平成26年度1級建築士-学科Ⅱ環境・設備

建築士過去問解説

一級建築士学科試験
2023年7月23日(日)

令和05年度試験日まであと 日!

〔H26 No.01〕環境工学で用いられる用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.色温度は、光源の光色を、それと近似する色度の光を放つ黒体の絶対温度で表したものである。
2.夜間放射(実効放射)は、地表における上向きの地表面放射のことであり、夜間のみ存在する。
3.平衡含湿率(平衡含水率)は、材料を一定の温湿度の湿り空気中に十分に長い時間放置しておき、含湿量が変化しなくなった状態(平衡状態)に達したときの、材料の乾燥質量に対する含湿量の割合である。
4.カクテルパーティー効果は、周囲が騒がしい環境であっても聴きたい音を選択的に聴き取ることができる聴覚上の性質のことである。

解答 2:地表面から放射される熱放射を「地表面放射」と言い、大気に吸収される放射(上向き大気放射)と、再び地表面に戻る放射(下向き大気放射)がある。初めに放射された地表面放射と下向き大気放射との差を「夜間放射」という。昼間も存在する現象であり、快晴であれば大きくなり、雲の量が多く、また低くなれば小さくなる。

1.色温度は、光源の光色を、それと近似する色度の光を放つ黒体の絶対温度で表したものであり、色温度「低→中→高」に対して、光色も「赤→橙→黄→白→青」と変化し、光の感じ方は「暖→中→冷」と変化する。日没前頃(橙)より正午頃(白)のほうが高い。

3.平衡含湿率(平衡含水率)は、材料を一定の温湿度の湿り空気中に十分に長い時間放置しておき、含湿量が変化しなくなった状態(平衡状態)に達したときの、材料の乾燥質量に対する含湿量の割合である。木製建具材の含水率は、天然乾燥による平衡含水率は12%~19%、人工乾燥による平衡含水率は、ファンコイルを使用する特殊な部屋が10%、上級な事務所が13%、一般事務所が15%である。

4.「カクテルパーティー効果」とは多くの音の中から、自分が必要としている情報や重要な情報を無意識に選択することができる脳の働き(=聴覚上の性質)のことをいう。音声の選択的聴取、選択的注意とも呼ばれている。

〔H26 No.02〕室内の温熱・空気環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.人体からの総発熱量に占める潜熱発熱量の比率は、一般に、作業の程度に応じて代謝量が多くなるほど増加する。
2.汚染質除去を目的とした単位時間当たりの必要換気量は、「単位時間当たりの室内の汚染質発生量」を「室内の汚染質濃度の許容値と外気の汚染質濃度との差」で除して求めることができる。
3.半密閉型燃焼器具においては、室内空気を燃焼用に用いないため、室内の酸素濃度の低下に起因する不完全燃焼が発生することはない。
4.冷たい壁面によって不快感を生じさせないためには、放射の不均一性(放射温度の差)を10°C 以内にすることが望ましい。

解答 3:燃焼器具は3種類ある。給気と排気を室内で行う「開放型燃焼器具」、室内空気を給気し、室外に排気する「半密閉(半開放)型燃焼器具」、給気と排気を室外で行う「密閉型燃焼器具」である。

1.人体からの発生熱量は、顕熱と潜熱の2種類ある。顕熱(Sensible Heat)とは、放熱による温度の変化であり、潜熱(Latent Heat)は湿度の変化である。作業強度が大きくなると当然、発生熱量は大きくなる。このとき、より発汗するので潜熱の割合は大きくなる。

2.室内汚染質濃度Pと、換気量Qには、以下の式が成り立つ。
(P – P0)× Q = K
単位時間当たりの室内の汚染質発生量P、大気中の汚染質濃度P0、汚染質発生量K
上記の式より、必要換気量は、「単位時間当たりの室内の汚染質発生量」を「室内の汚染質濃度の許容値と外気の汚染質濃度との差」で除して求めることができる。

4.人が感じる熱放射の不均一性の限界はISO(国際標準化機構)で定められており、冷たい壁面では10℃以内、暖かい天井では5℃以内とされている。なお、暖かい壁や冷たい天井は不快感が少ないので基準はない。

