一級建築士試験分野別まとめ
構造
不静定構造物の応力

2023年7月23日(日)
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分野別まとめ
(平成20年度から令和02年度まで)
一級建築士
構造
不静定構造物の応力
〔H28 No.3〕図のような筋かいを有する柱脚ピンの骨組に水平荷重100kNが作用したとき、部材BCの引張力Tは100kNであった。このとき、柱ABの柱頭A点における曲げモーメントの絶対値として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、梁ACは剛体とし、柱ABと柱CDは等質等断面で伸縮はないものとする。
1. 0kN・m
2. 20kN・m
3. 40kN・m
4. 80kN・m
解答 4:柱ABに生じるせん断力QABと、せん断力QABが作用する反曲点を定め、柱ABのA点における曲げモーメントMAを求める。
まず水平荷重100kNを、斜材(部材BC)が負担する水平荷重(1)を求め、次にラーメンが負担する水平荷重(柱のせん断力)(2)とに分けて考える。
(1)斜材(部材BC)が負担する水平荷重を求める。
部材BCには、引張力T=100kNが生じている。Tの水平方向分力が、部材BCが負担する水平荷重となる。
直角三角形の三角比(3:4:5)から、Tの水平方向分力(PTX)が得られる。
PTX(部材BCが負担する水平荷重)= 100kN×(3/5)=60kN
(2)ラーメン全体が負担する水平荷重(柱のせん断力)を求める。
ラーメンが負担する水平荷重=100kN-60kN=40kN
柱ABと柱BCは等質等断面であり、かつ柱頭および柱脚の条件が同じなので、それぞれの柱の負担水平荷重(せん断力)は、等しく、柱ABと柱CDに生じるせん断力QABとQCDは等分される。
QAB=QCD=40kN×(1/2)=20kN
次に、柱ABのA点の曲げモーメントMAを求める。
梁は剛体であることから、剛接合の柱頭は回転拘束となる。また柱脚はピンなので、反曲点の位置は柱脚となる。これより、柱ABのA点の曲げモーメントMAは、次のとおりである。
MA = QAB × (反曲点から柱頭までの距離)
= 20kN×4m = 80kN・m
〔H20 No.3〕図のような骨組に水平荷重100kNが作用したとき、部材BCの引張力Tは50kNであった。このとき、柱ABのA点における曲げモーメントの絶対値として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、梁は剛体とし、柱AB及びCDは等質等断面で伸縮はないものとする。
1.30.0 kN・m
2.37.5 kN・m
3.45.0 kN・m
4.60.0 kN・m
5.90.0 kN・m
解答 3:柱ABに生じるせん断力QABと、せん断力QABが作用する反曲点を定め、柱ABのA点における曲げモーメントMAを求める。
まず水平荷重100kNを、斜材(部材BC)が負担する水平荷重(1)を求め、次にラーメンが負担する水平荷重(柱のせん断力)(2)とに分けて考える。
(1)斜材(部材BC)が負担する水平荷重を求める。
部材BCには、引張力T=50kNが生じている。Tの水平方向分力が、部材BCが負担する水平荷重となる。
直角三角形の三角比(3:4:5)から、Tの水平方向分力(PTX)が得られる。
PTX(部材BCが負担する水平荷重)= 50kN×(4/5)=40kN
(2)ラーメン全体が負担する水平荷重(柱のせん断力)を求める。
ラーメンが負担する水平荷重=100kN-40kN=60kN
柱ABと柱BCは等質等断面であり、かつ柱頭および柱脚の条件が同じなので、それぞれの柱の負担水平荷重(せん断力)は、等しく、柱ABと柱CDに生じるせん断力QABとQCDは等分される
QAB=QCD=60kN×(1/2)=30kN
次に、柱ABのA点の曲げモーメントMAを求める。
梁は剛体であることから、剛接合の柱頭は回転拘束となる。また柱脚も固定なので、反曲点の位置は柱の真ん中となる。これより、柱ABのA点の曲げモーメントMAは、次のとおりである。
MA = QAB × (反曲点から柱頭までの距離)
= 30kN×3/2m = 45kN・m
〔H27 No.2〕図-1のようなヤング係数がEで断面二次モーメントがIの等質等断面梁に等分布荷重wが作用している。次の記述のうち、最も不適当なものはどれか。ただし、図-2に示すように、片持ち梁に等分布荷重wが作用する時の自由端のたわみは、wl4/8EI、図-3に示すように、片持ち梁の先端に集中荷重が作用する時の自由端のたわみはPl 3/3EIである。
