令和02年度1級建築士-学科Ⅱ環境・設備

建築士過去問解説

令和02年度 学科Ⅱ(環境)
全20問掲載

一級建築士学科試験
2023年7月23日(日)

令和05年度試験日まであと 日!

〔R02 No.01〕環境工学における用語に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.PMVは、室内における人の温熱感覚に関係する、気温放射温度相対湿度気流速度、人体の代謝量及び着衣量を考慮した温熱環境指標である。
2.色温度は、光源の光色を、それと近似する色度の光を放つ黒体の絶対温度で表したものである。
3.音響エネルギー密度レベルは、音のもつ単位体積当たりの力学的エネルギー量を、デシベル表示したものである。
4.実効放射(夜間放射)は、地表における長波長放射収支であり、日中を除く夜間の「大気放射と地表面放射との差」のことである。

解答 4:地表面から放射される熱放射を「地表面放射」と言い、大気に吸収される放射(上向き大気放射)と、再び地表面に戻る放射(下向き大気放射)がある。初めに放射された地表面放射と下向き大気放射との差を「夜間放射」という。昼間も存在する現象であり、快晴であれば大きくなり、雲の量が多く、また低くなれば小さくなる。

1.予測平均温冷感申告(PMV:Predicted Mean Vote)とは、室内における人の温熱感覚に関係する、気温、放射温度、相対湿度、気流速度、人体の代謝量及び着衣量を考慮した温熱環境指標である。PMVの値は「+3」で不快(暑い)と感じ、「-3」で不快(寒い)と感じる。0に近づくほど快適とされ、「+0.5~-0.5」程度が快適環境とされる。PMVの値が0から遠ざかるほど、不満足者が多くなるので、予想不満足者率(PPD:Predicted Percentage of Dissatisfied)の値も大きくなる。

2.色温度は、光源の光色を、それと近似する色度の光を放つ黒体の絶対温度で表したものであり、色温度「低→中→高」に対して、光色も「赤→橙→黄→白→青」と変化し、光の感じ方は「暖→中→冷」と変化する。

3.「音響エネルギー密度(E:J/m2)」は音のもつ単位体積当たりの力学的エネルギー量を示したものであり、レベル表示したものを「音響エネルギー密度レベル(EL:dB)」という。

〔R02 No.02〕外壁の熱貫流率に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.外壁の熱貫流率は、外壁と屋根や床等との取合い部における熱伝導を考慮しない場合、一般に、構造体の室内側で断熱するよりも、室外側で断熱する方が小さくなる。
2.外壁を構成する各部材の熱伝導抵抗が大きいと、一般に、熱貫流率は小さくなる。
3.外壁表面の放射率が大きくなると、一般に、熱貫流率は大きくなる。
4.屋外の風速が大きくなると、一般に、熱貫流率は大きくなる。

解答 1:熱貫流率は、複数の部材によって構成される壁体において、構成部材が同じであれば、並び替えても熱貫流率は変化しない。

2.熱貫流率(W/m2・K)とは、材料自体の熱の伝えやすさだけでなく、材料の厚さも加味して熱の伝わりやすさを表した値であり、熱伝導抵抗(m2・K/W)とは、材料の厚さを熱伝導率で割った値である。値が大きいほど熱が伝わりにくい。抵抗値が大きいと熱が伝わりづらく、熱貫流率は小さくなる。

3.熱伝達には「対流熱」と「放射熱」が含まれる。放射率が大きいということは熱伝達も大きいため、熱貫流率は大きくなる。

4.熱貫流率は対流(風速)の影響を受け、風速が大きくなるほど大きくなる。

〔R02 No.03〕室内の湿り空気に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、対象とする湿り空気は1気圧とし、また、室内は無風状態とする。

1.相対湿度が同一でも、乾球温度が異なれば、空気1m3中に含まれる水蒸気量は異なる。
2.乾球温度が一定の場合、相対湿度が低くなるほど露点温度は低くなる。
3.乾球温度と湿球温度が与えられれば、その空気の相対湿度及び水蒸気分圧を求めることができる。
4.相対湿度を一定に保ったまま乾球温度を上昇させるには、加熱と除湿を同時に行う必要がある。

解答 4:「相対湿度を一定に保つ」ということは、下の空気線図におけるA点B点が赤線上にあることになる。A点の乾球温度(12度)をB点の乾球温度(22度)に上昇させる場合、絶対湿度約5g/kg(DA)分を上昇(加湿)させなければならない。
1.相対湿度はある温度の飽和水蒸気量と実際に空気中に含まれる水蒸気量の比率である。乾球温度が高くなるほど飽和水蒸気量は大きくなるため、相対湿度が同じでも乾球温度が異なれば水蒸気量は異なる。