〔H26 No.03〕外気温7°C、無風の条件の下で、図のような上下に開口部を有する断面の建築物A、B、Cがある。室温がいずれも20°Cに保たれ、上下各々の開口面積がそれぞれ0.3m2、0.4m2、0.7m2、開口部の中心間の距離がそれぞれ4m、2m、1mであるとき、建築物A、B、Cの換気量QA、QB、QCの大小関係として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、いずれの開口部も流量係数は一定とし、中性帯は開口部の中心間の中央に位置するものとする。なお、√2≒1.4として計算するものとする。

1.QA> QB> QC 
2.QA> QC> QB
3.QC> QA> QB
4.QC> QB> QA

解答 3:風圧力によって室内を換気する場合の換気量は、以下の式で求められる。
流量係数αと気温tiとtoは一定なので、2gなどの定数を除き、A√hの大小でそれぞれの換気量の大きさを判断する。

このとき開口部面積Aは、流入口と流出口が同じ場合、開口面積Sに比例する。

よってS√hで比較すると、
QA=0.3×√4=0.6
QB=0.4×√2=0.56
QC=0.7×√1=0.7

よって、QC>QA>QB となる。

(関連問題:令和元年1級学科2、No.03)

〔H26 No.04〕伝熱・結露に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.同種の発泡性の断熱材において、空隙率が同じ場合、一般に、材料内部の気泡寸法が大きいものほど、熱伝導率は小さくなる。
2.日射遮蔽係数の値が小さいほど、日射遮性能は高くなる。
3.壁体内の中空層の表面の片側をアルミはくで覆うと、壁体の熱抵抗は大きくなる。
4.「表面温度」が「表面近傍の空気が含む水蒸気量から求められる露点温度」を下回る場合に、表面結露が発生すると判断できる。

解答 1:同種の発泡性の断熱材において、空隙率が同じ場合、一般に、材料内部の気泡寸法が小さいものほど、空気層が何層にも分かれることになるので、放射を遮断する回数が増える。そのため気泡寸法が小さいほど、熱伝導率は小さくなる。

2.日射遮蔽係数(SC値)は、厚さ3㎜の透明ガラスの日射熱取得率を基準(1.0)とし、各種ガラス等の任意の遮蔽物の日射熱取得率の割合を表したもので、値が大きいほど遮蔽効果は小さくなる。

3.壁体内の中空層の表面の片側をアルミ箔で覆うと、反射によって輻射熱を低減するので、壁体の熱貫流率は小さくなり、熱抵抗は大きくなる。

4.「露点温度」とは、ある温湿度状態の湿り空気を冷却したときに、飽和状態となり水分の凝結が始まる温度をいう。空気中の水蒸気が露点温度より低い表面温度の物体に触れると、水分が凝結して水滴となる。このため、表面結露の発生の有無は、露点温度と表面温度の大小に影響される。

〔H26 No.05〕建築物における防火・防災に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.天井、壁等の内装材料を不燃化することは、火災時にフラッシュオーバーに至るまでの時間を長くするための対策として有効である。
2.避難時に利用する階段室への出入口の幅は、一般に、流動係数を考慮し、階段の有効幅よりも狭く計画する。
3.大断面集成材を用いた木造建築物において、通常の火災により建築物全体が容易に倒壊するのない構造とするためには、主要構造部の柱及び梁に適切な燃え代を見込んだ燃え代設計が有効である。
4.縦長の窓は、横長の窓に比べて、噴出する火炎が外壁から離れにくいため、上階への延焼の危険性が高い。

解答 4:縦長の窓は、噴出する火炎の勢いが強く、外壁から離れて噴出しやすい。逆に横長の窓は外壁に沿って噴出するので、上階への延焼の危険性が高い。

1.フラッシュオーバーとは、室内の局所的な火災が、数秒~数十秒のごく短時間に、部屋全域に拡大する現象の総称のことである。火災の熱により室内の温度が急激に上昇し、ある一定の温度に達したときに室内にある可燃物が発火し、急激な延焼拡大が引き起こされて全面火災となる。このフラッシュオーバーへ至る時間が長い方が、在館者の避難に有利であり、天井、壁等の内装材料を不燃化することは、火災時にフラッシュオーバーに至るまでの時間を長くするための対策として有効である。