1.A点の鉛直反力の大きさは、3wl/8である。
2.B点の曲げモーメントの大きさは、wl2/8である。
3.A点からB点に向かってl/2の位置の曲げモーメントは、0である。
4.A点からB点に向かって3l/8の位置のせん断力は、0である。
解答 3:A点からB点に向かってl/2の位置の曲げモーメントM中は、A点の垂直反力は、図-2と図-3の片持ち梁に分けて、それぞれのたわみの総和は0になることを利用する。よって、
VA=3wI/8
M中 = VA × l/2 – W × l/4
= 3wI/8 × l/2 – wl/2 × l/4
= wl2/16
〔R01 No.3〕図のようなラーメンに荷重10Pが作用したときの曲げモーメント図として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、梁部材の曲げ剛性は2EI、柱部材の曲げ剛性は3EIとし、図のA点は自由端、B点は剛接合とする。また、曲げモーメントは材の引張側に描くものとする。
解答 1:固定モーメント法で解いていく。①材が回転しないようにB点を固定する。B点の材端モーメントMBAは、
MBA = 10P × l = 10Pl
となる。
②上の計算過程でB点を固定端として扱ったが、実際は固定端ではなく、節点として計算する。上図のように、材端モーメントは柱と、右の梁の剛比に応じて分割される。よってその剛度の比率は、梁右:柱 = 2EI : 3EI なので、それぞれの材端モーメントは、
M梁右(B) = 10Pl × 2/5 = 4Pl
M柱(B) = 10Pl × 3/5 = 6Pl③最後に材端モーメントM右梁(C) 、M柱(D)を求める。各材の他端には、それぞれの分割モーメントの1/2が生じている。
M左梁(C) = 4Pl× 1/2 =Pl
M柱(C) = 6Pl × 1/2 = 3Pl
モーメント図は、以下のようになる。よって正答は、選択肢1となる。
〔H25 No.3〕図のようなラーメンに荷重6Pが作用したときの曲げモーメント図として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、梁部材の曲げ剛性はEI、柱部材の曲げ剛性は2EIとし、図のA点は自由端、B点は剛接合とする。また、曲げモーメントは材の引張側に描くものとする。
解答 3:固定モーメント法で解いていく。①材が回転しないようにB点を固定する。B点の材端モーメントMBAは、
MBA = 6P × l = 6Pl
となる。
②上の計算過程でB点を固定端として扱ったが、実際は固定端ではなく、節点として計算する。上図のように、材端モーメントは柱と、左の梁の剛比に応じて分割される。よってその剛度の比率は、左梁:柱 = EI : 2EI なので、それぞれの材端モーメントは、
M左梁(B) = 6Pl × 1/3 = 2Pl
M柱(B) = 6Pl × 2/3 = 4Pl③最後に材端モーメントM左梁(C) 、M柱(D)を求める。各材の他端には、それぞれの分割モーメントの1/2が生じている。
M左梁(C) = 2Pl× 1/2 = Pl
M柱(C) = 4Pl × 1/2 = 2Pl
モーメント図は、以下のようになる。よって正答は、選択肢3となる。
〔H24 No.5〕図-1のような骨組に水平力3Pが作用し、図-2に示すような曲げモーメントが生じて釣り合った場合、部材Aに生じる引張力として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、曲げモーメントは、材の引張側に描くものとする。
解答 4:図-2より、柱にかかるモーメントからせん断力(Q)を求めることができる。
Q×l = Pl ⇔ Q = P
これより、柱にかかるせん断力はPとなる。
外力(3P)は、2つの柱のせん断力(P+P)と部材Aの水平荷重(TAV)の合計であるから、
3P = P + P + TAV ⇔ TAV = P
よって、
TA = √2 TAV = √2 P
〔H22 No.3〕図-1のようなラーメンにおいて、A点が鉛直下向きに沈下したとき 、ラーメンは図-2 のような変形を示した。このときの曲げモーメント図として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、柱・梁は等質等断面とし、曲げ変形のみを考慮する。また、曲げモーメント図は材の引張側に描くものとする。