2.露点温度とは、空気中の水蒸気が飽和点に達し、凝結が始まる温度(=相対湿度が100%)のことをいう。飽和水蒸気量は乾球温度が低くなるほど小さくなるため、相対湿度が低くなるほど露点温度は低くなる。

3.湿り空気線図は乾球温度・湿球温度・絶対湿度・相対湿度・エンタルピーなどの中でいずれか2つを定めれば他の値を読み取ることができる。

〔R02 No.04〕図-1のA~Dに示すような熱性能(熱容量と断熱性能)を有する建築物について、室内空間の暖房開始前から暖房停止後までの室温変動を、図-2のイ~ニとして模式的に示している。A~Dとイ~ニとの組合わせとして、最もものは、次のうちどれか。ただし、A〜Dの室形状・暖房時間・発熱量は同一であり、AとC、BとDの断熱性能は同一であるものとする。

解答 2:熱容量が大きい場合、室温変動は緩やかになる。断熱性能が高い場合、短時間で設定温度まで到達することができ、また暖房時の室温は高くすることができる。
イ:短時間に室温が他と比べて高く上昇し、暖房停止後は短時間で元の室温に戻っていることから、熱容量(小)・断熱性能(高)と判断できる。
ロ:緩やかな室温変化と、最大室温が高いことから、熱容量(大)・断熱性能(高)
ハ:断熱性能はイと比べて明らかに低く、暖房停止後の短時間での室温低下から、熱容量(小)・断熱性能(低)と判断する。
ニ:緩やかな室温変化と室温が上昇しづらいことから、熱容量(大)・断熱性能(小)だとわかる。
よって、2が適当な選択肢となる。

〔R02 No.05〕建築物における防火・防災に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.安全区画を自然排煙とする場合、避難方向と同一の方向に排煙口を設けることが望ましい。
2.大規模店舗の売場内に防火区画(面積区画)を設ける場合の階段配置について、防火区画された売場ごとの避難時間と避難扉幅当たりの避難者人数が概ね均等になるように計画することが望ましい。
3.自然排煙の排煙量は、煙層の温度と厚さに依存し、煙層の温度が低いときや天井高が低いときにおいては排煙効果が小さい。
4.病院等で採用される水平避難方式は、階段での自力避難が困難な者などを出火したエリアから隣接する防火区画されたエリアへ移動させ、避難時間の余裕を生み出したうえで、介助避難させる方法である。

解答 1:自然排煙とする場合、排煙口は避難方向と煙の流れの方向とが反対になるように配置する。

2.避難計画において偏りが生じると混乱や、滞留が起きてしまう。防火区画された売場ごとの避難時間と避難扉幅当たりの避難者人数が概ね均等になるように計画する。

3.煙層の厚さ及び降下の速さは、煙の発生量に大きく左右される。また天井が高い場合、特に吹抜け等は煙突効果が期待できるため、排煙量は大きくなる。

4.水平避難方式は、一つの階を複数のゾーン(防火区画や防煙区画)に区画し、火災の発生していないゾーンに水平に移動することによって安全を確保する方法であり、高齢者や幼児が利用する施設において有効である。

〔R02 No.06〕日照・日射・採光に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.昼光により室内の最低照度を確保するための設計用全天空照度には、一般に、暗い日の値である5,000lxが用いられる。
2.頂側窓は、高所において鉛直や鉛直に近い向きで設置される窓をいい、特に北側採光に用いると安定した光環境を得ることができる。
3.昼光率は、窓外に見える建築物や樹木の有無にかかわらず、室中央では一定の値となる
4.水平面天空日射量は、大気透過率が大きいほど、小さくなる。

解答 3:昼光率は、(受照面照度/全天空照度)×100%で定義される。受照面照度は、窓と受照面の位置、ガラス面の状態、室内表面の反射率、窓外の建築物や樹木による遮蔽などの影響を受ける。なお、全天空照度が変化しても、それに比例して受照面照度も変化するため、昼光率は変化しない。

1.設計用全天空照度は、普通の日(標準の状態)の場合、15,000lxを用いることが多いが、昼光により室内の最低照度を確保するには、一般に、暗い日の値である5,000lxが用いられる。

2.北側に設けられたの高窓(ハイサイドライト)は、直射日光を受けにくく、照度分布が均一なので1年を通し、安定した天空光を室内に導くことができる。

4.天空日射量は、大気中の水蒸気やちりで反射・散乱した後、地上に達する日射量である。大気透過率が低いほど反射・散乱が多くなるので、天空日射量の割合が大きくなり、直達日射量の割合は小さくなる。