2.廊下から避難階段への出入り口の幅は、その階の避難人口や階段幅等を考慮して決められる。出入り口は階段の幅と同じか、それよりも狭く計画する。出入り口が広い場合、階段室内で滞留や混雑が生じ、階段での二次災害の恐れがある。

3.燃え代設計とは、木製の柱・梁について、火災時に燃えるであろう厚みをあらかじめ構造上必要な断面に付加する手法である。

〔H26 No.6〕日照・日射に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.全天空照度は、直射日光による照度を含まない。
2.昼光により室内の最低照度を確保するためには、一般に、設計用全天空照度に暗い日の値である5,000lxを採用する。
3.日差し曲線は、地平面上のある点が周囲の建築物によって、どのような日照障害を受けるのかを検討するために用いられる。
4.建築物の形状と日影の関係において、4時間以上日影となる領域の面積は、一般に、建築物の東西方向の幅よりも高さから受ける影響が大きい。

解答 4:長時間日影になる範囲は、建築物の高さや奥行きよりも、東西方向の幅に大きく影響される。


1.全天空照度 (ES:屋外水平面照度) は、障害物のない屋外で計測される天空光だけの水平面照度のこと。天空光のみで、直射日光による照度は含まれない。

2.設計用全天空照度は、普通の日(標準の状態)の場合、15,000lxを用いることが多いが、昼光により室内の最低照度を確保するには、一般に、暗い日の値である5,000lxが用いられる。

3.日差し曲線は、地平面上のある点が周囲の建築物によって、どのような日照障害を受けるのかを検討するために用いられる。また、冬至などの決まった日に、日差し曲線の描かれる水平面と検討点の距離を段階的に変えて得られた多数の日差し曲線を一枚の図にまとめたものを「日照図表」という。

〔H26 No.07〕昼光・人工照明に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.人工照明により全般照明を行う場合、照度均斉度は、1/10程度あればよい。
2.学校の普通教室の昼光率は、2%程度あればよい。
3.光束は、ある面を単位時間に通過する光の放射エネルギーの量を、視感度で補正した値である。
4.蛍光水銀ランプは、白熱電球に比べて、色温度は高く、演色性は低い。

解答 1:「均斉度」は、室内への採光による均一さ度合いを示すものである。昼光照明による片側採光の場合は1/10以上、人工照明による全般照明の場合は1/3以上、机や作業面上は1/1.5以上とするのが望ましい。

2.採光設計の際に基準となる「基準昼光率」は以下の表を参考にする。

3.光束はルーメン(lm)で表される光の放射量であり、光の基本単位である。人の感覚は波長によって明るさの感じ方が異なるため、明るい場所での視覚の状態を1として、比視感度を乗じることによって補正されている。

4.各ランプの評価は、使用場所や用途によって異なり、演色性や色温度によって判断されることが多い。
・白熱電球は、最も一般的な照明であり、寿命が短く、効率が低い(電力の約8割を熱として消費)。色温度は低く(赤み、暖色)、演色性は非常に高い。
・蛍光ランプは、電極間の放電により紫外線を発し、蛍光物質により発光させる。点灯回路と安定期が別途必要となる。色温度は高く(青白)、演色性は高い。効率と寿命は白熱電球の約3倍から5倍程度と経済的。ただし、周囲温度によって光束低下が起こり、またストロボ効果が生じやすい。
・高圧放電ランプは、水銀ランプ、メタルハライドランプなどの高圧放電系ランプの総称で、道路、工場、高天井などに使用される。白熱電球に比べて寿命が長く、色温度は高く、演色性は低い。ただし、トンネルや道路に使用される高圧ナトリウムランプは、色温度は低いが、発光効率は最も高い。
・発光ダイオード(LED)は、電気エネルギーを直接光に変える長寿命、高効率、低発熱、小型、軽量の特徴がある。

〔H26 No.08〕音響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.音の聴感上の特性は、音の大きさ、音の高さ及び音色の三つである。
2.音の大きさの感覚量は、音圧レベルが一定の場合、低音域で小さく、3~4kHz付近で最大となる。
3.音源の音響パワーを50%に下げると、受音点の音圧レベルは約3dB下がる。
4.コンサートホールの残響時間は、室容積にかかわらず、2秒以上とすることが望ましい。

