一級建築士試験分野別まとめ
構造
断面の性質・座屈

2023年7月23日(日)
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分野別まとめ
(平成20年度から令和02年度まで)
一級建築士
構造
断面の性質・座屈
〔H27 No.1〕図のような面積が等しい断面A、B及びCのX軸まわりの断面二次モーメントをそれぞれIxA、IxB及びIxCとし、Y軸まわりの断面二次モーメントをそれぞれIyA、IyB及びIyCとしたときの大小関係の組合せとして、正しいものは、次のうちどれか。
解答 3:A、BのX軸周りの断面二次モーメントは、下図のように求める。IxA = {6a×(8a)3}/12 – {4a×(4a)3}/12
= (3,072a4 – 256a4)/12 = 2,816a4/12
IxB = {6a×(8a)3}/12 – 2×{2a×(4a)3}/12
= (3,072a4 – 256a4)/12 = 2,816a4/12
IxC = {4a×(8a)3}/12 = 2,048a4/12
よって、IxA = IxB > IxC
次に、Y軸周りの断面二次モーメントを求める。IyA = {8a×(6a)3}/12 – {4a×(4a)3}/12
= (1,728a4 – 256a4)/12 = 1,472a4/12
IyB = 2×{2a×(6a)3}/12 + {4a×(2a)3}/12
= (864a4 + 32a4)/12 = 896a4/12
IyC = {8a×(4a)3}/12 = 512a4/12
よって、IxA > IxB > IxC
〔H20 No.1〕図のような断面A、B、CのX軸に関する断面二次モーメントをそれぞれIA、IB、ICとしたとき、それらの大小関係として、正しいものは、次のうちどれか。
1.IA>IB>IC
2.IA>IC>IB
3.IB>IA>IC
4.IB>IC>IA
5.IC>IA>IB
解答 4:長方形の断面二次モーメントは I = bh3/12、円(直径D)の断面二次モーメントは、 I =πD4/64 である。また断面Bは以下の図のように求める。IxA = {a×(2a)3}/12 = 8a4/12 = 0.67a4
IxB = {2a×(2a)3}/12 – (a×a3)/12
= (16a4 – a4)/12 = 15a4/12 = 1.25a4
IxC = π×(2a)4/64 = 3.14×16a4/64 = 0.785a4
よって、IxB > IxC > IxA
〔H29 No.6〕図のような構造物A、B、Cの柱の弾性座屈荷重をそれぞれPA、PB、PCとしたとき、それらの大小関係として正しいものは、次のうちどれか。ただし、全ての柱は等質等断面で、梁は剛体であり、柱及び梁の自重、柱の面外方向の座屈は無視する。
1. PA> PC> PB
2. PB> PA> PC
3. PC> PA> PB
4. PC> PB> PA
解答 3:弾性座屈荷重の理論値Peは、下の式から求められる。
(E:ヤング係数、I:断面二次モーメント、lk:座屈長さ)
題意より、等質等断面であるからEとIは同じである。共通項πを除き、構造物A、B、Cの弾性座屈荷重の大小関係は「1 / lk2」で比較する。
また座屈長さ(lk)の理論値は以下の表による。構造物A、B、Cの座屈長さlkを、それぞれ求めていくと、
構造物A:移動に対する条件は自由、一端ピン、他端固定
lkA = 2l = 2 × 2h = 4h
構造物B:移動に対する条件は自由、両端固定
lkB = l = 5h
構造物C:移動に対する条件は拘束、両端固定
lkC = 0.5l = 0.5 × 6h = 3h
したがって、lkB > lkA > lkC となり、Peはlkの2条に反比例するため、
PC > PA > PB
〔H28 No.8〕中心圧縮力を受ける正方形断面の長柱の弾性座屈荷重Peに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、柱は全長にわたって等質等断面とする。
1.Peは、柱の材端条件が「両端ピン」の場合に比べて、「両端固定」の場合のほうが大きい。