〔R02 No.07〕照明に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.反射面の光束発散度は、その面の輝度に反射率を乗じたものである。
2.白い背景のもとで黒い文字を読むような場合、対象と背景の輝度の対比が大きいほど視力が上がる。
3.光束は、単位時間当たりに流れる可視光範囲の放射エネルギーの量に比視感度の重みづけを行った値である。
4.一般に、照度均斉度が大きい視作業面ほど、照度分布が均一に近いものとなる。

解答 1:「光束発散度(rlxラドルクスまたはlm/m2)」は、光源面(発光面・反射面・透過面)から発散する単位面積当たりの光束である。また「反射面の光束発散度」は、反射面の反射率×照度でも定義することができる。

2.視対象と背景の輝度の差による見やすさを表したものを輝度対比Cといい、輝度対比が大きいほどよく見える。ただし、輝度対比が大きすぎても見やすさの低下、疲労の増大、グレア等が起きる。

3.光束はルーメン(lm)で表される光の放射量であり、光の基本単位である。人の感覚は波長によって明るさの感じ方が異なるため、明るい場所での視覚の状態を1として、比視感度を乗じることによって補正されている。

4.照度とは受照面に入射する単位面積当たりの光束のことであり、照度均斉度は作業面の最高照度に対する最低照度の割合を表す。したがって、照度均斉度は値が大きいほど(最高照度が小さいほど、最低照度が大きいほど)照度分布が均一に近い。

〔R02 No.08〕色彩に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.ジャッド(B.D.Judd)がまとめた色彩調和の秩序性の原理によると、色相環における等間隔配色は調和する。
2.明所視において、ある面からの放射エネルギーが同じ場合、緑色に比べて赤色のほうが光の強さを強く感じられる。
3.色光の加法混色においては、混ぜ合わせる光を増やすほど、白色に近くなる。
4.マンセル表色系におけるバリュー(明度)は、0から10までの数値で表される。

解答 2:明所視において、赤より緑が強く感じる。 また、「プルキンエ現象」は、暗所視において、比視感度が最大となる波長が短い波長へる現象であるが、明所視時に比べて赤が弱く、青がより強く見える。
明所視(明るい場所で見る場合)で同じ見え方であったとしても、夜や暗い場所(暗所視)では、赤より緑の方が明るく見える。


1.ジャッド(B.D.Judd)がまとめた色彩調和の秩序性の原理とは、色彩の体系上、一定の法則に基づいて秩序的関係、幾何学的関係にある配色は調和する、というものである。この原理に基づくと補色同士の配色や色相環における等間隔配色は調和する。

3.混色とは、色を混ぜて別の色を作ることで、加法混色と減法混色とがある。加法混色は光源色でみられ、混色の結果、白に近づく。減法混色は色料や色フィルターなどにみられ、混色の結果、黒に近づく。また、加法混色の三原色は赤・緑・青で、減法混色はシアン・マゼンタ・イエローである。

4.マンセル表色系の有彩色の表記方法である。有彩色の表記は「色相 明度/彩度」というように表す。例として、黄赤の純色であれば、YR6/12となり、YRは色相、6は明度、12は彩度である。そのうちの明度(バリュー)は反射率が0%の完全な黒を0、反射率が100%の完全な白を10とする11段階に区別されている。

〔R02 No.09〕音響に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.拡散性の高い室に音響パワーが一定の音源がある場合、室の平均吸音率が2倍になると、室内平均音圧レベルは約3dB減少する。
2.自由音場において、無指向性点音源から25m離れた位置における音圧レベルの値が約70dBの場合、100m離れた位置における音圧レベルは約58dBになる。
3.セイビン(Sabine)の残響式による残響時間は、室容積に比例し、室の等価吸音面積に反比例する。
4.屋外において、遠方の音源から伝搬する音の強さは、空気の音響吸収によって、低周波数域の音ほど減衰する。

解答 4:音のエネルギーは、空気の粘性に吸収され、また距離によって減衰していく。このとき周波数が高いほどよく吸収されるため、低い音の方が遠くまで聞こえる。

1.室内平均音圧(Lp)=Lw-10・log10A+6
Lw:音源の音響パワーレベル、A:室内の吸音力(室内表面積×室内平均吸音率)
室内の吸音率が2倍になると、2Aとなり、
Lp’=Lw-10log102A+6
=Lw-(10log102+10log10A)+6
log102≒0.301であるから、
Lp’=Lw-10×0.301-10log10A+6
=Lw-10・log10A+3
よって、Lp’=Lp-3 →3dbの減少となる。70dB-12dB=58dB