解答 4:「最適残響時間」は室の用途と、室容積によって算定する。室容積が大きくなると残響時間も大きくなる。録音室や講演会場では短くし、コンサートホールでは長くする。

1.音の聴感上の特性は、音の大きさ、音の高さ、音色の三要素である。音の大きさはラウドネス(音の強さと周波数)、音の高さは周波数、音色は音の波形による。

2.通常の音圧レベルでの耳の感度は3kHz~4kHzの中高音域が最も良く聞こえ、低音域では感度は低下する。

3.音源の音響パワー(音の強さ)を2倍にすると、音の強さのレベルは3dB大きくなる。音の強さを1/2倍にすると、音の強さのレベルは3dB小さくなる。

〔H26 No.09〕壁の吸音・遮音に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.吸音率は、「壁へ入射する音のエネルギー」に対する「壁から反射されなかった音のエネルギー」の割合である。
2.透過率は、「壁へ入射する音のエネルギー」に対する「壁の反対側へ透過する音のエネルギー」の割合であり、透過損失は、透過率の逆数を「dB」で表示した値である。
3.中空二重壁の共鳴透過について、壁間の空気層を厚くすると、共振周波数は高くなる。
4.せっこうボードを剛壁に取り付ける場合、せっこうボードの背後に空気層を設けると、低音域で吸音率が大きくなる。

解答 3:「共鳴透過」は、壁や複層ガラスで生じる現象で、内外の壁材同士やガラス同士が中空層の空気をバネにして共鳴が生じ、低音域において、透過損失の低下すること。壁内もしくは複層ガラスの中空層の厚さが大きくなると、共鳴透過の生じる波長は長くなり、共鳴透過周波数は低くなる。

1.壁の吸音は、反射音を減らすことであり、「入射する音のエネルギー」に対する「反射音以外のエネルギー(壁内部に吸収される音のエネルギーと壁の反対側へ透過する音のエネルギーとの和)」の割合である。

2.壁に音が入射すると、一部は透過され、一部は反射・吸収される。この透過する割合を透過率という。つまり、設問のあるように透過率は、「壁へ入射する音のエネルギー」に対する「壁の反対側へ透過する音のエネルギー」の割合である。また透過損失は値が大きいほど遮音効果が大きく、透過率の逆数を「dB」で表示した値である。

4.薄いベニヤ板のような材料に音があたると、材料が振動して音エネルギーが熱エネルギーに変化して吸音される。その特徴として高音域より低音域を吸音し、剛壁との間の空気層が厚いほど低音の吸音効果は大きい。

〔H26 No.10〕色彩に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.明所視において同じ比視感度である青と赤であっても、暗所視においては、赤より青のほうが明るく見える。
2.記憶色(記憶上の色彩)は、一般に、実際の色彩に比べて、彩度明度ともに低くなる傾向がある。
3.囲まれた色、挟まれた色等が、その周囲の色に近づいて見える現象を同化という。
4.建築空間において、小面積の高彩度色を大面積の低彩度色に対比させて用いると、一般に、アクセント効果が得られる。

解答 2:記憶から連想される色彩「記憶色」は、実際の色よりも彩度が高くなる傾向にある。

1.明所視において、赤より緑が強く感じる。 また、「プルキンエ現象」は、暗所視において、比視感度が最大となる波長が短い波長へる現象であるが、明所視時に比べて赤が弱く、青がより強く見える。明所視(明るい場所で見る場合)で同じ見え方であったとしても、夜や暗い場所(暗所視)では、赤より緑の方が明るく見える。

3.2つの異なる色が互いに隣接した場合に、互いに溶け込んでその中間の色に見える現象を色の同化現象と言う。周囲に囲まれた色は、面積が小さいほどその減少が顕著に表れ、周囲の色に近づく。

4.建築空間において、小面積の高彩度色を大面積の低彩度色に対比させて用いると、大面積の低彩度色が引き締まり、小面積の高彩度色が強調される。

〔H26 No.11〕空気調和設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.冷却塔においては、冷却水の温度を外気湿球温度より低くすることはできない。
2.冷凍機に使用される代替フロン(HFC)は、オゾン層の破壊防止については効果があるが、地球温暖化係数については二酸化炭素を上回っている。
3.吸収冷凍機は、一般に、冷媒として臭化リチウム水溶液を使用する。
4.遠心冷凍機の冷水出口温度を低く設定すると、成績係数(COP)の値は低くなる。

