令和03年度1級建築士-学科Ⅰ計画

建築士過去問解説

一級建築士学科試験
2023年7月23日(日)

令和05年度試験日まであと 日!

〔R03 No.01〕次の用語に関する記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.SDGsは、誰一人取り残さない、持続可能でよりよい社会の実現を目指す世界共通の17の開発目標からなり、その目標の一つに「持続可能な都市」がある。

2.QOLは、近年、生活の質的向上を目指そうとする気運の高まりとともに、建築計画においても、医療福祉等の分野で重要性が増している。

3.ZEBは、資源の有効な利用を確保する観点から、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法)によって定められた分別解体及び再資源化等の実施義務の対象となる建築物のことである。

4.重要伝統的建造物群保存地区における「修景事業」は、伝統的建造物以外の建造物や新築される建造物が歴史的風致と調和するよう、外観を整備するために行う事業のことである。

解答 3: ZEBとは「先進的な建築設計によるエネルギー負荷の抑制やパッシブ技術の採用による自然エネルギーの積極的な活用、高効率な設備システムの導入等により、室内環境の質を維持しつつ大幅な省エネルギー化を実現した上で、再生可能エネルギーを導入することにより、エネルギー自立度を極力高め、年間の一次エネルギー消費量の収支をゼロとすることを目指した建築物」のこと。

1.SDGsは、Sustainable Development Goalsの略であり、設問の「持続可能な都市」は17の開発目標のうち11番目に当たる。都市の問題として、過密、基本的サービスを提供するための資金欠如、適切な住宅の不足、インフラの劣化、都市内部の大気汚染の悪化やゴミ問題などがあげられる。また日本政府は「防災都市」に力を入れており、インフラの見直しなどを進めている。

2.QOLは、Quality Of Lifeの略であり、ひとりひとりの人生の内容の質や社会的にみた『生活の質』のことを指し、ある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度としてとらえる概念である。介護や医療関連の用語として用いられることが多いが、建築分野での関りも求められている。

4.「修景事業」とは、古い町並みを単に保存するのではなく、元の景観に通じる要素を残しつつ、古い建物は可能な限り再利用し、新築の建物は、建築の規模、様式、形、色等を既存の建物群と調和するものにして、住民の生活に溶け込んだまとまりのある新たな景観をつくることである。例えば、小布施町の修景事業が有名である。

〔R03 No.02〕海外の都市に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.ミレトス(トルコ、紀元前5世紀頃)は、ヒッポダモスの計画による、城壁内全体に格子状に直 交道路網を敷設し、都市の中央部に行政・宗教・商業施設を、その南北に住宅地を配した都市 である。

2.ローマのカンピドリオ広場(イタリア、16世紀)は、ミケランジェロの計画による、台形状の広場とアプローチとしての大階段、三つのパラッツォを対称的に配置することで、軸線を強調した、バロック的な広場計画の初期の事例である。

3.レッチワース(イギリス、20世紀初頭)は、パトリック・ゲデスの「保存的外科手術」という概念のもと、都市の歴史性を保存しながら再開発が行われた都市である。

4.チャンディガール(インド、20世紀後半)は、ル・コルビュジェの都市計画理念に基づく、格子状に分割した区域(ユニット)と7段階に機能分けした道路網からなる都市である。

解答 3: レッチワース(Letchworth Garden City)はイギリスの都市計画家エベネザー・ハワードによる「田園都市理論」に基づき建設された最初の田園都市である。


設問後半の「保存的外科手術」は、設文の通りスコットランドの学者パトリック・ゲデスによる提唱で、「都市の歴史性を保存しながら再開発が行われた都市」である。

1.ミレトスは古代ギリシャの都市国家(ポリス)。古代から貿易の中心であり、多くの哲学者を輩出した先進文化都市でもあったが、6世紀頃に荒廃する。設計をしたヒッポダモスは歴史上の最初の都市計画家であり、彼の提唱する格子状パターンの計画は「ヒッポダモス方式」として現在の都市計画にも影響を与える。

2.カンピドリオ(Campidoglio)は、ローマの7つの丘の一つであり、古代ローマ時代より政治の中枢である。カンピドリオ広場はミケランジェロの設計で、「3つのパラッツォ」とは広場を囲む3つの宮殿のことで、ヌオーヴォ宮とコンセルヴァートリ宮は美術館として、セナトリオ宮は市庁舎として現在も機能している。

4.インドのパンジャブ州都である「チャンディガール」は、格子状に分割した区域(ユニット)と7段階に機能分けした道路網からなる計画案に基づいている。

〔R03 No.03〕図に示す日本の歴史的な建築物に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.三重塔の各層にこしを付け、六つの屋根が交互に出入りする独特の構造を有する建築物である。