2.距離がn倍になると、音の強さは1/n2倍になる。本設問では25mから100mと4倍になったため音の強さは1/42倍、つまり1/16倍となる。音の強さ(I)と音の強さのレベル(IL;音圧レベル)の関係は、IL=10logI/Ioであることから、
IL’=10log 16-1I/Io
=10logI/Io – 10log24
log102≒0.301であるから、
=10logI/Io – 10×4×0.301
=10logI/Io – 12.04
よって、IL’=IL-12
→12dbの減少となる。

3.セービンの式は、残響時間の計算式の中でも吸音力の小さい残響時間の長い室の計算に適した式である。
T = 0.161V / αS
(T:残響時間、V:室容積、α:室内平均吸音率、S:室内総表面積)
上式によると、残響時間は室容積Vに比例し、室の等価吸音面積Sに反比例する。

〔R02 No.10〕吸音・遮音に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.剛壁に密着させて設置する多孔質吸音材料を厚くすると、一般に、低周波数域における吸音率が上昇する。
2.孔あき板を用いた吸音構造においては、孔と背後空気層とが共鳴器として機能することによって吸音する。
3.単層壁の音響透過損失の値は、質量則を用いた予測値よりも、実測値の方が大きくなる傾向がある。
4.多孔質吸音材料においては、その表面を通気性の低い材料によって被覆すると、高周波数域の吸音率が低下する。

解答 3:「質量則(Mass Low)」とは、壁の単位面積あたりの質量(面密度)が大きいほど透過損失が大きくなる法則をいう。この質量則を用いてへ期待の遮音性能を予測する際、実測値に比べて高めになる(つまり、遮音性能が高く評価される)傾向があるので注意する必要がある。これはコインシデンス効果が実測値に影響を与えるためである。

1.グラスウール、ロックウール、木毛セメント板、ウレタンフォームなどの「多孔質材料」は、材料中に多数の空隙や連続した気泡をもつ。材料中の空気が振動する際に抵抗が働き、音のエネルギーが繊維間の摩擦によって熱エネルギーに変換され、吸音効果を生じる。とくにグラスウールは、ガラス繊維を綿状に加工したもので、吸音材の他に断熱材、防火性を高める不燃材料としても使用される。多孔質材料の吸音周波数特性は、中・高音域の音に対して吸音性能が高く、低音域側の吸音率を高めるには、材料を厚くする、もしくは密度を高めるか、背後に空気層を設ける。

2.孔あき吸音材料はせっこうボードなどの板に直径5~15mm程度の孔を多数あけたもの。音がこの孔を通るときに、孔の周りで摩擦が発生して音が熱エネルギーにかわり吸音される。主に低音域や中音域の音が吸収される。多孔質や板状材料と同じく背後の空気層の厚みがあるほど、低音域を吸音する。

4.「多孔質材料」は材料中の空気が振動する際に抵抗が働き、音のエネルギーが繊維間の摩擦によって熱エネルギーに変換するものである。このため、材料内に音が入射しづらくなると、吸音効果が減じてしまう。

〔R02 No.11〕COP(成績係数)等、空気調和設備に使用される熱源のエネルギー効率に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.井水を熱源水とする水熱源ヒートポンプは、一般に、熱源水の温度が冷房時には外気温度よりも低く、暖房時には、外気温よりも高いので、空気熱源ヒートポンプに比べてCOPが高い。
2.省エネルギー性能が高い冷凍機の選定に当たっては、定格条件のCOPとともに、年間で発生頻度が高い部分負荷運転時のCOPも考慮する。
3.水蓄熱槽の採用は、一般に、熱源を全負荷運転することによる高効率運転に加えて、冷水ポンプや冷却水に係る熱源補機も含めた熱源システムのエネルギー効率を高めることができる。
4.遠心冷凍機の冷水出口温度を高く設定すると、COPは低くなる。

解答 4:COP(成績係数: Coefficient Of Performance)は、冷房機器のエネルギー消費効率の目安として使われる係数であり、COPの数値は大きいほど性能が良い。「遠心冷凍機(ターボ冷凍機)」は空調機との間で循環する冷水から潜熱を奪い、再び空調機へ冷水を送り出す。この冷水の温度が低いと奪う熱が少なくなるため冷凍効率が悪くなる。