解答 3:「吸収冷凍機」は、吸収力の高い液体に冷媒を吸収させ、発生する低圧によって、別の位置の冷媒を気化させて低温を得る冷凍機のこと。直だき式、蒸気式、廃熱利用式などの種類があり、フロンを使わず臭化リチウムを吸収液に用いる
騒音・振動が小さいが、冷媒分離のための熱を多く必要とするので、冷却水量が多くなり、遠心冷凍機に比べて冷却塔が大きくなる。

1.設問通り。このため、外気湿球温度は、冷却塔の冷却性能である冷却塔出口水温の限界を決める。

2.HFCは、国内では代替フロンと呼ばれており、今後は、地球温暖化係数が低い新しい冷媒に転換していく必要がある。

4.遠心冷凍機(ターボ冷凍機)は、遠心式圧縮機を利用した冷凍機で、回転する羽根車で冷媒を外周部へ吐き出すことで圧縮を行う蒸気圧縮式冷凍機の一種である。遠心冷凍機は、中間期において夏期よりも低い冷却水入口温度で運転できるようにすると、成績係数が改善が期待される。

〔H26 No.12〕空気調和・換気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.厨房の換気方式においては、一般に、周辺諸室への臭気の流出を防ぐために、第一種機械換気方式方式又は第三種機械換気方式が採用される。
2.長方形ダクトの直管部において、同じ風量、同じ断面積であれば、形状が正方形に近くなるほど、単位長さ当たりの圧力損失は小さくなる。
3.同風量用の外気取入れガラリと排気ガラリでは、一般に、排気ガラリのほうが通過風速を大きくできる。
4.ダクト系を変更せずに、それに接続されている送風機の羽根車の回転数を2倍にすると、送風機の軸動力も2倍になる。

解答 4:送風機の回転数を変えると、
空気量は回転数に比例し、
圧力は回転数の2乗に比例し、
軸動力は回転数の3乗に比例する。
したがって、回転数を2倍にすると、軸動力は8倍になる。

1.第一種機械換気方式は、給気と排気の両方に送風機を用いるため、その風量調整によって正圧・負圧どちらにも可能である。安定した換気を行えることから、映画館、劇場、厨房などで採用される。また、厨房については負圧にすることができる第三種換気方式も採用される。

2.ダクトの圧力損失は断面が円形が一番小さく、長方形であればアスペクト比4以下であれば圧力損失は小さくでき、正方形に近いほど小さい。

3.「正面面積」とは、ルーバーを含めた外枠の内法面積のことで、排気ガラリのほうが必要な正面面積を小さくすることができる。一般に、通過風速は「排気4m/s以下」「給気3m/s以下」程度に設定する必要があり、排気ガラリのほうが通過風速を高くできることから、必要な正面面積は小さくなる。

〔H26 No.13〕空気調和設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.空調運転開始後の予熱時間において、外気取入れを停止することは、一般に、省エネルギー上有効である。
2.外気取入れ経路に全熱交換器が設置されている場合、中間期等の外気冷房が効果的な状況においては、バイパスを設けて熱交換を行わないほうが、一般に、省エネルギー上有効である。
3.冷却塔フリークーリングは、冷却塔ファンを動かすことなく、冷凍機の冷却水を冷やす省エネルギー手法である。
4.変流量(VWV)方式においては、一般に、二方弁によって配管流量が調整される。

解答 3:冬季おいて気温が低い場合、圧縮機を運転しないで冷却塔の冷却水を使用する方式を「冷却塔フリークーリング」という。省エネルギーが期待される。

1.建物の使用時間前に予熱予冷運転を行う場合、在室者による汚染物質の発生がなく、外気を取り入れる必要がないので、外気取り入れを停止することができる。外気取り入れによる空調負荷を低減することができるので、空調立ち上がり時間の短縮と省エネに有効である。

2.中間期等の外気冷房が効果的な状況においては、バイパスを設けて熱交換を行わないほうが省エネルギー上有効である。(設問文ママ)