2. ぬきで軸部を水平方向に固め、さしひじを重ねて軒の荷重を支える大仏様の建築物である。

3.主体部の柱とこしの柱をこうりょうでつなぎ、組物を柱の上のみならず柱と柱の間にも組んでつめぐみとする褝宗様の建築物である。

4.長いつかばしらぬきで固めたあししろによって、急な崖の上に張り出した床を支えるかけづくりの建築物である。

解答 3:設問の文章自体は正しいが、図は「飛鳥様式」代表建築の法隆寺金堂であり、雲形組物、卍崩しの組子やエンタシスの柱などが特徴的。「禅宗様」の代表的な建築は円覚寺舎利殿などがある。

1.社寺建築物の一部分で、身舎の軒下に付く庇状の構造物のこと。法隆寺金堂や法隆寺五重塔、薬師寺東塔などが一例。

2.「天竺様(大仏様)」は、日本の伝統的な寺院建築様式の一つで、中国の様式を取り入れている。その特徴として指肘木、化粧屋根、用木への彩色がある。東大寺南大門や浄土寺浄土堂などがその代表。

4.図は清水寺本堂である。寄棟造で左右に入母屋造りの翼廊。特に特徴的な「舞台」は釘を使わない139本のケヤキの柱による懸造りとなっている。

〔R03 No.04〕建築計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.小学校の計画に当たり、インクルーシブ教育システム構築のため、障害のある児童と障害のない児童とが、交流及び共同学習できる施設とした。

2.病院の計画に当たり、医療行為を中断することなく設備更新が行えるように、手術室のある階の上階に設備階(インタースティシャル・スペース)を設けた。

3.ホテルの一般客室を、車椅子使用者用客室へ改修するに当たり、二つの客室の間仕切り壁を撤去して一室化し、客室内にスロープを設置し、客室全体の床の高さを、トイレ・浴室等の床の高さと合わせた。

4.図書館の計画に当たり、地上階に開架書庫や地域住民が利用する施設等を配置したので、半地下階に貴重書保存用書庫を設け、年間を通じて自然換気を行うこととした。

解答 4:図書館や美術館などの貴重収蔵品などを保存する場所には空気調和設備を設けて湿度・温度の管理を行う。

1.インクルーシブ教育とは、人間の多様性の尊重等を強化し、障害者が精神的および身体的な能力等を可能な最大限度まで発達させ、自由な社会に効果的に参加することを可能にするという目的の下、障害のある者と障害のない者が共に学ぶ仕組みである。

2.ISS(Interstitial Space System)は、フロアの中間に設備機器のメンテナンス性の向上と、将来の設備更新やレイアウト変更を容易にできるスペースを設けるシステムのこと。設問のとおり病院・研究施設・工場など、設備の重要性が高い建物で利用されている。

3.ホテルの改装において段差処理とスペースの確保のために2室を1室にするケースがある。この場合、スロープの設置や床高の変更を行うが、グレーチングで水を切ったり、床下配管の径や排水勾配に注意を払う必要がある。

〔R03 No.05〕建築物の各部に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.外壁や屋上から離れている居室に設ける光ダクトの設計において、ダクト内の光の反射回数を減らすために、ダクトの曲がりを少なく、断面積を大きくした。

2.建築物の通風計画において、効果的に室内に外の風を取り込むために、風上開口を風下開口よりも大きくした。

3.木材の構造材をあらわし仕上げとするに当たり、燃焼時に木材の表面が炭化し、中心に向けて燃える速度が遅くなるので、木材の部材断面を大きくすることで、耐火性を高めた。

4.木材を構造材として使用するに当たり、腐朽しにくく、乾燥に伴う収縮や反りが少ない心材を採用した。

解答 2:室内に入る空気量と屋外に出る空気量は同じになる。そのため、どちらかを大きくしても効果に変化はない。

1.光ダクトは、ダクト内部に反射率の高い素材を用いた導光装置であり、採光部から目的の空間まで自然光を運ぶものである。反射率の低下を防ぐために、なるべく短く、間借りを少なく、断面積を大きくする。

3.木材の燃焼には次の3つの段階がある。①木材に着火した後、急激に燃焼して表面に炭の層が形成される。②熱源からの熱の伝わりが抑えられ、燃焼の速度は緩やかになる。③木材内部の温度が上昇して急激に燃焼し、裏面まで火炎が回って木材が燃え尽きる。②段階の時間を長引かせるために木材の断面積を大きくすることで耐火性を高めることができる。

4.心材は耐腐朽性が大きく、乾燥収縮が小さく、強度が大きいので、構造材として心材を用いる場合のメリットは大きい。ひび割れの危険性があるので、ひび割れ防止のために背割りを入れる。

〔R03 No.06〕人間のの空間や距離等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.エドワード・ホールは、人間同士の距離のとり方等の空間の使い方は、それ自体がコミュニケーションとしての機能をもつと考え、距離をコミュニケーションと対応させて四つの距離帯に分類した。