1.地下水の温度は外気温度(空気)に比べて安定しているため、高効率なヒートポンプシステムの構築が期待できる。

2.空調熱源機器の成績係数COPは、常に一定ではなく、部分負荷率、空気や冷却水の温度条件によって変動する。定格性能は、最大負荷で外気温度が最高の条件を想定した性能であり、年間の運転時間ではわずかな頻度しか出現しない条件である。 最近の熱源機器は変動する負荷に応じてインバータなどで熱源容量を制御する方式が主流となり、定格性能と合わせて期間性能で機器の成績係数を示す必要がある。

3.水蓄熱槽は地下空間ピットを槽として有効利用することができ、一般に、熱源水の温度が冷房時には外気温度よりも低く、暖房時には外気温度よりも高いことから、空気熱源ヒートポンプより成績係数(COP)が高い。冷水ポンプや冷却水に係る熱源補機を含めたシステム全体の効率も上げることができる。

〔R02 No.12〕空気調和・換気設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.ナイトパージは、夜間に外気導入を行い、翌日の空調立上げ負荷を減らす省エネルギー手法で、一般に、昼間の外気冷房よりも低い外気温度まで利用できる。
2.冷却塔フリークーリングは、冷却塔ファンを動かすことなく、冷凍機の冷却水を冷やす省エネルギー手法である。
3.デシカント空調は、コージェネレーションシステムに組み合わせることで排熱が利用可能となり、コージェネレーションシステムの総合効率の向上に寄与することができる。
4.放射暖房方式は、放射パネルが高い放射率を持つ必要があり、反射率の高い受照面には十分な効果を及ぼすことができない。

解答 2:冬期において気温が低い場合、圧縮機を運転しないで冷却塔の冷却水を使用する方式を「冷却塔フリークーリング」という。省エネルギーが期待される。

1.ナイトパージは、外気温が低下する夜間に外気導入・自然通風を図り、居住者に涼感を与えるとともに、室内の蓄熱体の温度を下げ、翌日の室温上昇を抑え、空調立上げ負荷を減らす省エネルギー手法である。近年、建物の機密性の向上、コピーやプリンターなどの発熱量の大きいOA機器の増加などにより室内発熱が増加し、中間期や冬期に冷房が必要な場合が増えている。中間期、冬期の冷房需要が多いビルでは、外気温度が室温より低い(又は冷房送風温度に近い)場合に、冷凍機を運転せずに送風運転のみを行う外気冷房システムを導入し、熱源設備のエネルギー消費量やCO2排出量の削減を図る。

3.人間の体感温度は単に室温だけに影響をうけものではなく、湿度も影響してくる。このため湿度も管理する必要がある。デシカント空調は、除湿ローターによって空気中の水分を直接除去することで、潜熱を効率よく除去することが可能とする。潜熱と顕熱とを分離処理する空調システムに利用でき、さらにコージェネレーションシステムの排熱にも再利用することができる。

4.放射暖房方式は、一般に、室の床、壁、天井や放射パネルを加熱して、その放射熱を利用するものである。放射率が大きくなるほど、放熱効果は大きくなる。受照面の反射率が高い場合、吸収率が小さくなるため、十分な放射熱伝達が行われず暖房効果が得にくい場合がある。

〔R02 No.13〕換気設備等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.営業用厨房の換気計画において、一般に、排気量は給気量に比べてやや大きくする。
2.ディスプレイスメント・ベンチレーション(置換換気)は、工場等において、汚染物質が周囲空気より高温又は軽量な場合に有効である。
3.屋内駐車場の換気方式においては、一般に、周辺諸室への排気ガスの流出を防ぐために、第二種機械換気方式を採用する。
4.空調機の外気取入れに全熱交換機を使用することにより、一般に、熱源装置の容量を小さくすることができる。

解答 3:第二種機械換気方式は、機械で給気し、自然換気で排気する。室内を「正圧」にするのが特徴で、汚染空気の流入を防ぎ、清潔を保ちたい手術室やクリーンルーム、研究室など。また常に空気の供給が必要なボイラー室などに用いられる。設問のように「周辺諸室への排気ガスの流出を防ぐため」であれば、室内を「負圧」にする必要があるので、第一種換気方式もしくは第三種換気方式を採用する。

1.厨房は、厨房内の空気が客室へ流入しないように、厨房内を機械排気で負圧にし、客室を自然吸気もしくは機械吸気で正圧とする。

2.冷たい空気ほど重く、床付近に停滞する。この性質を活かしたディスプレイスメント・ベンチレーション(置換換気)は、室内に室温より低温の空気を送り込むことで室内にある空気を押し上げ、汚染空気を排出することにより換気を行う方式である。汚染物質が周囲空気より高温又は軽量な場合に有効である。

