平成22年度1級建築士-学科Ⅰ計画

建築士過去問解説

平成22年度 学科Ⅰ-計画
20問掲載

一級建築士学科試験
2022年7月24日(日)

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〔H22 No.01〕建築設計の手法等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.建築物の計画における環境負荷の低減策の検討に当たっては、既存施設を改修し活用することより、既存施設を解体し新たな建築をつくることを優先して検討することが重要である。
2.サスティナブル(持続可能)な建築の計画に当たっては、自然、風土、地域性、場所性等の認識が重要である。
3.自然エネルギーを活用する建築においては、建築物の形態や配置、開口のとり方や断熱等、建築の基本的な構成に配慮することが重要である。
4.建築設計にかかわる者は、建築が近隣や杜会に及ぼす影響を自ら評価し、良質な社会資本の充実と公共の利益のために努力することが重要である。

解答 1:建築物は、長期間利用する方が環境負荷の低減策となる(ライフサイクルの考え方)。 従って、既存施設を解体し新たな建築をつくることは環境負荷の低減とならない。

〔H22 No.02〕日本の歴史的な建築様式とその特徴との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。

解答 2:設問の特徴の記述は「禅宗様」の特徴である。「天竺様(大仏様)」は、日本の伝統的な寺院建築様式の一つで、中国の様式を取り入れている。その特徴として指肘木、化粧屋根、用木への彩色がある。東大寺南大門や浄土寺浄土堂などがその代表。日本の建築史の流れはこのページを確認ください。

〔H22 No.03〕「建築様式又は芸術様式」と「建築作品(建築家)」との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。

解答 2:バシリカ・パラディアーナはルネサンス期の公会堂建築で、建築家アンドレーア・パッラディオによる作品。

アンドレーア・パッラディオ

〔H22 No.04〕建築物の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.サッカースタジアムの計画において、観客の退出時や避難時の群集事故を防止するため、動線を「分離する」、「単純化する」、「長くする」等の工夫を行い、群集全体の流動性を妨げないようにした。
2.事務所ビルの避難階において、上階からの階段と下階からの階段を連続させない計画とした。
3.集合住宅のバルコニーの手すりについて、手すり部分を、内法が10cm×10cmの格子状とした。
4.住宅の屋内階段には、み板を設け、み寸法を3cmとした。

解答 3:バルコニーに設ける手すりは、子供が登る恐れがあり危険なので、格子状にするのは望ましくない。

〔H22 No.05〕建築物と周辺環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.長方形の平面形状をもつ高層建築物によるビル風を防ぐためには、一般に、建設地における卓越風向に対して、建築物の平面の長辺を直交させるように計画する。
2.多雪地域の市街地内の建築物において、落雪による危険と雪の搬出の負担を軽減するため、無落雪屋根を採用する場合がある。
3.建築物が冬至の日において4時間以上の日影を周囲に及ぼす範囲は、一般に、建築物の高さよりも東西方向の幅に大きく影響される。
4.建築物に囲まれた広場や街路等の幅員をD、建築物のファサードの高さをHとした場合、D/Hはその外部空間の開放感や閉塞感を表す指標となる。

解答 1:ビル風による影響を小さくするために、風向に対して、建築物の平面の長辺ではなく、短辺を直交させるように計画する。

〔H22 No.06〕建築物の各部の寸法等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.車いす使用者の利用する便所の出入口を引戸とし、その有効幅を95cmとした。
2.総合病院における4床の病室の計画において、ベッド間隔を1m確保するために、1床当たりの床面積を8.0m2以上とした。
3.一般乗用車の自走式の立体駐車場の計画において、斜路の本勾配を1/6とし、斜路の始まりと終わりのそれぞれ長さ6mの部分については、緩和勾配を1/12とした。
4.シティホテルの一般用のフロントカウンターの高さを、客側の床面から85cmとした。