2.ロバート・ソマーは、テリトリー(なわばり)は個人についてまわり、持ち運びができ、その空間のは必ずしも球形ではなく、前方に比べ横のほうは未知の人が近づいても寛容になれることを示した。

3.H.メルテンスは、「建築物の高さ」と「視点から建築物までの水平距離」の比によって建築物の 見え方の変化を尺度化した。

4.オスカー・ニューマンは、物理的・象徴的障壁と見通しのよさをもち、住民たちがそこを「自分たちの場所」と感じているような環境をディフェンシブルスペース(まもりやすい空間)と定義した。

解答 2:ロバート・ソマーは個人の縄張り(パーソナルスペース)は持ち運び可能であり、男女で異なるとした。男性のパーソナルスペースは、前方を集中して見る特性があることから前方に長い楕円形で、後ろや横の半径が短い形をしている。女性は視野が広く全体を見渡す特性があることから、前後左右が均等な円形をしている。

1.E.T.ホールは米国の文化人類学者である。パーソナル・スペースの距離帯を密接距離、個体距離、社会距離、公共距離の4つに分類した。

3.「メルテンスの法則」あるいは「D/H理論」と呼ばれ、建築物の見え方は建築物の高さ(H)と視点から建築物までの水平距離(D)の比によって変化する。H.メルテンスは人間の視野特性にもとづき45度、27度、18度という3つの仰角を意味づけた。

4:オスカー・ニューマンは著書「ディフェンシブル・スペース:都市デザインによる犯罪防止」において、「防御可能空間」を提唱した。

〔R03 No.07〕建築物内で発生する音に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.室内の反射音を防ぐために、壁と天井の仕上げに孔あき板を採用し、低音域の吸音率を向上させるために、その仕上げとコンクリート躯体との間に空気層を十分に確保した。

2.音圧が極端に弱くなることにより、音が聞こえにくくなる場所(デッドスポット)の発生を防ぐために、天井面や壁面を大きな凹曲面で構成した。

3.オープンプラン型の小学校において、隣接する教室からの音の伝播を防止するため、廊下の天井の仕上げに表面をガラスクロスで覆ったグラスウールを使用した。

4.隣り合う部屋の間仕切りにおいて、せっこうボードを両面張りとした壁の遮音性能を向上させるため、共通間柱構造から、壁のボードを各面ごとに別々の間柱に取り付ける独立間柱構造に変更した。

解答 2:大きな凹曲面の天井・壁をもつ室は「音の焦点」や「デッドスポット」が発生しやすい。したがって室の形状はなるべく不整形なものとし、壁面に凹凸をつけ、いろいろな方向に反射(拡散)させるのがよい。

1.音響計画において、「防音」「遮音」「吸音」をそれぞれ考慮する。設問は「吸音」と「遮音」に関する記述である。特に低音域は固体音として伝わるので、躯体に振動が伝わらないように、空気層を設ける。

3.グラスウールを仕上げに用いることは話し声などの高い音の吸音効果が期待される。

4.間柱を独立させて設置することで低域共鳴透過及びコインシデンス効果による遮音性能低下を緩和することが大いに期待できる。

〔R03 No.08〕建築物の各部の高さに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.百貨店のトイレ・洗面所の計画において、乳幼児用おむつ交換台の高さを、50cmとした。

2.庁舎の車椅子使用者用トイレの計画において、ドアを開閉するための押しボタンスイッチの高さを、110cmとした。

3.ホテルのフロントカウンターの計画において、 一般用の高さを100cmとし、車椅子使用者用の高さを70cmとした。

4.事務所ビルの事務室の計画において、椅子に座ったときの視界を遮るためのパーティションの高さを120cmとした。

解答 1:おむつ交換台を設置する場合、床面からおむつ交換台下端までの高さ70cm程度とする。座り机のJIS高さ70cmと同じ高さ。

2.車椅子使用者用トイレの計画では、自動開閉式の「押しボタンスイッチ」を採用するのが望ましい。この高さは床から100~110cm程度とする。

3.図書館や市庁舎、ホテルなどの受付カウンターは一般用の高さを100~110cmとし、子供や車椅子使用者用は70~80cm程度とする。また、車椅子使用者を考慮してクリアランスを設け、高さ70cm程度、奥行45cm程度とする。

4.設問のパーティションの高さ120cmは、椅子に座ったときに「少し立てば見通しがきく」程度である。

〔R03 No.09〕図は、公共施設が建つ敷地内の主要な経路上の傾斜路を計画した模式図である。「高齢者、障害者等の円滑な移動等に配慮した建築設計標準(国土交通省)」に照らして、最も不適当なものは、次のうちどれか。

1.転倒防止や休憩、減速ができるように、傾斜路の途中に設置した踊り場の踏幅Aを、1,600mmとした。

2.車椅子使用者が自力で上り下りできるように、傾斜路の水平距離Bを、8,000mmとした。

3.人と車椅子使用者がすれ違えるように、傾斜路の有効幅Cを、1,500mmとした。

4.白杖等による危険の認知、車椅子のキャスター等の脱輪防止のため、側壁がない傾斜路及び踊り場側端の立ち上がりDを、50mmとした。

解答 2:

建築物移動等円滑化誘導基準のスロープに関する基準は、以下の7つ。
(1)幅は、階段に代わるものは 150cm以上、階段に併設するものは 120cm以上
(2)勾配は、1/12 分以下
(3)高さ 75cm以内ごとに踏幅 150cm以上の踊場(勾配 1/20 以下の場合は除く)
(4)高さが 16cmを超える傾斜がある部分には、両側に手すりを設けているか
(5)表面は、粗面とし、又は滑りにくい材料で仕上げているか
(6)その前後の廊下等との色の明度、色相又は彩度の差が大きいことによりその存在を容易に識別できるも
のとしているか
(7)傾斜がある部分の上端に近接する踊場の部分には、点状ブロック等を敷設しているか

1.踊り場の踏幅は「1,600mm」なので、OK

2.勾配1/12が必要なので、高さ750mmの場合、1:12=750:B↔B=9,000

よって、設問の「8,000mm」は誤り。

3.幅は「1,500mm」なので、OK

4.視覚障碍者の白杖による危険の認知や、車椅子のキャスターの脱輪防止を目的として、傾斜路の端には立ち上がりを設けることが望ましい、OK

〔R03 No.10〕施設を計画・運営する際の官民連携等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.指定管理者制度とは、文化会館や保育所、公園等の公の施設の管理運営を、ノウハウを有する民間事業者等が行うことで、住民サービスの質の向上を図り、施設設置の目的を効果的に達成するための制度のことである。

2.街なみ環境整備事業とは、住環境の整備改善を必要とする区域において、地方公共団体及び街づくり協定等を結んだ住民が協力して、美しい景観の形成、良好な居住環境の整備を支援する事業のことである。

3.TMOとは、商業・業務機能が集積した地区において、「中心市街地活性化基本計画」等をもとに活性化事業等を推進する民間主体の組織のことである。

4.サウンディング型市場調査とは、地方公共団体等の事業完了後に、住民との意見交換等を通し、事業に対しての様々な意見や改善点を把握する調査のことである。

解答 4:「サウンディング型市場調査」とは、自治体のプロジェクトを構想段階で、市民や民間企業から市場性の有無やアイディアを求め、事業者がより参加しやすい公募条件の設定を把握する調査の事である。設問の「事業完了後」が誤り。

1.「指定管理者制度」は地方自治法の一部改正(2003年)で導入され、現行ある公設の施設の管理などを民営へ移行する制度。地方自治体の公共施設の運営コストの削減、行政コストの削減、行政組織の見直しや外郭団体への業務委託の見直し、サービスの向上、住民自治の拡充を目的とした制度。そもそも「地方自治法」は事業を地方自治体に行わせ中央政府の管轄を少なくし、利用者に近いところで管理運営を行っていくことによってサービスの向上や運営の小回りが利くことなどが狙い。しかし地方自治体の負担が大きくなり、サービスの低下が懸念される問題が提起され、解決策として「指定管理者制度」が導入された。

2.「街なみ環境整備事業」は、住宅が密集し、かつ、生活道路等の地区施設が未整備であること、住宅等が良好な美観を有していないこと等により住環境の整備改善を必要とする区域において、地方公共団体及び街づくり協定を結んだ住民が協力して、住宅、地区施設等の改善を行うことにより、ゆとりとうるおいのある住宅地区の形成を図るもの。例えば、千葉県香取市の佐原地区は、重要伝統的建造物群保存地区に選定されて建造物の保存と修景に力を注いできたが、今後は、定住人口の増加を促進し、増加傾向にある来街者の回遊性を高めることで、かつての隆盛を取り戻すことを目指し事業に参入した。

3.タウン・マネージメント手法は「まち全体を一つのショッピングモール」と捉え、まち全体を総合的に経営する考え方。ただ個々の組織や個人で行われていることが多く、「TMO(タウン・マネージメント組織)」とは、この取り組みを一体的かつ一元的に実行する組織である。例えば「二子玉川ライズ」では5つの街区の管理主体によって組織される「二子玉川ライズ協議会」によって運営されている。

〔R03 No.11〕都市開発やに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.北海道札幌市では、都市再生特別地区の指定により、建築物の形態意匠の制限の他、建築物の高さの最高限度や敷地面積の最低限度を定めることで市街地の良好な景観形成に取り組んでいる。

2.富山県富山市では、レジリエンス戦略を策定し、自然災害による大きな被害や少子高齢化等の社会構造の変化に直面しても、速やかに復興し、さらに成長する能力や強靭さを有する都市づくりに取り組んでいる。