4.全熱交換器は、空調換気に付属されて使用される装置で、換気によって失われる排気中の排熱(全熱:顕熱及び潜熱)を回収する省エネルギー装置である。全熱交換器を設置することで空調機の負荷を減らし、冷凍機やボイラーなどの熱源装置の容量を小さくすることが可能である。ビルや商業施設、規模の大きい住宅等に用いられ、必要外気量の多い建築物ほどその効果が期待される。

〔R02 No.14〕上水のみ供給される建築物の給水設備について、1日当たりの給水量の算定に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、空調用及びプール等の特別な用途に使用される給水は考慮しないものとする。

1.集合住宅において、居住者1人当たり250l/日とした。
2.社員食堂のない事務所ビルにおいて、在勤者1人当たり60l/日とした。
3.客室主体のホテルにおいて、ベッド1台当たり500l/日とした。
4.総合病院において、ベッド1台当たり300l/日とした。

解答 4:設計用給水量は、以下を参考にする。
・戸建て住宅–  200(l/人) ~  400(l/人)
・集合住宅—–  200(l/人) ~  350(l/人)
・事務所——–    60(l/人) ~  100(l/人)
・ホテル——–  350(l/人) ~  450(l/人)
総合病院—–1,500(l/人)~3,500(l/人)
・小中学校—–     70(l/人)~  100(l/人)

〔R02 No.15〕排水通気設備の通気方式に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.各個通気方式は、各衛生器具のトラップごとに取り出した通気管を通気横枝管に接続し、その端部を通気立て管等に接続する方式であり、自己サイホン作用の防止に有効である。
2.ループ通気方式は、2個以上のトラップを保護するために用いられる方式であり、ループ通気管を排水横枝管に接続される最高位の衛生器具のあふれ縁よりも高く立ち上げて、通気立て管にその端部を接続する。
3.伸頂通気方式は、通気立て管を設けず、排水立て管の頂上に設置した伸頂通気管を用いて通気を行う方式であり、一般に、各個通気方式やループ通気方式に比べて許容流量値が大きい。
4.通気弁方式は、通気管端部に通気弁を設置する方式であり、通気弁は、通気管内が負圧になると弁が開いて空気を吸引し、排水負荷がないときや通気管内が正圧になるときは弁が閉じる機構を有している。

解答 3:「伸頂通気方式」は、通気立て管を設けず、排水立て管の頂上に設置した伸頂通気管を用いて通気を行う方式(記述通り)。通常は排水の通り道と排気の通り道を別々に設置するが、これを一つの管に役割を兼ねるため、許容流量値は他の方式よりも小さくなる。また、伸頂通気方式、自然流下方式いずれも、排水通気配管は最下部の最も大きな排水負荷を負担する部分の管と同一の管径とする。

1.自己サイホン作用とは、衛生器具に水を満水にした後に一気に排水すると、器具、トラップ、配管に排水が満水状態で流れ、サイホン現象によって器具トラップの封水が失われる現象である。これを防ぐために各個通気方式ではそれぞれの器具ごとに通気立て管を設けるので、他の器具からの影響を受けにくくする。

2.「ループ通気方式」は、上記のサイホン作用を防ぐ方法の一つである。接続されている2個以上の器具にループ通気管を専用で設け、トラップの封水深を守るために設置される。

4.排水が急激に、もしくは大量に流れると、管内にある空気圧が負圧となり、トラップにある封水が吸い込まれしまう。「通気弁方式」ではこれを防ぐために通気弁を設け、管内が負圧になると弁が開き、管内に空気を送る。

〔R02 No.16〕電気設備に関する以下のA~Cの電気方式について、電圧降下(電線に電流が流れると損失が発生し、受電端の電圧が送電端の電圧よりも低くなること)の大きさの大小関係として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、負荷電流、こう長(電線上の2点間の長さ)及び電線の断面積は同じとし、いずれも200V配電とする。

A:単相2線式
B:単相3線式
C:三相3線式

1.A > B > C
2.A > C > B
3.C > A > B
4.C > B > A

解答 2:(難問)一般的に電流値(負荷電流)が大きいほど、配線(こう長)が長いほど、また抵抗力が大きくなるほど大きくなるが、設問では一定であるとしているので、以下の簡略式電圧降下計算法を行う。

(A)単相2線式配線の電圧降下(線間)e=(35.6×電線長×電流/1000× 断面積)
(B)単相3線式配線の電圧降下(大地間)e’=(17.8×電線長×電流/1000×断面積)
(C)三相3線式配線の電圧降下(線間)e=(30.8×電線長×電流/1000×断面積)