2.Peは、柱頭の水平移動を自由とした場合に比べて、水平移動を拘束した場合のほうが大きい。
3.Peは、柱材のヤング係数に比例する。
4.Peは、柱材の断面積に比例する。
解答 4:弾性座屈荷重(Pe)は、以下の式で求められる。
(E:ヤング係数、I:断面二次モーメント、lk:座屈長さ)
弾性座屈荷重は、柱材の断面積には直接関係しない。ただし、一辺をaとする正方形断面の断面二次モーメント(I)に比例する。( I = a4 / 12 )
(関連問題:平成24年1級学科4、No.06、平成22年1級学科4、No.06、平成25年2級学科3、No.06、平成21年2級学科3、No.07)
〔H24 No.6〕中心圧縮力が作用する図-1のような正方形断面の長柱の弾性座屈荷重Peに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、柱は全長にわたって等質等断面とし、柱の長さ及び材端条件は図-2のAからDとする。
1.Peは、柱の材端条件が、Aの場合よりBの場合のほうが大きい。
2.Peは、柱の材端条件が、Cの場合よりDの場合のほうが大きい。
3.Peは、柱の材端条件が、Cの場合よりAの場合のほうが大きい。
4.Peは、柱の幅aの四乗に比例する。
解答 3:弾性座屈荷重(Pe)は、以下の式で求めることができる。
(E:ヤング係数、I:断面二次モーメント、lk:座屈長さ)
題意より、柱A、B、C、Dは等質等断面であるので、E、I、πは一定である。よって、弾性座屈荷重(Pe)の大小関係は、1/lk2で比較する。上の表から、座屈長さの大小関係は、lkA<lkC<lkB<lkDとなり、
座屈荷重の大小関係は、PeD<PeB<PeC<PeA
よって、選択肢3「Peは、柱の材端条件が、Cの場合よりAの場合のほうが大きい」は誤り。
〔H22 No.6〕中心圧縮力を受ける正方形断面の長柱の弾性座屈荷重Peに関する次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、柱は等質等断面とし、材端の水平移動は拘束されているものとする。
1.Peは、正方形断面を保ちながら柱断面積が2倍になると4倍になる。
2.Peは、柱の長さが1/2になると2倍になる。
3.Peは、柱材のヤング係数が2倍になると2倍になる。
4.Peは、柱の材端条件が「両端ピンの場合」より「一端ピン他端固定の場合」のほうが大きくなる。
解答 2:弾性座屈荷重(Pe)は、以下の式で求められる。
(E:ヤング係数、I:断面二次モーメント、lk:座屈長さ)
座屈長さは柱の長さに比例する。よってPeは、柱の長さの2乗に反比例する。したがって、Peは柱の長さが1/2倍になると、1/4倍になる。
〔H21 No.6〕図のような支持条件及び断面で同一材質からなる柱A、B、Cにおいて、中心圧縮の弾性座屈荷重の理論値PA、PB、PCの大小関係として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、図中における寸法の単位はcmとする。
1.PA>PC>PB
2.PB>PA>PC
3.PB>PC>PA
4.PC>PA>PB
解答 1:弾性座屈荷重(Pe)は、以下の式で求めることができる。
(E:ヤング係数、I:断面二次モーメント、lk:座屈長さ)
題意より、柱A、B、C、Dは、材長が同じlで、材質が同じであることからヤング係数Eも同じ、座屈長さlkはlとなる(下表を参考)。以上から、弾性座屈係数PA、PB、PCの大小関係は、断面二次モーメントで比較できる。さて、その断面二次モーメントはそれぞれ以下のように計算される。
IyA = (10×303/12)×2 + (15×103/12)
= (555×103) /12
IyB = (10×203/12)×2 + (35×103/12)
= (195×103) /12
IyC = (37.5×203/12)
= (300×103) /12
それぞれを比較すると、
IyA > IyC >IyB となり、PA > PC > PB 。
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