4.空気調和機の冷温水の流量を調節する方式は2つ、「変流量制御(二方弁制御)」と「定流量制御(三方弁制御)」がある。「定流量制御」は、変流量制御の2方弁に、コイルを通らない1方弁を加えたもので、常に一定の流量を保つ。
「定流量制御」→常に一定の流量を保つことができる。
「変流量制御」→ポンプ動力を削減することができ、省エネが期待される。

〔H26 No.14〕給排水衛生設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.一般受水槽と別に設けた消火用水槽は、建築物の躯体を利用することができる。
2.雨水立て管は、通気管に連結することができる。
3.ガス瞬間式給湯器の給湯能力は、1lの水の温度を1分間に25°C 上昇させる能力を1号として表示する。
4.給水圧力が高すぎると、給水管内の流速が速くなり、ウォーターハンマー等の障害を生じやすい。

解答 2:雨水立て管は、雨水専用の管として設け、排水管や通気管に接続してはならない。(昭和50年建設省告示第1597号)

1.「消火水槽」は、放水用の水を貯蔵する水槽である。多くの場合は地下に設置されているが、地上に設置するタイプの消火水槽もある。有事の際はここに貯めている水が消火ポンプで加圧送水され、配管を伝って各消防設備の放水口(消火栓のバルブやスプリンクラーヘッドなど)に届けられる。ピットは、地下に設けた配管を通すための空間で、ピットをつくることで1階の給排水用配管を通し、配管の維持管理が容易になる。このスペースを有効利用するために、消火水槽として兼用する場合もある。

3. ガス瞬間式給湯器の給湯能力は「号数」で表される。「号数」とは、水温+25℃のお湯が、1分間に出る量(L)のこと。例えば1分間に1Lのお湯を出せれば1号、1分間に20Lのお湯が出せれば、20号となる。

4.「ウォーターハンマー(水撃現象)」は、流速の急激な変化により管内圧力が過渡的に上昇または下降する現象である。管径が小さく流速が早い場合や、開け閉めの急速な圧力変動、また揚水管からの横引きが高い場所で行われる場合に起こる。

〔H26 No.15〕集合住宅の給排水衛生設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.飲料用受水槽の側面、上部及び下部に、それぞれ60cmの保守点検スペースを設けた。
2.設計用給水量を、居住者1人に対して1日当たり200~350lとした。
3.高置水槽給水方式において、高置水槽の低水位から最も高い位置のシャワーヘッドまでの高さを、70kPaの最低圧力を確保するように設定した。
4.各住戸用の横管を、スラブ上面と床仕上げ面との間に配管した。

解答 1:上水(飲料用)受水槽の保守点検スペースとして、水槽の上部に100cm、側面及び下部にそれぞれ60cmのスペースを確保する。

2.設計用給水量は、以下を参考にする。
・戸建て住宅–  200(l/人) ~  400(l/人)
・集合住宅—–  200(l/人) ~  350(l/人)
・事務所——–    60(l/人) ~  100(l/人)
・ホテル——–  350(l/人) ~  450(l/人)
・総合病院—– 1,500(l/人)~ 3,500(l/人)
・小中学校—–     70(l/人)~  100(l/人)

3.重力式給水方式において、高置水槽の低水位から最も高い位置のシャワーヘッドまでの高さを、70kPaの最低圧力を確保するように設定する。高置水槽の高さは、建築物最上階の給水栓等から上に5m以上の位置を水槽の低水位とする。

4.横管はスラブと床仕上げとの間の空間に配管されることが多い。排水管に関してはスラブを貫通させて下の階の天井裏、もしくは地下ピットに配管させる場合もある。

〔H26 No.16〕避雷設備及び照明設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.事務所ビルの避雷設備において、保護角法における突針部の保護角は、60度以下である。
2.鉄骨鉄筋コンクリート造の建築物においては、構造体の鉄骨を避雷設備の引下げ導線の代わりに使用することはできない。
3.蛍光ランプは、紫外線を放電管壁に塗布した蛍光物質によって可視光に変換する放電ランプである。
4.LEDランプは、小型、軽量、省電力、長寿命、熱放射が少ないなどの特徴がある。

解答 2:引下げ導線システムは、直撃雷を受け止めた受電部から大地までの雷電流の経路の総称である。鉄骨造の建築物においては、地上部分の構造体の鉄骨を利用することが望ましい。