これにより、Aが最も大きく、Bが最も小さい。(A > C > B )

〔R02 No.17〕再生可能エネルギーに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.太陽光発電システムの構成要素の一つであるパワーコンディショナには、インバータ、系統連系保護装置、制御装置等が組み込まれている。
2.太陽光発電システムに使用される配線は、アレイ(モジュール)からパワーコンディショナまでの交流配線とパワーコンディショナから配電盤までの直流配線とがある。
3.風力発電に用いられる風車は、一般に、水平軸風車(回転軸が地面に対して水平な風車)と垂直軸風車(回転軸が地面に対して垂直な風車)に分類することができ、垂直軸風車は小型風車での採用例が多い。
4.風力発電の系統連系において、DC(直流)リンク方式は、AC(交流)リンク方式に比べて出力変動の影響を受けにくく、安定供給が可能な電力として系統に連系できる。

解答 2:太陽光発電システムは、太陽光が半導体に入射すると、光電動効果と光起電力効果により、直流電力が発生することを利用した発電システムである。その得た直流電力をパワーコンディショナーによって交流に変換し、分電盤を介して電気機器に使用される。

1.パワーコンディショナは、インバータ部と系統連系保護装置を用いて直流の電気を交流に変換し、太陽電池などの家庭用発電システムで発生する直流電力を家庭内での利用、または蓄電池への充電、系統への売電などに適した、安定した出力に整える。直流を交流に変換する「インバータ」、電力会社から電気を買ったり、太陽光発電で余った電気を余剰電力として売電したりする際に、電力系統と連携させるための「系統連系保護装置」、天候によって電圧と電流が変動した際、より多くの電力を安定して供給できるように発電し、その発電量が最大となるように「制御装置等」が組み込まれている。

3.「水平軸風車」は、風車の回転軸が地面に対して水平となるものである。このタイプのものはプロペラ式、セイルウィング式、オランダ式、多翼式などがあり、構造が分かりやすく、大型化に向いている。プロペラ式は最も普及している方式である。「垂直軸風車」は、風車の回転軸が地面に対して垂直になるものである。ダリウス式、サボニウス式、パドル式などがこのタイプに属し、 どの方向の風も利用できるので風向を選ばない。ただし水平軸風車と比べて効率が悪く、設置面積を大きく取る。


4.ACリンク方式は、電力系統への連系方式の一つで、風車により駆動される同期発電機または誘導発電機を、直接電力系統に接続する。この方式は安価ではあるが、動力が大きくなると、風力発電システム固有の問題である風速変動による電圧・周波数の変動で不具合が起きてしまう。これを回避するために採用されるDCリンク方式は、発電機の交流出力を一旦直流に変換し、さらに系統と同じ周波数の交流に変換して送電する方式で、コストは高くなるが、品質の高い電力として系統に連系することができる。

〔R02 No.18〕消防用設備等に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.屋内消火栓設備において、1号消火栓については、階ごとに、その階の各部分から消火栓のホース接続口までの水平距離が25m以下となるように設置した。
2.スプリンクラー設備において、スプリンクラーヘッドが設けられていない部分に設ける補助散水栓については、階ごとに、その階の各部分からホース接続口までの水平距離が15m以下となるように設置した。
3.屋外消火栓設備については、建築物の各部分から屋外消火栓のホース接続口までの水平距離が50m以下となるように設置した。
4.事務所ビルの連結送水栓の放水口については、3階以外の階ごとに、その階の各部分から水平距離が50m以下となるように設置した。

解答 3:屋外消火栓設備は建物の周囲に設置され、建物の1階及び1階で発生した火災の消火及び外部より放水することにより延焼を防止するために使用する設備である。ホース接続口からの水平距離は40m以内とし、その警戒区域はホース2本の長さ(40m)と放水距離(10m)で有効に放水できることとされる。(消防法施行令19条)

1.屋内消火栓には1号と2号の2種類がある。1号消火栓は水平距離25m以下に設置し、2人で操作する必要がある。2号消火栓は水平距離15mもしくは25m以下(広範囲型)に設置し、1人でも操作できる。社会福祉施設、病院、ホテルなどでは2号消火栓の設置が推奨される。

2.「補助散水栓」は便所、浴室、階段等など、スプリンクラーでは未警戒の部分を防護するための設備である。性能・機能は「2号消火栓」とほぼ同じである。ホース接続口からの水平距離(警戒範囲)は15mとなる。