解答 4:フロントカウンターの高さは、肘の高さ約110cmにする。また車椅子利用者のためのカウンターは75cmとする。

〔H22 No.07〕建築物の各部の寸法及び床面積に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.劇場において、車いす使用者用客席スペースを出入口に近い部分に設け、車いす1台当たりのスペースを幅90cm、奥行き120cmとした。
2.事務所において、ロの字形に机を配置する会議室(収容人員20人程度)の広さを、3.6m×7.2mとした。
3.図書館において、書架のない閲覧室(4人掛で100席)の床面積を、180m2とした。
4.洋食レストランにおいて、客席部分(50席)の床面積を、80m2とした。

解答 2:一般的な事務室の会議室の場合、一人当たり約2~3m2程度必要となる。20人の会議室であれば、約40~60m2程度必要となる。なお、ロの字形に机を配置する会議室にはデッドスペースが多くなりがちなので、スクール形式、コの字形式、シアター形式など、他の方式よりも広い面積での計画になり、40~60m2よりも面積は大きくなる。

〔H22 No.08〕車いす使用者及び視覚障がい者等の利用に配慮した建築物の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.延べ面積2,000m2の集合住宅の共用エレベーター(トランク付)において、かごの寸法は幅140cm×奥行き135cmとし、かごの出入口の有効幅は90cmとした。
2.駅舎の通路において、視覚障がい者誘導用線状ブロックを、通路壁面から1m以上離して敷設した。
3.住宅において、壁に設置するコンセントの取付け高さは、高齢者や車いす使用者が利用しやすいように、床面から40cmとした。
4.車いす使用者が利用する洗面所において、洗面器の上端の高さは、床面から65cmとした。

解答 4:車椅子使用者が利用する洗面台は、クリアランスを床面から65cm程度設ける必要があるので、設問の条件では足りない。なので洗面器の上端の高さを床面から75cm程度にするのが望ましい。

〔H22 No.09〕まちづくりに関する誘導制度等とその説明との組合せとして、最も不適当なものは、次のうちどれか。

解答 1:「高度利用地区」は、都市計画法第9条に定められており、以下の様に規定されている。
“用途地域内の市街地における土地の合理的かつ健全な高度利用と都市機能の更新とを図るため、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建蔽率の最高限度、建築物の建築面積の最低限度並びに壁面の位置の制限を定める地区とする。”
説明に該当するのは「高度地区」である。

〔H22 No.10〕計画的につくられた都市に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.オーストラリアの首都であるキャンベラは、三つの都市機能(中央官庁街、市政庁、業務商業機能)を三角形の項点に相当する位置に配置して都心部を構成し、その外側を郊外住宅地とする計画案に基づいている。
2.ロンドンの北方に位置するミルトン・ケインズは、イギリス最大級のニュータウンであり、近隣住区論による空間構成を忠実に具体化した計画案に基づいている。
3.ブラジルの首都であるブラジリアは、ジェット機形の平面形状をもち、機体の胴体に相当する部分を政治的中枢地域、翼に相当する部分を住居地域とする計画案に基づいている。
4.インドのパンジャブ州都であるチャンディガールは、格子状に分割した区域(ユニット)と7段階に機能分けした道路網からなる計画案に基づいている。

解答 2:「ミルトン・ケインズ(英)」は1辺約1kmの格子状の幹線道路網が特徴。

〔H22 No.11〕住宅等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.接地型の集合住宅の共用庭は、コミュニテイの活性化を図るほかに、住棟間のプライバシーを確保するための緩衝スペースとしても機能させることができる。
2.住宅の設計において、高齢者の部屋を出入口近くに配置すると、外部からのケアサービスを受けるうえで有効である。
3.住宅地まわり等の道路において設けられるハンプは、車の速度を歩行者と同程度までに落とすことを目的としている。
4.非常用エレベーターは、平常時において一般乗用エレベーターとして使うことができない。