3.香川県高松市では、タウンマネジメント・プログラムにより、第三セクターを設立し、地域住民や事業者、地権者を主体としたが実践されている。

4.福岡県北九州市では、民間自立型によるもり事業者の設立や定期的なリノベーションスクールの開催により、遊休不動産を活用した「リノベーションまちづくり」が実践されている。

解答 4:「リノベーションまちづくり」は、「今ある資産」を活用して自治体の都市・地域経営課題を解決していくこと。 ここでいう「今ある資産」とは遊休不動産などの空間資源にとどまらず人的資源や歴史的資源も含んでおり、それらの資源を余すことなく活用することで、なるべく低コスト・低リスク・スピーディーに事業を生み出し育てることを意図する。

1.「都市再生特別地区」は都市計画法による地域地区の一つで、都市再生特別措置法(2002年施行)で指定された都市再生緊急整備地域内において、都市の再生に貢献し既存の用途地域や容積率、高さなどの規制によらない高度利用(自由度の高い土地の有効活用)を必要とする区域などを対象とするもので、各都道府県の都市計画によって決定される。建築物等の誘導すべき用途、建築物の容積率の最高限度及び最低限度、建築物の建ぺい率の最高限度等を定める。

2.「レジリエンス戦略」は、一般に、自然災害等により、社会基盤やそれが支える社会及び経済が一時的に大きなダメージを受けても、速やかに復活できる取組指針である。

3.「タウンマネジメント・プログラム」は、住民・事業主・地権者等が主体的にまちづくりに取り組む手法。魅力に富む環境の創出、美しいまち並みの形成、歴史文化資産の保全、まちのブランド力の形成、安全・安心な地域づくり、良好なコミュニティの形成、地域の伝統・文化の継承など、さまざまである。

〔R03 No.12〕日本の伝統的な住宅・集落等の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1. だつとは、一般に、妻壁を屋根面より高く突き出し、小屋根を付けた部分のことで、建築物の装飾としてだけではなく、防火性能を兼ね備えている。

2. ついべいとは、一般に、方形の平瓦を並べ四隅を釘留めし、目地に漆喰を盛り上げた外壁仕上げである。

3.岩手県下に多く見られたまが造りとは、L字型の平面形状を有し、突出部はうまや母屋おもやの土間とつながる民家形式の一つである。

4. じゅうとは、河川の氾濫する低湿地帯で、周囲に堤防を築き、集落と耕地を守る水防のための集落形態のことである。

解答 2:「築地塀」は、一般的に上部には雨除けに瓦屋根が葺かれ、表面も漆喰で仕上げられる。石垣を台座として塀の中心となる部分に木の柱を立て、柱を中心に木枠を組み、そこに練り土を入れて棒で突き固めて壁の躯体とする。

設問の文は「海鼠壁(なまこ壁)」である。

1.「卯建」とは、瓦のある日本家屋の屋根に取り付けられる、小屋根のついた防火壁のこと。装飾としての見栄えもよく、裕福な家としての象徴にもされた。

3.「曲がり家」は馬の産地で知られる岩手県南部に多く見られ、L字型に馬屋を吐出させることにより、馬の飼育を家の中でできるようにしている。家畜飼養空間、作業・収納空間、居住空間より構成されるのが特徴的。

4.「輪中」は日本各地にあり、中でも有名なのが木曽三川下流の長島町である。(下記写真)

〔R03 No.13〕自然災害からの復興支援のための住宅、住宅地等の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.防災集団移転促進事業とは、災害が発生した地域又は建築基準法に基づく災害危険区域のうち、住民の居住に適当でないと認められる区域内にある住居の集団的移転を促進することを目的としたものである。

2.応急借上げ住宅とは、地方自治体が民間賃貸住宅を借り上げて仮設住宅として供与するものであり、東日本大震災以降は「みなし仮設住宅」とも呼ばれているものである。

3.陸前高田のみんなの家(岩手県)は、東日本大震災の津波で立ち枯れたスギの丸太を用い、被災した人々の集いの場としてつくられた集会場である。

4.グループハウス尼崎(兵庫県)は、阪神・淡路大震災後に被災者を対象に建設された、高齢者向け住戸と一般向け住戸で構成され、サポート拠点(サポートセンター)を併設した災害公営住宅である。

解答 4:尼崎市は、身体的に虚弱な状態にある高齢者に対し、24時間の見守り等のケアを行うグループハウスを提供し、高齢者が自らの能力を活かして自立した生活を営めるよう支援する「高齢者向けグループハウス運営事業」を行っており、「グループハウス尼崎」がこれにあたる。

設問の文は「真野ふれあい住宅(神戸市)」の説明。

真野ふれあい住宅

http://sakuhin.info/japan/manohureai_house/より

1.「防災集団移転促進事業」は、住居の集団的な移転について、財政面で支援するものであり、災害ハザードエリアから地方公共団体が整備する住宅団地へ、住居を集団的に移転する場合、住宅団地整備費や、移転元の買取補償等へ国が補助を行うもの。

