鋼管コンクリート構造
鋼管コンクリート構造は、柱・梁、または筋交い材の鉄骨部分に鋼管を用いる構造で、部材の断面形状により、
被覆形・充填形・充填被覆形
の3形式がある。
覆形鋼管コンクリートの場合、帯筋比は0.2%以上となるように設計する。(平成20年1級学科3、No.15)
コンクリート充填鋼管(CFT)構造
「コンクリート充填鋼管(CFT)構造」は、円形もしくは角形鋼管にコンクリートを充填した柱・梁であり、大空間を実現できる。
コンクリートを打つための型枠が不要で、充填するコンクリートの中に必ずしも鉄筋を入れる必要はない
→RC造やSRC造に比べて省人化・省力化・工期短縮が期待できる。
また鋼管とコンクリート、それぞれの特性が組み合わされ、コンファインド効果(相乗効果)によって高い性能を発揮する。
コンファインド効果
鋼管の塑性変型性能に優れるが、局部座屈に弱い。圧縮耐力に優れたコンクリートを充填することにより、座屈に対する抵抗力、座屈後の耐力低下の抑制が高まる。(→軸力比制限や幅厚比制限を緩和することができる)
コンクリートは耐火性能、圧縮耐力に優れているが、鋼管で周を囲むことにより、膨張を拘束され、さらに強度が増す。
施工のポイント
コンクリート充填鋼管構造で、鋼管内に充填するコンクリートは、以下のように調合する。
①「スランプフロー・スランプ」は特記によるが、特記がない場合はスランプフローは55cm以上から65cm以下の範囲で定め、監理者の承認を受ける。
②「空気量」は特記によるが、特記がない場合は1.0%以上から4.5%の範囲で定め、監理者の承認を受ける。(平成22年1級学科5、No.11)
③「単位水量」は、原則として175kg/m3以下。
④鋼管最上部のトッププレートのコンクリート打設孔は、充填に支障のない範囲で鋼管内法面積の15%以上、かつホース等の径の1.5倍以上とする。(平成27年1級学科5、No.13)
⑤空気抜き穴を隅角部もしくは周辺のできる限り外部側に均等に4箇所以上設ける。
CFTを採用した建設例
小倉駅(福岡)
北九州メディアドーム(福岡)
生田神社拝殿(兵庫)
横浜ランドマークタワー(横浜)
エルザタワー55(東京)
JRセントラルタワーズ(名古屋)
キーエンス本社ビル(大阪)
あべのハルカス(大阪)
過去の出題
平成30年1級学科4、No.26
平成29年1級学科4、No.23
平成27年1級学科4、No.23
平成26年1級学科4、No.20
平成24年1級学科4、No.20
平成22年1級学科4、No.20
平成21年1級学科4、No.26
平成20年1級学科3、No.15
平成19年1級学科3
平成17年1級学科3
平成15年1級学科3
平成14年1級学科3
平成13年1級学科3
平成10年1級学科3