4.連結送水管は連結散水設備と同様に「消火活動上必要な施設」の一つで、消防隊が本格的な消火活動を行う際に消火用の水を火災が発生した階まで送水するために、高層建築物、地下街等に設置される設備である。送水口、放水口、放水用器具格納箱等から構成されており、火災の際には消防ポンプ自動車から送水口を通じて送水し、消防隊が放水口にホースを接続すれば消火活動ができるようにした設備である。その階の各部分から1の放水口までの水平距離は50m以下で計画する。

送水口

〔R02 No.19〕建築設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.一般的な事務所ビルの執務空間における天井放射冷房は、潜熱処理を主な目的として用いられる。
2.一部のコージェネレーションシステムでは、常用発電設備と消防法や建築基準法で定める非常用発電設備との兼用が可能な機種があり、スペースの有効利用やメンテナンスコストの削減等に効果がある。
3.非常用エレベーターは、利用者の人命確保と閉込めの回避を最優先するために、一般に、災害時における利用は想定されていない。
4.非常用エレベーターを複数台設置する必要がある場合は、避難上及び消火上、有効な間隔を保って配置する。

解答 1:「放射暖房(冷房)方式」は、一般に、室の床、壁、天井や放射パネルを加熱(冷却)して、その放射熱を利用するものであり、他の方式に比べ、室内において上下温度差が生じにくいのが特徴。ただし、潜熱処理をすることができないので、結露センサー付き輻射パネルか、露点制御機能を持つ空調機を併用して結露防止を行う。

2.コージェネレーションシステムは2つの供給システムを併せ持つもので、たとえば給湯や冷暖房に採用される「熱電併給システム」では、発電装置を使って電気をつくり、排出される熱を再利用する。本設問のように、非常用電源の確保として、常用発電設備と非常用発電設備の性能を併せ持つコージェネレーションシステムの採用も可能である。これらの原動機としては、ガスエンジン、ディーゼルエンジン、ガスタービン等が使用されるのが一般的である。

3.非常用エレベーターは、火災時に消防隊の消防活動のために使用される非常時用のエレベータであり、かごの戸を開いたまま昇降させることができる。普段・平常時は誰でも使えるようにしても良いが、避難経路としては計画はできない。31m以上の建築物には原則として設置義務が生じる。

4.非常用エレベーターの計画において、複数台の設置を検討する場合は、避難上及び消火上、有効な間隔を保って配置する。建築基準法施行令第129条の13の3第2項

〔R02 No.20〕環境・設備に関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。

1.建築物の「eマーク(省エネ基準適合認定マーク)」は、建築物が建築物の省エネルギー基準に適合していることについて、所管行政庁から認定を受けたことを示すものである。
2.LEED(Leadership in Energy & Environmental Design)は、建築物や敷地等に関する環境性能評価システムの一つであり、取得したポイントの合計によって4段階の認証レベルが決まる。
3.建築物の省エネルギー基準における年間熱負荷係数(PAL*:パルスター)は、その値が小さいほど建築物の外皮の熱性能が高いと判断される。
4.一般的な事務所ビルのライフサイクルCO2においては、「運用段階のCO2排出量の占める割合」より「設計・建設段階及び廃棄段階のCO2排出量の占める割合」のほうが大きい。

解答 4:「ライフサイクルCO2(LCCO2)」は一般に、「建設時(資材生産・輸送・施工)」、「運用時」、「保守(修繕・更新)」及び「廃棄時(解体除却)」の4分類で示される建築物のライフサイクルの各過程におけるCO2排出量を推定する。建替え周期35年とする場合、それぞれ、20%、50%、25%、5%程度である。


1.「eマーク(省エネ基準適合認定マーク)」とは、既存建築物が省エネ基準に適合していることを示す表示制度のこと。BELSと同様に、国交省の定める省エネ性能表示のガイドラインにおいて、既存建築物の省エネ性能を表示する制度として位置づけられている。

2.環境評価ツールとしては、イギリスで1990年に「BREEAM」が、アメリカで1996年に「LEED」が開発され、日本では2002年のCASBEE(建築環境総合性能評価システム)が相当する。建築物の環境性能の評価を数値化し、公表することで環境効率の向上を目指している。LEEDは取得したポイントによって、標準、シルバー、ゴールド、プラチナの4段階の認証レベルが与えられる。

3.年間熱負荷係数(PAL: Perimeter Annual Load)は、建築物の外壁、窓等に関する熱損失の防止に関する数値指標。値が小さいほど、熱負荷が少ない効率のいい建築物と見なされる。

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投稿日:2020年7月13日 更新日:

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