2.正しい。「応急仮設住宅」のうちの「借上型仮設住宅」である。合わせて覚えておきたいのが「建設型仮設住宅」である。これは、原則として、災害発生の日から20日以内に着工され、仮設建築物として扱われ、その供与期間は2年間。

3.東日本大震災の被災地、陸前高田市内に建設された集会所。4人の建築家による共同設計で、津波の塩害で立ち枯れしたスギの丸太19本を柱にして、階段をらせん状に外周を回すように設置した木造2階建ての建築。

〔R03 No.14〕建築物と周辺環境に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.TIME’S I,Ⅱ (京都府)は、屋根全体を大階段の展望広場とし、その大階段を二分するスリット状のアプローチが人々をエントランスに導くように計画された。

2.アオーレ長岡(新潟県)は、駅前に建てられた市民協働・市民交流の拠点であり、大通りに開かれた屋根付き広場を中心に、アリーナ、市民交流スペース、市役所、議会等を配置した複合施設として計画された。

3.太田市美術館・図書館(群馬県)は、建築物の屋内外を巡るスロープや階段、テラス、緑化された屋上を備え、駅前からは施設の賑わいが見え、また、施設からは街が眺められるように計画された。

4.代官山ヒルサイドテラス(東京都)は、建築群が内包する広場や路地等を主要素として外部空間を形成し、周囲の純和式建築物や庭園とゲートによってつながるように計画された。

解答 1:「TIME’S I,Ⅱ」は安藤忠雄による設計で、川沿いに立つ小規模商業ビル。ヴォールト屋根や迷路のような回遊性をもった半屋外の空間を経て各店舗出入口へアプローチする構成が特徴的。

設問は「近つ(ちかつ)飛鳥博物館」の説明文である。

2.「アオーレ長岡」は隈研吾による設計。

3.「太田市美術館・図書館」は平田晃久による設計。

3.「代官山ヒルサイドテラス」は槇文彦による計画。

〔R03 No.15〕公共建築物等の計画に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.福岡市立博多小学校(福岡県)は、オープンプラン型を採用し、旧来型の職員室の代わりに璧のない教員コーナーやワーキングスペースを設けることで、複数の教員で児童を見守ることのできる空間整備が行われた。

2.立命館大学大阪いばらきキャンバス(大阪府)は、工場跡地において、官民が連携し、防災公園と一体化して計画された。

3.石巻市庁舎(宮城県)は、百貨店を転用したもので、既存エスカレーターをそのまま活用し、売り場は執務スペースへ、映画館は議場へと改修された。

4.大田区役所本庁舎(東京都)は、1960年代に建てられた民間の事務所ビルを転用したもので、外部及び内部デザインを継承しながら、3階エントランスは各種イベントに対応できるように、設備改修が施された。

解答 4:設問文は「目黒区総合庁舎」の説明文。生命保険会社の本社屋として建築された建築物を、耐震補強、設備改修等を行ったうえで、庁舎として再生・転用したものである。ちなみに設計は村野藤吾による設計。

「太田区役所本庁舎」は、民間から購入したテナントビルを本庁舎として改修したもので、回廊状のショッピングモールが総合窓口・区民ロビーに、フィットネスクラブが想定されていた最上階は議場等に変更されている。

1.「オープンプラン」とは、体育館のような大空間を家具やパーティションなどで仕切り、機能諸室それぞれが一体に連続したフレキシブルな配置計画である。メリットとしては学年全体が把握しやすく、従来のクラス意識がなくなるなど。デメリットとしては授業中に気が散りやすく、他のクラスの授業が聞こえてしまうなどがある。

2.立命館大学の「大阪いばらきキャンバス」は、大阪府茨木市サッポロビール工場跡地に開設された立命館大学のキャンパス。南北と東西に通る2軸が交差し,それぞれに沿って校舎と立命館いばらきフューチャープラザ(市街地整備施設)が建つ。立命館いばらきフューチャープラザは公共的な機能を持ち、隣接する都市公園と一体的に整備されるなど、地域・社会に開かれたキャンパスである。

3.「石巻市庁舎」は、新庁舎を建設するのではなく「旧さくら野百貨店石巻店」の建物を利用した。財政的負担が最小限に抑えられ、またアクセスが良く、駐車場不足の解消もできたプロジェクトである。

〔R03 No.16〕高齢者施設に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.認知症高齢者グループホームにおいて、家庭にできるだけ近い環境で生活できるように 1ユニットの定員を8人とした。

2.小規模多機能型居宅介護施設において、要介護者が短期間宿泊するための宿泊室は個室とし、その床面積を、1室当たり10m2とした。

3.二つのユニットを有する個室ユニットケア型特別養護老人ホームにおいて、隣接するユニットの共同生活室は共用として、二つのユニットが一体的に使えるようにした。

4.個室ユニットケア型特別養護老人ホームにおいて、入居者の個室内にトイレを設けない場合、排泄リズムの重なる場合が多いことを配慮し、個室からトイレに至る動線を短くし、トイレを個室3部屋に対し一つ以上設けた。