解答 4:非常用エレベーターは、平常時において一般乗用エレベーターとして使うことは可能である。ただし避難経路として利用することはできない。

〔H22 No.12〕集合住宅の作品(設計者)に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.シーランチ・コンドミニアム(チャールズ・ムーア他)は、10戸の週末用住居群を海の眺望を考慮して、敷地の勾配に沿って中庭を囲むように配置した低層集合住宅である。
2.カサ・ミラ(アントニオ・ガウディ)は、波状の有機的なファサードを有し、各住戸の平面が異なる高層集合住宅である。
3.ユニテ・ダビタシオンル・コルビュジェ)は、メゾネット型住戸を主とし、多様な施設を複合した高層集合住宅である。
4.ハーレン・ジードルンク(アトリエ5)は、市街地に建つ商業施設を複合した高層集合住宅である。

解答 4:ハーレン・ジードルンクは郊外の傾斜地に建てられた低層集合住宅である。

ハーレン・ジードルンク

〔H22 No.13〕事務所ビルの計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.基準階の事務室の床面積を1,000m2とする貸事務所ビルの計画において、男子小便器3個、男子大便器3個、女子便器4個とした。
2.事務室内の排煙については、照明器具に設けたスリットを利用した天井チャンバー方式とし、防煙垂れ壁の下端を天井面から下方へ25cmとした。
3.25階建ての一社専有の事務所ビルのエレベーター計画において、エレベーターを行き先別にグルーピング(バンク分け)せずに計画した。
4.基準階床面積が2,000m2の30階建ての貸事務所ビルの計画において、レンタブル比を高めることができ、構造上も有効なセンターコア型を採用した。

解答 3:エレベーターの計画は、ある程度高層になってくるとゾーニング(グループ分け)を行う。コンベンショナルゾーニング方式を採用した常用エレベーターにおいては、各ゾーンのサービスフロアの階数が10階~15階になるようにし、乗り継ぎ階を設ける。設問では25階なので、例えば1階を出発階とし、2階から11階、11階から25階行きの2ゾーンにするなどのグルーピングをする必要がある。
(関連問題:平成24年1級学科1、No.13)

〔H22 No.14〕公共建築物の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.体育館の計画において、バスケットボールコートに必要な広さとバレーボールコートに必要な高さからアリーナの容積を決定した。
2.一般的な総合病院の計画において、病棟・外来・診療・供給.管理の五つの部門の構成を設定し、各部門間の人と物の動線について検討した。
3.コンサートホールの計画において、演奏者と観客の一体化を図ることを意図して、客席が演奏者を取り囲むシューボックス型の空間形式を採用した。
4.小規模なコミュニティ施設の計画において、施設の夜間利用を想定して、夜間専用の出入口を設け、専用カードキーで利用できる計画とした。

解答 3:シューボックス型は音響を安定する目的で計画し、設問の「演奏者と観客の一体化を図ることを意図して、客席が演奏者を取り囲む」形式はアリーナ型の特徴である。

〔H22 No.15〕保育所の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.園庭は、年齢に応じて異なるタイプを計画し、1、2歳児用の園庭には芝生を植えた緩やかで小さな丘を設けた。
2.保育室は、乳児と幼児の数の変動に対応できるように、乳児用と幼児用とを間仕切のないワンルームとした。
3.年長児用保育室には、集団で遊ぶための大きな空間のほかに、絵本コーナーやごっこ遊びのコーナーとして小さな空間を設けた。
4.便所は、年齢に応じて異なるタイプを計画し、1、2歳児用の便所では便器間の仕切りを設けずオープンなつくりとした。

解答 2:保育室の計画で、乳児は幼児と比べてまだ歩くことがおぼつかなく、ほふくすることが多い。そのため行動能力が異なるので乳児室と幼児室は兼用してはならない。

〔H22 No.16〕環境に配慮した建築計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.郊外に建つ研修センターにおいて、空調負荷の低減を図るために、地下の設備配管ピットに外気を通すクールチューブ・ヒートチューブを採用した。
2.市庁舎において、空調設備への依存を低減しつつ快適な環境をつくりだすために、屋上を緑化したり、風の道を確保する計画とした。
3.事務所ビルにおいて、窓まわりにおける外部からの熱処理をするために、窓と設備を一体化したペリメーター空調の一つであるエアフローウィンドウ方式を採用した。
4.事務所ビルにおいて、空調負荷の低減を図るために、氷蓄熱システムからの冷風を利用して夜間に躯体に蓄冷させ、昼間に躯体に吸熱させるナイトパージを採用した。

