接着強度が0.4N/mm2以上で、コンクリート下地の接着界面における破壊率が50%以下のものを合格とした。
2.外壁乾式工法による張り石工事において、石材の裏面と躯体コンクリート面との間隔(取付け代)を、70mmとした。
3.施工中の建具の鍵について、コンストラクションキーシステムを用いたので、施工後に、シリンダーを取り替えることなく工事用の鍵から本設用の鍵に切り替え、不用になった工事用の鍵を提出させて、その確認を行った。
4.塗装工事において、屋外に露出する鉄鋼面への錆止め塗料塗りについては、鉛・クロムフリーさび止めペイントを使用した。

解答 1:「タイル先付けプレキャストコンクリート工法」は、工場敷地内でタイルを型枠に先付けし、コンクリートを打設して、一体化するタイル先付けPC部材による工法である。この工法のタイルの引張接着強度は0.6N/mm2以上とする。(JASS 19)
(関連問題:平成14年1級学科4)

〔H27 No.22〕鉄筋コンクリート造の既存建築物の耐震改修工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.柱の鋼板巻き立て補強において、鋼板を角形に巻くこととしたので、コーナー部の曲げ内法半径については、鋼板の板厚の2倍とした。
2.独立した矩形柱の炭素繊維シートによる補強工事において、シートの水平方向のラップ位置については、構造的な弱点をなくすために、柱の同一箇所、同一面とならないようにした。
3.あと施工アンカー工事において、接着系アンカーの埋込み時に接着剤がコンクリート表面まであふれ出てこなかったので、直ちにアンカー筋を引き抜き、カプセルを追加して接着剤があふれ出るようにアンカー筋を埋め込んだ。
4.鉄筋コンクリート壁の増打ち壁において、シアコネクタの設置位置は、特記がなかったので、D13の異形鉄筋によるあと施工アンカー」を用い、縦横30~50cm程度の間隔とした。

解答 1:「鋼板巻き工法」は既存柱に薄い鋼板を巻き、その内側に高流動モルタルを充填する補強方法。鋼板の形状は円形または角形とし、特記による。角形の場合は、角部に板厚の3倍以上のアール(内法半径)を設ける。(建築改修工事監理指針)(関連問題:令和02年1級学科5、No.22、平成17年1級学科4)

〔H27 No.23〕各種改修工事に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.屋上緑化改修工事において、植物の地下茎が肥大成長するときに、耐根層のシートの隙間を貫通しないよう、耐根シートの重ね合わせの接合部については、平場と同等の性能となるよう接合した。
2.防火認定が必要な壁紙の張替え工事において、コンクリート下地に強く張り付いた既存の壁紙の裏打ち紙を残し、新規の壁紙を張り付けた。
3.アルミニウム製建具の改修工事において、新規建具と鉄筋コンクリート躯体の取合いのシーリングは、目地深さが所定の寸法であり、被着体の挙動が少ないことが確認できたので、ボンドブレーカーを省略し三面接着とした。
4.下地がモルタル塗りである塗床の改修工事において、既存の合成樹脂塗床材の除去は、電動ケレン棒を使用し、当該塗床材をモルタルとともに一体で撤去した。

解答 2:「防火認定が必要な壁紙の張替え工事」においては、既存の壁紙を残さず撤去し、下地基材面を露出させてから新規の壁紙を張り付ける。(建築改修工事監理指針)

〔H27 No.24〕建築工事に関する用語とその説明との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。

解答 2:リバウンドハンマーは、硬化したコンクリートの表面を打撃した時の反発度を測定し、その反発度から圧縮強度を推定する器具のこと。シュミットテストハンマーとも呼ばれる。

http://www.di-me.co.jp/より

〔H27 No.25〕建築物の工事請負契約に関する次の記述のうち、民間(旧四会)連合協定「工事請負契約約款(平成23年5月改正)」に照らして、最も不適当なものはどれか。

1.発注者は、受注者の求め又は設計図書の作成者の求めにより、設計図書の作成者が行う設計意図を正確に伝えるための質疑応答、説明の内容を受注者に通知する。
2.監理者は、監理契約にもとづいて発注者の委託をうけ、工事請負契約に別段の定めのあるほか、受注者から提出された質疑書に関し、技術的に検討し、回答すること等を行う。
3.受注者は、図面・仕様書の表示が明確でないこと、または図面と仕様書に矛盾、誤謬ごびゅう又は脱漏があることを発見したときは、ただちに書面をもって監理者に通知する。
4.監理者は、図面・仕様書のとおりに実施されていない疑いのある施工について、必要と認められる相当の理由があるときは、受注者の書面による同意を得て、必要な範囲で破壊してその部分を検査することができる。

解答 4:発注者または監理者は、工事用図書の通りに実施されていない疑いのある施工について、必要と認められる相当の理由があるときは、その理由を受注者に通知のうえ、必要な範囲で破壊してその部分を検査することができる。(工事請負契約約款17条)
(関連問題:平成30年1級学科5、No.01、平成15年1級学科4)

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投稿日:2019年8月1日 更新日:

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