解答 3:「個室ユニットケア型」特別養護老人ホームは「介護が必要な状態になっても、ごく普通の生活を営むこと」を念頭に置いた特養の形態である。従来型の形態と異なり、プライバシーの確保と他人との関係を築くことができる。それぞれのユニットごと独立して利用が完結できるものが理想である。厚生労働省はユニット型を推奨しており、従来型を一部リフォームするなども推し進め、法改正も進められている。

1.「認知症高齢者グループホーム」は「認知症対応型共同生活介護」ともよばれる。「ユニット」とは、複数の居室(個室)と居間、食堂、台所などで構成される生活空間のこと。1ユニットの人数は5人から9人程度が望ましいとされる。

2.「小規模多機能型居宅介護施設」は中重度の要介護者となっても、在宅での生活が継続できるように支援する、小規模な居住系サービスの施設。デイサービスを中心に訪問介護やショートステイを組み合わせ、在宅での生活の支援や、機能訓練を一つの事業者によって行う。利用人数は29人以下と小規模で、個室はその床面積を1室当たり7.43m2以上との規定がある。

4.「個室ユニットケア型」特別養護老人ホームにおいて、現在はトイレの数の規定はない。なるべく個室内に設けることが推奨されているが、従前型からユニット型への改修等を行うためにも、複数人(なるべく少人数)での使用も可能である。

〔R03 No.17〕歴史的建築物の改修や保存に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.倉敷アイビースクエア(岡山県)は、明治初期に建設された工場を商業施設に改修し、中央に設けたガラス屋根のアトリウムを市民に開放することで、公共性の高い空間を実現したものである。

2.金沢市民芸術村(石川県)は、大正から昭和初期に建設された紡績工場の倉庫を改修し、工房、レストラン、オープンスペース等から構成される芸術文化施設へ再生させたものである。

3.千葉市美術館(千葉県)は、昭和初期に銀行として建設された既存建築物全体を新築の建築物で覆う「さやどう」という日本古来の方式により整備したものである。

4.ロームシアター京都(旧京都会館) (京都府)は、昭和30年代に建設された既存建築物を保存し、意匠的な要素を再現しながら、増築と一部建て替えを行うことで、機能拡充が図られたものである。

解答 1:設問文は「サッポロファクトリー」の説明文である。

「倉敷アイビースクエア」は、明治時代に建設された紡績工場を利用した複合施設。連続するのこぎり屋根をもつ平家建ての紡績工場の棟の一部を撤去してできたオープンスペースを中心として、展示施設、ホテル等からなる。

2.「金沢市民芸術村」は、紡績会社の跡地に整備された施設。工場が操業を停止した後の1993年に金沢市が敷地を買い取り、公園として整備を進めていたが、赤煉瓦の建物の魅力を後世に残したいと有効活用策を再検討し、1996年に音楽や演劇などの練習場とする施設に再生された。

3.「千葉市美術館」は、戦前の建物である旧川崎銀行千葉支店を建物で覆うようにして保存している。また「鞘堂(覆堂)」とは、建物を風雨などから保護するため、外側から覆うように建てた建築物であり、中尊寺金色堂が有名。

4.「ロームシアター京都」は、前川國男の設計による京都会館を再整備した計画である。

〔R03 No.18〕設計・監理業務等に関する次の記述のうち、建築士法第25条規定に基づく「建築士事務所の開設者がその業務に関して請求することのできる報酬の基準(平成31年国土交通省告示第98号)」に照らして、最も不適当なものはどれか。

1.業務経費は、それぞれ算定される直接人件費、特別経費、直接経費及び間接経費の合計額であり、これらの経費には課税仕入れの対価に含まれる消費税に相当する額は含まれない。

2.特別経費は、設計等の業務において発揮される技術力、創造力等の対価として支払われる費用である。

3.設計者は、設計図書の定めにより、工事施工段階において行うことに合理性がある工事材料、 設備機器等及びそれらの色、柄、形状等の選定に関して、設計意図の観点からの検討を行い、必要な助言を建築主に対して行う。

4.工事監理者は、設計図書の定めにより、工事施工者が作成し、提出する施工図、製作見本、見本施工等が設計図書の内容に適合しているかについて検討し、建築主に報告する。

解答 2:

設計等の業務の報酬算定方法は「実費加算方法(告示1)」と「略算方法(告示4)」の2つがある。
このうち「実費加算方法」は「業務経費(告示2)」+「技術料等経費(告示3)」+「消費税相当額」で算出され、
「業務経費」は直接人件費+直接経費+間接経費+特別経費によって構成される。
なお「略算方法」は直接人件費×2.1+特別経費+技術料等経費+消費税相当額で構成される。