解答 4:「ナイトパージ」は夜間の冷気(自然エネルギー)を利用し、氷蓄熱システムは用いない。

〔H22 No.17〕建築の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.パーソナルスペースは、人の身体を囲んでいる心理的な領域のことであり、立位より平座位のほうが大きくなる。
2.オフィスランドスケープは、固定間仕切を使わず、ローパーティション・家具・植物等によって、適度なプライバシーを保った事務空間を形成することである。
3.コンバージョンは、既存建築物の用途変更・転用のことであり、都市部においては事務所ビルを集合住宅に改修した例もある。
4.劇場における舞台の上手は、客席から見て舞台の右側のことである。

解答 1:「パーソナル・スペース」とは,他者が自分に近づくことを許せる距離帯(心理的な縄張り)をいい、性別・年齢・姿勢(立位・座位)等によっても異なり、立位や椅子座位に比べて平座位のほうがその距離は小さくなる。
(類似問題:平成28年1級学科1、No.06)

〔H22 No.18〕建築物の設計・工事監理の契約に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.建築士法に定められた、設計又は工事監理の契約を締結する際に行う重要事項(業務の内容及びその履行に関する事項)の説明等は、管理建築士以外の建築士が行ってはならない。
2.建築設計業務、監理業務等の契約において、報酬の変更、再委託の条件、著作権の扱い、契約の解除等の諸条項については、通常、建築設計・監理等業務委託契約約款において示される。
3.工事監理者は、「工事と設計図書の照合及び確認」を行うに当たり、一般に、設計図書に定めのある方法による確認のほか、目視による確認、抽出による確認、工事施工者から提出された品質管理記録の確認等、確認対象工事に応じた合理的方法とすることができる。
4.建築士事務所の開設者が、その業務に関して請求することのできる報酬については、国土交通大臣がその基準を定めている。

解答 1:建築士法で定める重要事項の説明については、管理建築士のほか、当該建築士事務所に属する一級建築士も行うことができる。
(関連問題:令和元年1級学科1、No.18平成26年1級学科1、No.18)

〔H22 No.19〕建築積算に関する次の記述のうち、建築工事建築数量積算研究会「建築数量積算基準」に照らして、最も不適当なものはどれか。

1.共通仮設は、仮設図面等に基づいて積み上げ計算するか、標準的な項目については適切な統計値により算出することができる。
2.鉄筋の所要数量は、その設計数量の4%割増しを標準とする。
3.仕上改修の計測・計算において、改修に必要な余幅の図示がある場合に限り、適切な余幅を加えて計測・計算することができる。
4.建築物の改修の撤去に伴う発生材の計測・計算については、設計図書に数量が明示されていないときは、関係法令に基づき品目ごとに分別し、「建築数量積算基準」の各章で定めた撤去数量とする。

解答 3:「仕上改修」とは、既存仕上げの撤去、除去と新設、補修を行うことを指す。この際に必要な余幅は図示によるものとし、図示がないときは、適切な余幅を加えて計測・計算する。

〔H22 No.20〕プロジェクトマネジメントに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.プロジェクトのスケジュール管理のためには、クリティカルパスを見極め、重点的に管理することが有効である。
2.性能発注方式は、一般に、設計者が施工候補者に一定の性能基準を提示した上で、技術提案を求めて施工者を選定する発注方式である。
3.プロジェクトの内容の確定度が低い設計初期段階では、VE(バリューエンジニアリング)の効果は低い。
4.フィージビリテイスタディは、計画されている内容について、都市計画等の上位計画との整合性、技術的課題、採算性等、多面的に実現の可能性を検討するものである。

解答 3:「VE(バリューエンジニアリング)提案:価値工学」は、工事費の低減提案や施工技術の研究と導入提案等であるが、企画・設計段階から施工段階まで幅広く用いられている。設問の記述とは反して、むしろ早めの導入が望ましい。
(関連問題:平成21年1級学科1、No.20)

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投稿日:2019年8月1日 更新日:

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