1.保護レベルに応じた避雷針の設計には回転球体法、保護角法、メッシュ法の3手法を用いる。保護角法における突針部の保護角は、60度以下であり、60度を超過する場合は回転球体法かメッシュ法を採用する。

3&4.各ランプの評価は、使用場所や用途によって異なり、演色性や色温度によって判断されることが多い。
・白熱電球は、最も一般的な照明であり、寿命が短く、効率が低い(電力の約8割を熱として消費)。色温度は低く(赤み、暖色)、演色性は非常に高い。
・蛍光ランプは、電極間の放電により紫外線を発し、蛍光物質により発光させる。点灯回路と安定期が別途必要となる。色温度は高く(青白)、演色性は高い。効率と寿命は白熱電球の約3倍から5倍程度と経済的。ただし、周囲温度によって光束低下が起こり、またストロボ効果が生じやすい。(設問3)
・高圧放電ランプは、水銀ランプ、メタルハライドランプなどの高圧放電系ランプの総称で、道路、工場、高天井などに使用される。白熱電球に比べて寿命が長く、色温度は高く、演色性は低い。ただし、トンネルや道路に使用される高圧ナトリウムランプは、色温度は低いが、発光効率は最も高い。
・発光ダイオード(LED)は、電気エネルギーを直接光に変える長寿命、高効率、低発熱、小型、軽量の特徴がある。(設問文4)

〔H26 No.17〕電気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.幹線に使用する配線方式において、バスダクト方式は、大容量の電力供給に適さないが、負荷の増設に対応しやすい。
2.無人の場所に設置されている避難口誘導灯は、自動火災報知設備の感知器の作動と連動して点灯し、かつ、当該場所の利用形態に応じて点灯するように措置されているときは、消灯することができる。
3.低圧の配線に用いられるPF管は、CD管と同じ樹脂製のコルゲート管であるが、耐燃性(自己消火性)があるので、簡易間仕切内の配管に用いることができる。
4.3路スイッチは、2箇所のスイッチにより、同一の電灯を点滅させることができる。

解答 1:「バスダクト配線方式」は、最大許容電流が大きく、過電源に対する強度が優れているので、大規模な建物や工場などの大容量の電力供給、幹線等に用いられる


2.夜間など、無人となる防火対象物において、自動火災報知設備の感知器の作動と連動して点灯する方式の誘導灯を設置した場合、無人となる時間については、誘導灯を消灯することができる。

3.CD管とPF管は、ともにコルゲート状(波形、蛇腹形)の合成樹脂製可とう電線管である。PF管耐燃性、自己消火性(火炎を遠ざけると自然消火する性質)があり、使用場所に制限がなく、せっこうボードなどの簡易間仕切内の配管に用いることができる。

4.3路スイッチは、2箇所のスイッチにより、同一の電灯を点滅させることができる。階段や廊下などによく採用される。

〔H26 No.18〕防災設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.予作動式の閉鎖型スプリンクラー設備は、非火災時の誤放水を避けるため、衝撃等でスプリンクラーヘッドが損傷しても散水を抑える構造となっている。
2.イナートガス消火設備は、設計値量の消火剤が誤作動により放出されても、人命への危険性はほとんどない。
3.屋外消火栓設備は、防火対象物の外部に設置され、建築物の1階及び2階部分で発生した火災の消火や隣接建築物への延焼防止を目的としている。
4.連結送水管設備の放水口は、建築物の使用者が火災の初期の段階において直接消火活動を行うために設置する。

解答 4:「連結送水管設備」は消防隊が3階以上の消火活動を行うための設備である。ポンプ車から送水口に連結し、各階に設けている放水口に消火水を送り込む。<a target=
1.閉鎖式スプリンクラーは3種類あり、湿式と乾式はどちらもヘッドが破損すると誤作動で放水される。予作動式は乾式スプリンクラー設備に火災感知器を連動させた設備である。火災が発生した際には、火災感知器が作動することで予作動弁が解放し、配管内に加圧水が充満し、熱でヘッドが解放されることで散水される2重の仕組みである。サーバー室や電気機器室などに設置される。