1.よって「業務経費」には「消費税相当額」は含まれない。

2.「特別経費」は、出張旅費、特許使用料、その他建築主の特別の依頼に基づいて必要となる費用の合計額。設問文は「技術料等経費」が該当する。

3.告示15号別添1より、正しい記述。

4.告示15号別添1より、正しい記述。

〔R03 No.19〕建築積算に関する次の記述のうち、建築工事建築数量積算研究会「建築数量積算基準」に照らして、最も不適当なものはどれか。

1.「計画数量」は、設計図書に基づいた施工計画により求めた数量をいい、仮設や土工等の数量がこれに該当する。

2.主仕上の数量において、衛生器具、電気器具、換気孔、配管、配線等の器具の類による各部分の仕上の欠除が1か所当たり0.5m2以下の欠除については、原則として、ないものとして計測・計算する。

3.鉄骨の数量において、1か所当たり0.5m2以下のダクト孔による鋼材の欠除については、原則として、ないものとして計測・計算する。

4.仕上改修において、設計図書に改修に必要な余幅の図示がないときは、適切な余幅を加えて計測・計算することができる。

解答 3:積算における「鉄骨の数量」は、ボルト類のための孔明け、開先き加工及びスカラップ並びに柱、梁等の接続部のクリアランスによる鋼材の欠除は、原則としてないものとする。また1か所当たり面積0.1m2以下のダクト孔等による欠除もないものとみなす。

1.「計画数量」とは、設計図書には記載のないが、設計図書に基づいた施工計画により求めた数量をいう。例えば「受注者の任意による仮設」や「土の処理」などがこれに該当する。一方、「設計数量」は、設計図書に明記された個数や、設計寸法から算出した数量(部材の数、個数など)をいい、これに材料の切り無駄を考慮して所定の割増係数をかけた数量を「所要数量」という。設計数量<所要数量<計画数量となる。

2.積算における「主仕上の数量」は、原則として躯体又は準躯体表面の設計寸法による面積から、建具類等開口部の内法寸法による面積を差し引いた面積とする。ただし、開口部の面積が1か所当たり0.5m2以下のときは、開口部による主仕上の欠除は原則としてないものとする。(公共建築数量積算基準 平成29年版)

4.「仕上改修」とは、「既存仕上の撤去又は除去」及び「仕上の新設並びに補修」をいう。仕上改修の計測・計算において、新設部分の設置や既存部分の撤去などに伴う取合い部に必要な余幅は設計図書の図示による。その図示がないときは、適切な余幅を加えて計測・計算することができる。

〔R03 No.20〕建築のマネジメントに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.コンセッション方式とは、料金の徴収を行う公共施設において、施設の所有権と運営権を民間業者へ移行する方式のことである。

2.デザインレビューとは、設計や施工等の各部門の専門家が、設計段階で性能・機能・信頼性等を価格、納期等を考慮しながら、設計について審査し改善を図ることである。

3.フロントローディングとは、施工段階や維持管理段階における問題点の早期発見や作業全体の効率化を目指し、設計段階で各種の技術検討を行うことである。

4.CRE戦略とは、企業が保有している不動産について、企業価値向上の観点から、経営戦略的視点に立って見直しを行い、不動産投資の効率性を最大限向上させるための考え方である。

解答 1:「コンセッション方式」とは、利用料金の徴収を行う公共施設について、施設の所有権を公共主体が有したまま、施設の運営権を民間事業者に設定する方式。

2.設問文通り。「デザインレビュー(DR)」はJIS(日本工業規格)やISO(国際標準化機構)9000などでは「設計審査」として規定され、品質マネジメントにおいて重要とされている。これを設計に準じて導入されている。ただし、時間がかかること、外部への情報が洩れてしまうことによる技術流出が起こり得るため、タイミングや方法など慎重に行う必要がある。

3.「フロントローディング(front-loading)」とは、設計初期の段階に負荷をかけ、作業を前倒しで進めることをいう。施工段階や維持管理段階における問題点の早期発見や作業全体の効率化を目指す。

4.「CRE(企業不動産)戦略:Corporate会社の Real Estate不動産」は、企業が所有する不動産について、経営戦略的な視点に立って見直しを行い、不動産投資の効率性を最大限向上させるという考え方。過去頻出問題。「CSR」や「PFI」などとよく錯誤されるので注意!
・CSR(企業の社会的責任):企業が利益を追求するだけでなく、組織活動が社会へ与える影響に責任をもち、自主的に社会に貢献する責任のこと。
・PFI:Private-Finance-Initiative:国や地方公共団体の事業コストの削減や、より質の高い公共サービスの提供を目的として、民間の資金、経営能力及び技術的能力を活用して公共施設等の設計、建設、維持管理及び運営を行う手法。

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投稿日:2021年9月7日 更新日:

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