解答 2:A点が沈下したとき、梁には下向きの力が作用する。これより、沈下する柱を下向きに作用する集中荷重と置き換えて考える。梁の中央に集中荷重がかかっていることから、モーメント図は以下のように直線となる。
梁に生じるモーメントが柱頭に伝達される。また柱脚をピン支点と仮定すると、柱脚にはモーメントが生じない。これより、モーメント図は三角形となる。
次に、柱脚が固定端の場合、柱脚のたわみ角は0となる。上のピン支点仮定時に加えて、たわみ角が0となるようなモーメントが生じている。これより、モーメント図には柱のどこかにモーメントが0となる反曲点が生じる。
〔H30 No.4〕図は、2層のラーメンにおいて、2階に水平荷重P1、R階に水平荷重P2が作用したときの柱の曲げモーメントを示したものである。次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1.2階に作用する水平荷重P1は、80kNである。
2.2階の梁のせん断力QBは、70kNである。
3.1階右側の柱の軸方向圧縮力NCは、105kNである。
4.右側の支点の鉛直反力Vは、120kNである。
解答 4:梁のせん断力は、梁両端部の曲げモーメントの合計をスパンで除して求める。
QB = (100kN・m + 180kN・m)×2 / 8m
= 70kN
QR = 140kN・m ×2 / 8m
= 35kN
QC = 220kN・m ×2 / 8m
= 55kN
支点の反力Vは、すべての梁のせん断力の合計となる。
V = QB + QR + QC
= 70kN + 35kN + 55kN
= 160kN
〔H26 No.6〕図のような水平力Pが作用する骨組において、柱A、B、Cの水平力の分担比QA:QB:QCとして、正しいものは、次のうちどれか。ただし、3本の柱は全て等質等断面の弾性部材とし、梁は剛体とする。
解答 3:「一端固定他端ピン(柱B)」の柱頭の水平変位σは、片持ち梁のたわみと同じく、以下の式となる。(l:柱の長さ、E:ヤング係数、Q:柱に生じるせん断力、I:断面二次モーメント)
また「両端固定(柱A、柱C)」の柱頭の水平変位σは、スパンが半分の片持ち梁のたわみの2倍と等しく、以下の式となる。
= (Ql3 / 4・3EI)
これから、それぞれの柱のせん断力(Q)はそれぞれ、
QA = 12EIσA / (2h)3 = 3EIσA / 2h3
QB = 3EIσB / h3
QC = 4・3EIσC / h3
等質等断面であるからEIは等しい。また梁は剛体なので水平変位は等しく、σA=σB=σC。また共通項(3EIσ / h3)をのぞいて比較すると、
QA:QB:QC= 1/2 :1 :4 = 1:2:8
〔H23 No.3〕図のようなラーメンに水平力Pが作用する場合、柱A、B、Cに生じるせん断力をそれぞれQA、QB、QCとしたとき、せん断力QA、QB、QCの比として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、それぞれの柱は等質等断面の弾性部材で曲げ剛性はEI又は2EIであり、梁は剛体とする。
解答 2:「一端固定他端ピン」の場合、柱頭の水平変位σは、片持ち梁のたわみと同じく、以下の式となる。
(l:柱の長さ、E:ヤング係数、Q:柱に生じるせん断力、I:断面二次モーメント)
これから、それぞれの柱のせん断力(Q)は、
QA = 3EIσA / (2h)3 = 3EIσA /8h3
QB = 3(2EI)σB / (2h)3 = 6EIσB /8h3
QC = 3EIσC / h3 = 3EIσC /h3
等質等断面であるからEIは等しい。また梁は剛体なので水平変位は等しく、σA=σB=σC
よって、QA:QB:QC= 3/8 :6/8 :3 = 1:2:8
〔H21 No.5〕図のような鉛直荷重Pを受けるトラスA、B、Cにおいて、それぞれのローラー支持点の水平変位δA、δB、δCの大小関係として、正しいものは、次のうちどれか。ただし、各部材は同一材質とし、斜材の断面積はそれぞれa、2a、3aとし、水平材の断面積はいずれもaとする。
1.δA>δB>δC
2.δA=δB=δC
3.δB=δC>δA
4.δC>δB>δA
解答 4:トラスの軸力を算定し、それぞれのひずみを比較する。これらの架構において、水平方向の変位に影響を与える部材は横架構のみである。上の示力図より、それぞれの横架構の軸方向力は、反力はそれぞれ同じ大きさである。そのためNA2、NB2、NC2の大きさは、
となり、横架材は等質等断面であることから、
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