2.不活性ガス消火設備は、電気室や美術館、精密機械、電気通信機室等に設置されるもので、消火剤による汚損を最小限に抑え、復旧を早急にすることが必要な室・施設に設置される設備である。ただし消火剤の種類によっては人への影響を及ぼす危険性があるので、設置場所や安全対策には十分に考慮する必要がある。そのなかでもイナートガス(IG-541)は窒素・アルゴン・二酸化炭素の混合ガスであり、人体に影響が少なく、消火ガス放出下の火災時でも、正常な退避行動がとれる。

3.屋外消火栓設備は建物の周囲に設置され、建物の1階及び1階で発生した火災の消火及び外部より放水することにより延焼を防止するために使用する設備である。消防隊の使用だけではなく、在館者や周辺にいる者による消火も期待できる。ホース接続口からの水平距離は40m以内とし、その警戒区域はホース2本の長さ(40m)と放水距離(10m)で有効に放水できることとされる。

〔H26 No.19〕建築設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.防振材を介して支持される設備機器に対して設ける耐震ストッパは、設備機器との間に、設備機器運転中に接触しない程度で、できるだけ小さな隙間を設ける。
2.設備機器に使用する防振材においては、一般に、コイルばねより防振ゴムのほうが、設備機器を含めた防振系の固有周波数を低く設定できる。
3.建築設備の耐震設計において、動的設計法を用いない場合、設計用鉛直地震力は、設計用水平地震力の1/2とする。
4.設備機器を基礎に固定するアンカーボルトの引抜力の算定においては、設備機器の重心位置に水平方向の地震力とともに、鉛直方向の地震力が上向き方向に作用するものとする。

解答 2:「防振系の固有周波数」とは、防振材が吸収できる振動の周波数のことである。空気ばねは1~3Hz、コイルばねは2~6Hz、防振ゴムは8~15Hzなど、防振材によって異なる。

1.設備機器は建物躯体や他の設備に振動が伝わらないように防振材を活用する。耐震ストッパーは機器に接触しないように設置するが、地震時に転倒を避けるためになるべく隙間を小さくする。

3.建築設備に関する耐震安全性確保の検討において、設計用鉛直地震力は、設計用水平地震力の1/2とする。

4.アンカーボルトの引抜力の算定においては、設計用水平地震力、設計用鉛直地震力を考慮して算定している。

〔H26 No.20〕環境・設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.CASBEEは、「建築物のライフサイクルを通じた評価」、「建築物の環境品質と環境負荷の両側面からの評価」及び「建築物の環境性能効率BEEでの評価」という三つの理念に基づいて開発されたものである。
2.消防法において、「消防用設備等」は、「消防の用に供する設備(消火設備、警報設備及び避難設備)」、「消防用水」及び「消火活動上必要な施設」に分類されており、排煙設備は「消火活動上必要な施設」に該当する。
3.建築分野におけるLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)は、建設から解体までの建築物の生涯を通じての環境負荷や環境影響等を評価するものである。
4.近年の日本全体の建築関連のCO2排出量において、「建築物の建設にかかわるもの」と「運用時のエネルギーにかかわるもの」との排出割合は、ほぼ同じである。

解答 4:近年の日本の建築関係の排出割合は、36%(3割)程度で、建設に12%、住宅・業務運用に24%となっている。

1.CASBEEの特徴は、建築物の環境に対する様々な側面を客観的に評価するという目的から、
・建築物のライフサイクルを通じた評価ができること
・「建築物の環境品質(Q)」と「建築物の環境負荷(L)」の両側面から評価すること
・「環境効率」の考え方を用いて新たに開発された評価指標「BEE(建築物の環境性能効率、Built Environment Efficiency)」で評価すること
という3つの理念に基づいて開発されている。また、評価結果が「Sランク(素晴らしい)」から、「Aランク(大変良い)」「B+ランク(良い)」「B-ランク(やや劣る)」「Cランク(劣る)」という5段階のランキングが与えられることも大きな特徴である。

2.消防法において、「消防用設備等」は、「消火設備」、「警報設備」、「避難設備」、「消防用水」及び「消火活動上必要な施設」に分類されており、排煙設備は「消火活動上必要な施設」に該当する。

3.建築分野におけるLCA(ライフ・サイクル・アセスメント)は、建設から解体までの建築物の生涯を通じての環境負荷や環境影響等を評価するものである。環境影響の領域として、資源利用、人の健康及び生態系への影響が含まれる。

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投稿日:2019年8月1日 更新日:

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